勘違いしていない!? 配偶者控除103万円の落とし穴
税金は上がるし、子どもの教育費も夫婦の老後のことも心配…。「少しでも家計の足しになれば」と、仕事を始めるママもいるのでは?
ところで、パートやアルバイトをするときによく聞くのが、「103万円の壁」という言葉。
これってそもそも何?ファイナンシャルプランナーの小谷晴美さんは言う。
●よく耳にする「103万円の壁」って何?
「2017年までは妻のパート収入が103万円(所得38万円)以下であれば、一律38万円の配偶者控除を受けることができました。それが『103万円の壁』といわれた理由です」(小谷さん以下同)
しかし、2018年から配偶者控除が縮小。夫の所得が1000万円を超える家庭では、配偶者控除がなくなり、900万円以上の家庭では控除が減額されることに。
一方、2018年から「配偶者特別控除」(注)が拡大し、150万円(所得85万円)までは配偶者控除と同額の38万円の控除が受けられるようになった。
つまり、「103万円の壁」ではなく、「150万円の壁」に変わったということだろうか。
小谷さんは次のように指摘する。
「配偶者控除、配偶者特別控除においてはそうですね。ただし、もともと『103万円』が壁ではなかったのです。その理由は、『社会保険の壁』があるからです」
●106万円、130万円の「扶養の壁」も!
「社会保険料が発生する金額は130万円で、これは『130万円の壁』といわれてきました。ところが、2017年10月から、従業員501人以上の企業においては、社会保険の加入要件が改訂され、年収106万円以上に変わったのです」
つまり、税制上は「103万円の壁」が「150万円の壁」に拡大されましたが、その間にある「106万円」「103万円の壁」という「扶養の壁」は相変わらず存在するのだ。
●"配偶者手当の壁"も存在する?
企業によっては、配偶者がいる社員に対して「配偶者手当」(家族手当等と呼ばれる場合も)を支給しており、その額は会社によって異なる。
人事院の「平成27年職種別民間給与実態調査」によると、扶養手当を支給している企業のうち、配偶者の収入制限を設けている割合は約85%。さらに、その制限額として、配偶者控除の上限額と同じ「103万円」を使用している割合が、約7割に及ぶという。
例えば、配偶者手当の金額が月1万5,000円だとすると年間で18万円が支給されなくなる。このような手当に給付制限があると、妻が働く上で就業を調整する大きな壁となるケースもある。
「103万円の壁」「106万円の壁」「130万円の壁」そして「配偶者手当の壁」もある。
ちょっとややこしいが、まずは勘違いのないよう、ご注意を!
(取材・文:田幸和歌子編集:ノオト)
注:配偶者特別控除とは、配偶者控除が受けられない場合であっても、配偶者の所得に応じて、一定額の所得控除が受けられる制度。
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