正解のない「どうして?」答えが一つではない「なぜ?」…親は子どもにどう答える?
小さな子どもは、大人が当たり前と思っていることに対しても、一つ一つ「なぜ? どうして?」と聞いてくるもの。でも、子どもの好奇心には丁寧に向き合ってあげたいものの、「なんで? なんで?」の質問責めを、時には面倒に感じてしまったり、適当にあしらってしまったり…そうしてしまうことも少なくないのでは?
「ここできちんと、子どもの『なぜ? どうして?』に向き合うことはとても大事なのです」と力説するのは、国立大学法人お茶の水女子大学附属小学校の藤枝真奈先生。
「子どもの好奇心をしっかり受け止めることで、考える力や学ぶ力をグンと伸ばすことができるのです」(藤枝先生)
そんなお茶の水女子大学附属小学校の先生たちが、子どもの好奇心に徹底的に寄り添う視点で、百科事典のような児童書
『頭のいい子を育てる なぜ? どうして? ふしぎ366』(主婦の友社)を監修しました。掲載項目は、生活の中からわいてきた身近な疑問がいっぱいで、なかには、答えがないような問いも。
そこで、藤枝先生に、この本に込めた思いをうかがって来ました。
国立大学法人お茶の水女子大学附属小学校
「自主協同」の精神を養い、自分で判断し、他者と関わり合って主体的に学んでいく子どもを育てている。公共性を育む「シティズンシップ教育」や、人間性・道徳性や思考力を育む新教科「てつがく」など、今日的な教育課程に対応したカリキュラムを編成。140年に及ぶ長い歴史と伝統とともに、未来へ拓かれる最先端の教育実践の場は、毎年行われる「教育実際指導研究会」などで、全国の多くの先生方に公開されている。
■「答えは一つではない!」全国の子どもたちから集めた「なぜ? どうして?」
――この本に掲載されている「なぜ?」の疑問は、「どうしてパンツをはかなくちゃならないの?」や「サッカーボールはどうやってまるくなっているの?」など、子どもたちの目線に近い疑問が多いように感じましたが、そこは意識して作られたのでしょうか?
藤枝真奈先生(以下、藤枝先生):多くの子どもたちは年齢が上がるにつれて、「勉強しなくちゃ!」というシーンが増えてくると思うのですが、低年齢のうちは、そういった気持ちにとらわれることなく、普段の生活の中から関心事を見つけて、没頭できる時期だと思います。
この本は、子どもたちが生活している日常での「ふとした疑問の声」を拾い上げて作られています。掲載疑問は、全国の子どもたちから編集部に寄せられたアンケート回答のなかから、声の多かったものを中心に構成されています。
――なかには、「友だちって何?」というような答えが一つではない疑問や、「死んだら何も残らないの?」というような、大人でもちょっと答えにつまってしまうような疑問もあります。こういった疑問を入れた意図は、どんなところにあるのでしょう?
藤枝先生:答えが一つではない問いや正解のない問いは、世の中にたくさんありますよね? 自分が思う答えと他者の思う答えは違ったり、似ているところがあったり…そういった経験を繰り返すことで、子どもはいろいろな発見をして自分の考えを作り、自己を見出していくのだと思います。
正解のない問いについて、この本には、考えるヒントがちりばめられています。「あなたはどう思う?」「お母さんはこう思うよ」などと対話を楽しみながら、子どもと一緒にページをめくってもらえればと思います。