小さくて線が細いU-10年代に浮き球のシュートを教えたい、ボールを浮かせるコツをどう教えればいい?
「みんな、池上コーチとこの子では、どっちがボールを飛ばすと思う?」
そう尋ねると、全員が「池上コーチ!」と声をそろえます。私は「そうだね。でも、みんなも体が大きくなれば、遠くに蹴られるようになるよ」と伝えます。
子どもの身体的な成長という点で考えると、パワー系の練習は避けたほうがいいでしょう。例えば、小学生に筋力トレーニングが必要ではないことはずいぶん前から言われています。
なぜならば、小学生はまだ骨格がしっかりしていないからです。この点から考えると、小学生のときから浮き球の強いシュートを打つ練習は必須ではありません。決して軽くはないサッカーボールを空中に飛ばすには、相当な筋力を要するからです。
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■小さくてもサッカーはできるゴールに流し込むのも得点
私が講習会で子どもを並ばせて「どっちが飛ばすかな?」と尋ねるのは、コーチにも理解してほしいからです。それは「今は違うことをやればいいんだよ」というメッセージです。
パワー系の練習よりも、パスで崩してシュートに帰結するものをやってほしい。そういった練習が子どもたちのサッカーキャリアを明るく照らすことにつながります。
保護者の方からは「うちの子は小さくて......やっていけるでしょうか?」と相談されることも少なくありません。私は「小さくても生きる道はありますよ。そういう指導者に出会えればいいですね」と答えます。
テレビでサッカーの試合を実況するアナウンサーが「ゴールに流し込みました」という言い方をしますね。
そのように得点はできます。
もっと言えば、高校生くらいになるとある程度の強いシュートはみんな蹴られるようになります。
■体が大きく早熟な子たちは後年に晩熟型の子に負けるようになったりする
ご相談文にあるように、体が大きな早熟な子どもたちは強いシュートを蹴ることができます。小学生の間はゴールが小さく、ゴールキーパーも大きくはないため、そういった早熟な子たちは簡単にゴールを決められます。そういった子たちが強いチームに集まる傾向はあるようです。ところが、小学生時代はたくさん勝てた早熟な子どもたちが、高校生になると晩熟の子たちに負けるようになります。体格やパワーが全員そろってくる中学、高校と進むと、封じ込まれてしまうのです。
パワーを使って勝っていた子たちはテクニカルの勝負ができないからでしょう。