LITALICO発達特性検査は何度も受検できる?再受検で分かること、どのような時に受検すればいいかなどを解説します
LITALICO発達特性検査は再受検できる?
LITALICO発達特性検査は、2024年4月にリリースされたオンライン検査です。保護者の方が質問に答えることで、お子さまの困りごとや特性の傾向、サポートの方向性に関するヒントが得られるサービスです。
以前受検された方のなかにはお子さまの困りごとや状況に変化を感じ、「今の状況でもう一度検査したい」という方がいるかもしれません。今回は、LITALICO発達特性検査の再受検について分かりやすく解説します。
LITALICO発達特性検査は何度も受検できるサービスです。お子さまの特性自体は変わらないものもありますが、環境とのミスマッチによって困りごとが強くなる場合もあります。逆にお子さまに合った方法を見つけたり環境を調整していったりした結果として、困りごとが出にくくなることもあります。そのため、今のお子さまの状況や変化を確認したい場合や、お子さまに合ったサポートを把握したい場合などに、改めて受検していただくといいでしょう。
また、以前の検査結果も記録として残ります。グラフなどで前回の結果と比較していくと、お子さまの変化をキャッチしたり分析したりする材料にも繋がります。
一方で、短期間で受検しなおすことにはあまり意味がないこともあります。また結果に振り回されすぎないように注意も必要です。今回ご紹介する具体的な注意点やポイントについて理解したうえで、再受検するかどうかを検討することが大切です。
再受検のタイミング
検査として明確に設定している期間はありません。
ただし、検査に回答する際には、想起期間として、直近3か月のお子さまのことを考えて選択肢を選んでいただきます。そのため、1〜2か月などの短いスパンで再受検しても、結果として変化を捉えにくい可能性があります。
また、特性や困りごと自体に関しても一時的な状態として捉えるよりも、ある程度の期間を通して見られた状態を回答いただくことで、検査結果の精度が上がります。お子さまの特性や困りごとの様子が短期間で大きく変動していると感じる場合は、しばらく観察し持続しているかどうか様子をみるといいでしょう。
短いスパンで何度も受検するよりも、少なくとも半年〜1年以上の期間をあけて受検いただくことで、より状態が正確に反映されやすく、変化なども捉えやすくなると考えられます。もちろん、強い困りごとが新たに出てきた場合や、家庭では対応が難しい状況や悩みがある場合などには、早めに医療機関や専門機関に相談することをおすすめします。
複数回受検することで、グラフとして客観的な数値の変化も見とることができます。そのため、定点観測としての受検のほか、以下のような場合に、お子さまの困りごとの強さが変化したり、新しい悩みが出やすくなったりすることがあります。そのような時に再受検することで、現時点でのお子さまへの接し方や環境調整を見直すヒントとして活用できるかもしれません。
・環境の変化が大きい時
小学校への入学や、進級・進学などがあった場合、環境の変化により困りごとやその程度が変わ理やすいと考えられます。
また、クラス替えなどによる周りの人や環境の変化に影響を受けやすいお子さまもいるため、お子さまの状況を改めて確認するタイミングとして適しています。
・新たな困りごとが見られたタイミング
以前には見られなかったことで、困りごとや気になることが出てきたタイミングで検査すると、今の状態としての結果が得られます。例えば、学習面では、新しく学ぶことに苦手な内容が含まれていることで困りごとが現れる場合があります。また、人間関係や生活上のルールなど、年齢に応じて要求されるスキルが変わることで、周囲とのギャップや苦手なことが目立つ場合もあります。
・困りごとや課題が減ったと感じたタイミング
困りごとはお子さまの成長やスキルの獲得・環境調整などによって軽減する場合があります。保護者の視点で困りごとや課題が減ったと感じた時に再受検することで、今の状態を客観的な値や傾向として調べることができます。検査結果は、新たな困りごとの傾向だけでなく、できるようになったことや困りが出にくくなったことなど、特性の現れ方や強さの変化に気づくきっかけとしても役立てられます。
・対応方法の変化を知りたい時
環境や状況の変化が大きい時期には、その環境や状況、年齢などに応じ、対応方法を変えることが必要になる場合があります。
検査結果では、年齢や特性に応じたサポートの方向性が提示されるため、これまでうまくいっていた方法では合わなくなったと感じた時、新しい状況や困りごとへの対応方法が分からない時などに方法を見直すヒントが得られるかもしれません。
再受検することの意味・メリットは?
過去に受検したことがあっても、以下のような再受検によって分かることや、活用できることがあります。
・状況の把握・モニタリングができる
現在感じている困りごとを洗い出すことができます。
・記録として残せる
以前受検した時の検査結果は、再度受検してもマイページから確認できるため、記録から変化を確認できます。
・相談の際の共有資料に役立てる
新しい困りごとが出てきた時、環境や関係者が変わった時などには相談の機会も多くなります。そのような際の情報共有のツールとして活用することができます。
・現時点でのお子さまに合った対処法や環境調整のヒントが得られる
検査結果レポートで示される「サポートの方向性」は、検査で分かった特性や困りごとに対する対応方法が、その都度の回答状況と年齢に合わせた内容で出し分けられます。
再受検した場合、検査結果レポートはどう変わる?
