能力が高すぎてもダメ!? 子どもの共感性を育てるためにママができること
という物理的な視点の移動(取得)を促し、その後は「ママは今、どんなことを考えているかわかるかな?」といった心理的な視点を取り入れていきましょう。
特に、相手の立場からモノを見ることが少し苦手なお子さんには、相手の気持ちに立って考えることを促すことが大切です。
たとえば、もし、お友達のおもちゃを奪い取ってしまったときには、まずは「ママが○○ちゃん(自分の子どもの名前)のおもちゃを急に取っちゃったら、どんな気持ちがする?」とその子の気持ちを確かめます。
もし「嫌な気持ち」と返ってきたら、「お友達も同じ気持ちだったんじゃないかな?」とお友達の気持ちに気づける具体的な関わりをします。
相手の立場からモノを見ることが苦手なお子さんにとっては、視点取得はたやすいことではありませんが、ひとつひとつの状況において丁寧かつ具体的にサポートしていくことで、“相手の立場に立って考える”という視点が少しずつ促されていくと思います。
また、普段の遊びでも視点取得は鍛えられていきます。その代表的な遊びが“ごっこ遊び” です。
ごっこ遊びでは、「ママはこう言うだろうな」「お姉ちゃんはこうするだろうな」など相手の視点に立つことが求められるからです。
一方、ブルース・D・ペリーの『子どもの共感力を育てる』では、共感を育てる方法として“本の読み聞かせ”も有効だと言われています。
ペリー(2012)は読み聞かせについて、『読者は登場人物の立場に身を置き、登場人物がうまくやればわがことのように喜び、その苦しみをわがことのように感じる』と述べています。
これらのことは、私自身の子育て経験や子育て支援の現場からも感じます。
多くの子どもは、楽しい物語のときは楽しそうに、悲しい物語のときには悲しそうに、登場人物の経験を自分と重ねあわせているように見えます。
ペリー(2012)が言うように、“読書はまさに共感の練習”です。
ただ一つママに知っておいてほしいことは、共感力が強いお子さんほど、登場人物の感情に巻き込まれてしまう傾向があるということです。
ですから、悲しい物語などを題材に使うときは、お子さんの様子に十分配慮しながら 本を選んでいくことが大切です。
また、就寝前は明るい気持ちでお子さんが眠れるように本を選んでいけたらいいですね。
さらに、物語の主人公と現実世界の自分とは“別の人間”だということもしっかりと理解させるとよいでしょう。