「ごめんね」が聞こえず、ケンカに発展。マスク生活は子どもの「脳の発達」を遅らせる!?
コロナ禍以降、職場や学校など多くの場面で、「新たな生活様式」が浸透しました。そのひとつが、マスク生活。もう慣れてしまったという方も、まだ違和感があるという方もいるでしょう。
マスクをしている相手の表情は、わかりにくいですし、声も聞き取りづらいですよね。そんなマスク生活が長く続くことで、子どもの発達に影響はないのでしょうか。今回は、マスク生活と子どもの発達について考えてみます。
マスク生活が子どもの発達に影響を及ぼしている?
米ブラウン大学が発表した調査によると、コロナ禍以前に生まれた3か月~3歳の子どもたちに比べて、2020~2021年のコロナ禍以降に誕生した子どもたちは、言語、運動能力、認知能力など、成長全般において発達が遅れているということがわかりました。
この調査結果について、比較認知発達科学が専門の京都大学教授・明和政子氏は、「この報告が真実であるかどうかはさらに慎重に検証を重ねていく必要がある」としつつも、子どもの発達になにかしらの問題が起きていることは事実と述べています。
実際に、日本の保育現場からも、マスク着用と子どもたちの変化を関連づける声が挙がっているようです。比治山大学教授・七木田方美氏が行なった、広島県内の保育士約200人への調査では、65%以上の保育士が「変化があると感じている」(「変化があると強く感じている」も含む)と回答しており、具体的な変化としては、63%の保育士が「反応が乏しくなった」と答えています。
また、自由記述欄においては、以下のような回答もありました。
- (保育士の)顔がわからないので不安がったり泣いたりする
- どの先生から呼ばれたのかわからず、キョロキョロする
- マスク越しに「モグモグ」と言われてもわからない。外してやって見せて、ようやくまねて口を動かす
- 声が聞き取りづらいため、子どもが話に集中できない
- 歌も絵本も(保育士の)口の動きが見えないので、まねて言葉を自ら発しようとする姿が少なくなったように思う
このように、子どもたちの活動性や発達にマスク生活が影響していることは間違いないようです。では、なぜマスク生活が原因で子どもたちの発育が遅れるのでしょうか?次に詳しく見ていきます。
マスク生活は、子どもの「脳の発達」を遅らせる!?
明和氏は、マスク生活は子どもの「脳の発達」に影響を与えると指摘し、その理由を以下のように説明しています。