「清家茂樹」について知りたいことや今話題の「清家茂樹」についての記事をチェック! (1/8)
プロゴルファー・丸山茂樹が10日、自身のインスタグラムを更新した。【画像】ゴルフ界の名コンビ再び!丸山茂樹、久々の小平智とのラウンド報告「今年は日本で暴れてくれそう!」「本日青木功さんの文化功労者顕彰を祝う会に行って来ました」と綴り、4枚の写真をアップ。続けて「各界の皆様に祝福されて、とても素晴らしいパーティーでした✨」と会の様子を報告。さらに「世界の青木も今年83歳✨ いつまでも元気でいてください」と敬意を込めてコメント。「本当におめでとうございました✨✨✨」と祝福の言葉で締めくくった。 この投稿をInstagramで見る 丸山茂樹(@shigeki23maruyama)がシェアした投稿 この投稿にファンからはたくさんのいいね!が送られている。
2025年03月13日プロゴルファーの丸山茂樹が7日、自身のインスタグラムを更新。【画像】丸山茂樹、アメリカ・セドナにて男旅満喫中〜!「明日はアリゾナでゴルフします」後輩の小平智との久々のラウンドを楽しんだことを報告し、シーズンインへの期待を寄せた。「今日は久しぶりに智とゴルフ⛳️ 変わらずショットのキレもあるし、シーズンインが楽しみ✨ 今年は日本で暴れてくれそう⛳️」と、小平の好調ぶりを絶賛。「また行こうね⛳️」と、次回のラウンドを約束するようなコメントを添えた。 この投稿をInstagramで見る 丸山茂樹(@shigeki23maruyama)がシェアした投稿 この投稿には、多くのいいね!が寄せられた。
2025年03月07日お笑いコンビなすなかにしの中西茂樹が28日、自身のインスタグラムを更新した!【画像】アンタッチャブル柴田、なすなかにしとの“馴染み”ショットが話題に!投稿には、「いとこよ。あんちゃん故郷でロケしました。」とコメントし、石像とのツーショット写真を公開した。 この投稿をInstagramで見る なすなかにし中西茂樹(@nasunakanakanishi)がシェアした投稿 この投稿には、「故郷はやっぱりいいですね」「いつか行きたい中西さんの聖地!」「鉢かづき姫、顔丸見えやんか」といった、ユーモアあふれるコメントが寄せられ、ファンの間で話題になっている。
2025年02月28日元プロゴルファーの丸山茂樹が21日、自身のインスタグラムを更新した。【画像】丸山茂樹、LAの名門コースで好スコア!「練習の成果が出た!」「ロスから東へ800キロ男3人旅でセドナへ⛰️朝日を見てパワースポットの素晴らしさを感じて来た✨それからメジャーリーグアリゾナキャンプ地でドジャースvsカブスのオープン戦を観戦⚾️久しぶりの長距離車移動は疲れたけど楽しかったなぁ」と綴りアメリカでの男旅を満喫している写真などを12枚公開。大胆な長距離移動を堪能しつつ、次はどこへ向かうのだろうか…今後の投稿にまだまだ目が離せなくなりそうだ! この投稿をInstagramで見る 丸山茂樹(@shigeki23maruyama)がシェアした投稿 この投稿には多くのいいねの他、「最高ですね〜」などのコメントが寄せられている。
2025年02月22日プロゴルファーの丸山茂樹が15日、自身のインスタグラムを更新。【動画】「ゴルフは楽しいね!」丸山茂樹、ドライバーショット動画を公開!ロサンゼルス近郊にある「エルニゲルカントリークラブ」でのラウンドを報告した。丸山は「今日は我が家から南に100キロほど離れたエルニゲルカントリークラブへ」と述べ、タフなコースに挑戦したことを明かした。「毎日の家練のお陰で、今日はこの難コースをアンダーでプレイ出来た」と、努力の成果を実感。「何歳になっても良いゴルフができると嬉しいね!」と喜びを綴った。 この投稿をInstagramで見る 丸山茂樹(@shigeki23maruyama)がシェアした投稿 この投稿には多くのいいね!が寄せられ、「やっぱり練習、努力は大事ですね」という丸山の言葉が、多くのゴルファーにとって励みとなったようだ。
2025年02月15日プロゴルファーの丸山茂樹が12日、自身のインスタグラムを更新。【画像】丸山茂樹、『本さん&反町君と楽し過ぎる旅』感謝と笑顔の思い出米国PGAツアー時代から練習で訪れている「エンジェルスナショナルゴルフクラブ」でのドライバーショット動画を公開した。「歳ですね〜コースが長く感じる でもゴルフは楽しいね⛳️」とユーモアを交えつつも、ゴルフ愛あふれるコメントを投稿。長年の経験がにじむ力強いスイングに、ファンの注目が集まりそうだ。 この投稿をInstagramで見る 丸山茂樹(@shigeki23maruyama)がシェアした投稿 この投稿には多くのいいね!が寄せられている。
2025年02月12日お笑いコンビ「なすなかにし」の中西茂樹が7日、自身のインスタグラムを更新。【画像】なすなかにし中西「降臨!」漫画のワンシーンのような写真が話題「いとこよ。昨年末の話やけど改めてハッピーバースデー。」と綴り、いとこで相方の那須晃行の写真1枚をアップした。那須の誕生日は昨年12月14日ということで、改めてお祝いの気持ちを表明した中西と那須の絆の深さにファンもほっこりしたようだ。 この投稿をInstagramで見る なすなかにし中西茂樹(@nasunakanakanishi)がシェアした投稿 この投稿には多くのいいねの他、「改めてお誕生日おめでとうございまーす」といったコメントが寄せられている。
2025年01月07日プロゴルファー・丸山茂樹が5日、自身のインスタグラムを更新した。【画像】男子ゴルフ・丸山茂樹、あの"演技派大物俳優"&"大物ミュージシャン"との『プライベートゴルフ』3Sが話題!「新年明けましておめでとうございます㊗️」と綴り、写真をアップ。続けて「初打ちゴルフを2日連続でやって来ました⛳️」「1日目は知り合いとプロ仲間」「2日目はプロ4人で⛳️」と初ゴルフの様子を紹介。「天気も良くて最高の2025スタート」と感想を述べた。最後に「今年もよろしくお願いします⛳️」と締めくくった。 この投稿をInstagramで見る 丸山茂樹(@shigeki23maruyama)がシェアした投稿 この投稿にファンからはたくさんのいいね!が送られている。
2025年01月06日元プロゴルファーの丸山茂樹が22日、自身のインスタグラムを更新。【画像】「36年の付き合い」元男子ゴルフ・丸山茂樹、あの元"レジェンドアイドル"とほろ酔い2Sが素敵すぎる!「今日は椎名桔平さんTUBE前田さんとプライベートゴルフ⛳️桔平さんとのラウンドは初めてでしたがめっちゃ楽しかった~⛳️前田さんとはいつもの感じでトークに花が咲きましたまた是非よろしくお願いしまーす⛳️」と綴り、1枚の写真をアップした。大物俳優&大物ミュージシャンとレジェンドゴルファー丸山の豪華スリーショットにファンの注目が集まっている。 この投稿をInstagramで見る 丸山茂樹(@shigeki23maruyama)がシェアした投稿 この投稿には多くのいいねが寄せられている。
2024年12月22日ブライトンウィメン所属の清家貴子がデビュー戦を終え20日に自身のインスタグラムを更新した。元浦和・清家貴子がブライトンへ!男子チームには三笘薫も所属 この投稿をInstagramで見る Kiko Seike / 清家貴子(@seike_kiko)がシェアした投稿 自身のデビュー戦について、「想像を超える最高のデビューになりました!たくさんの応援ありがとうございました!」と喜びと感謝のコメントを投稿している。この投稿についてファンは「爪痕残しすぎててしかないです」「ナイスハットトリック!!!」等と賛辞を贈っている。
2024年09月22日先日実施した読者アンケート「2024年好きな夏ドラマ&キャラクターは?」の結果、<好きなキャラクター編>をランキング形式にして発表!第1位:清家一郎/櫻井翔読者が選ぶ、2024年好きな夏ドラマキャラクター第1位は、早見和真原作のヒューマン政治サスペンス「笑うマトリョーシカ」より、櫻井翔演じる若き政治家・清家一郎。印象的な笑顔とリベラルな言動で人気を集め、未来の総理候補との呼び声も高い清家。彼が政治家へと昇っていく過程で、不審な死亡事故がいくつも起きていた。今回のアンケートでは、読者から「感情が分からずその真意が謎のまま最終回。目の奥が笑っていない笑顔の不気味さが伝わる演技の秀逸さはたまりません」「国民に見せている、親しみがあってクリーンな感じの政治家の姿と、執務室で一人逡巡する孤独で何を考えているのかわからない底知れなさのギャップに、目が離せなくなり、ゾクゾクします」「とにかく櫻井翔さんの演技が素晴らしい!(特に目の)出演時間が短いのにずっと清家一郎がそこに居る!みんな清家一郎に囚われすぎてて最高」といった絶賛の声が寄せられた。「笑うマトリョーシカ」は放送終了Blu-ray&DVDは2025年3月5日(水)リリース第2位:瀧本蒼佑/萩原利久続いて第2位は、成田凌主演のヒューマンサスペンスドラマ「降り積もれ孤独な死よ」より、萩原利久演じる瀧本蒼佑。13人の子どもの白骨死体が見つかった「灰川邸事件」から物語が動き出す本作。かつてその灰川邸に住んでいた、生き残った子どもたちのひとり。事件の真相を追う刑事で主人公・冴木の腹違いの弟でもある。アンケートでは、「うちに秘めた怒りの部分と芯の優しさが母親との生活や兄への信頼から汲み取れました。辛い物語の中で蒼佑の存在は温かい灯火のようにも思えました。純粋な部分と感情のコントロールが難しいところや優しい気持ちが、表情を大きく変えないのにとても繊細に表現しているところがすごい役者さんだと思いました」「お話の核となる人物を自然に印象深く演じられてました。最高でした!」「成田さん演じる冴木との兄弟の会話すごく良かった。初めは兄との確執があり闇が深い印象だったけど、徐々に蒼佑の本来の優しさが出てきて利久君が蒼佑をちゃんと生きてるんだなと思いました。蒼佑と冴木の未来を観たかった」と多くの視聴者の印象に残った。「降り積もれ孤独な死よ」は放送終了Blu-ray&DVD BOXは2025年3月19日(水)リリース第3位:佐川太一/小林虎之介第3位は、<読者が選ぶ2024年好きな夏ドラマ第1位>にランクインした「ひだまりが聴こえる」より、難聴の大学生・杉原航平の明るくまっすぐな同級生、小林虎之介演じる佐川太一。本作は、不器用な2人の心を繊細に映し出す、切なくも儚いヒューマンラブストーリー。視聴者からは、「ツラい過去を背負っていますが、とても明るく人に優しい。素直で、思ったことをハッキリ伝え、傷ついた人の心を救ってくれる。ごはんを美味しそうにもりもり食べて、見てるだけで元気をもらえます」「ひだまりが聴こえるで初めて佐川太一を演じている小林虎之介さんという俳優さんを知りました。太一のコロコロと変わる表現力を見て凄い俳優さんがまた現れたなと一瞬で興味を持ちました。太一があまりにも魅力的で大好きになり1週間が待ち遠しくて仕方なかったです」「素直で真っすぐで自分のことより友人を思いやり他人に怒ることもでき、誰かが傷ついていたら手を差し伸べている優しいキャラクターだと思います」とそのキャラクター性に魅了された声が多く届いた。「ひだまりが聴こえる」は放送終了Blu-ray&DVD BOXは2025年1月29日(水)リリース第4位~第10位は以下の通り。第4位:杉原航平/中沢元紀「ひだまりが聴こえる」中学を卒業後に突発性難聴を発症して以来、人と距離を置くことが当たり前になってしまった。1人でお弁当を食べていた時に現れた太一と出会い、少しずつ世界が変わっていくーー。▽読者の声・「演技が素晴らしくて、何度も感情移入して泣いた」・「繊細な演技が心をうちました」・「孤独だけど心優しく気品あるキャラクターを上手く演じている」第5位:天城雪彦/二宮和也「ブラックペアン シーズン2」オーストラリア・ゴールドコーストのハートセンターに長年勤め、手術の技術は天才的、心臓冠動脈バイパス術の世界的大家。ダイレクト・アナストモーシスという手技ができる唯一の医師であり、敵対する医師をも魅了していく。一方で、天城の手術を受けるにはシャンス・サンプル(二者択一)の運試しに勝つしかなく、掛け金としてその人の財産の半分までも要求するため、医師の間では“ディアブル(悪魔)”と呼ばれている。天城の弟・渡海征司郎を二宮和也(一人二役)が演じている。▽読者の声・「双子で二役を完璧に演じ分けていて素晴らしいと思います」・「謎が多い主人公で、悪魔と呼ばれながらも筋の通った魅力溢れる人物。又、自信たっぷりな言葉に反せず完璧なオペの腕を持ち、時に見せる悲しげな表情。その魅力に虜になった」・「原作から大好きなキャラクターである天城先生を二宮くんが前作の渡海先生との違いを出しつつどう演じるか始まる前から楽しみでした。期待以上に魅力的で儚くて…より好きなキャラクターになりました」「ブラックペアン シーズン2」は放送終了Blu-ray&DVDは12月25日(水)リリース第6位:西園寺一妃/松本若菜「西園寺さんは家事をしない」アプリ制作会社でバリバリ働く主人公・西園寺一妃。仕事ができる上に明るくポジティブでコミュ力高め、周囲からの信頼も厚いが、あの手この手で家事をしない生活をしてきた。そんなある日、年下のエンジニア・楠見俊直が転職してきただけでなく、トラブルで家を失った彼らと偽家族として一緒に暮らすことになる。▽読者の声・「西園寺さんは家事をしないの主人公西園寺さんをとても魅力的に演じていて、大変好感がもてる」・「彼女がいると場がパッと明るくなるから」・「初めて松本さんの作品をじっくり観た。こんなにキレイで演技も上手でコメディっぽい芝居もできる方だと知らなかった。西園寺さんは明るくてまわりの人を元気づけて常にポジティブであるところ。時々失敗したりへこんだりするけど、そのパワーで乗り切る、スバラシイ!」「西園寺さんは家事をしない」は放送終了Blu-ray&DVDは2025年2月28日(金)リリース第7位:瀬山大護/金城碧海「伝説の頭 翔」「グランドクロス」のライバルである“北総愚連隊”の総長。美しいものが大好きで、ナルシスト。ちょっとした勘違いから翔に扮した達人と対峙することになる。▽読者の声・「自分の美に異様に執着し冷酷な面を持ったキャラクターだがどこか憎めない総長役をアイドルであるJO1の金城碧海くんが振り切って演技していてサイコーでした」・「超個性的な役がハマり、美しくて怖くて面白いキャラになっていて気に入りました!」・「クセが強いキャラクターで魅力的だった」「伝説の頭 翔」は放送終了第8位:道上香苗/水川あさみ「笑うマトリョーシカ」政治家・清家一郎をめぐる欲望の渦に巻き込まれていく主人公の新聞記者。▽読者の声・「カッコ良かったから」第9位:飯田智宏/河野純喜「あの子の子ども」主人公・福(桜田ひより)のクラスメイト。明るくポジティブでムードメーカー的な存在。▽読者の声・「ドラマの中でいい癒しになっていたし、こんな風にだれかも明るく思いやれる人は素敵だなと感じた」・「どんよりとした暗い空気の中、ぱっと明るくその場の雰囲気を変えてくれる大切な存在だからです」・「内容が重いだけに沈んでしまいがちな気持ちを、彼の明るい笑顔と同級生に対するまっすぐな愛情で視聴者に爽やかな一筋の風を吹かせてくれる存在(演技)に惹かれます」「あの子の子ども」は放送終了第10位:如月みのり/松本まりか「夫の家庭を壊すまで」純愛だと信じていた夫に15年も裏切られていたサレ妻・如月みのり。復讐を決意し、不倫 相手の家族を追い込んでいく…。▽読者の声・「マンガより痛快で、ニヤニヤしながら見ています」第11話は9月23日23時16分~テレビ東京にて放送【シネマカフェ読者アンケート/好きな夏ドラマのキャラクターTOP10】1位:清家一郎/櫻井翔「笑うマトリョーシカ」2位:瀧本蒼佑/萩原利久「降り積もれ孤独な死よ」3位:佐川太一/小林虎之介「ひだまりが聴こえる」4位:杉原航平/中沢元紀「ひだまりが聴こえる」5位:天城雪彦/二宮和也「ブラックペアン シーズン2」6位:西園寺一妃/松本若菜「西園寺さんは家事をしない」7位:瀬山大護/金城碧海「伝説の頭 翔」8位:道上香苗/水川あさみ「笑うマトリョーシカ」9位:飯田智宏/河野純喜「あの子の子ども」10位:如月みのり/松本まりか「夫の家庭を壊すまで」※2024年7月期に放送されている“夏ドラマ”が対象となります。※本アンケートは、読者の皆様の「今のドラマ作品・キャラクターへの関心・注目」にまつわる意識調査の一環です。結果に関しては、どのキャラクター・作品についても優劣を決する意図ではございません。本記事にて、新たに作品やキャラクターを知るきっかけや、さらに理解・興味を深めていただく一翼を担えれば幸いです。(シネマカフェ編集部)
