連載記事:パパ小児科医の子ども健康事典
【医師監修】水ほうができる夏風邪「手足口病? ヘルパンギーナ?」症状、診断、治療<パパ小児科医の子ども健康事典 第21話>
■手足口病「いつから登校(登園)してもいい?」
イラスト:ぺぷり
いわゆる学校感染症における登校(登園)停止基準は「○○日」と日数が決められているわけではありません。
もちろん、熱があったり脱水があれば登園すべきではありませんので、全身の状態がどうかが目安になります。熱がなく元気があり、手足の発疹のみであれば、登園しても構わないということになります。登園許可証が必要かどうかは園に確認してください(地域により対応が異なります)。
このとき「発疹があるのに登園したら、ほかの人にうつすのでは?」と心配になると思います。手足口病は発疹がなくなっても、便からウイルスが約1カ月くらい排出されるので、残念ながらしばらく感染力は残ってしまいます。
感染力があるからといって元気な子どもを1カ月間、登校(登園)させないのは現実的ではないですし、感染してもあまり症状が出ない子どももいます。隔離をしたとしても流行を防げないというのが現実です。
■ヘルパンギーナ「症状、診断、治療、登校(登園)基準は?」
【症状】
ヘルパンギーナは突然の高熱で発症し、口の中に水ほうができます。のどちんこのやや上の場所にプツプツとできるのが特徴で、のどの痛みのために食事や水分がとれなくなります。
【診断】
水ほうがのどちんこのところにできるという特徴や、発熱、周囲の流行状況などから総合的に診断します。同じくのどがはれて熱が出る病気として
溶連菌、アデノウイルス感染症(プール熱)がありますが、これらはのどの綿棒検査で調べることが可能です。
【治療】
発熱はとくに治療なく自然に改善し、抗菌薬は不要です。のどが痛くて水分がとれないので、入院になる理由は手足口病と同じく脱水です。イオン飲料などでこまめに水分摂取をしましょう。
食事が全くとれない場合は、体重1kgあたり30~50ml/日を目安に摂取させてください(例:10kgの子どもなら1日500ml)。
また発熱やのどの痛みを緩和させるために、解熱鎮痛剤も使っていきましょう。
【合併症】
ヘルパンギーナも手足口病と同様に、ときに髄膜炎を起こしますので、頭痛やおう吐の症状に注意してください。
【登校(登園)の基準は?】
手足口病と同じで登校(登園)停止の日数は決められていません。熱が下がり水分がとれて元気になれば登園OKです。
見える場所に発疹が出ないので手足口病ほど登園が問題視されることはないのですが、元気になってもウイルスは排出されているのでこちらも流行を防ぐことは難しいです。
以上、いわゆる夏風邪と呼ばれる、手足口病、ヘルパンギーナについての解説をしました。いずれの夏風邪も流行を防ぐことは難しいため、感染することを前提に脱水の対策をして夏を乗り切ってください。