よく噛む子どもは「勉強も運動もできて、ストレスのない子」に育つ! 数々の研究が証明
はガムを噛んだときが最も早く、噛む運動を繰り返すほど早くなっていったそうです。一方で「何もしない」場合はあまり変化が見られず、「噛むまね」と「タッピング」にいたっては「P300の出現・ボタンを押す反応時間」が遅く、それらの動作を繰り返すほど遅くなっていったのだとか。
脳の反応をよくしたいなら、とにかく「よく噛むべし」ですね。
2.「よく噛むこと」と「学力」のいい関係
脳の反応がよくなるなら学力も上がるはず……。そんな期待に応えてくれる研究もいくつかあります。
当時、岩手医科大学教授であった鈴木隆氏が岩手医科大学歯学雑誌に特別寄稿(1995年)した論文には、「よく噛む園児ほど知能指数が高い傾向にある」と示された、1994年発表の研究が紹介されています。大阪の幼稚園児70名を対象に、ガムではなく2gのピーナッツを用いて行なわれたその研究では、WPPSIという幼児用の知能検査を使用したそうです。
その研究を受けて鈴木氏は、――そもそも生まれつきの要素が強いと言われる知能指数(頭の回転の速さ)が、後天的な要素の「よく噛むこと」の影響を受けていることがわかった。
これを踏まえれば、後天的に身につくと言われている記憶力はなおさら、「よく噛むこと」の影響を強く受けているはずだ――と解説。
そして、その見解は次なる実験で証明されました。幼稚園児を対象に数唱テストを用いて行なわれた別の研究では、「噛む力が強い」子どもほど、「ワーキングメモリ(短期的な記憶)能力が高い」と示唆されたそうです。
また、放射線医学総合研究所分子イメージング研究センターの平野祥之氏(現・名古屋大学大学院医学系研究科准教授)らによる2008年発表の研究では、ワーキングメモリの課題を行なう被験者にガムを噛んでもらい、脳の活動を調べたところ、脳の前頭前野(※)が活動を活発化させていたのだとか。さらに、ガムを噛み終わったあとも、課題を行なうあいだは、記憶にかかわる海馬を含む、脳のあらゆる場所が活性化していたとのこと。
(※前頭前野は、おでこの部分にある、意思・理解・記憶・言語といった高次脳機能に関わる脳の領域。この部分を鍛えてうまく使うことが、頭の「よさ」につながると言われている)
そして、2010年に公開された東北大学の研究では、噛むことによる記憶の向上が、前頭前野の働きと関連する可能性が示唆されています。