再受検すると、グラフ上で前回の結果と今回の結果が表示されます。
どのように変化が見られたかを視覚的に把握するのに役立ちます。ただし、特性によって変化しにくいものや、逆に環境や状況に影響を受けやすいものなどさまざまです。現状の把握や、これからどう対応や調整していくかのヒントとして捉え、細かな数値の変動だけに注目しすぎないことも大切です。
Upload By LITALICO発達特性検査 編集部
・回答によって変化する結果から、新たな困りや軽減された困りの変化を見つける
検査では直近3か月のお子さまについて質問され、検査結果は回答時点でのお子さまの状態像が反映されます。
困りごとや特性の現れ方は、お子さまの特性と環境との相互作用で現れます。そのため、お子さまの特性自体は変わらなくても、新しい困りごとが出てきたり、強くなったりすることがあります。一方で、お子さま自身が成長したり、以前の検査結果からうまく合うサポート方法が見つかったりすることで、困りごとが軽減されたり目立たなくなる場合もあります。
これらの変化に注目することで、新しい課題や対応方法を見つけたり、家庭や園・学校などでの対応方法について振り返るきっかけとして活用できます。
・年齢によって変わるサポートの方向性や困りごとの背景を知る
検査結果では、検査受検時の年齢に合わせた内容が提示されます。特性や生じる困りごとが同じであっても、年齢によってその現れ方や場面、現れる背景や具体的な内容が変わることがあります。そのような場合には、ライフステージの変化によって、現れやすい状況や困りごと、困りごとが起きる背景要因を例示として紹介しています。また、対応方法も年齢に応じた難易度の方法を中心にご紹介しています。
進学などでライフステージが変わった、年齢が上がり、身の回りのことなどで今までよりも自分でしてほしいことが増えた、思春期が始まりこれまでの接し方がうまくいかなくなったなどの場合には、困りごとの背景要因を読んでお子さまへの理解を深めたり「サポートの方向性」などでヒントになりそうなことを探したりするといいかもしれません。
過去の受検結果はマイページの検査結果一覧に保存され、web上でいつでも確認し、PDFをダウンロードすることができます。再受検をしても過去の結果が削除されたり、その検査結果が上書きされたりすることはありません。
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再受検した時、検査結果を読むポイントは?
保護者として検査結果の変化や差をどのように捉えればいいか、解釈や活用の仕方が分からないという方もいらっしゃるのではないでしょうか?
前提として、結果を過剰に捉えすぎないことが重要です。
検査は保護者の方の視点からの回答に基づくため、周囲の見立てと異なる場合もあります。また、スコアの細かい数値の変動自体はあまり気にしすぎないことも重要です。もし、グラフでの「困り」ラベルの「今はない」「やや強い」「強い」に関して、以前の検査結果から変わった場合は、お子さまの状態や困りごとが大きく変化している可能性が高いと言えます。まずはグラフのラベルに変化がないか確認するといいでしょう。
・「困り」のラベルの段階が下がった時
【例】前回「強い」から今回「やや強い」や「今はない」になったなど
環境が合っている、対応が合っている、お子さまのできることが増えたなどの要因で、困りごとが見られにくくなったと考えることができます。ぜひ、お子さまと取り組んでうまくいったことや、対応方法や環境調整でよかったことなどを振り返り、続けていくヒントにしてください。・「困り」のラベルの段階が上がった時
【例】前回「今はない」から今回「やや強い」や「強い」になったなど
何らかの新しい状況で困りごとが発生するようになった、年齢が上がることによって困りごとが目立つようになった、今までの対応方法でうまくいかないことが出てきたなどの可能性があります。何か、困りごとが現れたり強くなった状況や要因がないかを振り返るきっかけとして、新しい検査結果レポートの背景要因やサポートの方向性を読んで、試してみることをおすすめします。
・数字やラベルに変化がない時
グラフ上の困りのスコアや困りのラベルが以前の検査結果と同じであっても、具体的に困っている内容は前回と異なる可能性があります。検査結果レポートでは、背景やその詳細な内容、対応方法は以前のレポートと違った内容が出ている場合もあります。その点に注目すると、新しい困りごとやその背景、対応方法のヒントが得られることもあります。
例えば、同じ「睡眠の困り」に関して、以前はおねしょに関する困りがあり、今回はおねしょに関する困りはなくなり、新たに「朝起きられない」という困りが現れたとします。睡眠の困りのラベルが同じ「強い」という表示でも、結果としての意味は変わってきます。背景やサポートの方向性などのレポートの内容もその困りに応じて変わります。再受検の際には、レポートをお読みいただき、そうした変化を追ったり、追加情報を得る意味で、新しい情報を見つけることに意義があるといえます。
また、検査結果から情報を得るだけではなく、周囲の方の話を聞いたり、相談したりすることも重要です。
まとめ
LITALICO発達特性検査は何度も受検できる検査です。
お子さまの困りごとや特性の現れ方は変化することもあります。また、お子さまに合った対応方法や環境の調整の仕方は困りごとによって、またお子さまの年齢やライフステージによっても変わることがあります。そのため、一度受検された方でも、気になることが現れた時や変化があると感じた時に再度受検することで、現時点での特性や困りごとの現れ方について、また環境や接し方がお子さまにあっているかどうかをチェックすることができます。
特に入園・入学、進級などのタイミングは、変化や新たな課題が見えやすい時期でもあります。気になることがある場合、再受検し、環境調整や相談のヒントとしてご活用ください。(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。