頭のいい子に育てたい!「3つのH」(ほめる・はげます・ひろげる)は子どもを伸ばす魔法の言葉
幼児期の遊び体験が未来の学力につながる
子どもの力を伸ばすアプローチの例をいくつか挙げてみましょう。
アジアの5か国合同で1万5000人に「幼児の読み書き能力調査」を行ったところ、読みと書きといった模写能力では5歳になると家庭の所得による差はなくなりますが、語彙力においての関連は見られました(※1)。
そこで、さらに調べたところ、習い事をしていない子よりも、している子の方が語彙能力は好成績という結果に。芸術系、運動系、語学・学習系の塾に通っている子どもの語彙力には差がなく、習い事の数による差も見られませんでした。つまり、所得そのものや習い事の種類、数と語彙能力には因果関係がなく、習い事を通じた多様なコミュニケーションにより、語彙は豊かになることが推測されます。
また、難関試験を突破した子をもつ親に、幼児期に意識して取り組んだことを調査(※2)したところ、「思いっ切り遊ばせた」「一緒に遊んだ」「趣味や好きなことに集中して取り組ませた」と答えた親が多く、絵本の読み聞かせも十分に行っていました。幼児期の遊びや熱中体験は、頭のいい子に育てるための大切な経験です。
子どものためになるしつけとは?
しつけのスタイルには2種類あり、学力にも影響を与えることがあります。自己肯定感と考える力を育むコミュニケーション法を実践しましょう。
子どもそのものを認める受容の接し方を
語彙力が高い子どもの傾向として「共有型しつけ」を受けていて、語彙力が低い子どもは「強制型しつけ」を受けていることが明らかになりました(※1)。
また、東京学芸大学・杉原隆名誉教授が、幼稚園・保育園に通っている子どもを対象に行った研究によると、自発的な遊びを大切にした子どもの語彙力には優位性が見られました。子どもの生活や遊びに、自ら考え、判断する余地を残すこと。こうした大人の適切な働きかけにより、主体性や考える力が育まれるのです。
「好きこそものの上手なれ」という言葉があるように、脳の扁桃体が「おもしろい」「楽しい」と感じると、脳内のワーキングメモリーに情報伝達物質が送られ、海馬を活性化し、情報を記憶貯蔵庫に蓄えることができます。好きなことを一生懸命すると、意欲や探求心が増すという好循環が起こります。これが「共有型しつけ」を受けている子どもの脳の状態。気持ちを否定したり、拒絶したりする言葉ではなく、子どもそのものを認める受容の接し方が大事です。