ヘルパンギーナは、手足口病、咽頭結膜熱(プール熱)と並んで「子どもの三大夏かぜ」とも呼ばれる、子どもにとって身近な感染症です。症状は、突然の高熱、のどや口の中にできる小さな水疱と潰瘍による痛みが特徴です。ヘルパンギーナは感染力が強く、子どもの看病をする際に大人が罹患してしまうこともあるので、大人のヘルパンギーナにも注意しましょう。大正製薬株式会社[本社:東京都豊島区社長:上原 茂](以下、当社)が運用する健康情報サイト「大正健康ナビ( )」では、専門医によるヘルスケアアドバイス疾患ナビを公開しています。11月1日に新着公開した「ヘルパンギーナ」では、黒木 春郎先生にヘルパンギーナの原因、症状、対処法や予防法について詳しくお伺いしました。◆新着情報 専門医によるヘルスケアアドバイス 疾患ナビ「ヘルパンギーナ」 <目次>ヘルパンギーナについて知る・ヘルパンギーナの原因・ヘルパンギーナの症状・ヘルパンギーナの対処法・ヘルパンギーナの予防法ヘルパンギーナには、ワクチンや抗ウイルス薬はなく、1週間ほどで自然に治りますが、症状を緩和する薬での対症療法とホームケアが大切です。いざというときに備えて注意したいポイントを知っておきましょう。大正健康ナビは、生活者の日常生活に寄り添い、「人生100年時代をサポートする健康情報発信基地」として、みなさまの健康の維持・増進にお役立ていただけるサイト運営を目指しております。当社は、これからも健康と美を願う生活者に納得していただける優れた医薬品・健康関連商品、情報及びサービスを、社会から支持される方法で創造・提供することにより、社会へ貢献してまいります。【監修者プロフィール】こどもとおとなのクリニックパウルーム 院長黒木 春郎(くろき・はるお)先生千葉大学医学部卒業。医学博士。千葉大学医学部臨床教授。公認心理師。千葉大学医学部小児科医局に所属し、関連病院勤務を経て、1998年千葉大学医学研究院小児病態学教官。2005年外房こどもクリニック開業(千葉県いすみ市)を経て、08年医療法人社団嗣業の会理事長、23年より「図書室のなかのクリニック」をコンセプトにした、こどもとおとなのクリニック パウルームを東京都港区に開業。日本小児科学会専門医・指導医。日本感染症学会専門医・指導医・評議員。日本遠隔医療学会理事。著書に『駆け抜けた17年』(幻冬舎)、『プライマリケアで診る小児感染症 7講』(中外医学社)、共著『最新感染症ガイドR-Book 2018-2021』(日本小児医事出版社)ほか多数。■ご参考●大正健康ナビ 大正健康ナビでは、お悩みの原因、症状、対策や予防法などをご紹介しています。また、気になる症状をすぐにチェックできるコンテンツもご用意。いろいろな疑問に専門家が分かりやすくお答えしています。【大正健康ナビ】ヘルパンギーナ.pdf : 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2023年11月01日「気軽に専門家に質問ができて、さらに返信も早い」とママから日々感謝の声が寄せられているベビーカレンダーの人気コンテンツ【助産師に相談】の掲示板。その中から特に注目をあつめた質問の内容を一部抜粋してご紹介します。今回はヘルパンギーナに罹った娘さんを持つママからのご相談です。 Q.ヘルパンギーナに罹り、夜泣きがひどくなりました生後8カ月の娘がいます。日曜日に39度の熱があり、翌日には平熱まで下がったのですが病院に行ったらヘルパンギーナと診断されました。 熱が下がってからは離乳食をほとんど食べない以外は日中機嫌よく過ごしていました。ただこの2日間、夜泣きが大変ひどくなりました。普段は夜中目が覚めても授乳したらすぐに寝てくれていたのが、授乳しても寝ずに20〜30分間ずっと泣いています(授乳→寝ずに泣く→トントンしたり抱っこしてユラユラする→泣き止まずまた授乳→ようやく寝る)。本人が一番つらいのはわかりますが、流石にこれが連日続くと眠いです。 これはヘルパンギーナで喉が痛いせいなのか、たまたまタイミングが重なっただけなのか疑問です。また、ヘルパンギーナで潰瘍がひどいみたいですが何日くらいでおさまり、通常通りの離乳食に戻れるものなのでしょうか? また、今朝、娘のおむつを見たらおしっこがまったく出ていませんでした(12時間くらい替えていません)。授乳や麦茶はこまめにあげていたつもりでしたが、水分が足りていなかったのでしょうか? 宮川めぐみ助産師からの回答娘さんが高熱を出してヘルパンギーナと診断をされていたのですね。その後おしっこは出ましたか? おしっこの量が少なかったり、色が濃いようでしたら、飲めている量が少ないのだと思います。夜中に泣いていることが続いて、飲んでいる間は落ち着くということを繰り返していたのですね。お熱が出ていたのと体のつらさもあってのことかと思いますよ。喉の潰瘍の痛みが強いようでしたら、なかなか思うように飲めなかったりもすると思います。飲めていなくて、思うように水分を摂ることができない(先ほどのおしっこも出ないなどあるようでしたら)、受診をしていただくといいと思います。 