“ミッフィー” 生みの親、ディック・ブルーナの世界。子どもたちに希望をあたえる「うさこちゃん」絵本
「黄」「青」「緑」の4色です。それぞれ独自の色味を作り上げるまでに2年も費やしたのだそう。絵本の中では、ミッフィーの気持ちを表したり、場所の使い分けに活用されています。
赤:ブルーナの赤はオレンジ寄りの穏やかな色味。嬉しい、幸せな気持ちを表現する色として多用され、ミッフィーも大好きな色です。
黄:親しみやすさや温かさを表しています。家の中の場面にもよく使われています。「赤と緑があたたかいのは、黄色が入っているから」とブルーナにとっても特別な色だったようです。
緑:ブルーナ曰く「伝えたいことを伝えるために必要な色」。屋外の場面でよく使われます。
青:怖さ、寒さ、悲しさ、不安を描くときに使われています。
どれも主張の強い色ながら、お互いを引き立てあい、優しく馴染むカラーバランスで、色を見ただけでミッフィーの絵本だとわかるオリジナリティがあります。色の意味を教えなくても、きっと子どもたちはその色から多くを感じ取ることでしょう。
【12場面構成】
ブルーナの絵本は基本的に12場面で描かれています。それは “子どもの集中力の限界は10分” なので、その間に読みきれるようにという配慮なのです。
ミッフィーが教えてくれること
ブルーナが生み出したミッフィーは、庭にいた小さな白うさぎのお話を息子さんにしたことから始まりました。
それが今や世界50カ国以上で出版され、今でも世界中の人たちに愛され続けています。ギリギリまでシンプルに仕立てたイラストに込められた想いはミッフィーを通して子どもたちに語りかけられます。
何気ない日常がテーマ
家族で海に出かけてあまりに楽しくて遊び疲れてしまう、お気に入りのぬいぐるみをなくして悲しくなってしまう、家族にお誕生日をお祝いしてもらって嬉しかった、など誰でも体験する日常が描かれているので、自分とリンクして物語に共感できます。
全てがハッピーエンド
僕の作る絵本はみな、ハッピーエンドになるんです。なぜなら読み終えたときに心に残るあたたかさこそ、小さな子どもたちを強くするに違いないからです。
(引用:講談社編集(2018),『ディック・ブルーナのすべて 改訂版』, 講談社.)
ブルーナはたとえお話の中で悲しいことが起こっても、「物事には常に先があり、どんなときにも人生には続きがある」ということを子どもたちに伝えたかったのです。ハッピーエンドは「辛いことがあっても希望を忘れないで」