【医師監修】前駆陣痛と本陣痛の違いは?痛みや症状の違いと分娩施設へ連絡の見極め方

出産が近づくにつれて増えるお腹の張りや腹痛。なかでも妊娠後期になると陣痛の前段階に起こる「前駆陣痛(ぜんくじんつう)」を体験することもあります。痛みを感じてもすぐに分娩につながらないため、腹痛が来るたびに本陣痛なのか迷い、分娩施設へ連絡してもよいものかと判断に悩んでしまうこともあるでしょう。そこで今回は、「前駆陣痛」の気になる症状や本陣痛との違いを解説します。

目次

・前駆陣痛とは?
・本陣痛との違いは?
・前駆陣痛を感じるのはいつから?
・前駆陣痛から出産、本陣痛へどのくらいの期間でつながる?
・前駆陣痛の痛みはどんな痛み?
・微弱陣痛と前駆陣痛の違いは?


腹痛を感じる妊婦

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【特集】陣痛はどんな痛み?帝王切開はどうだった? みんなの出産特集

丸山正次先生監修:丸山レディースクリニック 院長
丸山 正次(まるやま しょうじ)

産婦人科の家で生まれ、東京の下町で育った。東京医科大学卒業。昭和大学産婦人科学講座入局。その後、同医局の関連病院であり地域の高次医療施設である佐野厚生総合病院(栃木県佐野市)に産婦人科医長として就任。そのまま27年間医長職を継続し定年時に丸山レディースクリニックを開院。




前駆陣痛とは?

前駆陣痛は本陣痛と同じく子宮収縮によって起こる痛みで、陣痛の前段階にくる子宮収縮です。

持続時間が不規則で、痛みの程度がそれほど強くなかったり、痛みがおさまったりする場合があります。


本陣痛との違いは?

少し様子を見て、30分程度で痛みが治まるようなら前駆陣痛と判断してOK。安静にするなど、特別なことをする必要はなく、いつも通り過ごしていればいいそうです。

一方、間隔が一定になると同時に痛みが強くなる場合は、陣痛の可能性が高いです。痛みが来る間隔をはかっておき、10分間隔で来るようになったら分娩施設へ連絡します。

陣痛の間隔をボタンひとつで計測できるアプリもあるため、腹痛を感じたら時間をはかるようにすると、不安も和らぐかもしれません。




前駆陣痛を感じるのはいつから?

妊娠30週を過ぎたあたりから、頻繁にお腹が張るようになります。同時に、前駆陣痛を感じる機会も増えてくるそうです。お産にいたるまでの自然な流れのため、不安に思う必要はありません。


しかし、おしるしがあった場合は分娩施設を受診した方がいいでしょう。子宮口が開く、赤ちゃんを包む卵膜が少しずれることなどが原因と言われています。おりものに混ざる程度の量で色もピンクや薄い赤など個人差があるそうです。



同様に、破水した場合もすぐに受診が必要です。破水したまま放置していると赤ちゃんが細菌に感染するリスクが高まります。破水は少量の場合もあり、尿漏れとまちがえるケースもあるようです。

産婦人科に行けばリトマス紙や診察などでチェックできるので、恥ずかしがらずに医師に診てもらいましょう。

お腹の中の赤ちゃんも眠っている時間があるので胎動に関しては気にしすぎる必要はありませんが、24時間以上感じられない場合は医師に相談するといいでしょう。

前駆陣痛から出産、本陣痛へどのくらいの期間でつながる?

一般的には、前駆陣痛から長くても2、3日くらいで陣痛が来ると言われています。
しかし、前駆陣痛と陣痛の明確な違いが「規則的な間隔で痛くなるか」である以上、一概には言えないようです。

子宮口の開き具合によっても変わるため、前駆陣痛から出産につながる期間は、人によってさまざまです。

なかには、前駆陣痛と診断されて一度帰宅したものの、3時間後に陣痛が来て再び入院するケースもあるそうです。

前駆陣痛の痛みはどんな痛み?

前駆陣痛の痛みは、人によって感じ方はさまざま。

具体的にどんな痛みを感じることがあるのでしょうか?

▼生理痛のような痛み
生理痛は鈍痛であることに対して、前駆陣痛は子宮がギューっとなる感じだそうです。痛みはそれほど強くありません。

▼腰痛
前駆陣痛を感じる頃には赤ちゃんの頭が骨盤の方まで下がることで、骨盤周りの筋肉に負担がかかり腰痛となって表れます。

▼下痢のような痛み
下痢のような腹痛や便意を感じることがあります。
実際にお腹を下すこともあれば、トイレに行っても解決しないケースもあるようです。

▼注意が必要な痛みとは?
電話をする女性

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しかし、一向に痛みが治まらない時や出血を伴う時には、注意が必要です。本来は出産後にはがれる胎盤が、赤ちゃんの誕生前にはがれてしまう「常位胎盤早期剥離」の疑いもあります。

早期発見が肝心のようなので、異常を感じたらまず妊婦健診をしている施設に連絡をしましょう。

微弱陣痛と前駆陣痛の違いは?

痛みは弱くても持続する場合や徐々に痛みが強くなる時には、微弱陣痛の可能性があります。微弱陣痛は痛みの弱い陣痛のため、前駆陣痛とは異なります。

微弱陣痛には、最初から痛みが弱い「原発性微弱陣痛」と一度は痛みが強まったものの、途中から弱くなる「続発性微弱陣痛」があります。お産が進むにつれて体力が消耗されるなど、さまざまな原因が考えられます。


陣痛が弱いとお産がなかなか進まずに、長期化する可能性もあるのです。この場合は、陣痛促進剤を使ってお産を進める方法がとられます。破水をしていない場合は、人為的に破膜させて、お産を促すケースもあるそうです。

■陣痛かな?と痛みを感じたら連絡をためらわないで!


お腹が痛いけど、前駆陣痛だったら恥ずかしいと受診をためらう人もいるでしょう。しかし、「前駆陣痛は、しばらく経つと痛みが治るなど、結果としてわかるもの。判断に迷ったら、分娩施設に連絡をしてほしい」というのが医師の考えのようです。

体調面の不安を感じたら医師や助産師に相談をして、早めに解消するのがよさそうです。



【参考資料】
・『よくわかる妊娠・出産』(主婦の友社)
・『ママとパパ二人ではじめての妊娠&出産』(新星出版社)
・『たまごクラブ特別編集 最新 安産大百科』(ベネッセコーポレーション)
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