「うちの子はMFに向いている」など親が子どものポジションに口出し。様々なポジションをさせる重要性をどう説けばいい?
親御さんはわが子に成長してもらいたいと願っていますが、指導者も当然ではありますが自分の教え子を伸ばしたいと思っています。目標の着地点は同じなのに、向かうプロセスがちょっと違うようです。それを踏まえ、このポジション問題については指導者から親御さんに説明する必要がありそうです。
■同じポジションを続けた方が上手くなる、と思っている理由
「フォワードならずっとフォワードと、低学年から高学年までずっと同じポジションをやったほうがサッカーが上手くなる」
例えば、そのように多くの保護者は考えています。そのほうが手っ取り早いと思っているようです。親御さんだけでなく、指導者においても長い間そう考えられてきました。
「ひとつのことを長くやればやるほどうまくなる」
スポーツでも、習い事でも、似た教育観が根付いていました。
ところが、サッカーではさまざまなポジションを経験したほうが、どこが自分に合ったポジションなのかがわかる。
そうやって積み上げてきたものが有効に働くと、今は考えられています。
私は北海道から沖縄まで全国各地の少年サッカーコーチの方と交流がありますが、近年は「小学生の間はいろんなポジションをやらせる」とおっしゃる方が断然増えています。
■成長すると「ポジションの適正」が変化する
小学生のうちにポジションを限定しないほうがいい理由は、中学生になって第二次性徴期に入ると体格などが大きく変化するからです。
身長がぐんと伸びる子、伸びない子の差が出てきます。体格が変わるので、小学生の時に足が速かった子があまり目立たなくなったり、そうでもなかった子が図抜けて速くなったりします。つまり、個々が持つ「ポジションの適性」が変化します。
これらのことを踏まえると、小学生の間にポジションを決めるのは非常に危険だと言えます。私がJリーグ2クラブで育成に携わった10数年間だけでも、ジュニアユースやユースの選手をよく見ると、個々の適性がポジションと合っていないケースは少なくありませんでした。
■「うちの子は○○のポジションでプレーしてほしい」という親の望みが重圧になる
これは子ども自身の希望があるのかもしれません。であれば、子どもたちの希望を聞きすぎてしまうのも問題かと思います。しかしながら、その背景には相談者さんが訴えている保護者の存在がありそうです。
親御さんの「うちの子は前めのポジションでプレーしてほしい」