2022年6月29日 14:30
子どもの英語アウトプットをサポートしたいときの3つのポイント
かといって、子どもがポロッと言った英語の間違いを親がはっきりと訂正してしまったら、子どもはいやになりますし、親もそんな役割を担うのはいやになると思います。明らかに勉強として英語を使っている場であれば、はっきりと訂正してあげてもいいですが、小さい子どもは明示的に訂正されてもなかなか直せない、ということが言語学の研究で言われています。
大人は、ことばを自分から切り離して、それについて考えたりすることができますが、小さい子どもは、ことばを客観視することができないからですね。
―親が英語の間違いを直そうとしても、子どもにとっては、あまり効果的ではないのですね。
子どもにとって、ことばというものは、自分の気持ちを表現するツール、親の意図を理解するツールであり、それが体に染みついています。体で覚えている、体得している、自分とことばが一体化している、というイメージですね。ですから、「〜と言いなさい」と言われたとしても、それを真似して言うかもしれませんが、理解はできないので、次の瞬間からもう忘れてしまうと思います。
明示的な指導が効果的になってくるのは小学校高学年以降ですが、そのような指導で知識を得たとしても、それを自動的に使えるようにならないことは多いです。
明示的に教えることができればすべてが解決するかいうと、そうではなく、むしろ、そこから先に長い時間がかかります。
ですから、親は、アウトプットの間違いを訂正するよりも、良質なインプットを大量に与えて、それが定着した先に自分で正しい文で言えるようになるのを辛抱強く待つほうがいいですね。
■ おわりに:親のサポートは「できる範囲で」&「温かく見守る」を心がける
ことばは、母語であっても、外国語であっても、生涯にわたって、さまざまな場面で学び続けるものです。幼少期の取り組みだけで将来の言語能力が決まるわけではないため、子どもが興味をもって長く学び続けたいと思えることが大切です。できる範囲でアウトプットの機会をつくりながら、子どもの成長を温かく見守る。親がそのようなリラックスした姿勢でいることが、子どもが本来持っている「アウトプットは楽しい」という気持ちを育て、将来の英語を話す力につながるのではないでしょうか。
詳しい内容はIBS研究所で公開中の下記記事をご覧ください。
■<横浜国立大学 教育学部 尾島 司郎 教授>インタビュー〜
第3回:
https://bilingualscience.com/english/2022062401/
第4回:
https://bilingualscience.com/english/2022062701/
■ワールド・ファミリー バイリンガル サイエンス研究所(World Family's Institute of Bilingual Science)