その習い事、子どもは本当に望んでいますか? 身近すぎる「教育虐待」の怖さ
近年、虐待に関する悲しいニュースが続いていますよね。同じ子どもを持つ親として、心を痛めている方も多いのではないでしょうか。
しかし、こうした問題は決して他人事ではありません。なぜなら、虐待は悪意のもとになされるものだけではないから。「子どものためによかれと思って」なされた行動が、親の自覚のないままに虐待とみなされるケースもあるのです。特に、「教育虐待」にはその傾向があります。
「教育虐待」は、ここ数年で広まってきた言葉ですが、どのような行為を指すかご存知でしょうか?「知らない」という方のなかには、気づかないうちに当てはまってしまっている方もいるかもしれません。
そこで今回は「教育虐待」と「教育虐待を未然に防ぐ方法」についてお話しします。
「教育虐待」は子どもの将来に多大なダメージを与える
みなさんは、自分の子どもに下記のような「しつけ」や「教育」を行なっていませんか?
・宿題が終わっていないと、夜遅くまでやらせる
・解けない問題があると、「どうしてできないの?」と責める
・塾や習い事でスケジュール漬けにしている
・親子間の約束が守られなかったとき、厳しく責め立てる
・成績が悪いと、「努力が足りない」「人間のくず」などの暴言を浴びせる
一見、よくある「しつけ」や「教育」のように思われるかもしれません。しかし、これらの行為が子どもを過度に追い詰めた場合、「教育虐待」とみなされることがあります。
青山学院大学の古荘純一教授によると、「教育虐待」とは、教育を理由に子どもに無理難題を押し付ける心理的虐待のこと。2011年の「日本子ども虐待防止学会」で初めて発表された、新しい考え方です。
「教育虐待」を受けている子どもは、大人になってからも、他者からの指示がなければ動けなくなる恐れがあります。また、自信が持てない、何をしても楽しめないなど、心の問題を抱えてしまうことも。学校生活や就職活動を機に不適応行動を起こす人も少なくありません。こうしたことから、「教育虐待」は子どもの将来に多大なダメージを与えるということがわかります。
「子どものために」と言いながら子どもを追い詰める親たち
「教育虐待」という言葉を広めた武蔵大学の武田信子教授によると、教育虐待に走りやすい家庭は、下記のような特徴を持っている家庭が多いと言われています。
1. 親自身が、経済的事情などで進学を諦めた経験がある
2. 母親が不本意に仕事を辞めて、専業主婦になった
3. 子どもの両親ともに高学歴で社会的地位が高い
上記の1と2の親が「教育虐待」