連載記事:今日からしつけをやめてみた
しつけは誰のため? 「良い子」を演じる子どもたち【今日からしつけをやめてみた 第4回】
ⓒArkom-stock.adobe.com_172906207
しつけをするのは「子どものため」ですよね。人にはやさしくあってほしい、ずるいことを考えず、正しいおこないをしてほしい。良い子になってもらうべく、私たち親は奮闘するわけです。
けれど「これが本当に子どものためになるのだろうか」と迷い、悩むことがあるのはなぜなのでしょう。子育てで目指すべきゴールはどこにあるのでしょうか。
今回は、子どもが「生きやすくなる」ために親ができることについて
『今日からしつけをやめてみた』(主婦の友社)を監修された柴田愛子先生にうかがってきました。
お話をうかがったのは…
「りんごの木 子どもクラブ」代表
柴田愛子先生
「子どもの心により添う保育」をモットーにした「りんごの木 子どもクラブ」代表。絵本作家。 保育者。育児書の執筆、雑誌への寄稿だけでなく全国で保育者向けセミナーや母親向け講演会をおこない支持を得る。NHK『すくすく子育て』出演。園で行っている「子ども達のミーティング」はテレビ・映画で取り上げられ「子どもの力を最大限に引き出している」と話題に。
■親が自慢に思う「良い子」を演じる子どもたち
ⓒmetamorworks-stock.adobe.com
――世のママやパパがしつけをするのは「良い子になってほしい」という思いがあるからですよね。でも「良い子」であることって、そんなに重要なことでしょうか?
柴田愛子先生(以下、柴田先生):小さいときから「良い子」というものが評価されすぎているわね…。
評価されすぎると、良い子は良い子を崩せなくなる。
本当の気持ちがいえなくなってしまうの。空気を読むようになって、大人たちから褒められることが自分の生きがいになっていくのね。
――褒められることが生きがい…。
柴田先生:20~30代の人がこんな事を言ったりするの。「本当の私はいつ出したらいいんですか?」って。
小さなころから、みんなに「良い子ね」っていわれてきた。だけど、本当の私は別にある。
本当の自分をいつ出せばいいのか、分からなくなってしまったのね。
――良い子の自分とは別に、本当の自分がいたんですね。
柴田先生:そう。だから私は「今日から良い子をやめなさい。ひとつでもいいから自分の本音をいってごらん」といったの。
自我のない人間はいない。でも、我が子が「良い子」の評価を受けると、親は満足するでしょう。それを見て、子どもは親を喜ばそうと、自ら「良い子」路線に進んでしまうの。
――子どもも親の期待に応えたいと感じるんですね。
柴田先生:でもそれは、人のために自分をつくることで、自分の人生じゃない。たとえ誰かに迷惑をかけても、非難されても、良い子じゃなくても…。
我が子には「自分で良かった」と思って、生きてほしいじゃない?
――はい…!