“ミッフィー” 生みの親、ディック・ブルーナの世界。子どもたちに希望をあたえる「うさこちゃん」絵本
というブルーナのメッセージでもあるのです。
キャラクターは常に正面を向いている
ちょっと不自然に思える場面でもミッフィーはいつも正面を向いています。それは、嬉しいときも悲しいときも子どもたちとまっすぐ向き合っていたいというブルーナの深い愛が込められています。
子どもたちは、ミッフィーを通してイマジネーションを羽ばたかせ、いろいろなまなびを自然に感じとります。そして大人になってもそのあたたかな感情が心の片隅に残るからこそ、彼の絵本は長い間愛され続けているのでしょうね。
ディック・ブルーナ絵本、厳選3冊
日本で出版された63冊の中からお子さまにオススメの3冊をご紹介します。
『うさこちゃんのだいすきなおばあちゃん』(福音館書店)
ディック・ブルーナ/文・絵
松岡享子/訳
絵本としてはチャレンジングな ”身近な人の死” をテーマにしています。大好きなおばあちゃんがある日亡くなってしまい、葬儀や家族が悲しむ様子が静かに語られます。その後、うさこちゃんはおばあちゃんが好きだったお花を持ってお墓参りに行き、おばあちゃんに話しかけます。最後はほっこりとした気持ちでお話は終わります。“死” を子どもに教えることはとても難しいですが、悲しい事実を率直に伝え、その後のあり方を示すことで、子どもたちは自然に少しずつ “人間の一生” を受け入れていくのでしょう。こんな悲しいテーマをシンプルに描いても、読み終わった後に温かな感情を残すブルーナはやはり素晴らしいと思わずにはいられません。『うさこちゃんびじゅつかんへいく』(福音館書店)
ディック・ブルーナ/文・絵
松岡享子/訳
子どもの美術館デビューのとき読むのにぴったりの1冊です。うさこちゃんが抽象画や彫刻などいろいろなアートを見て素直な感想をいうのですが、知識より何より、「自分が感じて楽しむことが大切」というブルーナの想いが伝わってきます。
はじめての美術館鑑賞後、うさこちゃんは「大きくなったら画家になるの」と言いましたが、子どもそれぞれの感想が楽しみですね。
『うさこちゃんのゆめ』(福音館書店)
ディック・ブルーナ/作
文章のない、イラストのみの絵本です。うさこちゃんと、うさこちゃんそっくりな茶色のうさぎさんが雲にのって遊んでいるような場面のみが綴られていて、子どもたちの想像力を発揮するのにぴったり!一緒にストーリーを考えて楽しんでみてください。