2024年09月19日水川あさみ主演「笑うマトリョーシカ」最終話が9月6日に放送され、櫻井翔演じる清家の言葉に「パワーワードすぎる」「泣いた」といった声が上がっている。早見和真による人気小説をドラマ化した本作は、人間の欲望と謎が絡み合うヒューマン政治サスペンス。主人公の新聞記者・道上香苗を水川あさみが演じ、若き人気政治家・清家一郎を櫻井翔、清家一郎の有能な秘書・鈴木俊哉を玉山鉄二が演じる。道上と同じ東都新聞で働く社会部の記者・山中尊志役に丸山智己、道上の後輩記者・青山直樹役に曽田陵介が出演するほか、渡辺いっけい、筒井真理子、渡辺大、高岡早紀、青木柚、西山潤、真飛聖、矢島健一、大鷹明良ら豪華キャストが脇を固める。※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。清家(櫻井)から「僕のブレーンになってほしい」という突然の提案を受けた道上(水川)は、ブレーンとしてそばにいることで清家のハヌッセンを突き止められると考え、その提案を受け入れることに。ことあるごとに道上に意見を求め、道上の考えをそのまま吸収して自分の言葉にする清家。そんな清家を目の当たりにし、道上は充実感を抱き始めていた。一方、山中(丸山)は道上に一刻も早く羽生と諸橋がBG株事件に関与していた証拠を公開し、2人を失脚させるべきだと促すが、道上は証拠を公開することで清家のブレーンを降りることになる、ブレーンを降りると間違った方向にいこうとする清家を止められなくなると言い証拠の公開に踏み切ろうとしない。そんな道上に対し、山中は「政治家のブレーンである前にジャーナリストだろ」と言い放つ。道上は、山中に言われた言葉や浩子に「あなたは私とは違う」と言われたこと、そしてBG株事件は道上の父が明らかにしようとしていたことを思い出し、清家のブレーンを降りる…というのが最終話のストーリー。清家にとってのハヌッセンを突き止めるはずが、清家に翻弄される道上の姿に「取り込まれちゃってる気がする」「こわいこわい」といった声が上がった。そして、「僕にはあなたが必要です」という清家に対し、ブレーンとしてではなくジャーナリストとして向き合っていきたいと伝える道上に「さすが」「かっこいい」という声が上がる一方で、寂しそうな清家に「背中が寂しい」と言った声も上がった。道上はジャーナリストとして、BG株事件の真実を記事として公開した。BG株事件の関与を認めた羽生は「記事にして欲しいことがある」と道上を呼び出し、清家の父・和田島もBG株事件に関わっていたことやBG株事件をもみ消したのが和田島であることを告げる。さらに、清家と和田島には交流があったこと、道上の父の事件は諸橋が勝手にやったことだが、清家も知っていたはずだと話した。衝撃の事実が明らかになり、SNSでは「とんでもない真実」「知ってたんだ」といった驚きの投稿で溢れた。道上は清家の元を訪ね、羽生から聞いたことを全て話し和田島がハヌッセンだったのかと清家を問いただす。すると清家は真顔になり、和田島は清家と同じ特性を持っていたこと、これまでの周囲の人間とは違い清家をコントロールしようとしなかったこと、和田島から自分を操ろうと人が群がってきたら「利用すれば良い」と言われたことを話し、唯一の理解者であり僕の目を覚ましてくれた同志であると告げる。そんな清家に対し道上が「今あなたを操っているハヌッセンは?」と問いただすと、清家は「いませんよ。僕は誰にも操られていません」と話す。自分を見極めてくれると思っていた道上に「僕を見誤った」と言い放つ。そして、ヒトラーがハヌッセンを切った時に抱いた感情は恐らく「見くびるな」だったのではないかと話す。これまで見せなかった清家の表情と「見くびるな」という強い言葉にSNSでは「パワーワードすぎる」「怒ってる」「怖い」といった投稿で溢れた。清家は、自分にとって初めての恋を阻止しようとしただけでなく、関係を持っていた鈴木と浩子、そして武智と不貞関係になった亜里沙、それぞれを相手にとって最悪のタイミングで「見くびるな」という思いで関係を断ったことを打ち明けた。しかし、自分には明確な意思がないと話す清家に対し、道上は「そんなはずない」と鈴木から聞かされた清家が感情的になった時のことを話すが、それは冷静だったからこそ浩子の教えに沿って声を荒げることができたと、演技だったことを明かす。これまでのことを全てを話した清家は、道上に真顔で「お帰りください」と告げた。部屋にあったマトリョーシカを初めて全て開け、一番小さいマトリョーシカは「見くびるな」と怒っていると話した清家に対し、道上は「泣いているように見えます」と言い、「僕を見ていてください」と言った清家が助けを求めているように感じたこと、そして、これから先も清家を知ろうとすることを諦めないこと、それが清家を救うことになると信じていると告げ、清家の部屋を後にする。残された清家が急いでマトリョーシカを元に戻し、震えながら涙を流す姿にSNSでは「清家一郎はずっと怒っていたんじゃないかな」「感情も一緒に封印したのかな」「核心つかれたのか?」という声が上がる一方で、2人のやりとりに「凄すぎるシーンだった」「見入ってしまった」「泣いた」といった声も上がった。ラストでは5年後が描かれ、鈴木は「宇野俊哉」として区議会選に出馬する姿や、総理大臣となった清家が道上と改めて対峙するシーンが映し出されて幕を閉じた。SNSでは「緊張しながら観た」「最初から最後まで面白かった」「終わってしまった」「原作も読んでみたい」といった投稿で溢れている。(シネマカフェ編集部)
2024年09月07日水川あさみ主演「笑うマトリョーシカ」第10話が8月30日に放送され、最終回を目前に控えた怒涛の展開とラストの清家の言葉に「今までの考察全て飛んだ」「心臓持たない」といった声が上がっている。早見和真による人気小説をドラマ化した本作は、人間の欲望と謎が絡み合うヒューマン政治サスペンス。主人公の新聞記者・道上香苗を水川あさみが演じ、若き人気政治家・清家一郎を櫻井翔、清家一郎の有能な秘書・鈴木俊哉を玉山鉄二が演じる。道上と同じ東都新聞で働く社会部の記者・山中尊志役に丸山智己、道上の後輩記者・青山直樹役に曽田陵介が出演するほか、渡辺いっけい、筒井真理子、渡辺大、高岡早紀、青木柚、西山潤、真飛聖、矢島健一ら豪華キャストが脇を固める。※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。浩子(高岡)と対峙し、清家(櫻井)を政治家にするまでの過去の出来事を聞かされた道上(水川)。しかし、清家が書いた論文を鈴木(玉山)に送ったのは自分ではなくといわれ、新たな謎まで生まれてしまう。論文を送った人物を探すため、浩子の夫・小松(堀内正美)のもとを訪れるが何も聞き出せなかった道上は、小松のヘルパー・田所礼子(和田光沙)へ疑惑の矛先を向けていく…というのが第9話のストーリー。鈴木は、佐々木もまた浩子の影響下にあるのかもしれないと考え連絡を絶っていたが、妻・由紀(真飛)に背中を押され佐々木(渡辺)の店に向かい、清家の後援会長を辞めたことを聞かされる。鈴木は母親の浩子が清家をコントロールしているかもしれないと佐々木に話すと、佐々木は浩子に頼まれて清家の様子を何年も前から連絡していたことを打ち明けた。一方、田所礼子の専門学校入学前の情報がつかめずにいた道上は、あることに気付き亜里沙の母親の元を訪ねていた。そして、真実にたどり着いた道上は、浩子、鈴木夫妻、山中、小松、そして田所礼子を愛媛の佐々木の店に集める。公式Xで「10時23分頃とんでもない事実が発覚」と予告されていた時間に近付き、SNSでは「いよいよ…」「近付いてきた」「ドキドキする」という投稿で溢れた。道上は、浩子が清家から縁を切られていたため、佐々木を通して様子を聞いていたことや、浩子が精神的に不安定になっていたこと、浩子が病を患っていること、そして田所礼子の正体が、整形をして母親の旧姓を名乗っていた真中亜里沙であることを明かした。衝撃の事実にSNSで「やっぱり」という声や「ええええ」「怖すぎ」「ホラーだ」といった投稿で溢れた。正体が明かされた亜里沙は、浩子や鈴木に対して清家が本当に全てを預けていたのは鈴木でも浩子でもなく自分だったと主張し、清家をたきつけて姿を消すフリをしてこっそり会っていたこと、官房長官になったら自分と一緒になるはずだったこと、全ては自分の書いたシナリオ通りになるはずだったと、これまでのことを話し始める。しかし、亜里沙は3年前に突然清家から捨てられたと怒りをあらわにする。浩子が清家を奪い返したと考えた亜里沙は、顔を変えて浩子に近付いたが浩子と清家のつながりは見えてこないため、鈴木なのかもしれないと思い論文を送ったことを明かす。武智の事故は亜里沙が仕組んだものだったが、鈴木の事故に亜里沙は関与していなかった。亜里沙が語る衝撃の事実と新たな謎に、SNSでは「鳥肌」「どういうこと」「カオスすぎる」「予想ぜんぶひっくり返った」「今までの考察全て飛んだ」と動揺の声が相次いだ。現実を突きつけられた浩子は「悲しみとようやく向き合える」と言い、BG株事件に関するテープを道上に託し「彼を助けてあげて」と涙を流す。この姿にSNSでは「疑ってごめんなさい」「ちょっと同情してしまう」という声が上がる。浩子から受け取ったテープには、鈴木の父の声だけでなく諸橋や羽生の声が入っていた。政権がひっくり返る可能性のある証拠品を手に入れた道上の元へ清家から連絡があり、道上は清家の事務所を訪ねる。清家は道上と距離を置いたのは諸橋の指示だったことを謝るが、道上は清家に対し、誰が背後にいるのか、鈴木でも亜里沙でも浩子でもなく、ハヌッセンは誰なのかと問い詰める。すると清家は道上に近付き「僕のブレーンになってくれませんか?僕のそばにいてくれませんか?」と言い、第10話が幕を閉じた。怒涛の展開からのラストの清家の言葉に「心臓持たない」「道上を取り込もうとしているの?」「何を考えてるの」という声が上がる一方で、次週の最終回に対し「真相が知りたいけど終わって欲しくない」「予想がつかない」といった声も上がっている。【第11話(最終回)あらすじ】浩子(高岡早紀)は清家(櫻井翔)を操るハヌッセンではなかった。そしてBG株事件には、前外務大臣の諸橋(矢島健一)だけでなく、総理大臣の羽生(大鷹明良)も関与していた。そんな衝撃の事実が次々と明らかになった矢先、清家から「僕のブレーンになってほしい」という突然の提案を受けた道上(水川あさみ)は、ブレーンとしてそばにいることで清家のハヌッセンを突き止められると考え、その提案を受け入れることに。ことあるごとに道上に意見を求め、道上の考えをそのまま吸収して自分の言葉にする清家。そんな清家を目の当たりにし、道上はある種の充実感を抱き始めるのだった。そんな中、山中(丸山智己)から一刻も早く羽生と諸橋がBG株事件に関与していた証拠を公開し、2人を失脚させるべきだと促された道上だが、政権と敵対すると清家のブレーンを降りることになると考えた道上は、悩み始め…。「笑うマトリョーシカ」は毎週金曜日22時~TBS系にて放送中。(シネマカフェ編集部)
2024年08月31日水川あさみ主演「笑うマトリョーシカ」第6話が8月2日に放送され、櫻井翔演じる清家と玉山鉄二演じる鈴木の衝撃の展開に「辛すぎ」「怖い」といった声が上がっている。早見和真による人気小説をドラマ化した本作は、人間の欲望と謎が絡み合うヒューマン政治サスペンス。主人公の新聞記者・道上香苗を水川あさみが演じ、若き人気政治家・清家一郎を櫻井翔、清家一郎の有能な秘書・鈴木俊哉を玉山鉄二が演じる。道上と同じ東都新聞で働く社会部の記者・山中尊志役に丸山智己、道上の後輩記者・青山直樹役に曽田陵介が出演するほか、渡辺いっけい、筒井真理子、渡辺大、高岡早紀、青木柚、西山潤、真飛聖ら豪華キャストが脇を固める。※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。次期官房長官として清家(櫻井)に白羽の矢が立つ中、ヒトラーの危険思想を持つ浩子(高岡)が清家をコントロールしていると確信し、このまま清家に権力を持たせてはいけないと危機感を募らせる道上(水川)。その矢先、永田町で浩子と遭遇した道上が辿り着いた先で、清家のこれまでの発言につながる新たな事実をつかむことに。そんな中、清家がついに官房長官に就任する。清家との出会いからこれまでの軌跡を思いながら、2人の“悲願”が達成されたことに胸を熱くする鈴木(玉山)だったが…というのが第6話のストーリー。清家が官房長官に就任し、鈴木と抱擁を交わすシーンにSNSは「遂に官房長官まで来た」「ハグ!!」という声や、「鈴木」と呼んでいた清家が学生の頃と同じように「俊哉君」と呼ぶ姿に「俊哉くん!!!」「ここで俊哉くん呼び」と盛り上がりを見せた。一方、浩子が乗っていたタクシー会社を訪ねた道上は、浩子の降りた場所が高場町だったことを突き止める。道上の実家のアルバイト・凛々(咲耶)の話しから、高場町にはNPO法人在留外国人支援機構があることを突き止めた道上はすぐに向かう。そこには清家の写真が飾ってあっただけでなく、浩子が寄附をしていたこと、さらに在留外国人に対するヘイトスピーチについて、「そろそろ政府に本腰を入れてもらわないといけない」と話していたことを聞かされる。同じタイミングで、官房長官に就任した清家が会見で浩子と同じ言葉を語る姿に、道上は浩子が今でも清家の近くにいることを確信し、鈴木の家を訪ねる。SNSでは「情報量が多い」「母の思惑なのか??」「怖くなってきた」という投稿で溢れた。道上はBG株事件のことが書かれているノートが盗まれたこと、盗まれた実家に浩子が来たことを鈴木に話すが、鈴木は聞く耳を持たない。そんな中、鈴木の父親がかつて逮捕された宇野の息子だというゴシップ記事が、週刊誌に掲載されることに。道上から「話しがある」と言われた鈴木は、週刊誌にネタを売ったのは道上かと怒りをぶつけるが、道上は浩子の仕業に違いないということ、NPO法人での浩子の言葉と会見での清家の言葉が一致していることを話す。それでもなお「清家が私を裏切るはずない」と道上を突き放す。鈴木は清家と2人で部屋で話すことになり、ほとんどが憶測であること、会見用の原稿を用意したことを話すが清家は天井を見上げ、一方的に話しを始める。そして、生徒会長選で感極まっても泣いたのは、素直に泣いて良いと言われたからだったこと、鈴木が力になってくれるから仲良くするように言われたこと、手放さないように言われたことを打ち明けた。そして清家は涙ながらに「君は僕にとって特別だった」と話し、最後に「この先何が起こったとしても君のことは忘れない。話しはそれだけだよ」と告げた。一方的に過去形で話し続ける清家の姿に、SNSでは「まってめっちゃ怖い」「過去形で言わないで」という投稿が相次ぎ、ラストの鈴木の涙には「かわいそう」「ツラい」という声で溢れた。清家の官房長官への就任からの怒涛の展開に「もう1時間たったの?」「続きを早くみたい」という声や「こんな役の翔くんを見たかった」といった声も上がっている。【第7話あらすじ】清家(櫻井翔)から簡単に切り捨てられ、清家をコントロールしてきた本当のハヌッセンは自分ではなく浩子(高岡早紀)だったことに愕然とし、廃人のようになる鈴木(玉山鉄二)。しかしそんなことはお構いなしに、清家は官房長官としてより一層存在感を放ち、組閣早々不祥事続きの新内閣の支持率維持に貢献していた。そんな中、浩子の行方を突き止めるべく動いていた道上(水川あさみ)は、街頭演説の場で久々に対面した清家から思わぬ言葉をかけられる。そして道上からBG株事件に関わっていた可能性がある政治家たちの資料を託された鈴木は、父に罪をなすりつけた政治家を突き止めるべく動き出す。すると過去の記事の中から、与党ナンバー2で外務大臣の諸橋(矢島健一)に関する新たな疑惑が浮かび上がり…。「笑うマトリョーシカ」は毎週金曜日22時~TBS系にて放送中。(シネマカフェ編集部)
2024年08月03日水川あさみ主演「笑うマトリョーシカ」第2話が7月5日に放送され、次々と明らかになる清家や鈴木の過去とまさかの展開に「何この展開」「謎が深まった」といった声が上がっている。早見和真による人気小説をドラマ化した本作は、人間の欲望と謎が絡み合うヒューマン政治サスペンス。主人公の新聞記者・道上香苗を水川あさみが演じ、若き人気政治家・清家一郎を櫻井翔、清家一郎の有能な秘書・鈴木俊哉を玉山鉄二が演じる。道上と同じ東都新聞で働く社会部の記者・山中尊志役に丸山智己、道上の後輩記者・青山直樹役に曽田陵介が出演するほか、渡辺いっけい、筒井真理子、渡辺大ら豪華キャストが脇を固める。※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。父・兼高(渡辺いっけい)の死は、BG株事件を闇に葬りたい鈴木(玉山鉄二)によって仕組まれたものではないか。さらに清家(櫻井翔)は鈴木に裏で操られており、助けを求めて自分に近づいてきたのではないか。そう考えた道上(水川あさみ)が清家のもとを訪れようとした矢先、道上の部屋に何者かが侵入し荒らされる事件が発生する。盗られたのはBG株事件に関する兼高の資料や取材ノートのみ。そんな中、道上は清家の自叙伝「悲願」で清家がかつて私設秘書を務めていた代議士・武智(小木茂光)もまた、兼高と同じく不慮の交通事故で命を落としていたことを知る。おまけに武智の死後、清家は彼の地盤を引き継ぎ、27歳の若さで初当選していたことを知り、道上はますます鈴木に対する疑惑を深め、武智の事故を調べるために松山市に向かう…というのが2話のストーリー。道上は、武智の事故が父の事故と同じように加害者が無職であること、すぐに罪を認め争わずに示談をしていたこと、多額の賠償金を支払っていたこと、さらに清家だけでなく鈴木も私設秘書として働いていたことを突き止めた。道上は、鈴木に武智の事故を調べていることをメールで送り、動向を探ろうとする。そんな道上の姿を見ていた後輩の青山は「手伝わせてください」と名乗りをあげ、道上は鈴木を見張るように依頼をした。一方で、道上は清家を佐々木(渡辺大)の店に呼び出し、武智の事故と道上の父の事故が似ていることや、道上に届いた論文について問い詰める。しかし、清家の携帯が鳴り、鈴木が事故にあったことが知らされる。まさかの展開にSNSには「何この展開」「えっ?」「どゆこと!!」と動揺する声で溢れた。鈴木の事故の原因が居眠り運転だったことから、鈴木も狙われているのではないかと考えた道上は、改めて清家の論文と「悲願」を読み返す。そこでふと大学時代の彼女「美恵子」についての文体が「悲願」の文体ではなく、清家の論文の文体と似ていることに気付き、「悲願」は鈴木の文章ではあるものの美恵子に関する出来事は清家本人が書いているのではないかと考え、清家の論文を見ていた教授を訪ねることに。道上に届いた論文を教授に見せたところ、その論文は大学3年生の頃に書いたものであり、大学4年生の卒業論文で同じテーマを扱っていたことが明らかになる。それだけでなく、大学3年生では“エリック・ヤン・ハヌッセン”を肯定していたが、大学4年生では一転して“エリック・ヤン・ハヌッセン”を批判していることから「考えが変わる何かがあったのかもしれない」と聞かされる。道上は「悲願」を読み返し、脚本家を目指して上京した美恵子との出会いや清家が21歳の時に「あと6年しかない」と話している回想シーンが映し出される。清家が「悲願」に書いた「27歳にこだわるようになった」という記述と初当選の年齢が27歳だったことが一致し、SNSでは「それで27歳にこだわったのか」「キーワードのように現れる年齢」「27歳が節目?」という声で溢れた。道上は改めて“エリック・ヤン・ハヌッセン”を調べると、43歳で暗殺されたことがわかる。事故に遭った鈴木が43歳であることから、清家を操っているのは鈴木ではなく美恵子なのかもしれない。そして、父の事故も美恵子が企てたのかもしれないと考えた道上は、清家に聞きに行こうとすると、清家の秘書・坂本からの電話が鳴る。清家が今後一切、道上の取材を受け付けないと言われ、第2話が幕を閉じた。怒涛の展開にSNSでは「一瞬で怖くなった」「どんどんわからなくなってきた」「謎が深まった」という声が上がっている。【第3話あらすじ】清家(櫻井翔)を裏で操っているのは自叙伝「悲願」に仮名で登場する大学時代の恋人・美恵子(田辺桃子)だと考え、清家に話を聞こうと試みるも、逆に今後一切の取材を拒否すると宣告されてしまった道上(水川あさみ)。そこで道上は清家の当時の同窓生を取材し、美恵子とされていた女性の名前が“三好美和子”であること、さらに出身大学や将来の夢など、彼女を探すためのヒントを得ることに成功する。同じ頃鈴木(玉山鉄二)も、入院中のベッドで美和子のことを思い出していた。そして道上は、さらに大学時代の清家や鈴木、そして美和子の情報を得るため、清家が師事していた武智議員(小木茂光)の元政策担当秘書・藤田(国広富之)のもとを訪れる。するとそこで、さらなる驚くべき事実に直面して…。「笑うマトリョーシカ」は毎週金曜日22時~TBS系にて放送中。(シネマカフェ編集部)
