良いGKに必要な「失点しないコーチング」を身につけるコツ 味方を上手く動かす声かけ・指示とは
味方に指示を出すときは、この3つを意識しましょう。たとえば、シュートを打たせたくない場面で、味方に対して『打たせるな!』という指示を出しているキーパーを見かけます。はたして、これは良い指示でしょうか?」
そう疑問を呈し、次のように続けます。
「相手にシュートを打たせないために、味方は何をすればいいのでしょうか? 『打たせるな!』だと、指示が聞こえたとしても、具体的な行動は人によってそれぞれです。それならば、ボールを持っている選手に対して『寄せろ!』という指示の方がわかりやすいです」
寄せろ! という指示を聞いた選手は、相手との距離を詰めるようになります。結果としてシュートを打たれたとしても、足に当たる可能性が高くなりますし、シュートコースを塞がれていることを察知したシューターは、シュートではなくパスを選択するかもしれません。
「『寄せろ!』は語尾の母音が『お』なので、声を発しやすく、体に力がみなぎりやすいです。このように、ゴールキーパーが発する言葉ひとつで、味方も、自分もプレーがしやすくなることを、キーパーを始めたばかりの子たちに理解してもらいたいと思っています」
■DFラインを上げて欲しい時は「下がるな」ではなく......
また試合中、ゴールの近くでボールを持たれたくないので、ディフェンスラインを上げてほしい場面があります。
「そのとき、ディフェンスの選手に『下がるな!』と声をかけているキーパーをよく見かけます。『下がるな!』は『下がる』という動詞に『な』を加えて、否定する言葉です。試合の緊迫した状態で『下がる』と『下がるな』を聞き分けるのは難しいですし、最後まで聞かないと、『下がる』なのか『下がるな』なのかがわかりません」
では、ここで問題です。ディフェンスラインを下げさせたくないときに、どのような指示を出せばいいでしょうか?
「僕は『止まれ!』を推奨しています。人間は止まれと言われると、その場にとどまろうとします。結果、ディフェンスラインをずるずる下げることはなくなります。『止まれ!』は短くて発しやすく、言われた方もどうすればいいかが瞬時に理解できますよね。大きく、短く、わかりやすく。
これがコーチング(指示出し)のポイントです」
■わかりやすいコーチングは、親との会話など日常生活で意識することができる
わかりやすいコーチングは、サッカーの場面だけでなく、日常生活からも意識することができます。