公園で息子とボール投げをして遊ぶ。
息子は右足を踏み出して右手で投げるという独特のフォームだったので僕が「見て見て」と言って左足を踏み出し右手でボールを投げるところを見せた。
息子は遠くまで飛んでいったボールを見ても「いいから!できるから!」と我流の投法を崩さなかった。
家で遊んでいる時も見本に倣うというやり方を嫌うことが多いので、何か違うやり方がないかなあと模索していた。
次に、走りながら投げてみるというのはどうかと思って、「走りながらボール投げられる?」と息子を挑発してみた。
すると両足を交互に前に後ろにと走るなかでタイミングをつかんで美しいフォームで投げることが出来た。
さっきより飛んだボールを見た息子の鼻息は荒い。
選手とトレーナーのような関係になった僕たちは次にボール蹴りを始めた。まだサッカーと呼ぶことも出来ないような転がし合い。
息子に合わせて走り回っていた。するとそこに6、7歳ぐらいの男の子が乱入してきた。
いきなり何のためらいもなくウチのボールを「オリャー!!」と蹴り飛ばしての参戦だったので、さすが子ども!遠慮が皆無!と変に感心してしまい、仲間に入れて3人でボール蹴りを続けた。
乱入男子は「僕はKくん!」と物語の主人公のように高らかに名乗った。
Kくんはその後もボールを遠くに蹴り飛ばしたり手でつかんで逃げ去るなどやんちゃの限りを尽くしてきたが、息子が楽しそうに笑っていたので良しとして続けた。
Kくんが「おとーさーん!」と遠くに手を振った。その方向を見るとその子の父親が一人立ってスマホを見ている。
とくにリアクションもせずどんどん遠くに歩いて行ってしまった。
Kくんのやんちゃはエスカレートして一人でボール遊びを始めてしまった。
息子と取り残されていると「ボールなくなっちゃった〜」と言いながらKくんが戻ってきた。
今度は植木の茂みに投げ込んで隠したボールを僕と息子で探し当てるという謎のゲームに発展し、やれやれと二人で仕方なく付き合った。
屈んでボールを探している最中にKくんが僕の背中を叩いて蹴って笑い始めたので、さすがに遊びを中断して「一緒に遊ぶなら仲良くしよう」とお説教のトーンで話した。
まさか公園で知らない子を説教するハメになるなんて、となんとも重い気分だった。
それでもここまでやったら許されないという限度を教えてあげたほうが良いと思った。Kくんは「へへ〜ん」と開き直ったような態度で行ってしまった。
家に帰って「公園でこんなことがあって…」と昼ご飯を作りながら妻に話した。
妻の近くで息子が紙でできた筒(画材のゴミ)を振り回して遊んでいたので「それは危ないから振り回さないで〜」と注意したが無視される。
フライパンで野菜を炒めていると「オリャー!!」の声とともに背中に激痛。
興奮した息子が紙筒で僕の背中を力一杯叩いた。
投球の正しいフォームは真似できなくても、Kくんの乱暴はすぐに面白がって真似る息子。
硬くて長い紙筒がしなるとかなり痛い。「人を叩くならこれは禁止!」と言って紙筒を取り上げたら息子は号泣。
ご飯を食べた後、とんだ怒りモードの一日になってしまったと部屋で落ち込んでいると神妙な面持ちの息子が入って来た。
これは完全に謝りに来た空気だと思って対峙する。
息子の緊張と緩和療法で少し気持ちが救われた。
つづく
山梨県上野原市「地域住人主導型の共助コミュニティ創生事業」開始~リアルとDXのハイブリッドによる子育て・暮らしのシェアタウンを推進~