3.11が近づくと思い出す息子とのちょっと不思議な体験
息子の持つ不思議な力
3月になると、私は必ず思い出すことがあります。
息子(ゆう)は普段は穏やかなのに、たまに頑として譲らない性格の持ち主でした。
そんな息子と経験した東日本大震災の日のことです。
地震の数日後から、夫は仕事で宮城県仙台市へ行くことになりました。
それから数年は、1か月に一度だけ自宅へ戻るという生活が続きました。
余震が続く中、息子と二人で過ごす夜はとても不安で、いつでも避難できるよう服のまま寝たこともありました。
夫が帰ってくるたび聞かせてくれた被災地での出来事や様子は、今も私と息子の心に強く残っています。
そして東日本大震災の翌年に娘が生まれました。
娘は地震そのものは知りません。でも、あの日、私や息子が何を感じたかを話したり、幼稚園や学校の避難訓練があった日には、自分の身の守り方などを教えるようにしています。
たくさんの人たちがあの日のことを胸に深く刻み込み、語り継いでいくことでしょう。
そしていつも子どもを守っているつもりの私が、息子がそばにいてくれることで守られ、救われていることに気づいたあの日。
「早くお迎えに来てほしい」と言ったのは息子の気まぐれなのか、不思議な力なのかはわかりません。
数年たった今の息子の予言の多くは、終わりそうにない量の宿題を前に、「あと10分で終わるから!」といった類のもの(笑)。
そんな子どもたちと過ごせる日常を大切に過ごしていきたいと思います。
<マンガ・文:しみず宇海>