2024年07月06日いつの時代も親は子どもを心配するものですが、少子化が進んでいるいまは、心配性の親が増加していると言われます。子どもを保育園に預けるとき、「ちゃんと園生活を楽しめるかな……」「誰かに迷惑をかけないかな……」と心配する人もいることでしょう。そこで、保育現場で実際に子どもたちの様子を見ているカリスマ保育士・てぃ先生に、心配性のみなさんに向けてメッセージを頂きました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹幼いときから集団生活になじめることが重要ではないお父さんやお母さんはとても心配性です。「うちの子は、園になじめていますか?」「集団生活になじめる子とそうではない子では、どこに違いがあるのでしょう?」なんて質問を受けることもあるほどです。でも、あまり心配しないでください。これはあくまで個人的な考え方になりますが、幼いときからうまく集団生活ができることは、そんなに重要ではないと感じるのです。就学前の幼い子どもが、「みんながやるから、僕もこれをやる」というふうに考えすぎることのほうが、私からすれば心配。むしろ、「みんなはこれをやっているけど、僕は違うことをやりたいんだ!」なんて思う子のほうが、将来はすごい人間になるのではないかとも思っています。親御さんとしては、「集団生活ができずに、先生たちや友だちに迷惑をかける子どもにはなってほしくない」という思いがあるのでしょうね。でも、保育士たちは、子どもに対応するプロフェッショナルです。多少自分勝手で集団生活になじめないような子に対しても、うまく対応するすべはいくらでももっていますから、安心してお子さんを預けてほしいと思います。子どもが暴力をふるったときに有効な「代弁」でも、「そうはいっても、さすがに友だちを叩くなどの暴力をふるうのはまずい」と感じる人は多いでしょう。そういうことが起きた場合の対応法をお伝えします。そもそも、子どもが友だちなど他人を叩くといった行動をするのは、自分の気持ちをうまく表現できないからです。幼い子どもは言語能力が未発達なので、頭のなかでイメージしたり考えていたりすることをうまく言葉にできません。そのため、なにか嫌なことがあったときには、言葉ではなく手が出るということになるのです。そこで必要になるのが、子どもが思っていることを大人が言葉にする「代弁」という作業です。子どもが友だちを叩いた理由を推測し、「おもちゃを取られちゃった?」「なにか嫌なことを言われたの?」というふうにどんどん投げかけるのです。そうして、子どもが友だちを叩くという行為に至った本当の理由を見つけ、「あなたの気持ちはちゃんとわかったから大丈夫だよ」と子どもに共感したうえで、「でも叩いたらだめだよ」と伝えてあげなければなりません。そうでないと、その子からすれば、自分の気持ちをなにひとつ受け止めてもらっていないのに、ただただ「お前が悪い」「手を出すな」と一方的に叱られていることになってしまいます。また、子どもの暴力は、保育園の先生や友だちだけではなく、親に向かうこともあります。そんなとき、たいていの親は「叩いたらだめでしょ!」と、子どもを非難する叱り方をするものです。でも、この叱り方では子どもの心にあまり響きません。子どもたちには、自分を否定されるよりも、相手が嫌な思いをしているとわかることのほうが強く響きます。その相手が、本当は大好きなお父さんやお母さんだったらなおさらです。ですから、もし子どもに叩かれたりかみつかれたりした場合には、「ママ、痛かったよ」「パパ、悲しいな」といった言葉をかけてみてください。きっと、子どもなりに反省してくれるはずです。具体的な質問で、子どもの園生活をイメージするこのような、子どもが園になじめているか、子どもが困った行動をしていないかといったことが気になる親は、子どもが家に帰ってきたときに、園でなにをしていたのかを聞きたがるものです。その質問は、たいてい「今日、なにやったの?」というものでしょう。でも、この質問では子どもはうまく答えることができません。なぜかというと、子どもにとっては質問されている内容が広すぎるからです。そのため、どのことを答えていいのかわからず、結果的に「わからない」「知らない」といった答えを返すことになります。そうではなくて、具体的に質問しましょう。そもそも、質問するからには親には聞きたいことがあるはず。それら聞きたいことの要点を絞って細かく聞くのです。「今日はなにをして遊んだの?」ではまだ広いですね。「今日はブロックで遊んだ?」「おままごとした?」というふうに具体的に聞くべきです。子どもが「おままごとしたよ」と答えたら、「おままごとでどんなことをしたの?」ではなく「お料理したの?」というふうに聞くという具合です。要は、子どもが「イエス」「ノー」でぱっと答えられる質問をするのです。そうすれば、親からしても、子どもの園生活の自分には見えない部分も具体的にイメージすることができるようになると思います。こういった心配性の親は、「100点満点の親」を目指しているのかもしれませんね。満点を目指すから、子どもに関するあらゆることが気になってしまうのでしょう。でも、冷静にまわりを見回してみてください。100点満点の親なんてどこにもいませんよね?100点満点の子どももいません。親も子どもも65点や70点で十分ではないですか?そういう考えが心に余裕をもたせてくれるはずです。そして、なにより親であるみなさん自身の幸せをもっと追求してください。親は、子どもの幸せばかりを願うものです。でも、まず親が笑顔でなければ子どもも笑顔になれません。親が自分の幸せを追求することが、結果的に子どもの幸せにもつながるのではないでしょうか。『保育士てぃ先生のつぶやき日誌 きょう、ほいくえんでね…!!』てぃ先生 著/マガジンハウス(2019)■ カリスマ保育士・てぃ先生 インタビュー記事一覧子どものイヤイヤを減らすコツは、こっそり○○すること【てぃ先生インタビューpart1】子どもが甘えん坊すぎて困るなら、親はシンプルにコレをすればいい【てぃ先生インタビューpart2】「ひとり遊び」に熱中してこそ、友だちとも遊べるようになるワケ【てぃ先生インタビューpart3】園生活の様子が心配なら、子どもにこんな質問をしてみよう【てぃ先生インタビューpart4】【プロフィール】てぃ先生(てぃせんせい)1987年2月8日生まれ。関東の保育園に勤める男性保育士。ちょっと笑えて、かわいらしい子どもの日常をつぶやいたTwitterが好評を博し、フォロワー数は50万人を超える。著書『ほお…、ここがちきゅうのほいくえんか』(KKベストセラーズ)は15万部、Twitter原作の漫画『てぃ先生』(KADOKAWA)は20万部を超えるヒットを記録。他に、『ハンバーガグー!』(ベストセラーズ)、『せんせい!きいて! 園児がくれた魔法のことば』(リクルートホールディングス)などの著書がある。現在は、保育士の専門性を生かし、子育ての楽しさや子どもへの向き合い方などをメディア等で発信。全国での講演活動は年間50本以上。他園で保育内容へのアドバイスを行う「顧問保育士」の創設と就任など、保育士の活動分野を広げる取り組みにも積極的に参加している。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2020年07月20日「うちの子は、友だちと一緒に上手に遊べているのかな?」。友だちとの関わりのなかで社会性を身につけてほしいと願うばかりに、そんな心配をしている人もいるでしょう。カリスマ保育士として各種のメディアでも活躍するてぃ先生にアドバイスをお願いすると、その答えはちょっと意外なものでした。「子どもにとっては、友だちと遊ぶこと以前の『ひとり遊び』がとても大切」なのだそう。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹大人と子どもの、「一緒に遊ぶ」に対する認識の違い「子どもに友だちと上手に遊べるようになってほしい」と考える人に前提としてお伝えしたいことがあります。それは、子どもが自分で友だちと遊んでいると思う感覚と、大人が見て子どもが友だちと遊んでいると思う感覚はまったく違うということです。たとえば、積み木のコーナーでふたりの子どもがそれぞれ別々に遊んでいたとします。一緒になにかをつくっているわけでもないし、「僕は赤いおうちをつくろう」「じゃ、僕は青いおうちにしよう」というふうに声をかけ合いながら遊んでいるわけでもない。この状況を大人が見ると、子どもが一緒に遊んでいるとは思いませんよね?でも、その子が家に帰ってきたときに、「今日はなにをして遊んだの?」と聞くと、子どもは「○○君と一緒に積み木で遊んだ」と言います。大人は、なにか直接的な関わりがないと一緒に遊んでいると認識しませんが、子どもはその場にいる別の子の姿を見ながら遊ぶだけでも、一緒に遊んでいると認識するのです。つまり、大人の勝手な基準を子どもに対して押しつけているだけのこと。このことを前提として知っておかないと、「うちの子は友だちと上手に遊べない」という間違ったレッテルを貼ることになってしまいます。それこそ「もっと友だちと遊んだら?」「ちゃんと友だちと遊べてないんじゃないの?」なんてことを子どもに言ってしまえば、「僕は友だちとちゃんと遊べないんだ……」と、子どもをマイナス思考に陥らせてしまうことにもなるのです。「ひとり遊び」を経験してこそ、友だちと遊べるようになるそもそも、子どもにとっては友だちと遊ぶことだけが大切なのではありません。特に3歳くらいまでの子どもには、ひとり遊びがとても重要。幼い子どもは本能的にそのことをわかっていて、夢中になってひとりで遊び込もうとします。そうするなかで、集中力を育んでいるのです。それなのに、「友だちと一緒に遊ぶことが大切だ」と勝手に考える大人が無理やり子どものひとり遊びを中断させてしまえば、子どもは集中力を育むことができなくなるでしょう。そうすると、保育士や親の言うことを聞かずに走り回るような子どもになってしまいかねません。また、子どもの集中力を育むこと以外にも、ひとり遊びが重要な理由があります。ひとり遊びをしっかりすることで、大人が求めるような「友だちと一緒に上手に遊べる」子どもになれるのです。ひとり遊びを徹底的に経験した子どもは、「もっと自分の遊びを広げたい」という発想をもつようになります。そして、自分が遊んでいる場にいる別の子の遊び方に目を向けるようになり、「○○君の遊び方、すごくおもしろそう!」と思う。これが、子どもにとって友だちとの関わりにおける最もいい最初のステップです。友だちの遊び方に魅力を感じた子どもは、まずはそのまねをするでしょう。そこからさらに進んで、「○○君、それどうやってるの?」「一緒にやりたいな」というふうに直接的な関わりをもつようになる。自分ひとりでじっくり遊べるようになることこそが、結果的に友だちと一緒に遊べるようになることにつながるのです。家庭で「順番」や「貸し借り」を経験させるそうして子どもが友だちと遊ぶようになっても、親の心配は尽きません。友だちと一緒に遊ぶようになったらなったで、今度は遊びのなかでのトラブルについて心配します。たとえば、「遊びの順番を守れるのか」「おもちゃの貸し借りがきちんとできるのか」といったことです。でも、子どもが順番の概念を理解できるのは3歳頃、そしてきちんと順番を守ることを実行できるのは4歳頃からです。子どもの年齢によっては、そもそもできないことを親が求めているだけというケースもあるのです。また、別の問題として、順番や貸し借りの経験をいきなり「本番」でさせてしまっているというケースもあります。公園で子どもたちが遊んでいるなかで、遊ぶ順番やおもちゃの貸し借りをめぐってトラブルになったとしましょう。そのときに、いくら順番を守らせたりきちんと貸し借りをさせたりしようとしても、経験がなければそうできるはずもありません。ですから、順番を守ったりおもちゃを貸し借りしたりする経験を家庭で積ませてあげる必要があります。親であるみなさんが「この絵本、パパに貸して」と言って、貸し借りとはどういうものかを子どもに経験させるのです。おもちゃで遊ぶときにも、「ママが最初に取ったから1番、○○君は2番ね」と順番を守ることを経験させましょう。そうすれば、「本番」でもきちんと順番を守り、貸し借りができる子どもになっていくはずです。『保育士てぃ先生のつぶやき日誌 きょう、ほいくえんでね…!!』てぃ先生 著/マガジンハウス(2019)■ カリスマ保育士・てぃ先生 インタビュー記事一覧子どものイヤイヤを減らすコツは、こっそり○○すること【てぃ先生インタビューpart1】子どもが甘えん坊すぎて困るなら、親はシンプルにコレをすればいい【てぃ先生インタビューpart2】「ひとり遊び」に熱中してこそ、友だちとも遊べるようになるワケ【てぃ先生インタビューpart3】園生活の様子が心配なら、子どもにこんな質問をしてみよう【てぃ先生インタビューpart4】(※近日公開)【プロフィール】てぃ先生(てぃせんせい)1987年2月8日生まれ。関東の保育園に勤める男性保育士。ちょっと笑えて、かわいらしい子どもの日常をつぶやいたTwitterが好評を博し、フォロワー数は50万人を超える。著書『ほお…、ここがちきゅうのほいくえんか』(KKベストセラーズ)は15万部、Twitter原作の漫画『てぃ先生』(KADOKAWA)は20万部を超えるヒットを記録。他に、『ハンバーガグー!』(ベストセラーズ)、『せんせい!きいて! 園児がくれた魔法のことば』(リクルートホールディングス)などの著書がある。現在は、保育士の専門性を生かし、子育ての楽しさや子どもへの向き合い方などをメディア等で発信。全国での講演活動は年間50本以上。他園で保育内容へのアドバイスを行う「顧問保育士」の創設と就任など、保育士の活動分野を広げる取り組みにも積極的に参加している。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2020年07月17日「うちの子はとにかく『甘えん坊』で……」と、甘えん坊であることはよくないというイメージをもっている人も多いかもしれません。ところが、カリスマ保育士として各種のメディアでも活躍するてぃ先生によれば、甘え行動は子どもの成長にとって非常に重要なものだそう。子どもの甘え行動がもつ意味、甘えん坊の子どもに対する接し方について教えてもらいました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹子どもは親に甘えて「基地」の安全を確かめる子どもの甘え行動は、例えて言うと、「『基地』の安全を確かめる」行動で、お父さんやお母さん、保育園の先生が「基地」にあたります。子どもは、その基地が安全だと確かめたうえでいろいろな冒険をする。やったことがないこと、やったことはあるけどうまくいくかどうかわからないことなどにチャレンジします。もちろん、そうするなかで失敗することもある。やりたいことがうまくいかなかった、保育園で友だちとトラブルになったなど、子どもにはさまざまな失敗があります。そのとき、戻ってこられる安全な基地が必要なのです。そして、基地でお父さんやお母さんに十分に甘えられれば、「やっぱりここは安全だ」と感じられます。そうして、しっかりと充電をしてまた冒険に出かけていくことができるというわけです。でも、その基地で親が十分に甘えさせてくれないとなると、再び冒険に出かけられず、基地から離れられなくなります。子どもからすれば、大事な基地が安全ではないのに、外に出かけているような場合ではありません。そのため、基地の安全を確かめるために、子どもは甘え行動を延々と続けるということになるのです。そこでどうすればいいのかというと、子どもが甘えてきたときには十分に甘えさせればいい。ただそれだけのことです。「大丈夫だよ」「あなたのことが大好きだよ」「いつでも応援しているよ」といった言動を見せてしっかりと甘えさせておけば、子どもの甘え行動はおのずと解決する問題です。もちろん、年齢など関係ありません。「子どもが小学生になっても甘えてきて……」と心配している人もいるかもしれませんが、それは、子どもが必要としている甘えをしっかりとさせていないだけなのです。「子ども発信」かどうかで、「甘やかす」「甘えさせる」を判断子どもは、必要だと感じているから甘えます。そう考えると、親が頭を悩ませる問題のひとつも簡単に解決できます。それは、「甘やかす」と「甘えさせる」の違いがわかりにくいという問題です。言葉の響きから多くの人が感じられることだと思いますが、必要以上に子どもを「甘やかす」ことは、子どもの自立性を育てるうえでもよいことではありません。