連載記事:今日からしつけをやめてみた
「ごめんなさいは?」あやまらない我が子に泣きそうになる…しつけって必要ですか?【今日からしつけをやめてみた 第1回】
■「どんな子にしたいか」じゃなくて「どういう子なのか」
©pingpao- stock.adobe.com
――りんごの木では保護者に向けて、何か伝えていることはありますか?
柴田先生:りんごの木には遅刻という言葉はありません。「用意ができたら来てください」と伝えています。
乳幼児って、朝がうまくいかないじゃない? 出かけようとすると「うんち」っていったり、飲み物をこぼしてびしょびしょになったり…。
――そうそうそう! そうです!
柴田先生:そのときに「出かけられないでしょ!」って怒るなら「あ~あ。やっちゃったか。じゃあ、着替えてね」でいい。みんなの用意ができたら来てね、なんですね。私の家が遅刻OKの家庭で、実はみんな遅刻常習者だった(笑)。
だからって大人になって遅刻するようになるかというと、そんなことはなかった。そこはわきまえて成長する。育つってそういうことなんじゃないのかな。
――「朝は準備できてからでいい」って、なんだか夢のようです…!
柴田先生:これまで長く幼稚園の先生なんかをやってきたけれど、いつも親は「どういう子に育てたいか」「どういう子にしたいか」という大人の思いで子どもに接していると思うんです。
そうして行き着いたところで、何が正しいことなのか分からなかった。それに気づいたとき、私は「どういういう子に育てたいか」の前にそもそも「どういう子なのか」。子ども本人のことを知らないんじゃないか、と思ったのね。
――わが子が「どんな子」なのか…。
柴田先生:そう。だから知りたいと思ったの。どんな子なのかを知るためには、子どもの育ちは子どもに任せてみようって。子どもを知るためなんだから、ルールは一切なし! 大人の「こうさせたい」をなしにして「りんごの木」をはじめたんですね。
――子どもの育ちを子ども自身に任せる…?
柴田先生:そうよ~。だから子どものやりたい放題の世界よ! でも、子どものやりたい放題って、思春期の子と違ってそうたいしたことじゃない。水道出しっぱなしとか、家の中に水を持ち込むとか、壁に絵を描くとか…。これは大変かしら(笑)。
でも、やることが一人ひとりすごく違うのね。ママと別れるとき、ある子は我慢していたり、ある子は事実を目をつむって見ないようにしていたり。ワンワン泣く子もいれば「ママがいないからあなたでいいわ!」と別の大人に抱きつく子もいる。みんなこらえ方が違うのね。
本当に子どもっておもしろいなって。子どもがどうあるべきかでなく、どういう子なのかを知りたい。ただそれだけなのね。
りんごの木 子どもクラブ外観
「子どものために」としつけをしていたはずが、そもそも子どものためではなく、親のため、大人の都合だったとしたら…。
それならしつけなんて、今日からやめたい! と思うのは私だけでしょうか。
子どもの文化を大事にすることで「これは私のせい?」「こうしなきゃいけない?」と不安になっている時間を、子どもと笑顔になれる時間に変えていくことができるかもしれませんね。
次回は、子どもの3大「困った!」での、年齢別対処法をご紹介しましょう。
参考図書:
『
今日からしつけをやめてみた』(主婦の友社)
監修 柴田 愛子/イラスト あらい ぴろよ
「小さいうちから、きちんとしつけないと…」。そうしておこなわれる「しつけ」は子どもにどんな影響を与えているのか? しつけなくして、親子が笑顔になる方法はあるのか? 子どもの目に映る世界は、大人が見ている世界とは違うもの。親子でストレスの溜まる「しつけ呪縛」から解放される一冊。