■「パント!」が短時間で子どもを惹き付ける理由
古屋「1981年の “ハイ、ポーズ”から、身体表現のコーナーが始まりました。集団でやる体操に対して、こちらは個のもの。“体操と身体表現”は“動と静”という関係だったんです。最初はヨガや太極拳で、そのあとが新体操やダンス…。現在のパントマイムは、ダンスのように動きが決まっていなくて、おねえさんと子どもで自由な動きができることができないかな?という考えから企画しました。大きな動きは決まっているけど、その通りにやらなきゃいけないわけじゃない。見えない物を表現するという脳の発達と、体の動きを結び付けるコーナーにしたかったんです」
――以前の「ゴッチャ!」が元気なイメージだったので、正直おもしろいのかな?とも思いましたが、息子が真剣に観ている姿に驚きました。
古屋「パントマイムって、本来はステージで30分くらいかけてやるものなんです。
例えばロボットだったら、実演の前にロボットの話などの前振りをして、子どもの中にロボットをイメージさせる。普通は脳と心が温まってからやるものなのでなんですが、番組はそれができないので、最初に実物を見せることで少しでも掘り起こしてから始めています」
■大人の常識が通用しない「パント!」の開発
古屋「開発の際には、たくさんの園でテストしました。同じ3歳でも生まれた月でできることが全然違うし、そもそも3歳は経験量にも相当バラつきがある。なので、どこまでのラインなら理解できるのかっていうのがすごく難しかったんです。風船を持つ動作はできても、“風船になってみよう”って言うと“え?”って感じで。大人だと風船の動きから考えて動くとか解釈するけど、3歳児は物の立場になって動くってことはできない。風船を持つことはできる、でも、自分が風船になって飛ぶところまで発展させちゃうとついていけないっていうことが、実際に子ども達を見るとわかるんです」