では、「甘やかす」と「甘えさせる」の違いはどこにあるのでしょうか?それは、「子ども発信」かどうかという点です。子どもが自分から甘えてきたときに、その気持ちに応えてあげる。これは「甘えさせる」になります。一方、子どもが求めてもいないのに甘やかすのは、言葉どおり「甘やかす」になるというわけです。たとえば、小さい子どもが靴を履こうとしているときをイメージしてください。その子は、本当は自分ひとりで靴を履けるにもかかわらず、「お母さん、これ履けないよ、履かせて」と言ってきたならどうですか?本当は自分で靴を履けるのですから、これは明白な甘え行動です。だとしたら、「大事な○○君のためだからね、お母さんが手伝ってあげる」といって靴を履かせてあげればいい。それで、子どもは次の冒険に向けて充電をすることができます。でも、子どもが求めていないのに親が勝手に靴を履かせてあげたり、子どもが「抱っこして」なんて言ってもいないのにかわいいからと抱っこしたりするのは「甘やかす」ことになるので注意が必要です。子どもが甘えてきたときの愛情行動が自己肯定感を高める最後にお伝えしたいのは、「自己肯定感」の話です。自己肯定感は、子どもの健全な発達のために欠かせないものとして頻繁にメディアでも取り上げられるものですから、みなさんも何度となく見聞きしているでしょう。また、「日本人は外国人と比べて自己肯定感が低い」ということを聞いたことがある人も多いはずです。では、なぜ日本人の自己肯定感は低いのでしょうか?その理由は、日本には「大好きだよ」「愛してるよ」といった気持ちを口にしたりハグをしたりする文化がほとんどないからです。子どもに対しても、2~3歳くらいまでならそういった言葉をかけたりハグをしたりするかもしれませんが、小学生や中学生にもなれば、そのような愛情表現をする親はほとんどいないでしょう。でも、子どもの自己肯定感を高めてあげるには、やはり親の愛情表現が大切。特に、子どもが甘えてきたときには、「あなたが大好きだよ」と愛情を表現してあげましょう。恋愛中の女性は、「言葉にしてくれないとわからない!」なんてことを男性によく言いますよね(笑)。子どもに対してもまったく同じことが言えますから、子どもを愛している気持ちをきちんと言葉にしてあげてください。『保育士てぃ先生のつぶやき日誌 きょう、ほいくえんでね…!!』てぃ先生 著/マガジンハウス(2019)■ カリスマ保育士・てぃ先生 インタビュー記事一覧子どものイヤイヤを減らすコツは、こっそり○○すること【てぃ先生インタビューpart1】子どもが甘えん坊すぎて困るなら、親はシンプルにコレをすればいい【てぃ先生インタビューpart2】「ひとり遊び」に熱中してこそ、友だちとも遊べるようになるワケ【てぃ先生インタビューpart3】(※近日公開)園生活の様子が心配なら、子どもにこんな質問をしてみよう【てぃ先生インタビューpart4】(※近日公開)【プロフィール】てぃ先生(てぃせんせい)1987年2月8日生まれ。関東の保育園に勤める男性保育士。ちょっと笑えて、かわいらしい子どもの日常をつぶやいたTwitterが好評を博し、フォロワー数は50万人を超える。著書『ほお…、ここがちきゅうのほいくえんか』(KKベストセラーズ)は15万部、Twitter原作の漫画『てぃ先生』(KADOKAWA)は20万部を超えるヒットを記録。他に、『ハンバーガグー!』(ベストセラーズ)、『せんせい!きいて! 園児がくれた魔法のことば』(リクルートホールディングス)などの著書がある。現在は、保育士の専門性を生かし、子育ての楽しさや子どもへの向き合い方などをメディア等で発信。全国での講演活動は年間50本以上。他園で保育内容へのアドバイスを行う「顧問保育士」の創設と就任など、保育士の活動分野を広げる取り組みにも積極的に参加している。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2020年07月15日子育てにおいて、多くの親の頭を悩ませるもののひとつが、子どもの「イヤイヤ期」です。そもそも、イヤイヤ期にはどんな意味があり、その時期の子どもにはどう接するのがいいのでしょうか。カリスマ保育士として各種のメディアでも活躍する、てぃ先生にアドバイスをもらいました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹ただ成長している子どもに、親がついていけないだけ子どもの「イヤイヤ期」は、一般的に1歳半くらいから始まり、終わりの時期はまちまち。ピークは2〜2歳半です。この時期の子どもにはなにが起こっているのでしょうか?それは、自我の芽生えです。それまではお父さんやお母さんに言われたことに素直に従っていたのに、「そうしたくない!」といった感情や思考が自分にあることに気づき、親の言うことになかなか従わなくなります。もちろん、これは子どもの成長にとって重要なプロセスです。ところが、それまでは人形のように言うことに従っていた子どもが突然歯向かってくるため、親の側はびっくりしてしまいます。子どもはただ順調に成長しているだけなのに、その変化に親がついていけず、親が勝手に困ってしまうという状態になるのです。もちろん、必要な成長のプロセスにいる子どもの側には、「よし、親を困らせてやろう」なんて気持ちはまったくありません。でも、この時期の子どもは、「お父さんやお母さんに負けたくない!」という気持ちはもっています。スーパーでお菓子をねだるのも、そのお菓子を本当に欲しいと思っているわけではなく、親にお菓子を買ってもらうことで、「お母さんに勝った!」という気持ちを得たいがための行動である場合もあるわけです。子どもの「嫌」という言葉に込められた気持ちは?では、イヤイヤ期の子どもに対して、親はどう接するべきなのでしょうか。イヤイヤ期の子どもは、感情や思考が自分にあることに気づくと同時に、たくさんの葛藤やストレスも感じています。なぜかというと、言語能力が未発達だからです。1歳半の子どもでも、頭のなかでイメージしたり考えたりしていることはたくさんある。でも、それらを言葉にする力はまだありません。そのために生じる、「自分はこう思っているのに、わかってもらえない」といった葛藤やストレスが、イヤイヤ行動につながるのです。そこで、子どもの気持ちをわかろうとする努力が必要になります。子どもの「嫌」という2文字の言葉には、どんな気持ちが込められているのか?そこをしっかりと考えましょう。着替えを嫌がっているとしたら、「まだ遊んでいたいから着替えたくない」と思っているのかもしれないし、「この服が好きじゃない」とか「お母さんはまだパジャマのままなのに、なぜ僕だけ着替えないといけないのか」と思っているのかもしれません。そうして、「嫌」という言葉に込められた子どもの気持ちを推測したら、「まだ遊んでいたいの?」「この服が好きじゃないの?」と、どんどん言葉にして投げかけましょう。幼い子どもは自分の気持ちを言葉にできないのですから。子どもの気持ちを推測し、投げかけ、「あなたの気持ちがわかったよ」と共感すれば、子どもの葛藤やストレスは軽減し、イヤイヤ行動も減っていくはずです。こっそり手伝って、子どもに達成感を味わわせるまた、「自分でできた!」「自分で決めた!」という気持ちを子どもにもたせることも大切です。子どもが葛藤やストレスを抱えてしまう要因には、自分の気持ちを言葉にできないことのほか、理想の自分と現実の自分とのギャップも挙げられます。自我が芽生えた子どもは、理想の自分像をもっています。着替えをするにも、「自分はうまくできる!」と思っているわけです。でも、実際にやってみると、袖のほうに頭を入れてしまうなどうまくいきません。その事実に葛藤やストレスを感じてしまうことが、イヤイヤ行動につながるのです。そういった葛藤やストレスを感じさせないように、「自分でできた!」という気持ちをもたせることが大切になります。子どもがうまく着替えられないときに、「じゃ、お母さんがやってあげるね」と言ってあからさまに手伝ったとしたらどうでしょう?「自分はうまくできる!」と思っている子どもに「うまくできなかった……」と感じさせてしまいますよね。また、先にお伝えしたように、「お父さんやお母さんに負けたくない!」と思っている子どもに「負けた……」と感じさせてしまうことにもなる。これでは、イヤイヤ行動は収まりません。そうではなく、こっそりと手伝うことを意識しましょう。着替えだったら、子どもが服に顔を突っ込んでもがいているときに、気づかれないように服を引っ張るなどしてうまく着られるようにリードすればいい。そのタイミングで、お父さんやお母さんから「ひとりで着替えられたね!」と言われたら、子どもは強い達成感と満足感を得られ、イヤイヤ行動は減っていくでしょう。また、「自分で決めた!」という気持ちを子どもにもたせるには、子どもにチョイスさせることを推奨します。イヤイヤ期の子どもは、なんでも自分で決めたいという時期にあります。そこで、「この服を着なさい」と親が決めるのではなく、2パターンでもいいので「この服とこの服、どっちがいい?」と選ばせるのです。そうすれば、「これは自分で選んだ服なんだ、自分で決めたんだ」と子どもは感じて、達成感や満足感を得られます。それでも、子どものイヤイヤ行動に対してつい感情的になって叱ってしまうこともあるかもしれません。そんなときは、素直に謝りましょう。大人は難しく考えすぎです。「子どもの行動に対して叱ったのに、それを自分から謝るのは変じゃないか」なんて考えるかもしれませんが、子どもはそんな複雑なことを考えていません。親は子どもに対する自分の行動を反省したなら、素直にシンプルに「さっきはごめんね」と謝ればいいのではないでしょうか。『保育士てぃ先生のつぶやき日誌 きょう、ほいくえんでね…!!』てぃ先生 著/マガジンハウス(2019)■ カリスマ保育士・てぃ先生 インタビュー記事一覧子どものイヤイヤを減らすコツは、こっそり○○すること【てぃ先生インタビューpart1】子どもが甘えん坊すぎて困るなら、親はシンプルにコレをすればいい【てぃ先生インタビューpart2】(※近日公開)「ひとり遊び」に熱中してこそ、友だちとも遊べるようになるワケ【てぃ先生インタビューpart3】(※近日公開)園生活の様子が心配なら、子どもにこんな質問をしてみよう【てぃ先生インタビューpart4】(※近日公開)【プロフィール】てぃ先生(てぃせんせい)1987年2月8日生まれ。関東の保育園に勤める男性保育士。ちょっと笑えて、かわいらしい子どもの日常をつぶやいたTwitterが好評を博し、フォロワー数は50万人を超える。著書『ほお…、ここがちきゅうのほいくえんか』(KKベストセラーズ)は15万部、Twitter原作の漫画『てぃ先生』(KADOKAWA)は20万部を超えるヒットを記録。他に、『ハンバーガグー!』(ベストセラーズ)、『せんせい!きいて! 園児がくれた魔法のことば』(リクルートホールディングス)などの著書がある。現在は、保育士の専門性を生かし、子育ての楽しさや子どもへの向き合い方などをメディア等で発信。全国での講演活動は年間50本以上。他園で保育内容へのアドバイスを行う「顧問保育士」の創設と就任など、保育士の活動分野を広げる取り組みにも積極的に参加している。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2020年07月13日我が子に立派な人間になってほしい――。そう願うのなら、子どもが好ましくない行動をとったときにはある程度叱ることも必要だと考えるのは当然のことかもしれません。ところが、「基本的に、子どもは叱らなくても大丈夫」と言うのは、株式会社子育て支援代表取締役の熊野英一さん。その真意はどんなものなのでしょうか。日本アドラー心理学会/日本個人心理学会の正会員でもある熊野さんが、アドラー心理学の観点から教えてくれました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人ほめるも叱るも、子どもを「操作」しようとしているだけ「ほめて育てる」子育てが注目されている昨今ですが、アドラー心理学に基づく子育てでは、基本的に子どもをほめません。それなら、子どもを叱り飛ばしてばかりいるのかというとそうではなく、アドラー心理学では子どもを「叱らない」ことも大切にしています。子どもをほめないのは、「子どもを自分の思い通りにしよう」という「操作」の下心によって親子の信頼関係が壊れてしまわないようにするため。または、ほめすぎることで子どもの人格形成に悪影響を与えないようにするためです(インタビュー第3回参照)。では、「叱る」という行為はどうかというと、これもまた「操作」なのです。親が怒りやイライラなどの感情を子どもに対してぶちまけて叱ることには、「怖い顔をして大きい声を出せば、この子は言うことを聞くだろう」といった、操作の下心があります。その点で、叱ることもほめることと同様に、親子の信頼関係を壊してしまう危険性をはらんでいるのです。ほめるのも叱るのも、親が子どもを思い通りに操作するための作戦の違いに過ぎません。子どもに早く起きてほしいとき、多くの親は、「いい子だから、早く起きようね」と、まずほめる作戦から始めます。そして、どんどん時間が過ぎていくと、「なにやってるの!早く起きなさい!」と今度は叱る作戦を使うという具合です。もちろん、ほめることも叱ることも、たいていは子どものためを思っての親の行動です。「我が子にきちんとした人間に育ってほしい」と思って、ほめてみたり叱ってみたりと、親は一生懸命なのです。でも、結果はというと……親子の信頼関係を壊してしまったり、子どもの人格形成に悪影響を与えてしまったりと、あまり好ましくない方向に向かいます。つまり、その作戦自体が間違っていると考えるべきです。怒りではなく、「一次感情」を落ち着いて伝えるでは、どうすればいいのでしょう?その答えは、子どもの言動に対する怒りやイライラの感情の前にある、「落胆」「心配」「不安」「寂しい」「悲しい」といった一次感情に着目することです。怒りをそのまま子どもにぶつけるのではなく、怒りに達するほど「あなたを心配しているんだよ」だとか「嘘をつかれると悲しいんだよ」といった一次感情を子どもに伝えてください(インタビュー第1回参照)。すると、子どもの心に響く度合いがまったく違ってきます。「なんで嘘つくの!」と叱り飛ばされるのではなく、「お母さん、嘘をつかれると悲しいな……」と言われたなら?子どもは子どもなりに、「本当に悪いことをしたんだな」と感じて反省してくれるはずです。一方、ただ大声で子どもを叱るようなやり方では、「なにか大声で怒鳴っているな」という事実はわかっても、ではどうしてほしいのかということも、親の素直な一次感情も、子どもには伝わりません。だから子どもは同じ過ちを繰り返し、そのたびにまた親が叱るという悪循環に陥ってしまいます。怒りに飲み込まれないようにして、自分の素直な一次感情を落ち着いて伝えるのです。そうすれば、幼い子どもにもその気持ちは必ずきちんと伝わります。「インタビュアー」になれば、親のやるべきことが見えるそのように、子どもを叱りたくなるときにも落ち着いて子どもと接するために、子どもに対しては「インタビュアー」になることを意識してみてください。子どもが約束を破ったとか嘘をついた、暴力をふるったというような、子どもを叱りたくなる場面では、親はつい裁判官のような「評価者」になりがちです。そうして、「あなたは駄目だ!」と評価を下すことが自分の仕事だと思ってしまうのです。でも、子ども自身からすれば、ただどうしていいかわからなくて、親が叱りたくなるような言動をしてしまっただけということもよくあるケース。友だちにおもちゃを取られて、「返して」という言葉が出てこなくてつい手が出てしまった……。そんなときに、「子どもが暴力をふるった」という事実だけに目を向けて叱るのではなく、インタビュアーになって「なぜ手を出したのか」ということを聞き出してほしいのです。子どもの言動にはその子なりの理由が必ずあります。しっかりと子どもに向き合って話を聞いて、子どもなりの理由を聞き出すことができたら、頭ごなしに叱るのではなく、「そういうときは『返して』って言えばいいんだよ」というふうにアドバイスするなど、親としてやれることがはっきりと見えてくるのではないでしょうか。『アドラー式働き方改革 仕事も家庭も充実させたいパパのための本』熊野英一 著/小学館(2018)■ 株式会社子育て支援代表取締役・熊野英一さん インタビュー記事一覧第1回:「○○ファースト」がポイント!アドラー心理学で親子間のコミュニケーションがうまくいく第2回:大事なのは我が子を無条件で信じる「信頼」。「信用」しかできないのはとても危険第3回:子育てでは“ほめないこと”が大切なわけ。アドラー流・子どもを「ほめずに勇気づける」方法第4回:つい叱りたくなるときでも、親は「インタビュアー」になれば落ち着いて我が子に向き合える【プロフィール】熊野英一(くまの・えいいち)1972年1月22日生まれ、フランス・パリ出身。株式会社子育て支援代表取締役。早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。メルセデス・ベンツ日本人事部門に勤務後、米国Indiana University Kelley School of Businessに留学(MBA/経営学修士)。製薬企業イーライ・リリー米国本社及び日本法人を経て、保育サービスの株式会社コティに統括部長として入社。約60の保育施設の立ち上げ・運営、ベビーシッター事業に従事。2007年、株式会社子育て支援を設立し、代表取締役に就任。日本アドラー心理学会/日本個人心理学会正会員。主な著書に『アドラー式子育て 家族を笑顔にしたいパパのための本』(小学館)、『アドラー子育て・親育て 家族の教科書 子どもの人格は、家族がつくる』(アルテ)、『アドラー子育て・親育て 育児の教科書 父母が学べば、子どもは伸びる』(アルテ)がある。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2020年06月18日子育てにおけるキーワードとして頻繁に見聞きする「ほめて伸ばす」という言葉。