ヘルパンギーナは、だいたい5日ほど経つと喉の痛みも軽減して食べられるようになると言われていますよ。今は冷めたおじや、いろいろと混ぜ込んだスープをミキサーにかけて冷ましたものもいいと思います。喉越しのいいものをあげてみてくださいね。※参考:ベビーカレンダー「助産師に相談」コーナー※診断や具体的な治療については医師の指示にしたがってください ヘルパンギーナとはプール熱(咽頭結膜熱)、手足口病と並ぶ、夏風邪の代表となる感染症で、毎年5月ごろから増加し始め、7月ごろにかけてピークとなり、9~10月にかけてほとんど見られなくなるという流行時期の特徴があります。 5歳以下の乳幼児が患者数の9割を占めているため、保育所や幼稚園で流行しやすい病気と言えます。特に1歳代が多く、年齢が上がるとともに患者数は減っていきます。0歳でかかる割合は5歳代とほぼ同じくらいとされています。 ヘルパンギーナの治療法と予防方法ヘルパンギーナのウイルスに直接効く薬はないため、対症療法となりますが、基本的には自然によくなります。 対症方法のポイントとしては口の中の痛みによって水分摂取が難しい場合があるので、脱水を起こさせないことです。そのため、医師の指示のもと、乳幼児用の経口補水液など、飲みやすく、吸収の早い飲み物をこまめに与えるようにしましょう。水分を嫌がる場合は、氷にしたり、水分を多く含むゼリーなどを与えても良いです。また、部屋の温度が高いと、発汗によって脱水が促進されてしまうため、室温にも注意しましょう。ヘルパンギーナの予防方法としては、手洗い・うがいをしっかりすることと、免疫力を落とさないことです。ヘルパンギーナの感染経路は、飛沫感染・経口感染・接触感染と、集団生活をおこなう場所で感染してしまいます。そのため、帰宅後の手洗い・うがいをしっかりおこない、栄養のある食事を摂り、早寝早起きの生活習慣を続けることが、ヘルパンギーナに限らず感染症の予防に繋がります。 また、ヘルパンギーナは症状が治まった後も長期にわたって便にウイルスが排泄されることがあるため、おむつ替えやトイレの後には手洗いをしっかりおこないましょう。※参考:基礎知識(ベビー)「赤ちゃんや子どもがかかるヘルパンギーナとは?症状や原因、治療法について」【監修:医師 松井 潔 先生 小児科 | 神奈川県立こども医療センター総合診療科部長】
2019年09月09日だんだん夏が近づいてきて、手足口病やヘルパンギーナといった夏風邪にも流行の兆しがみられてきました。この2つはエンテロウイルス属というグループが原因となっており、症状には似たところもいくつかあります。それぞれどのような病気でしょうか。■手足口病「症状、診断、合併症、治療」【症状】まず手足口病はその名のとおり、手、足、口に水ほうができる病気です。数mmくらいの小さな発疹が手の先、足の先にでき口の中には口内炎ができます。発熱を認める場合もありますが、平熱~微熱程度のこともあります。【診断】発疹は、ときに太ももやおしりにもできますが、手足口に発疹が分布することでおおよそ診断がつきます。何か特別な検査をするわけではなく、流行状況や症状の判断です。同じように小さな水ほうを認める病気として、水痘(みずぼうそう)がありますが、2つの主な見分け方は次の3点です。1.水痘はランダムに発疹が出る手足口病は分布が偏っていますが、水痘は頭皮や陰部を含め全身に発疹が出るところが異なります。2.水痘は急に広がる水痘は1日、または数時間で一気に発疹の数が増えます。数個あるなと思っていたら数時間後に数十個になっていることもざらです。手足口病はここまでスピードは早くありません。3.水痘ワクチンを2回接種していたら水痘の可能性は低い水痘はワクチンで防げる病気です。ただし1回だけの接種の場合、水痘の症状が軽くなるため、手足口病との区別が難しい時もあります。【合併症】合併症として髄膜炎を起こします。髄膜炎は激しい頭痛と繰り返すおう吐を認めて脱水を起こすので入院が必要となることが多いですが、後遺症を残すことはまれです。ときに足や手の爪が変形することがありますが、これは一過性のものですので様子見でOKです。【治療】発熱も発疹もとくに治療は必要なく数日で改善していきますが、口内炎がひどい場合、水分がとれず脱水をおこします。手足口病そのもので入院することはほぼありませんが、脱水により入院が必要となることがあります。柑橘(かんきつ)類や塩辛いものなど口にしみるものは避けて、イオン飲料などでこまめに水分摂取して脱水を予防してください。クリニックでは口内炎に対しての塗り薬を処方することもできます。■手足口病「いつから登校(登園)してもいい?」いわゆる学校感染症における登校(登園)停止基準は「○○日」と日数が決められているわけではありません。もちろん、熱があったり脱水があれば登園すべきではありませんので、全身の状態がどうかが目安になります。熱がなく元気があり、手足の発疹のみであれば、登園しても構わないということになります。