現地の食事を食べられることも世界で活躍するサッカー選手のバロメーター パフォーマンス上げる食事の意識
過去に何度もブラジル遠征に参加している小林コーチは「どれだけ現地の食事を食べることができるかを、適応のバロメーターにしています」と話します。
「現地の食事を受け入れられるかどうかは、サッカーのパフォーマンスにも直結します。普段食べないものでも、食べられるものを探してしっかり食べることが大切です。ブラジルの選手はよく食べます。1日5回の食事(朝食、昼食、トレーニング後の補食、夕食、夜食)があり、量も質も非常に高いです。肉料理が3種類、豆料理、ご飯、野菜、色とりどりのフルーツが並んでいました」
日本の子どもたちは、日本とは違う食文化、味付けに戸惑い、慣れるのに時間がかかったそうです。
「お母さんのご飯が恋しい、日本食が食べたいと言う声も聞こえてきて、パンとバナナとオレンジぐらいしか口にできない子もいました。食事への適応は、サッカーへの適応と同じです。
いつもと違うコーチ、練習内容、環境。それらを受け入れ、その中で自分を出していくことが求められます」
今回の遠征では、4人全員が食事面で苦戦していましたが、なんとか最後までやり遂げたそうです。
■日本人同士で固まらないよう、現地の子とペアを組ませた
(写真提供:クルゼイロジャポン)
遠征中は、午前か午後のどちらかはブラジル陣のコーチが個人・グループのテクニックや戦術を、つきっきりで教えてくれました。小林コーチは「とても贅沢な時間でした」と振り返ります。
「午後は外部のスクール生を呼んで、ブラジル人の子どもたちと一緒に練習や試合を行う機会を設けてくれました。クルゼイロのトップチームの施設で練習できることは、現地の子どもたちにとっても、夢のようなことのようです」
小林コーチは日本の子どもたちに「日本人同士で固まらず、練習のペアはブラジル人と組もう」と伝えたそうです。
「そうした小さな努力の積み重ねが、異文化適応につながると信じています」
現代の子どもたちは、コロナ禍の影響で他者との関わりや、集団で行動することに対する経験が、例年以上に乏しいです。
小林コーチは「コロナ禍の子どもたちは、例年よりも2、3歳ほど、子どもっぽい印象があります」と述べます。
「だからこそ、サッカーにしても食事にしても、それ以外の時間の過ごし方にしても、いろいろな刺激を与えてあげたい。今の子どもたちは、サッカー漬けの日々を送り、親の送り迎えで完結する、狭い世界に閉じこもりがちです。