子育て情報『学習のつまずきは小学校低学年から?就学前にチェックしたい図形の模写から知る発達の目安もーー児童精神科医・宮口幸治先生』

2022年12月1日 06:15

学習のつまずきは小学校低学年から?就学前にチェックしたい図形の模写から知る発達の目安もーー児童精神科医・宮口幸治先生


学習のつまずきは小学校低学年から

私は児童精神科医として、これまでさまざまな自治体で、教育相談や学校コンサルテーション(教育現場での問題を解決する支援)を行ってきました。

小・中学校で出会うお子さんたちの相談内容は、「文章が読めない」「漢字が覚えられない」「計算が苦手」「集中力が続かない」など、発達や学習の遅れに関するものが多く、話をうかがうと、だいたい小学校の低学年から、学習面でのつまずきが始まっています。


認知機能の働きが弱いという可能性

そういうお子さんは、認知機能の働きのどこかに弱さをもっている可能性もあります。学力を向上させたいからといって、いくら計算ドリルや漢字ドリルをやらせても、なかなか効果が出ないことも少なくありません。学習の土台がしっかりしていないところに、教科学習を積み上げていっても定着はしづらい可能性があるのです。

認知機能とは、注意、記憶、言語理解、知覚、推論・判断といったいくつかの要素が含まれた「知的機能」を指します。いわば、下の図のように「学習の土台」なのです。

学習のつまずきは小学校低学年から?就学前にチェックしたい図形の模写から知る発達の目安もーー児童精神科医・宮口幸治先生の画像

Upload By 宮口幸治


「点つなぎ」の課題と漢字を覚えることの困難さ

ここでは、認知機能の弱さをもっていることによる困り事例や、認知機能は強化できるという事例を挙げていきます。


下の図は、小学1年生後半のお子さんが書いた「点つなぎ」の課題です。点つなぎは、視覚認知の基礎力をトレーニングするもので、見本のように、点を結んで同じ絵を再現してもらいます。

学習のつまずきは小学校低学年から?就学前にチェックしたい図形の模写から知る発達の目安もーー児童精神科医・宮口幸治先生の画像

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このお子さんは、ひらがなの読み書きが不十分で、文章が読めない、漢字もほとんど読み書きできないと、担任の先生から報告されていました。点つなぎの段階で形を模写できていないと、漢字などは点々のガイドがなく、複雑な形をしているので、覚えるのも苦労しそうだと推察できます。


学習のつまずきは小学校低学年から?就学前にチェックしたい図形の模写から知る発達の目安もーー児童精神科医・宮口幸治先生の画像

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次に、認知機能を強化するトレーニング「コグトレ」を行った前後の変化を示す例を紹介します。コグトレとは、「認知○○トレーニング(Cognitive 〇〇 Training)」の略称です。

学校の勉強についていくのがしんどいと訴える中学生が、下の絵のような自画像を描きました。そのお子さんは、小学生のころから黒板をノートに書き写すことや漢字を覚えることに苦手意識をもっていました。

コグトレ後は、形を覚えて模写する力が身についたのでしょう。

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