パートの時給がUP!? “同一労働同一賃金”がもたらすメリットデメリット
●給与・賞与が減るおそれがある
同一労働同一賃金が実現すると、企業全体の人件費が高くなる可能性があります。
先程のファミレスの例でいえば、Aさんにチーフと同額の給料を払わなければならなくなりますね。
その額をどこに設定するのかは企業の判断になりますが、現状の間を取って「時給1,400円」とするなら、チーフの給与額は減らされてしまいます。
また、チーフの給与は据え置き、Aさんを「時給1,800円」にするなら、「Aさんを賃上げするために、チーフのボーナスをカットする 」という決定がされるかもしれないのです。
●人事異動のたびに給料の額が変わる
同一労働同一賃金のシステム下では、給料額を「人」ではなく「仕事内容」に紐付けすることになります。
同じ社内にいても、異動により仕事内容が変われば、給料の額も変わってしまうのです。
各部署を異動することで業務全体を覚え、キャリアアップしていくという日本の企業スタイルにおいては、働く側も会社側も非常に面倒なことといえます。
●パート・アルバイトへの影響
いっぽう、非正規雇用者はどのような影響があるでしょうか?
●給料が増える可能性がある
パートやアルバイトでも、正社員と同等に働いているならば、給料が大幅にアップする 可能性が出てきますね。
これは同一労働同一賃金制度における最大のメリットです。
前述のファミレスPで、Aさんがチーフと同額の給料を貰えれば、Aさんの働くモチベーションは大きくあがるでしょう。
●自主的に非正規でいることが難しくなるかも
しかし、メリットばかりとも言えません。
「正社員と同じ額の給料を払っているのだから、正社員になってくれないか」。企業側からそう求められる可能性も出てきます。
パートやアルバイトで働く人が全員、正社員になりたいわけではありません。子育てや介護、さまざまな事情により、自らパートタイマーを選んでいる人もたくさんいるはずです。
「事情があって正社員にはなれない」と断ったときに、不当な解雇や給料の減額などをされることも現状ではありえますね。
同一労働同一賃金には、その他にもさまざまな問題があります。
『同じ仕事してれば、バイトでも正社員と同じ給料もらえるってことですよね。正社員になるメリットがもはや感じられません。同一労働同一賃金の話を聞いて、就活するのやめようかなって正直思いましたもん』(20代女性/学生)