能力が高すぎてもダメ!? 子どもの共感性を育てるためにママができること
こんにちは。子育て支援を専門にする臨床心理士の今井千鶴子です。
子育て相談の中でたびたび話題となるトピックがあります。それは、“共感する心はどうやったら育つか?”というものです。
そこで今回は、“共感性の育て方”について考えてみます。
●共感とは何か
はじめに少し専門的な話になりますが、実は、共感はさまざまな心理的な要素が集まっている心の働き だといわれています。
それらの要素は、大きく分けると「認知的側面」と「感情的側面」です。
ここでいう認知的側面とは、相手の立場に立ってモノを見たらどのように見えるかを分析・理解することを指します。
そして感情的側面とは、他者が感じていることを自分自身の感覚のように感じることを指します。
少し日常場面に置き換えて考えてみると、“注射を嫌がり泣き叫ぶ子ども”がいた場合、それを見て「怖い気持ちでいるんだろうな」というのが認知的側面であり、「自分自身も自然とつらい気持ちになる」というのが感情的側面だといえます。
●共感の必要性
これまでの研究から、共感の高い子どもほど他児への“援助行動”を行いやすいことがわかっています。
また共感は、“道徳性”を高めたり、“攻撃性”をコントロールしたりすることも知られています。
これらの知見が得られた理由としては、物事を相手の視点から捉えたり、他者の思いを自分のことのように感じたりする共感力があれば、相手を助けたいという気持ちになったり、自分がされて嫌なことを他者にしようとは思わなかったりするからだと考えられます。
こうした背景からも、子どもの共感を育てることはとても重要視されています。
ただし、共感の能力が強すぎると、人の感情や思いに振り回されてしまい 、自分らしく行動できないことも指摘されています。
●共感力を育てるためにママができること
共感に関する心の働きを可能にする土台には、“相手が見ているモノを相手の視点で見る”という物理的な視点から、“相手の気持ちに立って考える”という心理的な視点を自分に取り入れる“視点取得(してんしゅとく)”が重要になります。
なぜなら、視点取得がうまく働かないと、自分の視点だけで考えてしまい、人が感じていることをうまく感じとれず、自己中心的な状態になってしまう恐れ があるからです。ですから、はじめはお子さんに「ママの目から見ると何が見えるかな?」