ベビーカーでの電車移動には苦労がつきものです。車内での過ごし方はもちろん、乗り降りや乗り換えなど、親子にとっては数々の試練が待ち受けています。
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国土交通省によると、利用者が3000人以上の駅でのバリアフリー化率は2016年度末で、87%となっています。かなり高い数字に思えますが、実際ベビーカーで移動すると、遠回りをしなければならない、エレベーターが見つからないなど、スムーズにいかないと感じることも多いです。
今回は、ショッピングなどで利用度が高いと思える渋谷駅を移動した体験やこれまでのベビーカー移動で困ったことなどをもとに、どうすれば快適にベビーカーで電車移動ができるか、対処法を考えてみたいと思います。
■ベビーカーで地上の渋谷駅から地下の半蔵門線乗り換え
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今回、体験してみたのは、ベビーカーを移動しながらの地上にあるJR渋谷駅から地下にある半蔵門線の渋谷駅の乗り換え。普段はあまり利用したことがない駅ですが、遊び、買い物など多くの方が利用する駅ということで調査対象に選びました。半蔵門線は筆者の利用頻度が高い路線です。
<ミッション>
平日の昼間に、渋谷駅でJRから地下鉄半蔵門に乗り換える
①事前にアプリを使ってルートを検討する
②JR渋谷駅の改札口から半蔵門線の乗り場まで移動する
①事前にアプリを使ってルートを検討する
今回は、「駅すぱあとfor pigeon.info」を使い、事前にルートを検討しました。
●乗り換え検索
渋谷駅での乗り換えがかなり複雑そう。エレベーターでの移動は可能と書いてあるのですが、実際にどこまで滞りなく移動できるか不安になります。
●渋谷駅の構内図確認
駅の構造が立体で、ベビーカーの移動はかなり難易度が高そうにみえます。段差がない玉川改札から出ることに決めます。
②JR渋谷駅の改札口から半蔵門線渋谷駅まで移動する
地上にあるJR渋谷駅では「玉川改札」からスムーズに出ることができました。しかし東急百貨店のエレベーターで地下2階まで行ったところまでは良かったのですが、半蔵門線の表示に従っていくと、思わぬトラップが…。
地下鉄に乗るためには、そこからまだ下に降りなければならないのですが、なんと下りのエレベーターもエスカレーターもない! まさに八方塞がり。そこで、一旦東急百貨店に逆戻りせざるを得ない状況になりました。
一度地上に上がり、手立てを考えるためにスマホを取り出すも、子どもが不機嫌により泣き始めてしまい…。すっかり途方に暮れてしまいました。藁をもすがる思いで東急百貨店の受付のお姉さんに相談すると、「109のエレベーターで地下3階まで降りてください」との情報をもらいました。
SHIBUYA109は、東急百貨店からはスクランブル交差点を渡らなければならないし、少し距離もあるのでまったく選択肢にはありませんでした。
109まで歩き、そこで無事に地下3階行きのエレベーターに乗って降りると、すぐに地下鉄の乗り場でした。ようやく乗り換えを完了することができたのです。
■ベビーカーで電車を利用する問題点とは
これまでもベビーカーで移動したときに実際に困ったことに遭遇することがありました。どうすればもっと楽にベビーカーで移動することができたのでしょうか。
●ベビーカー片手にエスカレーターや階段を昇るには
乗り換えなどをする際に、エスカレーターか階段しかない駅もあります。そうなると、ベビーカーを折りたたみ、肩にリュック、片手にベビーカー、もう一方の片手で子どもの手を握ってエスカレーターに乗ることになります。
とても長いエスカレーターの場合や人の行き来も多いエスカレーターの場合など、自分も子どももそして周囲にも危険を及ぼしたらどうしようと不安に感じた経験があります。このように、エレベーターもなく、階段でベビーカーを抱えて母子だけでは登れないなど、どうしても困難が生じてしまうことがあります。
そういった場合には、思い切って周りの人に助けを求めるなどの勇気を持つことも必要かもしれません。ただ困難が起きることを事前に想定して、荷物を軽くする、抱っこひもを用意する、軽めのバギータイプにするなど、できるだけ自分でできる対策をしておくことも大切です。
●アプリの活用
アプリで調べると、エレベーターの有無、地上までエレベーターで行けるのか、どこにエレベーターがあるのかなど、調べればわかることが多くあります。出かける前には、アプリでの事前準備はとても重要となってきます。
ただ、子連れで外出し、そこでアプリを活用することは、とても難しいというのも本音です。なぜなら実際に筆者がこの体験をしている間、落ち着いてスマホを見る余裕は正直なかなかありませんでした。そんなときは、その場所に詳しい人に勇気を出して聞いてみるのが一番なのかもしれません。
■駅のバリアフリーは今後どうなっていくのか
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バリアフリーができているという駅でも、実際に移動してみるとエレベーターが混雑して何回も見送らなければならなかったり、遠回りしなければならなかったりすることもあります。
電車に乗る時間、タイミング、出先の状況によっては、「時間を考える」、「ベビーカーではなく抱っこひもを使用する」など、周囲への配慮と赤ちゃんの快適さを考えるうえでも必要となってきます。
今年2月に国土交通省の有識者検討会は、バリアフリー推進の費用について、「鉄道の利用客に負担を求めることを検討すべきだ」とする中間報告を公表しました。たとえば、複数のバリアフリーのルートを確保する、乗換えルートにおいて段差を解消する、エレベーターの容量を拡大するなどの整備のための費用を負担対象として検討しているようです。費用負担がかかるかもしれないという問題点はありますが、国としてもバリアフリー対策をきちんと考えているという面では期待したいところです。
Googleマップが車いすやベビーカーでの経路検索ができるようになりました。また東京メトロでもベビーカー利用者向けのサービス「ベビーメトロ」の実証実験をスタートしています。今後もこういったサービスの取り組みは増えていくでしょう。
ママが赤ちゃんと快適に移動するにはどうしたらいいのか。
便利になるのを待つだけではなく、少しでも快適に出かけられるよう、使う側もしっかり対策を考えていくことが大事だと感じます。
※渋谷駅での体験実験は、2018年3月に筆者が実際に体験した内容です。行き方については、筆者が実際にアプリで検索し、体験したことをベースにしていますが、正式な行き方とは異なる場合がございます。
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