転んだら最後! “転倒しないこと”が高齢者の長生きにつながるワケ
(a)感染のリスク
(b)麻酔のリスク
(c)再骨折・脱臼のリスク
(d)痛み・しびれ等の残存
(e)歩行・移動能力の低下ないし喪失
(f)内科的疾患の出現
(g)認知症の出現
(h)せん妄の出現
(40代男性/都内総合病院整形外科勤務、整形外科医師)
また、これは正確な統計がとれていることではないため、あくまでも個人的な談話として聞いた話ですが、『大腿骨頸部の骨折で入院・手術をした後期高齢者の人で半年以内で死亡する人の割合は実は一般の人がイメージしている数字よりもっと多い』と仰る整形外科の医師(60代男性/都内整形外科クリニック院長)もいるほどなのです。
現実に筆者の母親はそれまで何でも自分ですることができていたのに、1月下旬に自宅の自分の部屋で転んで大腿骨頸部を骨折し、入院・手術してからというもの、日に日に全身の状態が低下 していき、5月下旬には帰らぬ人となりました。
●高齢者は“転んだら最後”のつもりで周囲は細心の注意を~意外と見落しがちな注意点~
おじいちゃんおばあちゃんに、いつまでも転ばずに元気で過ごしていただくために、周囲は“転ばせてしまったら最後”くらいのつもりで細心の注意を払う必要があります。
もちろん皆さんそのつもりでやってはいるのですが、より一層ということです。
そこでこのコラムでは、普通の健康な大人だと「そんなものが転倒リスクになるの?」と思うような、意外と見落しがちな転倒リスクについて触れて、しめくくりたいと思います。
●(1)薬の服用状況に注意を
高齢者の多くは多種類の薬を服用しており、その中には副作用としてフラつきや眠気、ぼうっとするなどの症状をもたらすものも多く存在します。
それらの副作用が出ているときの歩行は、高齢者にはさせないように気をつけるべきです。
●(2)靴下やスリッパは履かない方がいい
靴下やスリッパは、滑り止め付きのものを常に履く習慣ができている場合を除いて、履かない方がいい かもしれません。
裸足に慣れましょう。
冬の寒い日に履かないと耐えられないと仰るのであれば、むしろ布団から出ずに休んでいることをおすすめいたします。●(3)日常の細かな整理整頓に無頓着になった方がいい
その人のパーソナリティもあるので一概には言えませんが、日常の細かな整理整頓に伴う動き には多くのリスクが潜んでいます。
ほんの一例ではありますが、几帳面だった筆者の母は滑り止めの付いていない“あったか靴下”を履いた状態でベッドのシーツを直そうとして滑って転び、わずか4か月後に帰らぬ人となりました。