子どもの出来=親の評価 ではない。できる子と比べて焦ったりモヤモヤしがちな親の「心を軽くする」方法
吉田孝光
藤代:保護者自身は「子どもの成長を通じて、自分を認めて欲しい」という感情に気がついていると思いますか?「自分を認めてほしい、褒められたい」という感情に気がつくと、行動が変わるのでしょうか?
柘植:気づいただけでも、一歩踏み出せると思います。僕は親御さんに、お子さんと一緒にタイムラインを歩いてもらうことがあります。自分が生まれたときの年齢から、イメージする臨終までの年齢を書いて、そこにお子さんの年齢を入れていきます。そこには、自分の親の年齢も書き入れるのですが、そうすると「父母って、自分がこのぐらいの年にはいなくなっちゃうんだ」といったことに気がつきます。
藤代:自分の人生を客観的に見ることができるわけですね。
柘植:そうなんです。その結果、自分はどういう人生を歩みたいのか。自分は親として、どうなりたいのかと考えが深まっていきます。
タイムラインを書くと、子どもに関わってる時間は、それほど長くはないことがわかります。親が関われるのは、子どもが二十歳になる頃までで、その先はそれぞれの人生が待っています。タイムラインを見ながら「今の自分にアドバイスをして下さい」というワークをすると視点が変わって、いつもと違うアドバイスができるようになります。
藤代:自分を客観視することは、とても大事なことですよね。保護者だけでなく、指導者もそうですけど、うまくいかないことや欠点は目につきやすいので、探しやすいんです。そこで「うまくいっていることはなんですか?」としつもんをすると、答えられない親御さんもいます。自分がうまくいっていることを見つけられないということは、他者に対しても同じことが起こりうると思うので、まずは自分自身のどんなところがうまくいっているかを探してみるのも良いと思います。
柘植:それはすごく良いですね。
藤代:この対談を読んでいる方は、「自分がいまうまくいっていることは、何があるだろう?」というしつもんを自分自身にしてみてください。うまくいっていることが実感できれば、それが自信につながり、自分を肯定することにもなります。その結果、「自分は自分なんだ」という当たり前のことに気がつくので、お子さんを誰かと比べるという考え方も、徐々になくなっていくのではないかと思います。
対談の前半はいかがでしたか。
親のこころが良い状態にあると、子どもも安心してサッカーに勉強に取り組めるもの。