登園許可証が必要かどうかは園に確認してください(地域により対応が異なります)。このとき「発疹があるのに登園したら、ほかの人にうつすのでは?」と心配になると思います。手足口病は発疹がなくなっても、便からウイルスが約1カ月くらい排出されるので、残念ながらしばらく感染力は残ってしまいます。感染力があるからといって元気な子どもを1カ月間、登校(登園)させないのは現実的ではないですし、感染してもあまり症状が出ない子どももいます。隔離をしたとしても流行を防げないというのが現実です。■ヘルパンギーナ「症状、診断、治療、登校(登園)基準は?」【症状】ヘルパンギーナは突然の高熱で発症し、口の中に水ほうができます。のどちんこのやや上の場所にプツプツとできるのが特徴で、のどの痛みのために食事や水分がとれなくなります。【診断】水ほうがのどちんこのところにできるという特徴や、発熱、周囲の流行状況などから総合的に診断します。同じくのどがはれて熱が出る病気として 溶連菌 、アデノウイルス感染症(プール熱)がありますが、これらはのどの綿棒検査で調べることが可能です。【治療】発熱はとくに治療なく自然に改善し、抗菌薬は不要です。のどが痛くて水分がとれないので、入院になる理由は手足口病と同じく脱水です。イオン飲料などでこまめに水分摂取をしましょう。食事が全くとれない場合は、体重1kgあたり30~50ml/日を目安に摂取させてください(例:10kgの子どもなら1日500ml)。また発熱やのどの痛みを緩和させるために、解熱鎮痛剤も使っていきましょう。【合併症】ヘルパンギーナも手足口病と同様に、ときに髄膜炎を起こしますので、頭痛やおう吐の症状に注意してください。【登校(登園)の基準は?】手足口病と同じで登校(登園)停止の日数は決められていません。熱が下がり水分がとれて元気になれば登園OKです。見える場所に発疹が出ないので手足口病ほど登園が問題視されることはないのですが、元気になってもウイルスは排出されているのでこちらも流行を防ぐことは難しいです。以上、いわゆる夏風邪と呼ばれる、手足口病、ヘルパンギーナについての解説をしました。いずれの夏風邪も流行を防ぐことは難しいため、感染することを前提に脱水の対策をして夏を乗り切ってください。
2019年06月21日今夏もかなりの流行が見られた夏風邪「ヘルパンギーナ」。主に乳幼児が罹患(りかん)する感染症ではあるが、実は大人もかかる可能性があるのだ。どのような症状で、どう予防すれば良いのかをライオンのヘルスケアマイスター・山岸理恵子さんに伺った。○ヘルパンギーナってどんな病気?ヘルパンギーナは、エンテロウイルス、コクサッキーウイルスを原因とする感染症で、夏季に流行する。6月ごろから急激に感染が増え、通常は7月末から8月にピークを迎える。2010年にも大きな流行が見られた。手足口病と症状が似ているが、水疱(すいほう)が口内に出やすく、急に高熱(38度以上)となることが多い。また、喉の痛みや食欲低下も伴う。手足口病同様、乳幼児に発症例が多く、潜伏期間は3~6日間。症状は2~4日間続くとされる。○ヘルパンギーナを予防するには効果的な予防法はというと、「やはり、うがい・手洗いを徹底することが予防につながります」。ヘルパンギーナは、せきなどによる飛沫(ひまつ)感染、水筒やコップの共有による接触感染、おむつ交換などによる糞口(ふんこう)感染によって感染する。学習塾や公園での遊戯など、乳幼児は集団と接することが多いため、タオルやハンカチ、食器の共有はなるべく避けて過ごすようにしたい。また、栄養のある食事と睡眠をしっかりとることで、体力や免疫力をつけて夏バテにならないようにし、ウイルスを寄せ付けない体作りをしておくことも肝要だ。○ヘルパンギーナにかかってしまったら口内の水疱(すいほう)を刺激しないよう、おかゆやスープなど、のどを通りやすい食事で栄養を取るようにし、水分を十分摂取するようにする。「水分は一気に摂(と)ると、体の電解質が薄まりよくありません。1時間に1回を目安に、こまめに摂(と)るようにしましょう」。また、ヘルパンギーナは、免疫力が落ちていると大人でも感染することがある。大人が感染すると、発疹の症状が重くなり痛みが増すことも多い。二次感染しないように、十分に気をつけたい。「大人であれば、夏バテなどで食欲がなかったり、疲れていたりするときには栄養ドリンクなどで補助的に栄養補給することも効果的です。とにかくしっかりと体を休め、体力を回復するように心がけてください」。ヘルパンギーナも手足口病と同様、症状が治まった後も便にウイルスを含むため、乳児のおむつなどの取り扱いには注意しよう。写真と本文は関係ありません○取材協力: ライオン ヘルスケアマイスター: 山岸理恵子さんボディーソープほか、スキンケア商品の開発に長年携わった後、現在のヘルスケアマイスターとなる。商品開発の経験を生かし、主にライオン快適生活研究所にて健康で快適な暮らしのための情報発信に尽力している。
2014年08月23日