あなたの子どもの『考える芽』を育てる3つの方法。教室での10年で気づいた大切なこと
「食べ物は残しません。食品ロス問題のことを学んだからです」
特に高学年になると、こうした模範的な発言をする子どもを、大人は「賢い」と高く評価しがちです。確かに、学んだことをきちんと理解して実践しようとする子は「いい子」かもしれません。また、社会問題について関心をもっているように見えることから、意識が高いと感心する保護者も少なくありません。
しかし、こうした発言の多くは、授業や教科書で学んだ内容、または大人から聞いた言葉をそのまま覚えているだけかもしれないのです。テレビで見聞きした内容を、うまく引用しているだけの可能性もあります。
本当に大切なのは、その子なりの考えや気づきではないでしょうか。
「なんでプラスチックでも燃えるごみに入れるものがあるか調べてみよう」
「教室のエアコン、冬と夏で設定温度が違うよね」
「給食の野菜ってどこから届くのかな」
前出の意見と比べると、ときとして稚拙に聞こえるかもしれない、でも子どもらしい純粋な疑問や考察のほうが、その子の知的な成長を物語っています。
なぜなら、これらの問いかけは、実際に目にしたことや体験したことから生まれた「自分ごと」としての思考だからです。
教室で出会う子どもたちを見ていると、立派な意見を言える子より、素朴な「なぜ?」を発する子のほうが、着実に考える力を育んでいると感じることが多いのです。知識をそのまま覚えるのではなく、自分の頭で考えようとする姿勢のほうが、はるかに価値があるのかもしれません。
本当の知性を育むために親ができること
子どもの「賢さ」は、大人が意図的に育てようとするほど、むしろ伸びにくくなってしまうものです。大切なのは、子どもの小さな気づきに寄り添い、のびのびと考えられる環境をつくること。そのために親ができる3つのポイントをご紹介します。
【親ができること1】子どもの「違和感」を大切にする
「おかしいな」「なんでだろう」――子どもが感じる小さな違和感。それは新しい発見の種です!でも、つい私たち大人は「そうじゃなくて、こうだよ」と正解を急いで教えてしまいがち。
そんなとき、こんな言葉をかけてみてはどうでしょうか。
- 「どうしてそう思ったの?」
- 「〇〇ちゃんなりの考え方があるんだね」
- 「そうやって考えるのは、おもしろいね」
- 「その考え方は、お母さん(お父さん)も思いつかなかったよ!」
子どもの「違和感」