ルール次第? 子どものやる気を「ご褒美」で引き出すのはアリか
この場合、一見Aさんのお子さんの方が成績が伸びそうな気がしますが、結果は逆でした。Bさんのお子さんの成績が伸びて、Aさんのお子さんの成績は変わらなかったのです。
なぜでしょうか?それは、ご褒美の条件を出す際の子どもの行為 が“アウトプット型”であるか“インプット型”であるかで学力が変わるからです。
●“アウトプット型”と“インプット型”、条件の違いで学力が変わる
たとえば、「テストの点数が良かったら」「通知表の成績が良かったら」などという条件は、今までやってきたことを外に出して結果を出す“アウトプット型 ”の力です。
それに対して、「宿題を終える」「問題集を解く」「本を読む」などの条件は力をつけるために知識を取り入れる“インプット型 ”の行動です。
ハーバード大学のフライヤー教授の研究によれば、この“インプット型”の条件でご褒美を示した方が子どもの学力をあげる効果が大きかったと述べています。
確かに、“アウトプット型”の「テストの点数が良かったら」「通知表が良かったら」というのは結果を求めるばかりで、良い点数をとるためにどのように勉強をすればいいのか、通知表で良い成績をとるためには何をすべきか、という具体的な手段 が抜けています。
一方“インプット型”の行為は、「問題集を解く」「宿題をする」「本を読む」などの学力向上につながる具体的な行動を示しています。
子どももその通りにやるだけなので自然と力がついてきます(もちろん、“アウトプット型”の「良い点数がとれればご褒美を……」という条件を出してもその良い点数がとれるための方法を教え、導いてくれる人がいれば良い結果に結びつくと思われます)。
ということで、ご褒美は具体的な手段や方法を提示する“インプット型”の条件が良いことがわかります。
ちなみに、ご褒美の条件を出す際の日にちは近ければ近い方が具体的でいい そうです。たとえば、「本を毎月1冊ずつ読んだら来年の誕生日におもちゃをあげる」よりも「1時間勉強したら、終わった後でお小遣いをあげる」の方が効果があるそうです。
●ご褒美は子どもの勉強への自主性や楽しみを奪わない
では、ご褒美が成績向上に一役かうことはわかりましたが、子どもの勉強へのやる気や楽しさなどの気持ちの影響はどうなるのでしょうか?
前述のフライヤー教授の研究によれば、ご褒美をあげる対象となった子どもたちと、そうでない子どもたちを心理学の手法を用いて統計的にはかったところ、両者に気持ちやモチベーションの差は特になかったそうです。