子育て情報『幼い子どもの言葉が格段に豊かになる、親から子への「実況中継」という方法』

2019年7月10日 09:04

幼い子どもの言葉が格段に豊かになる、親から子への「実況中継」という方法

するということをぜひ心がけてください。いまこの瞬間に起きていることを、いちいち言葉で表現して、目の前の出来事を実況中継するのです。そうすることで、紙と鉛筆で書くという学びでは得られない、生活の感覚の「実感」を伴って子どもが言葉を覚えることにつながります。

これは、とくに擬態語や擬音語などのオノマトペ(※)を子どもが学ぶ際にはとても有効な手段です。たとえば、子どもがご飯を食べているときに口のまわりを汚してしまったなら、「口のまわりが『べたべた』になっちゃったね」「水で洗ったら口のまわりが『さっぱり』して『さらさら』になったね」というふうに言葉で実況するのです。

そうすると、子どもの脳には「べたべた」「さっぱり」「さらさら」という言葉の音が、べたべたの触覚などの、ライブの身体感覚を伴って入っていきます。これらの感覚は紙と鉛筆で学べるものではありません。紙と鉛筆を用意してわざわざ勉強をするという場面をつくらなくてもいいのです。
親が実況中継をすれば、日常のなかで子どもは、微妙なニュアンス、感覚の違いとともに言葉をどんどんと覚えていくのですから。

※オノマトペ:自然界の音や声、ものごとの状態や動きなどを象徴的に表した語。擬態語、擬音語、擬声語など

幼い子どもの言葉が格段に豊かになる、親から子への「実況中継」という方法


■ 静岡大学情報学部客員教授・沢井佳子先生 インタビュー一覧
第1回:“○歳だからこれができないとダメ!”その思い込みから親を解放する「発達心理学」入門
第2回:幼い子どもの言葉が格段に豊かになる、親から子への「実況中継」という方法
第3回:「10まで言えるのに、5個が数えられない」?未就学児への“数”と“時間”の教え方(※近日公開)
第4回:「非認知能力」という名称の流行が生んでしまった“誤解”と“困った副作用”(※近日公開)

【プロフィール】
沢井佳子(さわい・よしこSAWAI, Yoshiko)
1959年生まれ、東京都出身。チャイルド・ラボ所長、静岡大学情報学部客員教授。認知発達支援と視聴覚教育メディア設計を専門とする。学習院大学文学部心理学科卒業。お茶の水女子大学大学院人文科学研究科修士課程修了。同大学院人間文化研究科博士課程単位取得退学。
専攻は発達心理学。幼児教育番組『ひらけ! ポンキッキ』(フジテレビ)の心理学スタッフ、文教大学人間科学部講師などを経て現職。他に、日本こども成育協会理事、人工知能学会「コモンセンス知識と情動研究会」

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