「親がうざい!」と感じるのは成長の証? 脳科学者・中野信子先生がひもとく、子どもの「イヤな気持ち」の仕組み
しかし、「悩みがなければ人間はうまく生きていけません」と、中野先生は述べています。
なぜなら、自分にとってイヤで、なにか困ったことがあるからこそ、「なんとかしなきゃ!」と思ってがんばることができるからです。
これは「ねたみ」などの、マイナスな気持ちでも同じです。誰かのことがうらやましいから、「わたしもあの人みたいになりたい」という気持ちが生まれ、自分を変えていく力になります。
(引用元:中野信子(2021),『中野信子のこども脳科学 「イヤな気持ち」をエネルギーに変える!』, フレーベル館.)
なるほど、「イヤな気持ちや悩みは、むしろあったほうがいい」のですね。ですから、「〇〇ちゃんの絵ばかり先生がほめていて悔しかった。イヤな気持ちだった」と言っていたら、「イヤな気持ちをもつことは悪いことじゃないよ。その悔しいという気持ちは、エネルギーになるよ」と伝えてあげるといいでしょう。
「『イヤな気持ち』を自分の力に変えていくと、人生はもっと楽しくなる!」と中野先生も断言しているように、子どもが自分の気持ちを受け入れて、「悩みがあるからこそ、人生が豊かになるのだ」と考えられるようになるといいですね。
「親がうざい!」と反抗する子どもにはどう対応する?
そうはいっても、そのイヤな気持ちの矛先が親に向けられたときはどうしたらいいのでしょうか?そうなると、なかなか冷静ではいられないかもしれません。
子どもが親に反抗してくるとき、子どもの頭のなかでは何が起こっているのでしょう?中野先生は子どもの反抗について、人間がもっている「物事を自分に都合よくとらえる性質」に原因があると解説します。
よくよく思い起こすと、親はあなたをほめてくれたり、やさしい言葉をかけてくれたりしているはずです。でも人間は、いいことをたくさんいわれても、ひとつイヤなことをいわれたらその耳ざわりなひとことを、いつまでも覚えているものなのです。
(引用元:同上)
子どもが小学校中学年、高学年になってくると、「うるさいな」「わかってるよ」などと親に反抗的な態度をとることが増えてくるかもしれませんが、これは人間の性質上、仕方のないことなのです。そしてこの性質は、子どもの脳の成長プロセスにも関係しています。
一般的に、脳のなかでは、神経細胞(ニューロンといいます)が枝のような突起を伸ばし、情報を伝えるためのネットワークをつくって成長します。このとき、逆にネットワークから、いらない部分を刈り込むことも成長には必要なのです。
(引用元:同上)