自宅生活へカムバック! 入院中の高齢者が「目標を持つ」ことの大切さ
【女性からのご相談】
40代です。82歳の義母が3か月前に足を骨折して入院してしまいました。それまでは何でも自分でやる人だったのですが、入院生活を送っている今は買い物をすることも料理をすることもできません。
しかし、今月から転院した医療療養病床併設の病院のお医者さまは、「今後の人生を楽しめるかどうかは、この病院で何を目標にして過ごすかにかかっています。あなたの目標は何ですか?」と義母に仰ったそうです。
82歳という高年齢で、かつボロボロな体の状態でも“目標”を持って生きなければならないのですか?できれば「楽に過ごさせたい」と思ってしまうのですが……。
●A. どんな健康状態にある人でも、今よりもイキイキと生きられる状態を目標として持つことは重要です。
こんにちは。
エッセイストでソーシャルヘルス・コラムニストの鈴木かつよしです。ご相談ありがとうございます。
いわゆる“高齢者のプライマリーケア”において、患者さん本人にどの程度の“回復したいという意思”を求めたら良いのかは、個別的な問題であるため簡単には答えを一般化できません。
たとえば、認知症がかなりのレベルまで進行してしまった患者さんにそういった意思の表示を求めることは困難でしょう。
しかし、どんな健康状態にある患者さんであっても、今よりイキイキと生きられる状態の“目標”(目標という言葉が大げさであれば、“イメージ”といっても構いません)を持つことが何よりも重要であることだけは、誰にも否定できない事実です。
今回は、都内の総合病院に勤務する、プライマリーケアに詳しい医師のお話を参考にしながら、この問題について考えてみましょう。
●目標を持つことの大切さ
『人類がかつて直面したことがない規模の超高齢化社会を迎えている日本では、たとえ体の自由がきかなくなった高齢者の患者さんであっても、“わが家”へ戻って何らかの“貢献”をして生きていくこと の重要性が叫ばれはじめています。
しかし、多少なりとも金銭的余裕がある家では、どうしても高齢者の介護の面倒をお金で解決したいという思考になりがちです。
皆がその方向を向いて次から次へに空き病床や空き施設を探して待つという状況は、キリがないといえばキリがありません』(40代男性/都内総合病院勤務・医師)
もちろん、介護は時間的・肉体的・精神的に大きな負担となるため、安直な在宅復帰は決してすすめられません。