ただ、株式会社子育て支援代表取締役であり日本アドラー心理学会/日本個人心理学会正会員でもある熊野英一さんは、「ほめて伸ばす」子育てに潜む危険性を指摘します。アドラー心理学に基づく子育てでは、ほめるのではなく、「勇気づける」ことが大切だとされているのだそう。その理由とはどんなものでしょうか。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカット)親子の信頼関係を壊す、子どもを操作しようとする「下心」アドラー心理学に基づく子育てでは、「ほめない」ことを大切にしています。その代わりに、子どもを「勇気づける」のです。こう言うと、「ほめることで子どもは伸びるのではないか」と思う人も多いでしょう。「ほめ言葉」が駄目だという意味ではありません。大切なのは、親の声かけのなかに「下心」をもたないこと。子どもをほめるときには、どこかで「子どもを自分の思い通りにしよう」という「操作」の下心が入りやすくなるものです。「いい子だから早く寝ようね」「こんなに勉強ができてすごいね!」と言って子どもをその気にさせようとする。そういった操作の下心があると、子どもとの信頼関係をきちんと築けなくなります。なぜなら、親の下心を子どもは敏感に察知するからです。最初は、子どももよろこぶでしょう。お父さんやお母さんから「いい子だね」と言われて嬉しくない子どもはいません。でも、親の下心は、表情やしぐさなどどこかににじみ出るものですから、そのうち必ず子どもにバレます。自分に置き換えて考えてみてください。仕事相手でもプライベートの知り合いでも、妙にお世辞を言うなどしてあなたのことをうまく転がそうとしてくるような人間と、いい関係を築けると思うでしょうか?そんなことはないはずです。ほめすぎることが子どもの人格形成に与える悪影響また、下心をもっているかどうかは別として、子どもをほめすぎることは、子どもの人格形成に悪影響を与えることもあります。ひとつは、「ほめられないとなにもしない子どもになる」ということ。ほめられることが当たり前になるために、ほめてくれないのなら勉強もしない、部屋の片づけもしない、といったことになります。また、「指示待ち人間になる」というのも、ほめすぎることが子どもに与える悪影響です。なぜなら、ほめるという行為の前提は、上下関係があるということだからです。子どもをほめすぎることは、「親は上に立って命令し、結果を評価する人であり、子どもは言うことを聞いたり親に依存したりして、その評価に左右される人」という関係をつくってしまう。その関係のなかで、子どもは指示待ち人間になっていきます。そして、最終的には子どもが「勇気を失ってしまう」ことにもなる。子どもを大げさにほめすぎるような親は、反面、子どもがちょっとしたミスをしたようなときには必要以上に叱りがちです。そういう親は、子どもが勉強の基本問題で正解できたようなときにも「わあ、すごい!」なんて大げさにほめ、「あなたは頭がいいから、応用問題もやってみようか」とけしかけます。でも、子どもは「基本問題だけでいい」とチャレンジから逃げてしまう。なぜなら、難しい応用問題でもいい結果を出せなければ、叱られることを知っているからです。ほめられないとなにもしない、自分で考えて行動できない、チャレンジする勇気がない――そんな子どもが、将来、自立した人生を歩んでいけるでしょうか?答えは考えるまでもなく「NO」ですよね。子どもを認めることが、子どもに「勇気」を与える大切なのは、ただ子どもをほめることなどではなく、子どもをひとりの人間として信頼してリスペクトすることにあります。もちろん、親と子、大人と子どもという立場の上下は存在する。でも、親子でコミュニケーションをするときには、縦ではなく横の関係であるべきです。それは、子どもを「認める」、子どもに「共感する」ことであり、そして子どもを「勇気づける」ことにつながります。テストで100点とったかそうではないのか、スポーツでいいプレーをできたかそうではないのか――そういった子どもがやったことの結果ではなく、子どもの気持ちに関心を寄せるのです。仮に結果がよくなかったとしたら、悔しさや恥ずかしさなど、子どもはさまざまな気持ちを抱いています。その気持ちに共感して寄り添うのです。そして、「じゃ、今度はどうしようか?」「なにか手伝えることはある?」と親が伴走してくれたなら、子どもにとってこれほど頼もしいことはない。きっと子どもは「よし、もう一回やってみよう!」という勇気を手にすることができるはずです。このように、子どもがなにかに失敗した場面でなら、「認める」「共感する」「勇気づける」ための親の振る舞いはイメージしやすいものでしょう。でも、逆に子どもがなにかに成功した場面ならどうでしょうか?それこそ、手放しでほめたくなるものですよね。下心のないほめであればいいですが、やはりほめることに重点は置かないようにしましょう。ほめてあげるよりも、もっと子どもを勇気づけるのは、「自分の気持ち」、そして「感謝」を伝えることです。子どもが打ち込んでいるなにかでしっかり結果を出した。そのとき、お父さんとお母さんから、「すごく嬉しいよ、ありがとう!」と言われた――。それこそが、子どもにとって最高の勇気づけです。『アドラー式働き方改革 仕事も家庭も充実させたいパパのための本』熊野英一 著/小学館(2018)■ 株式会社子育て支援代表取締役・熊野英一さん インタビュー記事一覧第1回:「○○ファースト」がポイント!アドラー心理学で親子間のコミュニケーションがうまくいく第2回:大事なのは我が子を無条件で信じる「信頼」。「信用」しかできないのはとても危険第3回:子育てでは“ほめないこと”が大切なわけ。アドラー流・子どもを「ほめずに勇気づける」方法第4回:つい叱りたくなるときでも、親は「インタビュアー」になれば落ち着いて我が子に向き合える(※近日公開)【プロフィール】熊野英一(くまの・えいいち)1972年1月22日生まれ、フランス・パリ出身。株式会社子育て支援代表取締役。早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。メルセデス・ベンツ日本人事部門に勤務後、米国Indiana University Kelley School of Businessに留学(MBA/経営学修士)。製薬企業イーライ・リリー米国本社及び日本法人を経て、保育サービスの株式会社コティに統括部長として入社。約60の保育施設の立ち上げ・運営、ベビーシッター事業に従事。2007年、株式会社子育て支援を設立し、代表取締役に就任。日本アドラー心理学会/日本個人心理学会正会員。主な著書に『アドラー式子育て 家族を笑顔にしたいパパのための本』(小学館)、『アドラー子育て・親育て 家族の教科書 子どもの人格は、家族がつくる』(アルテ)、『アドラー子育て・親育て 育児の教科書 父母が学べば、子どもは伸びる』(アルテ)がある。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2020年06月16日子育てに関する考え方は家庭それぞれです。「子育てに欠かせないものはなに?」と問われたら、みなさんならどう答えるでしょうか。この問いに、株式会社子育て支援代表取締役の熊野英一さんは「信頼」だと答えます。日本アドラー心理学会/日本個人心理学会正会員でもある熊野さんが、アドラー心理学の観点から、子育てにおける「信頼」の重要性、その築き方を教えてくれました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカット)子どもは、生まれた瞬間から親の「信頼」を確認するみなさんは、自分の子どもを「信頼」していますか?「もちろん!」と思った人もいるかもしれませんが、じつはなかなか難しいことでもあります。でも、子どもを「信用」している人は多いはず。どういうことかと言うと、「信用」と「信頼」はまったく別の意味を持つ言葉なのです。簡単に言えば、「信用」は「条件つきで信じる」こと。対して、「信頼」は「無条件で信じる」ことです。「テストで100点とれたからいい子だね」「早く起きてくれたからいい子だね」――。これらの言葉には条件がありますから、「信用」になります。子どもを信用することも子どもを信じることには変わりありませんが、これらの言葉は、「あなたがいい子であるためには、なんらかの条件をクリアしないとだめだよ」と伝えていることになります。これは、子どもにとってはよくないこと。そうやって条件をつきつけられ続けた子どもは、「もし条件をクリアできなかったら、いい子じゃなくなっちゃう……」と怖がり、さまざまなチャレンジを回避するような生き方しかできなくなってしまうでしょう。子育てにおいては、子どもを無条件で信じる「信頼」こそが大切です。これは、「愛」と言い換えてもいいでしょう。子どもに対する信頼が大切になるのは、子どもが生まれたその瞬間からです。生まれたばかりの子どもは、2歳くらいまでのあいだに親からの「信頼」を確認していきます。一番近くにいる親――たいていは母親の振る舞いから、「この世界は、そして自分は、生きるに値するのか」と確認するのです。赤ん坊は、自分ではなにもできない存在です。それでも、そんな自分に対して母親はあらゆる世話をしてくれる。そのなかで、「ありのままの自分が受け入れられている」「なにも価値を生み出さなくとも、ありのままの自分がすでに価値を持っているんだ」と確認します。それが、その後の人生をしっかり歩んでいくうえで欠かせない重要なステップなのです。親の過剰な期待によって、「信頼」が減り「信用」が増えるもちろん、ほとんどすべての親が、子どもが生まれた瞬間には「この世に生まれてきてくれただけで嬉しい!」と感動し、ありのままの子どもを受け入れ信頼します。ところが、時間が経つにつれて、ほかの子どもや自分の理想の子ども像と現実の我が子を比べ始めてしまう。そうして、「こんなふうに育ってほしい」という思いから子どもに条件を突きつけ、徐々に信頼の割合が減って信用の割合が増えることになるのです。このことは、先にもお伝えしたように、子どもがチャレンジを回避するような生き方しかできなくなるといったデメリットを生みます。さらに、ほかのデメリットとして、親子関係を悪化させることも挙げられます。親は「こんなふうに育ってほしい」と子どもに対して過剰な期待をしてしまいますから、そのあとには必ず「落胆」がある。落胆は、コミュニケーションの大きな障害となる「イライラ」や「怒り」を生む一次感情です。そうして必要以上にイライラや怒りの感情を抱えてしまうことになり、親子関係は悪化してしまうでしょう。そう考えると、子どもをしっかり信頼するための方法のひとつが、前回の記事でお伝えした、まず子どもの気持ちに共感する「共感ファースト」ということになります(インタビュー第1回参照)。子どもの言動にたとえ同意できなくとも、まずは共感する。そうすることが、よりよい親子関係、親子間のコミュニケーション、信頼の構築につながるはずです。子どもに対する強い信頼をつくる「課題の分離」子どもを信頼するためのもうひとつの方法として、アドラー心理学でいう「課題の分離」というものも紹介しておきましょう。「勉強をしない」「きょうだいげんかをする」といった子どもの言動に「イライラする」とき、その主述関係を整理して、課題を親子それぞれにきちんと分けるのです。このケースなら、「イライラする」のは「親」です。つまりこれは「親の課題」となる。一方、「勉強をしない」「きょうだいげんかをする」のは「子ども」ですから、これらは子どもの課題。そのように切り分けて、子どもの課題に親が手出し口出ししないようにするのです。これは、日本を含むアジア圏でとても有効な方法です。小さい子どももひとりの人間として扱う個人主義が強い欧米に比べ、アジアでは「子どもは親が助けてあげなければならない存在」と考えがちです。そのため、子どもの課題も親の課題であるかのように考えて介入したくなってしまう。そうして、必要以上にイライラしていく構造だというわけです。でも、親子それぞれの課題を明確にすれば、そういったことは激減するでしょう。もちろん、子どもが本当に困ってしまって助けを求めてきたなら、助けてあげる必要はあります。でも、そうなるまでは信頼して子どもを見守るべきです。その姿勢が、子どもに対する強い信頼をつくっていきます。『アドラー式働き方改革 仕事も家庭も充実させたいパパのための本』熊野英一 著/小学館(2018)■ 株式会社子育て支援代表取締役・熊野英一さん インタビュー記事一覧第1回:「○○ファースト」がポイント!アドラー心理学で親子間のコミュニケーションがうまくいく第2回:大事なのは我が子を無条件で信じる「信頼」。「信用」しかできないのはとても危険第3回:子育てでは“ほめないこと”が大切なわけ。アドラー流・子どもを「ほめずに勇気づける」方法(※近日公開)第4回:つい叱りたくなるときでも、親は「インタビュアー」になれば落ち着いて我が子に向き合える(※近日公開)【プロフィール】熊野英一(くまの・えいいち)1972年1月22日生まれ、フランス・パリ出身。株式会社子育て支援代表取締役。早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。メルセデス・ベンツ日本人事部門に勤務後、米国Indiana University Kelley School of Businessに留学(MBA/経営学修士)。製薬企業イーライ・リリー米国本社及び日本法人を経て、保育サービスの株式会社コティに統括部長として入社。約60の保育施設の立ち上げ・運営、ベビーシッター事業に従事。2007年、株式会社子育て支援を設立し、代表取締役に就任。日本アドラー心理学会/日本個人心理学会正会員。主な著書に『アドラー式子育て 家族を笑顔にしたいパパのための本』(小学館)、『アドラー子育て・親育て 家族の教科書 子どもの人格は、家族がつくる』(アルテ)、『アドラー子育て・親育て 育児の教科書 父母が学べば、子どもは伸びる』(アルテ)がある。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2020年06月14日家庭教育の話題としても耳にすることが増えている「アドラー心理学」。そもそも、アドラー心理学とはどんなもので、子育ての場面ではどのように生かせるのでしょうか。そのポイントを、株式会社子育て支援代表取締役であり、日本アドラー心理学会/日本個人心理学会の正会員でもある熊野英一さんが教えてくれました。熊野さんは、アドラー心理学の考え方を生かすことにより、親子間のコミュニケーションが格段にスムーズになると言います。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人一般人でも実践的に使えるアドラー心理学アドラー心理学は、心理学の一分野です。その創始者であるオーストリアの心理学者、アルフレッド・アドラーは、フロイト、ユングと並ぶ心理学の3大巨頭ですが、日本ではほかのふたりと比べて少しマイナーな存在でした。それが大きく変わったのが、2013年。アドラーの教えを伝える書籍『嫌われる勇気』(ダイヤモンド社/岸見一郎・古賀史健 著)が大ヒットしたことで、日本にもアドラーの名が知れわたったのです。もちろん、アドラー心理学が注目を集めるようになった要因は、書籍のヒットだけではありません。なにより、その使い勝手の良さが大きかったと思います。アドラー心理学は、非常にシンプルでわかりやすい理論のため、子育てのほか、夫婦関係や職場での人間関係など、さまざまな対人関係に適用しやすいのです。では、アドラー心理学とは具体的にどういうものなのでしょうか。アドラーは、簡単に言うと、「どうすれば人は仲良くできるのか」ということを追求した人です。アドラー以前の心理学は、基本的に、心の問題を抱えている人を精神分析したりトラウマなど心の闇をまさぐったりして、「問題の原因を解明していく」というスタンスでした。でも、それでは即座に問題を解決することは難しい。いままさにけんかしている目の前の人とどうすれば仲直りできるのか、これから仲良くできるのか――。アドラーはそこにフォーカスしました。だからこそ、心理学について特別に学んでいない人たちであっても実践的に使える心理学として、アドラー心理学の注目度がどんどん増しているのだと思います。「子育ての最終目標」とは「子どもを自立させる」ことそのアドラー心理学の観点から、「子育ての最終目標」とは「子どもを自立させる」ことだと私は考えています。普通に考えると、親は子どもより長く生きることができません。そうであるなら、子どもが親から離れて自活し、自らの幸せをつかめるような人間に育てること、すなわち自立させることが親の役割だと言えます。また、自立に加えて、もうひとつの大事なキーワードが、アドラー心理学の専門用語で「共同体感覚」と呼ぶものです。わかりやすく言うと、「公共心」とか「思いやり」になるでしょうか。どんな人間にとっても自分は大事ですから、必要以上に自分を犠牲にする必要はありません。その一方で、社会生活を営む人間としては、「自分さえよければいい」という考え方はNGでしょう。自分を大事にして自らの幸せを追求しながらも、困っている他者に対して手を差し伸べることができる感覚――。共同体感覚を誰もがもっていたとしたら、その社会はきっとハッピーであるはずです。そういう点では、自分も他者も大事にできる共同体感覚をもっている人間が、自立している人間だと定義できるかもしれません。もちろん、アドラー心理学を学んだ経験がない人でも、親であれば誰もが「子どもに自立してほしい」「自分も他人も思いやれる人になってほしい」と願うものでしょう。ところが、実際の子育てとなると、さまざまな問題に直面します。その筆頭が、子どもに対する「イライラ」や「怒り」の感情ではないでしょうか。親は子どもを愛しているからこそ、イライラしてしまうでは、イライラや怒りとはなにか?それらは、心理学的には「二次感情」と呼ばれるものです。でも、二次感情以前に別の感情である「一次感情」があります。