「もういいや」すぐあきらめてしまう子の心理と対応方法3つ
子どものやる気をいかにして継続させるかは、親の悩みのひとつ。
中には、少しチャレンジをしただけで「もういいや」「どうせ、できないもん」と言い出す子もいて、粘り強く動いてほしいと願う親の気持ちがくじけそうになってしまうことも。
今回は、心理カウンセラーの筆者が「あきらめてしまう子」「あきらめグセのついている子」への声のかけ方、対応などについて紹介します。
親からの上手な誘導で、粘り強さが身についていきます。ぜひ参考にしてください。
あきらめてしまう子の心理とは?
まず知っておきたいのは、いろいろなことをあきらめてしまいやすい子の心理です。
もう少し頑張れば成功に手が届くかもしれないのに、どうして彼らは「もういいや」とあきらめてしまうのでしょうか?
失敗するのがはずかしい
まず挙げられるのは、失敗に対する恐怖感です。大人でも、失敗をすると「はずかしい!」と思ってしまうもの。
誰かが見ていればなおさらですよね。子どもの場合は、常に周囲で見ている大人、あるいは友達がいるのですから、失敗をしたらそれを隠すこともできず、はずかしい気持ちだけが残ります。
以前に何か失敗をした時に、友達から心ない言葉をかけられたという経験があるのかもしれません。
いずれにしても、失敗=いけないこと、ダメなこと、という意識がチャレンジをためらわせます。
怒られるのが怖い
過去に何らかの失敗によって、親や先生から怒られた経験を持っている子も、「怒られたくないから」という理由でチャレンジを拒否する傾向にあります。
やって失敗をしてしまい、怒られるくらいなら、やらないほうがマシなのです。そこには「チャレンジしても、きっとまた失敗してしまうだろう」という自信のなさも介在しています。こうした子どもには「成功するかもしれない未来」が見えていません。
やり方がわからない
チャレンジを嫌がる子どもたちの中には、本音はチャレンジをしたいのだけれども、やり方がわからないから「もういいや」と言っている子もいます。
ひとつのことを成功に導くためには、さまざまなプロセスが必要になるものです。例えば逆上がりでも、同じことを繰り返せば上達するという側面がある一方で、「腕で体を持ち上げる」「地面を蹴る」「体を丸める」といったいくつかのプロセスによって、成功へと進んでいきます。ただ、鉄棒に捕まって地面を蹴ることを繰り返しても、体が丸まっていなければ逆上がりは上達しません。
何から手を付ければよいのかわからない時、子どもたちが「もういいや」という言葉で混乱を始末することがあると、知っておくとよいですね。
あきらめてしまう子は実はプライドが高い!?
あくまでも傾向ですが、あきらめてしまう子には、プライドの高い性格をした子が多いようです。
こうした子どもたちは、「どうせ自分にはできない」といったような発言をするため、周囲の大人たちは「この子はプライドが低いんだな」という見方をすることがよくあります。
しかし実際には正反対で、プライドが高いがゆえに自分の失敗が許せずに、最初からチャレンジをしない道を選んでしまいがち。
そうすることで、「自分が失敗する」という未来を避けようとするのです。
プライドの高さは、言い換えれば「おだてれば木に登る」といった結果を招きやすいということでもあります。
この子はすぐあきらめてしまうから何をやっても無理ね…と大人があきらめるのは御法度。上手に誘導してあげれば、どの子もしっかりとチャレンジができるようになります。
あきらめてしまう子への対応3つ
それでは、あきらめてしまう子に具体的にどのように対応していけば、チャレンジできる子に変身するのでしょうか。具体的な方法は3つです。
「失敗してもいい」と明言する声かけを
まず、チャレンジから逃げようとする子、すぐにあきらめようとする子への声かけですが、親や大人が、ハッキリと「失敗してもいいんだからね」と言い切ってしまうことが大切です。
あきらめてしまう子は、「失敗したらいけない」と思っています。
過去の失敗によって、自分ががっかりした経験や、自分で自分に失望した経験、あるいは親に怒られたり、周囲の友達にからかわれたりした経験が、「失敗=悪」という構図を自分の中に作り上げてしまっているのです。
そこで、「失敗してもいいんだから、やってみよう。大事なのは結果じゃなくて、やってみることなんだよ」と声をかけてあげると非常に効果的です。もちろん、1回2回言ったくらいでは、子どもは納得しません。チャレンジすることがクセになるまで、何度も同じことを言ってあげましょう。子どもは、失敗によって親に怒られないかどうか、つまり、親から嫌われないかどうかということも、大変気に掛けています。わが子に「失敗しても、お母さんは怒らないよ!」とわかりやすい言葉で声をかけてあげることも有効でしょう。
失敗したら、チャレンジできたことに着目して大いにほめる
チャレンジには失敗がつきものです。
逃げてしまえば失敗はありませんが、取り組んだ先には、もちろん失敗することもあるでしょう。
そんなときは、結果に着目しないでください。「失敗したね、残念だったね」というような言葉がけは、必要ではありません。
残念だった、悔しい!という子どもの感情への共感は、悪いことではありませんが、あくまでも目的はチャレンジできる子に変身させること。
それならば、結果は置いておいて「よくチャレンジできたね!」「ちゃんと頑張れたね!」と、チャレンジした姿勢を評価し、共に喜び評価してあげることが大切です。
成功したら、成功そのものには着目しない
対応が難しいのはむしろ、チャレンジの結果、成功したパターンでしょう。
普通は、チャレンジが成功したら、成功を喜びます。しかし、あきらめてしまう子がチャレンジをして成功した場合、成功そのものを喜んだり、ほめたりしても、あまり効果がないのです。
それよりも、「本当にすごいのは、チャレンジしたことなんだよ。成功したことよりも、チャレンジしてくれたことが嬉しいよ」ということを伝える必要があります。
この場合適切なのは、「よく最後まで頑張ったね!」という声がけであって、「成功おめでとう!」ではないのだということを覚えておきましょう。
プロセスを細かく教えることも重視して
あきらめてしまう子の中には、チャレンジのプロセスを説明してあげることで、ひとつひとつのハードルが低くなったと感じてチャレンジできるようになるケースもあります。
したがって、これから何かに挑戦させようという時や、今にもあきらめてしまいそうだという時には、目の前にある課題のプロセスを細分化し、どうしたらよいのかを丁寧に導いてあげることも大切。
いきなり大きな山に挑戦する勇気が出なくても、階段を1段ずつ登る勇気は出やすいからです。
どんな子どもも、挑戦する底力を持っているのです。子どもが何歳になってもずっと、「チャレンジしたから今の成功があるんだよ。
成功がえらいんじゃない、チャレンジするきみがえらいんだ。頑張ってよかったね。成功おめでとう」と祝福してあげれるような大人でいたいですね。
<文・写真:ライターあん茉莉安>