尾木ママが語る「子どもを学校に行かせたらいけないとき」
尾木ママが語る「親が受けてきた教育とはガラリと変わる!」の続きです
「ママ自身が気がつくためには、学校現場に関心を持ってください」と語る尾木ママ
テレビでおなじみの
“尾木ママ”こと、
尾木直樹さんが、いまぜひママたちに伝えたいメッセージ!
尾木ママは、新著
『取り残される日本の教育 わが子のために親が知っておくべきこと』の本の中で、「入試で問われることが、変わってきているんですよ!」と、話しています。
■授業参観でチェックしたいポイント
―― 前回、国際的な学力調査が、2018年からガラッと変わることを受けて、日本でも入試問題に変化が出てきたというお話を伺いました。この変化に対して、いま、ママたちができることは?
まず、学校現場に関心を持ってほしいですね。昨年の4月から、お子さんたちの学校も、変化してきていると思います。その変化は、
授業参観に行ったりしないとわからない。もしご自身のお子さんの学校が変わっていないならば、「うちの子どもの学校は、遅れている」と、ママ自身が気づくことができます。
―― 「変化している」というのは?
知識を詰め込む「だけ」の教育は、もう終わり。前回お話した世界標準の「キー・コンピテンシー」(※)を身につける教育への転換が急がれています。
これからは、
子どもの主体性に働きかけることで、発想力や想像力、多角的な分析力、協働性などといった能力を伸ばしていくことが求められています。
※キー・コンピテンシーとは:「状況を分析し、他人に論理的に説明し、情報を批判的に捉える能力、さまざまな分野の知識をつなぎ合わせて、問題解決に導いていく能力」。答えがひとつではないことにどう対応していけるか、どう状況を切り開いていくか、どう問題解決していけるか、そういった能力のこと。詳しくは、
第二回の記事を参照
■10年ぶりに学習指導要領がかわる
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―― おっしゃることは、頭ではわかります。ですが、「宿題しなさい!」「歯を磨いたの?」という日々の現実から遠い話すぎて…。何から、その現実を考えれば良いですか?
「学習指導要領」って何か、ご存じですか? 学習指導要領とは、いわば「日本の学校教育課程の基準書」のようなもの。戦後70年、ほぼ10年ごとに改訂されてきて、次の改訂は2018年です。この変化する学習指導要領の中で、「今回の改訂で、何が盛り込まれたのか?」を知ることは大切です。
それは、「何から考えれば良いのか」の「とっかかり」になりますね。
―― 何が、盛り込まれる予定なのでしょうか?
いろいろありますが、私が特徴的だと思うのは、学校教育を通じて身につけさせたい力の大きな柱のひとつに
「人間性」という言葉が入った点です。
ちなみに次期学習指導要領の3本柱の案は、次のとおりです。
①知識および技能
②思考力、判断力、表現力等
③学びに向かう力、人間性等
出典:文部科学省「幼稚園教育要領、小・中学校学習指導要領等の改訂のポイント」(2017年2月取材時時点)
■いま、注目の「アクティブ・ラーニング」
尾木ママは、「アクティブ・ラーニングを理解するポイントは、『対話』」と話します
―― 学習指導要領の3本柱でうたわれている力を身につけさせるには、どうしたら良いのでしょうか?
昨年の4月から、教育現場には
「アクティブ・ラーニング」という言葉があふれています。アクティブ・ラーニングとは、日本語訳すると「能動的学修」のことです。すでに多くの小中学校で、独自に研究を重ね、さまざまなアクティブ・ラーニングの手法を取り入れた授業が行われています。
―― 「アクティブ・ラーニング」という言葉は聞いたことがあります。
先日、「アクティブ・ラーニング」について保護者から不安や悩みなどのご相談を受ける機会がありました。
「うちの子は内気なんですが、アクティブ・ラーニングについていけるでしょうか?」といった感じのご質問があり、勘違いされている方が多いと思いましたね。
■勘違いされている「アクティブ・ラーニング」
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―― どう勘違いされているのでしょうか?
アクティブ・ラーニングというのは、授業の学習・指導の方法です。授業風景が変わっただけで、教えている内容は何も変わらないんです。そこらへんが、正確に皆さんに伝わっていないと感じました。
―― 「アクティブ・ラーニングという授業」が始まるんだと思っていましたが…。
アクティブ・ラーニングとは、あくまでも
授業の方法論のひとつです。いままでは、先生が一方的に黒板に書いたものを、必死にノートに書き写して、覚えて、テストをやって、「はい、何点!」ということをやっていましたよね? そういうやり方ではなくなるんです。
―― 「そういう方向」に、教育が動いているということですね。
そうです。ただ、「アクティブ・ラーニング」という言葉がひとり歩きしてしまった結果、現場が混乱してしまったこともあり、文科省もこれはいけないと、結局次期学習指導要領では
「主体的・対話的で深い学び」という言い方で説明されるようです。
そのポイントは、
「対話」。対話を通じて、学びを深め、課題を解決していきます。対話というのは、友達との対話でもあるし、自分との対話でもある。先生との対話、文献との対話など、いろんな形がありますよね。他人と活発に議論すること=アクティブ・ラーニングというわけではないので、そこは誤解しないでくださいね。
アクティブ・ラーニングができる子を育てるために、いま、ママができることは? そのヒントは世界で活躍するトップアスリートのママたちの言動にあると尾木ママは話します。
次回は、尾木ママが語る
「トップアスリートの母に共通する"子どもが伸びる"育て方」です。
この記事は2017年2月の取材に基づいて書いています。
「紙教材こそ正しい」と思っていた私が、タブレット学習に驚いた理由