それらが増大して沸点に達した結果、イライラや怒りになるのです。代表的な一次感情は、「落胆」「心配」「不安」「寂しい」「悲しい」の5つ。「いい子に育ってほしい」と期待しているから落胆がある。「健康でいてほしい」と願うから心配するし不安にもなる。子どもと離れると寂しいし、子どもと愛し合えなくなったら悲しい。どれも親が子どもに対してもちやすい感情ですよね。つまり、これらの感情は親としての子どもへの愛情とセットのものです。親はみんな子どもを愛しています。だからこそ、一次感情が膨らんでイライラや怒りを抱えてしまうのです。つまり、親が子どもに対してイライラや怒りを覚えるのは当然のこと。問題は、親の気持ちの伝え方にあるのです。二次感情のイライラや怒りをそのままぶつけるから、親子関係がうまくいかなくなる。そうではなく、冷静に一次感情を伝えることを考えましょう。親子間に欠かせない「共感」は、「同意」とはまったくの別物そして、それ以前に子どもの話をきちんと聞くことを心がけてください。その際のキーワードとなるのが、「共感ファースト」。まずは子どもの話を聞いて、その思いに共感することが重要なポイントです。ただ、注意してほしいのは、「共感」と「同意」はまったく別物だということ。「共感=同意」だと考えると、すべて子どもの言いなりになるしかありません。それではやはり、親としては納得できない。「同意できないから、私は共感もしない」と考えてしまい、きちんと子どもの話を聞いてあげられなくなり、親子間の衝突が起きるのです。同意しなくてもいいのです。でも、まずは共感してみましょう。たとえば子どもが友だちに暴力をふるったとします。その行為自体はいいものではありませんから、絶対に同意はできないでしょう。でも、その行為の裏には、暴力をふるってでも守りたかった自分の正義があったのかもしれない。その本心をきちんと聞いて共感してあげないことには、子どもはいつまでたっても「どうしてわかってくれないんだ!」と親に対して不信感を募らせるだけです。でも、親がしっかり子どもの話を聞いて共感してくれたら、「お父さん、お母さんは、自分のことを本当にわかろうとしてくれているんだ」と子どもは思いますよね。そうすれば、そのあとのコミュニケーションもスムーズになる。「あなたの気持ちはよくわかった、でもやっぱり暴力はよくないと思う」と同意できないことを伝えても、自分に共感してくれた親の言葉になら、子どもは素直に耳を傾けてくれるはずです。『アドラー式働き方改革 仕事も家庭も充実させたいパパのための本』熊野英一 著/小学館(2018)■ 株式会社子育て支援代表取締役・熊野英一さん インタビュー記事一覧第1回:「○○ファースト」がポイント!アドラー心理学で親子間のコミュニケーションがうまくいく第2回:大事なのは我が子を無条件で信じる「信頼」。「信用」しかできないのはとても危険(※近日公開)第3回:子育てでは“ほめないこと”が大切なわけ。アドラー流・子どもを「ほめずに勇気づける」方法(※近日公開)第4回:つい叱りたくなるときでも、親は「インタビュアー」になれば落ち着いて我が子に向き合える(※近日公開)【プロフィール】熊野英一(くまの・えいいち)1972年1月22日生まれ、フランス・パリ出身。株式会社子育て支援代表取締役。早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。メルセデス・ベンツ日本人事部門に勤務後、米国Indiana University Kelley School of Businessに留学(MBA/経営学修士)。製薬企業イーライ・リリー米国本社及び日本法人を経て、保育サービスの株式会社コティに統括部長として入社。約60の保育施設の立ち上げ・運営、ベビーシッター事業に従事。2007年、株式会社子育て支援を設立し、代表取締役に就任。日本アドラー心理学会/日本個人心理学会正会員。主な著書に『アドラー式子育て 家族を笑顔にしたいパパのための本』(小学館)、『アドラー子育て・親育て 家族の教科書 子どもの人格は、家族がつくる』(アルテ)、『アドラー子育て・親育て 育児の教科書 父母が学べば、子どもは伸びる』(アルテ)がある。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2020年06月12日子どもに対して、「勝手に育ってくれ」なんて思っている親はまずいません。親それぞれに理想の子育てがあるからです。そのため、自分の理想から外れるようなことを子どもがすると、どうしても親子でぶつかりがち。アメリカの臨床心理学者であるトマス・ゴードン博士が、心理学、教育学、発達心理学をベースに開発したコミュニケーション訓練プログラム「親業」のインストラクターである親業訓練協会の瀬川文子さんは、親子間の問題を解決するには「勝負なし法」がベストだと言います。しかも、この方法には子どもの創造性を伸ばすというメリットもあるのだそう。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人親子間における問題の解決法は3種類「親業」においては、親子間における問題を解決するには3つの方法があると考えています。よく使われるのが、親の意見や考えを無理やり子どもに押しつけて従わせる方法です。これをわたしたちは、「第1法」と呼んでいます。一方で、スーパーで子どもに「お菓子が欲しい」と駄々をこねられ仕方なく親が従うということもある。これは、子どもが自分の考えを押し通したケースで、「第2法」と呼ぶものです。これら第1法と第2法には、勝ち負けが存在します。第1法なら親が勝ちで子どもが負け、第2法なら子どもが勝ちで親が負け。これら勝ち負けがある「勝負あり法」は、力技です。力を使われて負けたほうは、勝ったほうに対してもどうしても不満を持ってしまう。そのため、いい関係を築きにくくなります。でも、3つ目の問題解決の方法である「第3法」と呼ぶものは、勝ち負けがない「勝負なし法」です。この方法では、本来、子どもより力を持っている親は、その力を使わずに子どもとの話し合いのテーブルにつきます。いわば、横並びで対等になるわけです。そして、子どもと同じ目線に立ち、互いが納得できる解決策を話し合いながら探していくのです。もちろん、子どもの側も子どもなりに考えて解決策を出します。そのため、互いに不満が残らないのです。「勝負あり法」が子どもの育ちに与える悪影響もちろん、「勝負なし法」で親子間の問題を解決することが信頼関係を強めます。第1法、第2法では、親子のどちらかに不満が残ること以外にも、大きなデメリットがあります。それは、子どもの育ちに悪影響を与えるということ。第1法では、指示命令によって親の言いなりに子どもを育てることになります。そのため、子どもは、「言われたことはやるけど、言われなければやらない」という、いわゆる「指示待ち人間」になってしまうでしょう。これからの時代に大切だとされる、自立心や主体性がまったく育たないということになりかねません。また、第2法の場合には、子どもは常に自分の要求が通るために、すごくわがままで傍若無人に育ってしまう可能性を秘めています。もちろん、その要求を親だけに向けるのではなく、友だちなどまわりの人にもそうするでしょう。それでも、未就学児の頃までならなんとか社会生活ができるかもしれません。でも、小学校に入学したらそうはいかない。先生からは叱られ、友だちには嫌われる……。そうして、不登校になるといったことだって否定できません。さらに、第2法を使い続けると、年齢に応じて要求が大きくなることも問題です。スーパーでお菓子をねだるくらいならまだかわいいものですが、10代も後半となったら、バイクや自動車をねだるといったふうに要求はエスカレートするでしょう。そのときになって「これじゃ駄目だ」と慌てて第1法に変えようものなら、それこそ親子間のバトルが勃発してしまいます。子どもが一生懸命に考えることで、創造性が伸びる一方、「勝負なし法」である第3法の場合には、親子双方に不満が残らないことのほかにもメリットがあります。それは、子どもの創造性が伸びるということ。なぜなら、子どもが自分で「どうしたらこの問題を解決できるんだろう?」と一生懸命に考えるからです。いろいろな経験があるために「こういうケースはこうするべきだろう」と考えがちな親よりも、むしろ子どものほうがよほどおもしろくて自由な解決策を提案するということも珍しくありません。これは親子が衝突したケースではありませんが、かわいらしくて楽しいエピソードをひとつ紹介しましょう。わたしたちが行なっている親業訓練講座(インタビュー第1回参照)を受講したお母さんから聞いたお話です。そのお母さんには3人の子どもがいます。そして、問題となっていたのが、「寝るときにお母さんの隣を3人の子どもが取り合う」ということでした(笑)。子どもは3人なのに、お母さんの隣はふたつしかありませんからね。どうすればいいかと話し合ってみると、子どもたちは、じつにおもしろくて自由な解決策をどんどん提案しました。たとえば、「ひとりはお母さんの上で寝る」とか。それから、「みんなで寝られる大きい布団を買う」という意見も。その子の視点からは、同じ布団に入っていたら隣で寝ているという感覚なんですね。そんな発想は大人にはありません。このケースのように、なにか問題が生じたとしても「勝負なし法」によって子どもの発想を面おもしろがるような姿勢が、親子間の問題解決には大切なのかもしれません。子どものおもしろい発想に親が笑ってしまったら、それこそ衝突どころではありませんからね。『あっ、こう言えばいいのか! ゴードン博士の親になるための16の方法 家族をつなぐコミュニケーション』瀬川文子 著/合同出版(2013)■ 親業訓練協会インストラクター・瀬川文子さん インタビュー記事一覧第1回:子どもが反発ばかり……親子関係の問題を劇的に改善する「双方向」のコミュニケーションとは第2回:繰り返す、言い換える、気持ちを汲む。親の「能動的な聞き方」が、子どもを問題解決に向かわせる第3回:「私メッセージ」の叱り方で子どもが変わる! 親は怒りではなく“第一次感情”に注目して第4回:親子の衝突を解決するには「勝負なし法」がベスト。勝敗を決めるのは、子どもの育ちに悪影響【プロフィール】瀬川文子(せがわ・ふみこ)1954年8月28日生まれ、東京都出身。親業訓練協会シニアインストラクター。1973年、日本航空に客室乗務員172期生として入社。14年間の国際線勤務の後、結婚のために退社。1998年、コミュニケーション訓練のプログラム「親業」の指導員資格を取得。2002年、CAP(子どもへの暴力防止プログラム)スペシャリストの資格を取得。2003年、親業シニアインストラクターの資格を取得。2006年、『ママがおこるとかなしいの』(金の星社)で絵本作家としてデビュー。同年、親業訓練協会インストラクター養成担当となる。2015年、日本アンガーマネジメント協会ファシリテーターの資格を取得。現在は、親業訓練協会の運営に関わりながら、医療、介護、教育の各機関、企業、家庭を対象に、「想いが伝わるコミュニケーション」を軸とした講演会等を全国各地で行うなど活躍の場を広げている。主な著書に、『聞く、話す あなたの心、わたしの気もち いじめない、いじめられない子どものためのコミュニケーション』(元就出版社)、『ほのぼの母業のびのび父業 ゴードン博士に学ぶ 21世紀の家庭へ わかりあえるコミュニケーション訓練』(元就出版社)、『職場に活かすベストコミュニケーション ゴードンメソッドが職場を変える』(日本規格協会)がある。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2020年06月10日「何度言っても子どもが言うことを聞かない」「いつも同じことで叱っている気がする」――。これはもう、親にとっての「あるある」でしょう。そういうことが起こる原因はどこにあるのでしょうか。アメリカの臨床心理学者であるトマス・ゴードン博士が、心理学、教育学、発達心理学をベースに開発したコミュニケーション訓練プログラム「親業」のインストラクターである親業訓練協会の瀬川文子さんに、対処法と併せて教えてもらいました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカット)「あなた」を主語にした叱り方が子どもの反発を招くNGな叱り方をひとことで言うと、「『あなた』を主語にした叱り方」です。子どもを叱るのは、たいてい子どもの行動に対して親が気に入らないとき。すると、「どうしてそんなことするの!」というふうな表現になります。主語を省略することが多いのが日本語の特徴であるためにわかりづらいかもしれませんが、これは、「(あなたは)どうしてそんなことするの!」と、「あなた」を主語にした叱り方です。「(あなたは)なにやってるの!」「(あなたは)またそんなことして……」も同様。そして、これら「あなた」を主語にした叱り方には、相手を責めるニュアンスが強く含まれます。そのため、責められたほうは言い訳をしたり反発したりしたくなるのです。親からしたら気に入らない行動も、子どもからすれば「親に迷惑をかけてやろう」なんて思ってやっているわけではありません。汚れた靴下を脱ぎっぱなしにしたのもただ忘れてしまっただけとか、おもちゃを片づけないのも夢中になって遊んでいるうちに結果的に散らかってしまっただけということがほとんどでしょう。そこで、「まったくこの子は!」というふうに子どもを責めるのはお門違いです。叱るときは、怒りではなく「第一次感情」に注目そうではなくて、親は「(私が)困っているんだ」ということを丁寧に子どもに伝えていかなければなりません。「私」を主語にした「私メッセージ」で子どもに感情を伝えることが大切なのです。そうすれば、子どもは親の感情をきちんと受け取って、行動を変える可能性が高くなります。でも、親も自分の感情にはなかなか気づけないものです。私たちが行なっている親業訓練講座(インタビュー第1回参照)の受講者のみなさんに、「私メッセージ」をつくる練習のために、親子にありがちなシチュエーションのなかでの自分の感情を挙げてもらうと、「嫌だ」「困る」「イライラする」くらいなもの。普段からそこに注目していないために、自分の感情が見えなくなっているわけです。でも、感情がそんなに単純なものだけであるはずはないですよね?そこで、自分の感情に注目するトレーニングをしましょう。注目してほしいのは、いわゆる「第一次感情」です。子どもを叱るとき、多くの親は先に挙げた3つの感情などを含む「怒り」を感じています。でも、怒りというものは、たいてい別の感情の次に湧いてくるもの。その怒りより先に湧いてくる感情こそが第一次感情です。子どもが遊園地で迷子になったとします。親が最初に感じる感情はなにかといったら、当然「心配」や「不安」でしょう。「どこに行っちゃったんだろう……」と親なら誰もが我が子を心配して不安になる。でも、子どもが無事に見つかったら、最初にどんな言葉をかけるかというと……「(あなたは)なにやってんの!」です。これでは、心配されていたことがわからないまま、怒られたという事実だけが子どもの印象に残ってしまう。つまり、親子間のコミュニケーションにとって好ましくない誤解を生むことになるのです(インタビュー第1回参照)。親の「私メッセージ」が、子どもの「思いやり」も育むもちろん、場合によっては叱らなければならないこともあるでしょう。でも、その前にまずは親の心配や不安といった第一次感情を「私メッセージ」で伝えるほうが効果的です。そうすれば、叱られた子どもに親の気持ちがしっかり伝わり、子どもの反省の度合もまったく違ってきます。それこそ迷子になった子どもが見つかったときであれば、親に「よかった、すごく心配して不安だったのよ」と言われたなら、子どもも「こんなに心配させてしまうんだったら、今度から気をつけよう」と思うでしょう。そのあとのお説教も素直に聞いてくれるはずです。最後に、子どもの行動や言葉が嫌だなと思ったときの、「私メッセージ」の伝え方のコツを紹介しておきます。以下の「3部構成」にすることが効果的です。【「私メッセージ」のコツ】子どもの行動:非難がましくなく、目に見える、耳に聞こえる事実を伝える行動から受ける自分への影響:できるだけ具体的に伝える私の感情:正直に素直に伝えるこの「3部構成」で「私メッセージ」を伝えることにより、子どもは自分の行動が親を困らせたり悲しませたりすることを理解できるようになる。ひいては、他人に対する「思いやり」を育むことにもつながります。そのためにも、「こうしてちょうだいね」という言葉をつけ加えて「4部構成」にしないことです。それでは結局、指示命令になってしまい、子どもの思いやりが自発的に生まれることを阻害することになりますから注意してください。『あっ、こう言えばいいのか! ゴードン博士の親になるための16の方法 家族をつなぐコミュニケーション』瀬川文子 著/合同出版(2013)■ 親業訓練協会インストラクター・瀬川文子さん インタビュー記事一覧第1回:子どもが反発ばかり……親子関係の問題を劇的に改善する「双方向」のコミュニケーションとは第2回:繰り返す、言い換える、気持ちを汲む。親の「能動的な聞き方」が、子どもを問題解決に向かわせる第3回:「私メッセージ」の叱り方で子どもが変わる! 親は怒りではなく“第一次感情”に注目して第4回:親子の衝突を解決するには「勝負なし法」がベスト。勝敗を決めるのは、子どもの育ちに悪影響(※近日公開)【プロフィール】瀬川文子(せがわ・ふみこ)1954年8月28日生まれ、東京都出身。親業訓練協会シニアインストラクター。1973年、日本航空に客室乗務員172期生として入社。14年間の国際線勤務の後、結婚のために退社。1998年、コミュニケーション訓練のプログラム「親業」の指導員資格を取得。2002年、CAP(子どもへの暴力防止プログラム)スペシャリストの資格を取得。2003年、親業シニアインストラクターの資格を取得。2006年、『ママがおこるとかなしいの』(金の星社)で絵本作家としてデビュー。同年、親業訓練協会インストラクター養成担当となる。