子育ては親だけの責任?「私だって迷惑をかけたくない…」【今日からしつけをやめてみた 第5回】
マンガ・イラスト/あらいぴろよ
公共の場では静かに、邪魔にならないように…。子どもとのお出かけは周囲への気遣いでドッと疲れるというママ、多いですよね。
わが子を育てるのはもちろん自分だけれど、どうしてここまで周囲に気を遣わなければならないのでしょうか?
今回は「子育ては親だけに責任がある」という世間一般の風潮や子どものしつけについて
『今日からしつけをやめてみた』(主婦の友社)を監修された柴田愛子先生にうかがいました。
「ごめんなさいは?」あやまらない我が子に泣きそうになる…しつけって必要ですか?
公共の場でさわぐ、食事を残す、すぐに手が出る…3大「困った!」どう対処する?
「あいさつは?」「早く帰るよ!」もう怒りたくない“子育てあるある”3場面
しつけは誰のため? 「良い子」を演じる子どもたち
お話をうかがったのは…
「りんごの木 子どもクラブ」代表 柴田愛子先生「子どもの心により添う保育」をモットーにした「りんごの木 子どもクラブ」代表。絵本作家。 保育者。育児書の執筆、雑誌への寄稿だけでなく全国で保育者向けセミナーや母親向け講演会をおこない支持を得る。NHK『すくすく子育て』出演。
園で行っている「子ども達のミーティング」はテレビ・映画で取り上げられ「子どもの力を最大限に引き出している」と話題に。
■子どものしつけ「それって、おかしくない?」
マンガ・イラスト/あらいぴろよ
――先生は『今日からしつけをやめてみた』のなかで「ママを脅かすしつけはいらないのでは?」という提案をされていますよね。では、ママやパパ自身が「子どもにどうしてもこれだけは伝えたい!」というしつけについては、どのようにお考えですか?
柴田愛子先生(以下、柴田先生):そうね。伝えたいことってあるわよね。例えば「出されたものは食べる」というのがある。それは、残さず食べてほしいと思う「根拠」があればいいと思うの。
――根拠、ですか…?
柴田先生:「残さず食べなさい」というしつけの理由として「残したら、つくってくれた人に失礼でしょ」という人がいる。これ、ちょっと変じゃない…?
つくってくれた人がいるのは分かるけど、だからおなかがいっぱいでも、すごく苦手なものでも苦しみながら食べなさいってことでしょ。
それは、ちょっと変かなと思うのね。
――残さず食べるのはいいことだと思うし、自分も親からそういわれてきました。でも、はっきりとした根拠ってなかったかもしれません。
柴田先生:前にりんごの木クラブで遠足に行ったとき、お弁当がひっくり返ってしまった子がいた。中身は焼きそばだったんだけど、落とした子はそれを拾ってね…。1本ずつ水道の水で洗いはじめたの。
――え…!
柴田先生:洗った麺をお弁当箱に戻して、ゆすいで、食べはじめた。私は「え、食べるの?」と聞いたの。
そしたら「そうだよ、食べなきゃいけないんだ」というのね。結局、全部食べたのよ。
――全部ですか…!
柴田先生:そのあと、子どもを迎えにきたお父さんに聞いたの。「お宅は、食べ物は残しちゃいけないとしつけているんですか?」って。そしたら「そうなんです」って。
「どうして、そうやってしつけているんですか?」と聞いたら「僕の家は裕福じゃなかった。だけど食べることは親がきっちりやってくれたから、今の僕の体がある。僕はこの体があるから今、家族を養っていける。
だから親に感謝している」と。
――ふむむ…。
柴田先生:そして「これ、やり過ぎですか?」って私に聞いたのね。だから「お宅のお子さんだから、それでいいと思います」と答えたの。それにね「妻はけして料理が得意じゃない。その妻が一生懸命つくっている姿を見たら、残していいっていえないですよ」だって…。いいお父さんでしょ!
でも、お母さんは「落ちたものは食べなくても良かったのに…」って。そしたら、お弁当を落とした子は「え? 食べなくて良かったの?」だって。
今度からこの子は落としたものは食べなくていいって分かるわよね。
――そうか…! そうですね。食べなくていいときもあることが分かりましたね。
柴田先生:こんなふうに、しつけはそれぞれの家によって違う。だから世間一般のしつけを取り入れたら数十、数百あるかもしれないけれど、親が大事にしていることを子どもに教えていけばそこに大きな柱ができる。
そのあと、子どもがどう育っていくかは、その子の問題。苦しかったらしないし、感謝していたら同じようにやっていく。そうやって、つないでいくものなんじゃない? 親の思いを受け継いでいくことのほうが、きっと大事だと思う。
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