学校まで届けるべき? 忘れ物が多い子どもの親がしがちなNG行動
ただ忘れ物をするだけの事実よりも、その思い込みから脱却することのほうが、子どもにとっては困難なもの。「忘れ物しないように、最近頑張っているね」など、前向きになる言葉かけを心がけましょう。
親が学校まで届けるかどうかは臨機応変に
子どもが登校したあとに忘れ物をしたことに気がついたら、届けるか届けないか……。悩みどころだと思いますが、届けてしまえば、忘れた当人は「次は忘れないようにしよう」という意識が低下します。
保育士として15年以上保育業務に携わる市川由美子氏は、「忘れ物をすると自分が困るといった経験をしておかないと、『忘れ物をしないぞ』という責任感が芽生えません。とはいえ、忘れ物の種類によっては、届けてあげないと周りに迷惑がかかる物もありますので、臨機応変に対処しましょう」と言っています。
お弁当や水筒などの貸し借りができない必需品や、衛生的に困るものなどは届けないと大変なことになりますが、教科書などは隣の席の子に見せてもらうなどして切り抜けられます。また、上履きや体育の帽子などは、学校側が忘れた子ども用に用意している場合も多いものです。
事前に「もしも忘れてしまったら」の対処法を親子で確認し合っておく、というのもいいかもしれません。
肯定し、前向きに捉えることも大切
忘れ物の原因と対策についてまとめました。親があまりにも思い詰めたり、子どもへの関わりが忘れ物のことばかりに集中しすぎてしまったりするのは、親の精神衛生上もよくありませんし、親子関係を悪化させる原因にもなりかねません。
花まる学習会代表でNPO法人子育て応援隊むぎぐみ理事長の高濱正伸氏と、花まるグループ西郡学習道場代表の西郡文啓氏は、共著書『ちゃんと失敗する子の育て方』で、「しょっちゅう忘れ物をするのは『それくらい抜けているほうが、世の中生きやすい』というように、注意したくなるようなことも見方を変えれば『良いところ』かもしれません」と述べています。
心配だからと言って、子どもの人生の道筋をつけてやったり、親の言う通りに生きて行くように育てたりすることが親の役目ではありません。
めざしたいのは、子どもが自分で考えて正しい道を選択できるように、失敗しながらも自力で立ち上がって歩いていけるようにすること。
もし「自分は心配しすぎる傾向にあるかも?」と思ったら、いっそのこと、ちょっと子どものことを考えるのをやめてみましょう。
(引用元:楠本佳子(2016)