2015年、日本アンガーマネジメント協会ファシリテーターの資格を取得。現在は、親業訓練協会の運営に関わりながら、医療、介護、教育の各機関、企業、家庭を対象に、「想いが伝わるコミュニケーション」を軸とした講演会等を全国各地で行うなど活躍の場を広げている。主な著書に、『聞く、話す あなたの心、わたしの気もち いじめない、いじめられない子どものためのコミュニケーション』(元就出版社)、『ほのぼの母業のびのび父業 ゴードン博士に学ぶ 21世紀の家庭へ わかりあえるコミュニケーション訓練』(元就出版社)、『職場に活かすベストコミュニケーション ゴードンメソッドが職場を変える』(日本規格協会)がある。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2020年06月08日アメリカの臨床心理学者であるトマス・ゴードン博士が、心理学、教育学、発達心理学をベースに開発したコミュニケーション訓練のプログラム「親業」。そのインストラクターである親業訓練協会の瀬川文子さんに、具体的なメソッドを教えていただきます。今回、取り上げるポイントは、「聞き方」です。瀬川さんは、「子どもが育っていく過程において、親による話の聞き方は非常に重要」だと言います。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカット)聞き方には「受動的な聞き方」と「能動的な聞き方」がある「親業」においては、聞き方には「受動的な聞き方」と「能動的な聞き方」の2種類があるとしています。受動的な聞き方とは、子どもがなにかを話しているときに「相づちを打つ」「黙って聞く」「話が止まったら促す」といったことを指します。これも、親子間のコミュニケーションにおいては大切なことです。でも、受動的な聞き方が適さないケースもあります。子どもが深刻な悩みを打ち明けているのに、親が「へえ」「ふうん」とただ相づちを打っているだけだとしたらどうでしょうか?子どもは、自分の言っていることがきちんと親に伝わっているのか、親が自分を受け入れてくれているのかがわからず、不安に陥ります。そのような不安を招かないために効果的なのが、「能動的な聞き方」です。能動的な聞き方とは、「あなたの話を私はこう理解したけれど、それで正しい?」というふうに、相手に確認する聞き方のこと。具体的には、「相手の言葉を繰り返す」「言い換える」「相手の気持ちを汲む」です。子どもに問題や悩みを客観視させる「能動的な聞き方」じつは、この聞き方は、カウンセラーがよく使うものです。カウンセラーは、基本的に依頼者の話を聞くだけで、解決策を与えることはしません。与えなくとも、この能動的な聞き方によって依頼者自身が解決策を見いだすことができるからです。友だちと喧嘩したことを悩んでいる子どもが、どうしたらいいかと親に相談していたとします。そこで、「いまのあなたの話って、こういうことだよね?」と親から確認されると、子どもは自分の悩みや問題、喧嘩の経緯を鏡で見ているような状態になる。そのために、「僕の言葉にも悪いところがあったかも……」といったふうに客観視ができ、「じゃ、どうしたらいいんだろう」と子どもが自分で考えて解決策を導き出すことができるのです。もちろん、ただ能動的な聞き方をすればいいわけではありません。子どもが悩みを打ち明けているようなケースなら、それこそ子どもの気持ちに共感してあげる必要がある。それなのに、親業をちょっと学んだ人のなかには、表面的なテクニックに走る人も見受けられます。能動的な聞き方の具体的な方法は、「相手の言葉を繰り返す」「言い換える」「相手の気持ちを汲む」ことだとお伝えしました。このなかで一番簡単なものが「繰り返す」ですよね。そのため、「なんでもかんでも子どもの言葉を繰り返せばいい」と考える人もいるのです。でも、子どもが困っているケースにもいろいろなものがあります。これは少し極端な例えですが、先の予定がわからなくて困っている子どもから、「お母さん、来週の予定ってどうなってたっけ?」と聞かれたのに、それを繰り返したところでなんの解決にもならないですよね。あるいは、子ども自身が親の考えを見抜くということもあります。ただ表面的にテクニックを使って「とにかく繰り返せばいいや」と思っていたら、そのいい加減な気持ちは表情や声のトーンなどどこかに出てくるものです。子どもは敏感ですから、そういうサインを見逃しません。そのため、むしろ親子の信頼関係を壊してしまうことにもなりかねないのです。気持ちを3つに整理して、親がやるべきことを知るそんな悲劇を招かないためにも、「気持ちを整理する」ことを意識しましょう。親業においては、気持ちを大きく3つに分けて考えます。その分類基準は、「自分(親)が受け入れられるか受け入れられないか」ということ。子どもが汚れた靴下を脱ぎっぱなしにしていることを「嫌だなあ」と思ったら、それは親としては受け入れられない――「非受容」の行動として整理します。非受容の行動については、「嫌だなあ」と思っているのは親ですから、親自身がきちんと表現しない限り子どもには伝わりません。だから、「靴下を脱いだままにされると困るんだよね」というふうに表現する必要がある。非受容の行動についてはきちんと表現しなければならないのだと自動的に判断できます。一方、受け入れられる――「受容」に整理したもののなかにも、親は嫌ではなくても子どもが嫌だと思っていたり困ったりしている行動もあります。これが2つめの分類です。たとえば、子どもが「お母さん、抱っこして」と言ってきたとします。「嫌だなあ」と思う親はほとんどいませんよね?でも、子どもの様子をよく見ると、なんだかいつもと違って元気がない。「なにか嫌なことがあったのかも」「困っていることがあるのかな」というふうなサインをキャッチできたら、今度は逆に子どもの話を聞くことで問題の解決を図れます。要は、誰が困っているのかを親自身の感じ方で整理し、対応を決めるのです。もちろん、親子ともに困っていない行動もあります。これが3つめの分類です。この行動に関しては、親子ともに落ち着いている状態ですから、特にやるべきことはありません。自由になんでもできる状態といっていいでしょう。このように、「親は子どもの行動に困っている(非受容)」「子どもが困っている(受容)」「親も子も困っていない(受容)」の3つに気持ちを整理することで、親が話すのか、子どもに話を聞くのか、特になにも気にしなくてもいいのか、やるべきことが明白になるのです。『あっ、こう言えばいいのか! ゴードン博士の親になるための16の方法 家族をつなぐコミュニケーション』瀬川文子 著/合同出版(2013)■ 親業訓練協会インストラクター・瀬川文子さん インタビュー記事一覧第1回:子どもが反発ばかり……親子関係の問題を劇的に改善する「双方向」のコミュニケーションとは第2回:繰り返す、言い換える、気持ちを汲む。親の「能動的な聞き方」が、子どもを問題解決に向かわせる第3回:「私メッセージ」の叱り方で子どもが変わる! 親は怒りではなく“第一次感情”に注目して(※近日公開)第4回:親子の衝突を解決するには「勝負なし法」がベスト。勝敗を決めるのは、子どもの育ちに悪影響(※近日公開)【プロフィール】瀬川文子(せがわ・ふみこ)1954年8月28日生まれ、東京都出身。親業訓練協会シニアインストラクター。1973年、日本航空に客室乗務員172期生として入社。14年間の国際線勤務の後、結婚のために退社。1998年、コミュニケーション訓練のプログラム「親業」の指導員資格を取得。2002年、CAP(子どもへの暴力防止プログラム)スペシャリストの資格を取得。2003年、親業シニアインストラクターの資格を取得。2006年、『ママがおこるとかなしいの』(金の星社)で絵本作家としてデビュー。同年、親業訓練協会インストラクター養成担当となる。2015年、日本アンガーマネジメント協会ファシリテーターの資格を取得。現在は、親業訓練協会の運営に関わりながら、医療、介護、教育の各機関、企業、家庭を対象に、「想いが伝わるコミュニケーション」を軸とした講演会等を全国各地で行うなど活躍の場を広げている。主な著書に、『聞く、話す あなたの心、わたしの気もち いじめない、いじめられない子どものためのコミュニケーション』(元就出版社)、『ほのぼの母業のびのび父業 ゴードン博士に学ぶ 21世紀の家庭へ わかりあえるコミュニケーション訓練』(元就出版社)、『職場に活かすベストコミュニケーション ゴードンメソッドが職場を変える』(日本規格協会)がある。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2020年06月06日どんな親も、我が子との関係をよりよいものにしたいと思っているもの。ですが、子育てをするなかでは、「子どもを思っての言葉なのに、反発ばかりされる……」という経験をして、「子どもへの愛情が伝わっていないのではないか?」と感じることもあるはずです。その問題解決の鍵を握るのは「双方向」のコミュニケーションだと語るのが、「親業」というコミュニケーション訓練プログラムのインストラクターである瀬川文子さんです。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人「子どもがどう育つか」ではなく、「親がどう育つか」「親業」とは、アメリカの臨床心理学者であるトマス・ゴードン博士が、心理学、教育学、発達心理学をベースに開発したコミュニケーション訓練のプログラムです。この親業には、ほかのプログラムにはない大きな特徴があります。子育てに役立つとされるほかのプログラムの場合、そのほとんどが「子どもをどう育てるか」という視点でつくられているものです。一方の親業は、「親がどう育つか」という視点でつくられています。親自身が学んで成長することで、子どもとの接し方や関係を改善できるというわけです。このプログラムを開発した当時、ゴードン博士はカウンセラーとして活躍していました。そのため、いわゆる非行少年と呼ばれる子どもたちに接する機会が多くあったそうです。ところが、家や学校では問題児扱いされてカウンセリングを受けさせられることになった子どもたちに会ってみると、子ども自身にはまったくおかしなところがないと感じることが多かったといいます。そして、むしろ親や教師の対応の仕方に問題があるために子どもが反発しているのではないかと考え、親向けのコミュニケーション訓練プログラムを開発するに至ったのです。この親業訓練講座(Parent Effectiveness Training)は、1962年にアメリカのカリフォルニアで開催されたのをきっかけにして全米に広がり、現在では世界50カ国に広まっています。日本では、ゴードン博士の著書『親業 子どもの考える力をのばす親子関係のつくり方』(大和書房)を翻訳された近藤千恵氏が設立し、私も運営に関わっている親業訓練協会が、1980年から講座を提供しています。コミュニケーションの仕方次第では、愛情は伝わらない親子間のコミュニケーションにおける問題には、じつにさまざまなものがありますが、親業の視点から見て大きな問題のひとつだと感じるのが、「子どもが問題に直面したときに、親が性急に解決策だけを与えようとする」ことです。子どもが悩んだり困ったりしていれば、子を愛している親なら助けたくなって当然です。すると、子どもよりはるかに多くの経験をしている親には、「こういうときはこうすればいい」というふうに解決策が見えます。そして、親が考える解決策や意見を子どもに押しつけ、なるべく早く子どもの問題を解決させてあげようとしてしまうのです。もちろん、その言動は子どもへの愛情からくるものです。でも、子どもからすれば、自分が悩んだり困ったりしている気持ちをまったく受け取ってもらえないまま、「こうしなさい」とただ解決策だけが押しつけられたに過ぎません。そのため、どうしても反発や抵抗をしたくなるのです。大人だって同じではないですか?悩んだり困ったりしているときは、悩みを解決したいという気持ちはもちろんですが、なによりまず「誰かに話を聞いてもらいたい」と思うものでしょう。親は、子どもにとってのその「誰か」になってあげなければなりません。「一方向」のコミュニケーションが誤解を生じさせるでは、親業のトレーニングを積んだあとには、子どもとどんな関係を築いていけるのでしょう。大きなメリットとして、「誤解が減る」ことが挙げられるでしょうか。親業訓練講座では、実際の生活のなかで使えるように、さまざまなシチュエーションを想定し、参加者が親役になったり子ども役になったりしながらロールプレイのトレーニングを数多く行ないます。そのトレーニングにより、親子間で「双方向」のコミュニケーションができるようになります。すると、たとえば先に挙げた子どもが悩んだり困ったりしているケースなら、「子どもを愛しているから、早く問題を解決してあげたい」という親の気持ちと、「話を聞いてほしいだけなのに、意見を押しつけられた」という子どもの気持ちのすれちがい――すなわち誤解を減らしていけるのです。逆に、コミュニケーションが「一方向」の場合には、親子間に誤解が生じます。たとえば、子どもに対する「早く起きなさい」「歯を磨きなさい」「宿題をしなさい」という指示命令の言葉がそれにあたります。これらももちろん、子どもを思っての言葉ですが、完全に一方向のものですよね?そのため、子どもには「なぜそうするべきなのか」という理由や、親が子どもを思う愛情は伝わりません。そうした誤解だらけのコミュニケーションを続けていると、子どもが思春期になった頃には、親がなにを言っても「うるさいないあ」としか反応しないようなことになってしまうでしょう。でも、双方向のコミュニケーションにより親子間に強い信頼関係ができていれば、子どもも不要な反発や反抗はしません。このことは、私自身が実感しています。息子が中学生くらいのとき、普段の口調は少し生意気になっても、本当に困ったときは私に相談をしてくれました。普段からの双方向のコミュニケーションの積み重ねにより、息子は「僕が悩んだり困ったりしたときには、お母さんはちゃんと向き合って話を聞いてくれる、僕の気持ちを理解しようと努力してくれる人なんだ」と思ってくれていたはずです。そんな関係性を築き、子どもが親を頼ってくれることは、間違いなく親としての大きな喜びとなるでしょう。『あっ、こう言えばいいのか! ゴードン博士の親になるための16の方法 家族をつなぐコミュニケーション』瀬川文子 著/合同出版(2013)■ 親業訓練協会インストラクター・瀬川文子さん インタビュー記事一覧第1回:子どもが反発ばかり……親子関係の問題を劇的に改善する「双方向」のコミュニケーションとは第2回:繰り返す、言い換える、気持ちを汲む。親の「能動的な聞き方」が、子どもを問題解決に向かわせる(※近日公開)第3回:「私メッセージ」の叱り方で子どもが変わる! 親は怒りではなく“第一次感情”に注目して(※近日公開)第4回:親子の衝突を解決するには「勝負なし法」がベスト。勝敗を決めるのは、子どもの育ちに悪影響(※近日公開)【プロフィール】瀬川文子(せがわ・ふみこ)1954年8月28日生まれ、東京都出身。親業訓練協会シニアインストラクター。1973年、日本航空に客室乗務員172期生として入社。14年間の国際線勤務の後、結婚のために退社。1998年、コミュニケーション訓練のプログラム「親業」の指導員資格を取得。2002年、CAP(子どもへの暴力防止プログラム)スペシャリストの資格を取得。2003年、親業シニアインストラクターの資格を取得。2006年、『ママがおこるとかなしいの』(金の星社)で絵本作家としてデビュー。同年、親業訓練協会インストラクター養成担当となる。2015年、日本アンガーマネジメント協会ファシリテーターの資格を取得。現在は、親業訓練協会の運営に関わりながら、医療、介護、教育の各機関、企業、家庭を対象に、「想いが伝わるコミュニケーション」を軸とした講演会等を全国各地で行うなど活躍の場を広げている。主な著書に、『聞く、話す あなたの心、わたしの気もち いじめない、いじめられない子どものためのコミュニケーション』(元就出版社)、『ほのぼの母業のびのび父業 ゴードン博士に学ぶ 21世紀の家庭へ わかりあえるコミュニケーション訓練』(元就出版社)、『職場に活かすベストコミュニケーション ゴードンメソッドが職場を変える』(日本規格協会)がある。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2020年06月04日みなさんは「しつけ」をどのようにとらえているでしょうか。その言葉の響きから、「子どもを押さえつけるもの」といったイメージを持っている人もいるかもしれません。そうであるなら、子どもが自ら考えて行動する「自主性」とは対極にあるものとも言えます。ところが、幼稚園の園長を務めた経験もある東京家政大学子ども学部教授の岩立京子先生は、「しつけこそが、子どもの自主性を育てる」と語ります。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/山本未紗子「しつけ」と子どもの「自主性」は対極にあるものではない子育て中の親御さんから耳にする言葉に、「しつけもしっかりしたいけど、子どもの自主性も育てたい」というものがあります。この言葉には、大きな間違いがあります。「しつけとは親が子どもを押さえつけるもので、それによって子どもの自主性が育たないのではないか」という大いなる勘違いをしているようです。この、「しつけによって自主性が育たなくなる」というのは完全に間違いです。なぜなら、しつけというのは、最終的には子どもが自分自身でこの世の中を生きていける力、つまり、自主性を育てるためにあるものだから。しつけと子どもの自主性は、対極にあるものではないのです。しつけによって社会のルールや価値をきちんと知ることができた子どもは、それに基づいて自信を持って自分を出していけます。また、なかには居心地の悪い社会のルール、変えていかなければならない社会のルールもあるでしょう。そこで、その悪いルールを変えていこうと自ら動き始めることもできる。それもまた自主性が育っているからこそできることです。