技術だけじゃない! プレミアリーグ、イングランドサッカー協会のベテランスカウトが教えるU-13世代のスカウト基準とは
私個人的には技術的な能力を重要視します。
もちろん現時点で技術的にパーフェクトである必要はなく、技術的に伸びる要素があることが大切です。
私はとにかく1に技術2に技術3に技術です。
もちろん最終的にはゲーム理解度や戦術理解度も高める必要があり、身体的な特徴も少なくとも1つ2つは最低ないとプロの世界では戦っていけませんが。
あと、この年代を見るうえで大事にしていることといえば、人/選手としての言動や人間性です。社会性や精神的な部分ですね。
選手はU‐13の時期でもこのような能力を培います。もちろんこの時点で精神的に成熟しきっている必要はありません。
ただし、良いメンタリティを持っているとスカウトに感じさせることは大切です。「もっとうまくなりたい」「もっと学びたい」というような強い気持ちをもち、集中して一生懸命練習している選手は、やはり目にとまります。
もちろんまだ若く発展途上なので、先ほど話したようにU‐13時点でパーフェクトである必要はなく、例えば感情のコントロールをうまくできない選手もよくいます。
でもこれは技術的な要素と同じで、例えばヘディングの技術がそこまで高くない選手がいます。でもそれは、ヘディングの方法を教わってしっかり練習すれば改善されるのと同様に、精神的な部分も経験を積めば成長していきます。
とても強いウィニング・メンタリティを持っている選手で、時に感情のコントロールをうまくできずレッドカードを貰って退場することがあります。
イングランドの選手ではベッカムだってW杯で退場したし、ルーニーだって退場しました。多くの選手がやってしまいます。
でも彼らが成長するにつれて、その課題に対して上手く向き合えるようになりました。
■クラブごとに「良い選手」は異なる
各クラブにクラブ哲学があるかと思いますが、それはスカウトする際に影響を与えますか?
全てのクラブにクラブ哲学があるかと思います。スカウトをする上で、クラブのニーズと選手のクオリティをマッチングさせることは非常に重要です。あるクラブは1on1に強く、ボールをうまく扱える選手を好むとします。ファーストタッチの質、オンザボール、オフザボールでの色々な動き方ができるという技術的な要素ですね。
反対に、あるクラブはとにかく身体能力が大切だと考えていて、たくさん走れてロングボールをバシバシ蹴れる能力などにフォーカスしていて、技術的な側面はあまり必要ないと感じています。