子育て情報『ベルリン国際映画祭〈最高賞〉受賞「アダマン号に乗って」木造建築の美しい船がデイケアセンター?「精神疾患への偏見を変えたい」ニコラ監督インタビュー』

2023年5月4日 12:15

ベルリン国際映画祭〈最高賞〉受賞「アダマン号に乗って」木造建築の美しい船がデイケアセンター?「精神疾患への偏見を変えたい」ニコラ監督インタビュー


アダマン号は、人々を孤独から引き出して、世界とつながる手助けをする場所

アダマン号へ通う表情豊かな人々、そしてその表情の奥に隠された心の問題までを優しいまなざしで捉えた「アダマン号に乗って」。発達ナビでは、4年ぶりの来日を果たしたニコラ監督に、この映画への思いを伺いました。

LITALICO発達ナビ編集部(以下――)アダマン号がどのようなところか、教えていただけますか?

ニコラ・フェリベール監督(以下監督):アダマン号は2010年に開所した、デイケアセンターです。パリの中心部、セーヌ川に浮かんでいます。
係留されているので、航行する船ではありません。言うならば「浮かぶ建造物」です。
乗っているときは水の上にいる感覚があります。大きな船が近くを通ると、ゆらゆら揺れます。
船の中にはさまざまな空間があります。患者はその中を自由に移動できて、閉ざされた空間はありません。事務所であっても自由に入れます。船の上なら自由に移動していいんです。船に使われている素材はガラスや木材など重厚感があり、光がたくさん入ります。パリの中心にいるのに別の場所に来たような錯覚にとらわれる、とてもゆったりとした場所です。水が近くにあるというのも重要ですね、場所そのものに癒し効果があるんです。

通ってくるのは主にパリに住む患者さんです。
精神科の医師や心理師にすすめられて通ってきます。定期的に通う人もいれば不定期に通う人もいますし、複数や単体のワークショップに来る人もいれば、ただ雰囲気に浸ってコーヒーを飲みに来る人もいます。

映画を見ていただいても分かると思いますが、スタッフも患者さんもみんな私服ですので、誰が患者さんで誰がスタッフなのかもわからない。レッテルがないんですね。この人は病気、患者、この人は支援者という区別がない、患者さんが「病気」の枠に閉じ込められておらず、ちゃんとした「人」として見られているんです。個性的で、人とは違うものを持ってはいるけれど、ジャッジされることもない、異常な人と見られることもないので、特に直すこところもない。ただありのままのその人として見られているんです。スタッフは、彼らの「勢い」を少し引き出そうとします。
彼らを孤独から引き出して、世界とつながる手助けをするのです。
アダマン号はそういう思想をもった場所です。
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――アダマン号の「アダマン」

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