連載記事:今日からしつけをやめてみた

子育ては親だけの責任?「私だって迷惑をかけたくない…」【今日からしつけをやめてみた 第5回】



■もっと頼って、もっと迷惑をかけて! 孤独をはね返す豊かな子育て

子育ては親だけの責任?「私だって迷惑をかけたくない…」【今日からしつけをやめてみた 第5回】

ⓒMonet-stock.adobe.com



――自分流のしつけでいいんですね…! 子育ての一般論にあてはめるより、自分流でやると自分もしっくりくる感じがします。

柴田先生:そうね。お母さんはいろいろなものに脅かされることが多い気がするし、人を頼らない人も多い。「他人に迷惑をかけちゃいけない」というお母さんもいるわね。

――あ、私もそうでした。夫も頼りにならないし、子育てはひとりでやらなきゃいけないものだと…。

柴田先生:うんうん、そういうお母さんには「迷惑はかけるもの。迷惑をかけて人は生きていく。
かけないのは孤独でしかない」って私はいうわね。

――迷惑をかけたくない、と思うのは孤独…?

柴田先生:迷惑をかけて、かけられるような人間関係をどれだけ築いているかが、お母さんや子どもの豊かさであると思うの。迷惑をかけられる人を何人持っているか。それが「生きやすいこと」につながる。

りんごの木クラブでも具合の悪いお母さんがいると、おうちまで子どもを送り迎えするのね。お弁当をつくったりして。

子育ては思うようにいかないものだから、自分が動けないときに「お願い!」っていえる関係を持っていると、生きやすいじゃない? 国や行政に頼ってもなかなかうまくいかないから、そんなときは地域力、友だち力なんかが力を発揮するわね。

――何かあってもお願いできる人が側にいれば、ママも心強いですね…。


柴田先生:そうね。でも、なかにはお手伝いしたら「本当に申し訳ない…」って私に謝るお母さんもいた。

だから私は「頼まれるって、うれしいんだよ」と伝えたの。「お願いできますか?」といわれると、私が役に立てる! って、うれしくなる。あなたには申し訳なく思うことでも、私にとってはうれしいことなのって(笑)。

――そんなふうにいわれたら、泣いてしまいます(涙)。

柴田先生:「何かお返しがしたい」といわれたけど、それは違う人にするといい。ありがたかったことは「ありがとう」っていえばそれでいい。
その人に返すのではなくて、今度は違う人の役に立つ。元気になったときに、頼まれたらうれしいって思う出来事がきっとあるから、そのときのためにお返しはとっておいてほしいわね。

■子どものしつけは親だけの責任?

子育ては親だけの責任?「私だって迷惑をかけたくない…」【今日からしつけをやめてみた 第5回】

マンガ・イラスト/あらいぴろよ 



――少しずつでも人を頼りにできたら「私はひとりなんだ」という子育て中の孤独が薄らいでいきそうですね。そもそも「まわりに迷惑をかけたくない」という思いは「子育ては親がするもの」という世間一般の空気感が影響しているようにも思えます。

柴田先生:しつけって「子どものため」というより、周囲の目が怖いからやっているのかもしれません。

例えば、電車の中で子どもが騒いだら「しーっ」というでしょう? でも黙るのは一瞬(笑)。親だって困ってるのよ。

――そうです、そうです! いちばんなんとかさせたいと思ってるのは私たちなんです…!

柴田先生:そうよね。
そんなときって、親じゃない別の大人が「うるさいよ」っていえばいいと思う。子どもは親じゃない人からいわれると、ビクっとするわよ。

――確かに、すごくびっくりしそうですね(笑)。

柴田先生:困っている人に対して「親であるあなたがなんとかしなさい」って冷たくない? いくつになっても子どものことは親のせい。一生、親が責任を持っていかなきゃいけないなんて、そんなバカな話ある?

――私も、そう思っていいんでしょうか…?

柴田先生:子どもと大人は生まれたときから違う人間で別人格なの。だから、子どもがうるさくしたときに「本当に困っちゃうよね。元気なのはありがたいんだけどね~」っていってくれる人がいたら、どんなにありがたいかって思う。「親だけがしつけなさい」という考え方は違うんじゃないかしら。


――そういう考えの人が増えたら、肩身の狭い思いをするママもきっと減っていきますね。

柴田先生:保育園の建設で反対運動があったりするけど、反対する人は自分の子育てのときはうるさいなんて思わなかったと思う。でも、静かな環境でずっと過ごしていると、気になるようになってしまうのね…。

自分の不都合は、遠ざけて排斥する風潮なんでしょうね。何よりも自分だけが大事。子どもがいてこその社会なのにね。

でも、実をいうと私も「うるさい」と思うことはあるのよ。遠足でたくさんの子どもたちが電車に乗ってきたりすると、車両を変えたくなったりします。


でも、ふと子どもの表情が目に入ると、「ああ…そうか、うれしいのね」って、はしゃいでいる子どもたちの気持ちが伝わってくる。自分の遠足のときの光景さえ浮かんでくると「楽しんできてね」なんて気分になるのよね。

子どもを物体として見ていると「自分を脅かすもの」に感じる人もいるかもしれないけど、そんなときは表情を見てほしい。人として見ると表情があって、自分自身に置き換えたりできるのね。

――子どもたちの顔を見ると、気持ちが変わることもある…。

柴田先生:そう。そう考えると「うるさい」と思うのは、こちら側に余裕がないときなのかもしれないわね。


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