イベントレポート「お子さまの困りごとはどうして起きる?」 背景に着目してサポートを考える方法を作業療法士・野田遥さんに聞きました
(野田さん)「ある環境の中で、特性が困りとなって現れているのかどうか、ということが、重要になってくると考えています。
困りごとの解決方法について考える時も、例えば、「ASD(自閉スペクトラム症)の診断があるからこの対応をする」というような考え方ではなく、お子さまの発達特性や状況、環境を個別に把握し、それに合った対応方法やサポートを考える必要があります。また、診断がなくても困っていることがあったら当然サポートが必要になってきますよね」
野田さんからは、特性が強いが診断されていないというパターンもあること、また、一つの診断がある方にさまざまな併存症・併存的な特性が存在するケースも多く見られることもあるという最新の研究や、「発達特性」とはそもそもどういうものなのかの定義などの解説がありました。
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紹介された公認心理師である井上雅彦先生の定義からは、特性の強さも人によって異なり、診断の有無や診断名だけを見て判断するのではなく、個人についてのアセスメントが重要だということが分かります。
この考え方については、発達ナビのコラムでも詳しくお読みいただけます。
お子さまの困り、「なぜ」を飛ばして解決策を考えていませんか?
続いて、具体的に困りごとを解決するため、まずお子さまの状態や特性を調べ、どうして困りごとが起きるのかを把握する方法が紹介されました。
(野田さん)「困りごとを解決したいと考えたときに、『なぜその行動が起きるのか?なぜ適応的ではない行動をとるのか?』といった疑問を飛ばして解決方法を考えていませんか?」
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(野田さん)「例えば『授業中に立ち歩く』という課題があったとします。立ち歩かないように注意すると、その場ではやめられるかもしれません。しかし、そのお子さまが立ち歩いている根本的な原因に対応できていないので、また別の場面や時間が立ったら同じことが起きるかもしれません。また、この行動を引き起こしている原因が、別の形で別の困りや行動につながっていく可能性もあります」
野田さんは、困りごとから一直線に解決策を考えるのではなく、そもそもどうして困りごとが起きているのか、「なぜ?」を考えるということを挟んで、困りごとの背景からアプローチしていくことが根本的な解決のために大切だと言います。