親子の衝突を解決するには「勝負なし法」がベスト。勝敗を決めるのは、子どもの育ちに悪影響
そのため、子どもは、「言われたことはやるけど、言われなければやらない」という、いわゆる「指示待ち人間」になってしまうでしょう。これからの時代に大切だとされる、自立心や主体性がまったく育たないということになりかねません。
また、第2法の場合には、子どもは常に自分の要求が通るために、すごくわがままで傍若無人に育ってしまう可能性を秘めています。もちろん、その要求を親だけに向けるのではなく、友だちなどまわりの人にもそうするでしょう。それでも、未就学児の頃までならなんとか社会生活ができるかもしれません。でも、小学校に入学したらそうはいかない。先生からは叱られ、友だちには嫌われる……。そうして、不登校になるといったことだって否定できません。
さらに、第2法を使い続けると、年齢に応じて要求が大きくなることも問題です。スーパーでお菓子をねだるくらいならまだかわいいものですが、10代も後半となったら、バイクや自動車をねだるといったふうに要求はエスカレートするでしょう。そのときになって「これじゃ駄目だ」と慌てて第1法に変えようものなら、それこそ親子間のバトルが勃発してしまいます。
子どもが一生懸命に考えることで、創造性が伸びる
一方、「勝負なし法」である第3法の場合には、親子双方に不満が残らないことのほかにもメリットがあります。それは、子どもの創造性が伸びるということ。なぜなら、子どもが自分で「どうしたらこの問題を解決できるんだろう?」と一生懸命に考えるからです。
いろいろな経験があるために「こういうケースはこうするべきだろう」と考えがちな親よりも、むしろ子どものほうがよほどおもしろくて自由な解決策を提案するということも珍しくありません。
これは親子が衝突したケースではありませんが、かわいらしくて楽しいエピソードをひとつ紹介しましょう。
わたしたちが行なっている親業訓練講座(インタビュー第1回参照)を受講したお母さんから聞いたお話です。そのお母さんには3人の子どもがいます。そして、問題となっていたのが、「寝るときにお母さんの隣を3人の子どもが取り合う」ということでした(笑)。子どもは3人なのに、お母さんの隣はふたつしかありませんからね。
どうすればいいかと話し合ってみると、子どもたちは、じつにおもしろくて自由な解決策をどんどん提案しました。たとえば、「ひとりはお母さんの上で寝る」