まずはしつけによって社会のルールを知ることが大切です。でも、そのなかに留まっている必要はありません。社会のルールを知り、それを行動基準としながらも、なおかつそれを、自主性を持って乗り越えていく。そういうことが、人間らしく生きていくにはとても重要なのではないでしょうか。自主性が育つベースにある自己肯定感と自己信頼ただ、大切となるのは、しつけによって社会のルールや価値を子どもに教えることだけではありません。なぜなら、子どもの自主性が育つには、そのベースとして子どもの自己肯定感や自己信頼が必要だからです。ですから、子どもがなにかを自分からすすんでやってくれたようなときには、そのことを認めてしっかりほめてあげることが大切になります。いま、「ほめる子育て」に対しては研究者によってさまざまな意見がありますが、わたし自身は、叱り続けるような子育てよりは、ほめる子育てのほうが絶対に子どもは伸びるというふうに考えています。これはもう、基本原理と言っていいでしょう。臨床心理学でも教育学でも、さまざまな研究が「ほめる子育てがいい」ということを示しています。ですから、まずは子どもをほめることを考えるべきです。もちろん、子どもがやることのなかには好ましくないこともあるでしょう。誰もが認める社会の基本的なルールから逸脱してしまうようなことです。そんなときには、きちんと叱ってあげることが大切。怒鳴りつけるように叱るのではなく、その都度、「こういうことはやらないほうがいいよ」「お母さんはこうしてほしくないな」といったようにマイルドにメッセージを伝えてあげるのです。そういう子育てをすれば、子どもは悪く育ちようがないと思うのです。自己肯定感と自己信頼が低い子どもは問題行動を起こす逆に言えば、自己肯定感や自己信頼が非常に低い子どもは、いろいろな問題行動を起こしてしまう傾向にあります。「自分なんてどうでもいいや……」と投げやりになっていて、「自分はできるんだ!」と思えない。だからさまざまな問題行動を起こすし、自主的になにかにチャレンジすることもできません。すると、問題行動を起こしてまた厳しく叱られ、さらに自己肯定感や自己信頼が下がってしまうという悪循環に陥ることにもなりかねないのです。この自己肯定感や自己信頼が大切だということは、大人であるみなさん自身に置き換えても想像しやすいものであるはずです。一生懸命に仕事や家事、子育てを頑張っているのに、パートナーから「あなたは全部だめ」「いいところはなにもない」なんて言われたとしたらどうですか?せっかく頑張っていた仕事や家事、子育ても投げ出したくなりますよね。それこそ、まだ自分自身でできることが大人に比べて少ない子どもに対しては、しっかりとほめてあげて、「自分はお父さんとお母さんに大事にされている!」「自分はいまの自分であっていいんだ!」「僕には自分でできることがある!」と思わせてあげることがなにより大切なのです。『遊びの中で試行錯誤する子どもと保育者 子どもの「考える力」を育む保育実践』岩立京子 監修/明石書店(2019)■ 東京家政大学子ども学部教授・岩立京子先生 インタビュー記事一覧第1回:イヤイヤ期には“気そらし方略”がうまくいく。3歳の子育てを楽にする、2歳までの「しつけ」のコツ第2回:もう「早く!」なんて言わなくていい。“ニンジン作戦”で子どもを楽しい世界にいざなってあげて第3回:子どもの失敗の機会を奪う「悪い先回り」を今すぐやめて、「いい先回り」をするための工夫とは?第4回:「しつけもしっかりしたいけど、自主性も育てたい」親のこの考えが“完全に間違っている”理由【プロフィール】岩立京子(いわたて・きょうこ)1954年生まれ、東京都出身。東京家政大学子ども学部教授。東京学芸大学名誉教授。東京学芸大学教育学部卒業後、同大学大学院教育学研究科修士課程を経て、筑波大学大学院心理学研究科博士課程単位取得退学。筑波大学心理学系技官を経て、1986に東京学芸大学講師となり、1991年に筑波大学で博士(心理学)を取得。その後、東京学芸大学で34年間にわたり保育・幼児教育の専門家養成に関わった後、現職に就く。2014年から2017年まで、東京学芸大学附属幼稚園長を兼任。主な著書に『幼児理解の理論と方法』(光生館)、『保育内容 人間関係』(光生館)、『たのしく学べる乳幼児の心理』(福村出版)、『乳幼児心理学』(北大路書房)、『新幼稚園教育要領の展開』(明治図書出版)、『子どものしつけがわかる本 がまんできる子、やる気のある子を育てる!』(主婦の友社)がある。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2020年06月02日「先回り」をする親が増えている――子育てや家庭教育関連のメディアで頻繁に目にする内容です。それらのメディアは、「先回りはよくないもの」として扱っていることが多いよう。ただ、「先回りにも『いい先回り』と『悪い先回り』がある」と言うのは、幼稚園の園長を務めた経験もある、東京家政大学子ども学部教授の岩立京子先生。その真意を教えてもらいました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/山本未紗子(インタビューカット)社会の情報化と少子化が招いた、先回りする親の増加いま、「先回り」をする親、「手出し口出し」をする親が増えていると言われています。このことには、社会の情報化が進んだことが大きく影響しているのでしょう。以前と比べれば、インターネットなどを介して子育てに関する情報に触れる機会が増えましたよね。それらのたくさんの情報に基づいて、「最高の子育てをしたい!」と考える親が多いのです。また、少子化もそういった親が増えていることの一因でしょう。むかしのように4人も5人も子どもがいれば、子どもひとりひとりの子育てに十分に手をかけられません。でも、いまは子どもがひとりかふたりですから、「絶対に子育てを成功させなければならない」といった意識が強く働き、「こうあるべき」「こうしなければならない」というふうに考え、先回りや手出し口出しをしまうのです。でも、子どもは親の思うとおりに育ってくれません。子育てというのは、子ども自身の発達がまずベースにあります。それに対して親がどのような働きかけをするかで、子どもがどんなふうに成長していくかが決まるのです。いくら親が「バイオリニストにしたい」「学者にしたい」と思ったところで、そうなる可能性は高くはありません。ですから、親にとって重要となるのは、子どもをしっかりと見て、子どもが持つ可能性を最大限に伸ばす働きかけをすること。そのことを第一に理解してほしいと思います。子どもから学びのチャンスを奪う「悪い先回り」さて、親の先回りについてですが、子育て関係の記事では「先回りはよくない」というふうに語られることが多いようですね。ただ、わたし自身は、先回りにも「いい先回り」と「悪い先回り」があると見ています。「悪い先回り」とは、それこそ子育て関係の記事でNG行為として語られるような、子どもの力を奪ってしまう先回りのこと。なぜ子どもの力が奪われるかというと、「失敗」の経験を積めないからです。人間という生き物は、失敗から多くのことを学びます。でも、なんでもかんでも親が先回りをしてしまうと、子どもは失敗することなく育つことになる。親の先回りが、学びのチャンスを子どもから奪ってしまうのです。ただ、子どもに失敗をさせることが重要だと言っても、そのバランスは大切。たとえば、10回挑戦して9回失敗するようなことになれば、子どもはチャレンジする勇気ややる気を失ってしまうでしょう。そこで、もう少し成功率を上げられるようなお膳立てを、親であるみなさんに考えてほしいのです。もちろん、あからさまに手出し口出しをすることはよくありません。なぜなら、子どもには子どもなりのプライドがあるからです。そのプライドによって、親の手出し口出しに反発して、やろうとしていたことを結局投げ出してしまうことにもなりかねません。ですから、こっそりとお膳立てをしましょう。それこそが「いい先回り」です。たとえば、料理をお皿に盛りつけるお手伝いをするような場合なら、長い菜箸だとうまく使えないということもあるでしょう。ならば、子どもでも扱いやすいトングを用意するといった具合です。それでうまくできたなら、しっかりとほめてあげる。そのことが、子どもの自己肯定感や、自分に対する信頼を高めてくれます。「いい先回り」とは、親としてしておくべき「予測」「いい先回り」とは、親としてしておくべき「予測」と言い換えてもいいかもしれません。たとえば、子どもと電車に乗って出かけるとします。すると、移動中の車内でぐずってしまうようなことが予測できます。それなのに、親がそのことを予測せず、なんの準備もしていなかったら、いざ子どもがぐずってから場当たり的に対処することになります。でも、しっかり予測ができていたら、お出かけグッズを入れるバッグのなかに、子どもの機嫌がよくなるようなものを忍ばせておくこともできるでしょう。また、子どもは親のやることをやりたがるものですが、まだ成長段階の途中にある子どもには親と同じようにはできないことや、危険が伴うようなこともたくさんあります。親が食器を洗っていたら、子どももやりたがるというのもよくあることですよね。そのとき、子どもが皿を落としたとしても割れる心配がないプラスチック製の食器を用意しておくとか、あるいは床が濡れてもいいようにビニールシートを敷いておくのです。もちろん、子どもは親と同じようにはやれませんから、時間もかかります。親には根気も必要だと認識したうえで、「いい先回り」ができるように工夫してください。『遊びの中で試行錯誤する子どもと保育者 子どもの「考える力」を育む保育実践』岩立京子 監修/明石書店(2019)■ 東京家政大学子ども学部教授・岩立京子先生 インタビュー記事一覧第1回:イヤイヤ期には“気そらし方略”がうまくいく。3歳の子育てを楽にする、2歳までの「しつけ」のコツ第2回:もう「早く!」なんて言わなくていい。“ニンジン作戦”で子どもを楽しい世界にいざなってあげて第3回:子どもの失敗の機会を奪う「悪い先回り」を今すぐやめて、「いい先回り」をするための工夫とは?第4回:「しつけもしっかりしたいけど、自主性も育てたい」親のこの考えが“完全に間違っている”理由(※近日公開)【プロフィール】岩立京子(いわたて・きょうこ)1954年生まれ、東京都出身。東京家政大学子ども学部教授。東京学芸大学名誉教授。東京学芸大学教育学部卒業後、同大学大学院教育学研究科修士課程を経て、筑波大学大学院心理学研究科博士課程単位取得退学。筑波大学心理学系技官を経て、1986に東京学芸大学講師となり、1991年に筑波大学で博士(心理学)を取得。その後、東京学芸大学で34年間にわたり保育・幼児教育の専門家養成に関わった後、現職に就く。2014年から2017年まで、東京学芸大学附属幼稚園長を兼任。主な著書に『幼児理解の理論と方法』(光生館)、『保育内容 人間関係』(光生館)、『たのしく学べる乳幼児の心理』(福村出版)、『乳幼児心理学』(北大路書房)、『新幼稚園教育要領の展開』(明治図書出版)、『子どものしつけがわかる本 がまんできる子、やる気のある子を育てる!』(主婦の友社)がある。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2020年05月31日「早く!」「だめ!」――親が子どもについ言ってしまう言葉です。でも、いくらそう声をかけても、子どもは親の思い通りに早く行動してくれませんし、だめなことだと理解してくれたのかもわかりません。いったい、どうすれば子どもに「早く!」「だめ!」と言わずにすむのでしょうか。幼稚園の園長を務めた経験もある、東京家政大学子ども学部教授の岩立京子先生にアドバイスをもらいました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/山本未紗子(インタビューカット)大人と子どもはそれぞれ違う世界に住んでいる「早く!」「だめ!」という言葉を一度も言わないまま子育てをすることは不可能でしょう。なぜなら、大人には大人のリズムがあり、子どもには子どものリズムがあるからです。大人は、社会を中心にして生きていて、子どもは自分の好きなことを中心に生きています。そもそも住んでいる世界が違うために、どうしても両者のリズムがずれてくる。そうして、子どものリズムが自分に合わないと感じると、親はつい「早く!」「だめ!」と言ってしまうのです。もちろん、イライラして子どもをたたくなんてことはご法度です。かつては、そういう子育てがすすめられていたときもありました。子どもがなにかしてはいけないことをした場合、0歳台の子どもなら足の裏を、1歳台の子どもならお尻をぽんとたたくという教育メソッドが存在したのです。でも、たとえ0歳台の子どもでも、親の表情などから言わんとしていることが理解できることがわかってきたため、いまはきちんとコミュニケーションを取ることが重要だと考えられています。そのコミュニケーションとは、ただ「早く!」「だめ!」と言うだけのことではありません。大切なのは、なぜ早くしてほしいのか、なぜだめなのか、その理由を必ず伝えること。なぜなら、子ども自身が納得して「じゃあ、そうしよう」と思えなければ、しつけは成功しないからです(インタビュー第1回参照)。「ニンジン作戦」で子どもを楽しい方向にいざなうしかし、子どもに早くしてほしい理由をどんなにきちんと伝えたところで、時間感覚や価値観が違う世界に住んでいる子どもは、なかなかそうできません。子どもの住む世界は大人とは違うということをしっかり認識したうえで、子どもが早くできるような、だめなことをだめだと理解できるような工夫やお膳立てを、親の側がする必要があります。そのコツは、早くしてほしい理由やだめな理由を子どもに伝える際に、「楽しい方向」に導いてあげるということ。「誰かに怒られるよ」といった内容ではなく、たとえば幼稚園に遅れそうになっている場合なら、「幼稚園に早く行けたらお友だちとたくさん遊べるよ」というふうに、子どもが「じゃあ、早くしよう」と思えるような声かけをするのです。基本的に、ただ「早く!」「だめ!」と言ってもコントロールしにくいのが子どもなのです。でも、「早くしたら楽しいことがある」とか「これをやめたら次にいいことがある」などと思えたら、子どもはきちんと気持ちを切り替えることができます。これは、いわゆるニンジン作戦です。心理学における「強化」の理論をベースに、「子どもに対してニンジンを使うと、その後はずっとニンジンを増やし続けていかなければならない」という考え方も前にはありましたが、いまはそうは考えられていませんし、わたし自身もうまくニンジンを使うことには賛成です。その理由は、子どもの世界を広げるきっかけになるからです。ニンジンをうまく使って子どもを楽しい世界にいざなってあげる。そうすることが、結果的に子どもにとってはプラスに働くはずです。わかりやすいニンジンの例として、甘いジュースやお菓子があります。それらを完全に禁止している家庭もあるでしょう。でも、お菓子を食べたい子どもと食べさせたくない親のあいだでバトルが繰り広げられたら、それこそ親子関係自体が悪くなってしまう。そう考えると、適度にニンジンを使うことはなにも悪いことではないと思うのです。お膳立てで、子どもに「早くしよう!」と思わせる忙しい朝に早く子どもに起きてほしいのなら、朝食だって立派なニンジンになりますよ。ただ「早く起きて!」という言葉をいくらかけても、子どもは大人とは違う世界に住んでいますから、なかなか起きてくれない。そんなことに悩んでいる人も多いでしょう。でも、まだ寝ていたい子どもに対して、「早く!」と言うばかりか、まして「まったくもう!」なんて怒ったところで、子どもが素直に起きてくれるでしょうか?人間には、心理学における反発理論という行動原理が働きます。怒られると、ますます反発しようとするのです。大人だって同じですよね?自分に対して攻撃的な人に対しては反発したくなるでしょう。そこで、子どもの好物をニンジンに使ってみましょう。トーストのにおいを漂わせたり、「今日はあなたが大好きな卵焼きだよ」「焼きたてを食べたほうがおいしいよ」と言ったりして、子どもが「早く起きよう!」と思えるような方向にいざなってあげるのです。そのようにお膳立てをして、「早く!」「だめ!」と言わないですむように考えてみてください。『遊びの中で試行錯誤する子どもと保育者 子どもの「考える力」を育む保育実践』岩立京子 監修/明石書店(2019)■ 東京家政大学子ども学部教授・岩立京子先生 インタビュー記事一覧第1回:イヤイヤ期には“気そらし方略”がうまくいく。3歳の子育てを楽にする、2歳までの「しつけ」のコツ第2回:もう「早く!」なんて言わなくていい。“ニンジン作戦”で子どもを楽しい世界にいざなってあげて第3回:子どもの失敗の機会を奪う「悪い先回り」を今すぐやめて、「いい先回り」をするための工夫とは?(※近日公開)第4回:「しつけもしっかりしたいけど、自主性も育てたい」親のこの考えが“完全に間違っている”理由(※近日公開)【プロフィール】岩立京子(いわたて・きょうこ)1954年生まれ、東京都出身。東京家政大学子ども学部教授。東京学芸大学名誉教授。東京学芸大学教育学部卒業後、同大学大学院教育学研究科修士課程を経て、筑波大学大学院心理学研究科博士課程単位取得退学。筑波大学心理学系技官を経て、1986に東京学芸大学講師となり、1991年に筑波大学で博士(心理学)を取得。その後、東京学芸大学で34年間にわたり保育・幼児教育の専門家養成に関わった後、現職に就く。2014年から2017年まで、東京学芸大学附属幼稚園長を兼任。主な著書に『幼児理解の理論と方法』(光生館)、『保育内容 人間関係』(光生館)、『たのしく学べる乳幼児の心理』(福村出版)、『乳幼児心理学』(北大路書房)、『新幼稚園教育要領の展開』(明治図書出版)、『子どものしつけがわかる本 がまんできる子、やる気のある子を育てる!』(主婦の友社)がある。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2020年05月29日