■赤ちゃん語を知っていると「言語発達にプラス効果」
子どもの言語発達の専門家、一般社団法人福島県言語聴覚士会会長であり竹田綜合病院リハビリテーション科室長の阿久津由紀子先生によると、ママ・パパが赤ちゃんが発しやすい言葉、発しやすい順を知っていることは、言語発達に効果大だそうです。
実際に病院で『あかちゃんごおしゃべりリングカード』を使っていらっしゃる阿久津先生にうかがいました。
「赤ちゃんがお話ししやすい順番に絵カードが作られているので、楽しくながめながら自然に言葉をうながすことができるのではないでしょうか。
お母さん方にとっても、お子さんが次こんな言葉を話すのかなという期待をもったり、こんな言葉も理解できるのかなと予測をもつことに役立ちます。
このカードを通して、赤ちゃん語についてお母さんが理解を深めるだけで、まだあまり話せないと思っていたお子さんの言葉の世界が、実はとっても豊かだったんだ! ということに気付くかもしれません。
言語訓練を必要とする言葉の遅いお子さんにとっても、言葉の発達の順を追って、無理なく言葉を習得していくことに有効だと思います。」(阿久津先生)
実際に、絵カードの言葉を理解はしているけれど、まだ話せない2歳のお子さんに試してみたそうです。
「電車の絵カードをおもちゃの電車と合わせたり、牛乳のカードをもって飲むしぐさをしたり、さかんに声を出しながら『ぼく、分かっているよ!』という雰囲気でおおいに楽しんでいる様子が見られました。
お母さんも『電車だね』『牛乳好きだよね』など、上手に声がけをしていましたよ。
お子さんへ上手に刺激を与える際の、頼もしい遊び道具のひとつになるのではないかと期待しています」(阿久津先生)
■赤ちゃんの言葉は「氷山のようなもの」
ママが赤ちゃんと一緒にこのカードを使うとしたら、どんなことを意識したらよいでしょうか。阿久津先生にうかがいました。
「リングカード自体にいろいろな遊び方が書いてあるので、自由に親子で試していただくと良いと思います。
絵本のようにおうちの方が見せてあげたり、子ども自身がめくっているところに声がけしても良いでしょう。
リングからカードを外してバラバラにして好きな絵を探したり、『○○はどれかな?』と言って子どもに選ばせたり、おうちにあるものや場面(ありがとうなど)と合わせてみたり、発話にこだわりすぎずに、楽しく遊びながら声を出すことをうながせるといいですね。
言葉の一部だけだったり、はっきり言えなかったりしても、立派な言葉として受け止めつつ、「そうね〇〇だね」とていねいに返してあげることが自信につながります」(阿久津先生)
言葉の発達は、個人差が大きいもの。まだ、話し始めの赤ちゃんの頃なら、なおさらです。
阿久津先生曰く、「言葉というのは氷山のようなもので、水面より出ている『話せる言葉』は少なくても、水面下にはその何倍も『まだ話せないけど知っている言葉』がたくさんあります」とのこと。
ですから、ほかの子と比べて、わが子の言葉が遅いからといってあせることはありません。
ご紹介した『あかちゃんごおしゃべりリングカード』をはじめ、同じくNTTコミュニケーション科学基礎研究所の調査結果を生かした
『あかちゃんごおしゃべりえほん』、
『あかちゃんごおしゃべりずかん』、
『あかちゃんごたどりえほん』(すべて主婦の友社)などがあるので、これらを上手に活用しながら理解できる言葉や概念をじっくり増やしていくことが、最終的には発話につながっていくでしょう。
まずは、お子さんとのコミュニケーションを楽しんでいただけると良いですね。
参考図書:
『あかちゃんごおしゃべりリングカード』(主婦の友社)
『あかちゃんごおしゃべりえほんシリーズ』から、見て! めくって! たのしい! 赤ちゃんが初めて出会うリングカードが誕生。NTTコミュニケーション科学基礎研究所の最新研究データより、「赤ちゃんが早く言える言葉ランキング」トップ100すべての言葉を50枚に収録。
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