子育て情報『「コミュニケーション能力を重視しすぎ」な親が、犯しかねない過ちとは』

「コミュニケーション能力を重視しすぎ」な親が、犯しかねない過ちとは

があって当然です。たとえば近年、多くの人が大切だと述べているのが、コミュニケーション能力です。でも、コミュニケーションが得意な人もいれば不得意な人もいる。それはあたりまえのことです。そして、仮にコミュニケーションが苦手であっても、黙々と自分がやるべきことに打ち込んで成功している人も世のなかにはたくさんいます。

コミュニケーション能力が大事とはいっても、逆に周囲をシャットアウトして自分の道を自分のスタイルで進んでいけるということも、コミュニケーション能力とは対極にある力だと思うのです。

大切なのは、子どもそれぞれの個性を伸ばしてあげるということ。幼稚園にも、他の子どもとのお遊戯にはあまり興味を示さずに、ひとりで園庭に走っていって虫ばかり見ているような子どももいるかもしれません。
ならば、その興味を大切にしてあげなければなりません。コミュニケーション能力が大事だからとその子を虫から無理やり引き離してしまうと、本来、伸びるはずだった力が伸びないということになりかねないからです。

そういう過ちを犯さないためにも、自分の子どもはどんなことに興味を持っているのか、どんな能力が伸びそうなのかといった子どもの個性をしっかりと見てあげてほしいのです。教育という分野も研究が進み、どんどん新しい考え方が出てきます。「こういう教育が大事だ」と、主流になるようなものもあるでしょう。

ただ、いくら世間一般的に重要なことだといっても、不得意なことを無理にさせることは、子どもの成長にとって決していいことではないのです。やはり重要なのは、その子の興味がどこにあるのかということ。まずはその部分を大切にしてください。


「コミュニケーション能力を重視しすぎ」な親が、犯しかねない過ちとは


『科学が教える、子育て成功への道』
キャシー・ハーシュ=パセック、ロバータ・ミシュニック・ゴリンコフ 著
今井むつみ、市川力 翻訳/扶桑社(2017)
「コミュニケーション能力を重視しすぎ」な親が、犯しかねない過ちとは


■ 慶應義塾大学環境情報学部教授・今井むつみ先生 インタビュー一覧
第1回:我が子の「成功」を願う親が、絶対に伸ばしてやるべき子どもの“力”
第2回:小さな子どもが喜ぶ「デジタル絵本」に、実は“学びの効果”は期待できない
第3回:「コミュニケーション能力を重視しすぎ」な親が、犯しかねない過ちとは
第4回:家庭での学びが「アクティブ」で「プレイフル」になる、いちばんの方法(※近日公開)

【プロフィール】
今井むつみ(いまい・むつみ)

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