ファイナンシャルプランナー。株式会社マイエフピー代表取締役。お金の使い方を改善する独自の家計再生プログラムで、これまで23,000万件以上の家計相談を受けてきた。書籍・雑誌への執筆、講演も多数。
■前回までの話 家計が厳しくて教育費を削るべきかどうか…で悩むママたちは多くいます。そんな時に考えたい「習い事の始める時と辞め時」について。また子どもとお金の話をするときに「うちはお金がない」と言ってしまってもいいのか? という問題も横山先生が回答します。 >>1話目を見る 「節約は得意だけれど、投資は怖い…。でも、最近、 「つみたてNISA(ニーサ)」や「iDeco(イデコ)」 という言葉をよく聞くから、やっぱり投資はしておくべき?」 そんなママたちを代表して家計再生コンサルタントの横山光昭さんにお話しを伺ってきました。 横山 光昭(よこやま・みつあき)さん 家計再生コンサルタント、ファイナンシャルプランナー。株式会社マイエフピー代表取締役。お金の使い方を改善する独自の家計再生プログラムで、これまで24,000万件以上の家計相談を受けてきた。書籍・雑誌への執筆、講演も多数。 ■「投資はすべきか?」プロの驚くべき回答は? 楢戸 :直球で聞きます。投資ってするべきなんですか? 横山 :「するべきか?」というよりも、 「しなければマズい!」という人たちが多い のが現実です。「怖い」といった感情的な判断軸で、判断している場合ではないというか…。正直なところ、極論を言ってしまえば、「やらなければ、アウト」な人が多いんです。 楢戸 :え!? それって「貯金」というペースだけでは、必要な老後資金を貯められないという意味ですか? 横山 :そうですね。 「老後資金を、公的年金だけで十分賄えます」という人はレアケース だと思います。そうなると、ある程度は自分で用意しておく必要があります。 私たちは、 ライフプラン表 を使って、具体的に計算をします。そうすると「この貯金ペースだけでは、必要な老後資金を貯められない」という人が、大半なんです。 ■投資が初めての人におすすめの「パッチテスト」 楢戸 :厳しい現実ですね…。でもお金のことを、「ライフプラン」という長い時間軸で考えられる人は、まだ少ないと思います。 「節約を頑張れば大丈夫なのでは?」という目線の方に、「ライフプラン的に見て、投資をしなければ間に合わない」という話をしても難しい…。この目線の切り替えは、どうしたら良いでしょうか? 横山 :よくある話ですけど、 「投資を少額からやってみる」 というのは、王道だと思います。「つみたてNISA」や「iDeco」は、税制の優遇制度なのはご存知ですか? 入口としては、「つみたてNISA」の方が入りやすいですね。こういった制度を使って、まずは投資を少しだけ始めてみるんです。 楢戸 :NISAは「少額投資非課税制度」の愛称です。この制度には 「少額投資を、税金の優遇制度を使って推奨します!」 という国からのメッセージが込められています。 「少額の投資を体験する」という意味で、いわば 「投資のパッチテスト」 です。自分が投資に対して、どんな反応をするのか? それを知ることから始める…くらいのテンションだったら、「やってみようかな?」と思える人もいるかもしれません。 横山 :パッチテストいいですね! うちでも使います(笑)。本格的な投資を始める前に、まずはパッチテストで体験予想をしておくと心理的なハードルは下がります。 ■リアルに投資を始めた人の実感は? 楢戸 :以前、ウーマンエキサイトの連載で、横山さんの 「貯金感覚で始める3000円投資生活」 を特集したことがありました。特集を担当した編集者さんが、この特集を機に投資を始めたそうなんです。 その編集者さんは「最初は全然増えずに、放ったらかしにしていました。ある時、フッとみたら上がっていて、そこから勉強を始めました」と、おっしゃっていました。 投資に対して、頭で「減った時のこと」を考えるのではなく、行動を起こして、「増えた」というプチ体験をすると、投資をスムーズに始められると思います。いい意味での「欲」を持てるようになれば、興味も沸きますしね。 横山 :好奇心ですよね。 楢戸 :好奇心という言葉、いいですね! ▼「貯金感覚で始める3000円投資生活」 ■投資の「値動き」に一喜一憂しないためには? 横山 :私が推進している投資は、 「インデックスファンドを長い時間をかけて積み立てする」 というもので、そんなに怖くはないと思っています。 「家訓として言われているので、僕は絶対に投資はできません!」と、おっしゃる方も、一定数いらっしゃいますが…。そういう方は、「投資」と「投機」を混同されているのかもしれませんね。 楢戸 :インデックスファンドを長期で積み立てするというのは、世の中のお金の流れに乗り遅れない、最も手軽な方法だと私は思っています。 横山 :ただ、コロナショックもそうでしたが、「半年」「1年」といった短いスパンで見てしまうと、値下がりをすることもあります。投資に慣れていないと、この最初の値動きのアップダウンで、「やっぱり投資は無理」と思ってしまう人がいるのかもしれません。 繰り返しになりますが、私が推奨しているのは、 10年単位で保有をする「長期投資」 です。10年単位のスパンで見れば、値動きしつつも、資産は増えていくとは思います。今、個人投資家の数は日本の人口の6分の1くらいかな? もう少し増えてもいいと思います。 ■夫に「お金の話」をどう切り出すか?の大問題! 楢戸 :最後にひとつ聞いていいですか? 投資に対しての価値観の擦り合わせにも繋がると話ですが、結局のところ「お金の話」は、ママひとりでは、解決できないと思うんです。 でも 「お金のことを、夫にどう切り出すか?」 。このハードルは、とてつもなく高いと思うんです。そんなママたちに、アドバイスをお願いします! 横山 :とても難しい問題ですね。旦那さんにお金の話をする際に、私がお勧めしているのは 「実際の数字を見せる」 ということです。 「今月の収入は〇〇円で、支出の内訳はこうでした」みたいな一覧表を作るのです。具体的な数字があると、男性はイメージが沸きやすいと思います。 楢戸 :感情に訴えるのではなく、相手が理解しやすい資料を用意するということですね。あとは、 「ひとりで不安にならない」 ってことですかね? 横山 :それは、大いにあります。それから、子どもにも一緒に話に参加してもらう。 楢戸 :子どもに「わが家のお金の話」をすることは、 「自分は、この家の大切な構成員なんだ」 という子どもの自尊感情を育てることにも繋がると思います。 横山 :そうですね。私自身も、子どもたちに対して、「みんなが『株式会社 横山』のメンバーなんだ!」という気持ちで接しています。大人は固定概念に囚われがちなので、子どもからお金について新鮮な目線を教えてもらうこと、今でもありますよ。 【この記事のまとめ】 投資をしないと、アウトな人が多い。横山さんの言葉は、かなり衝撃でした。でも、お金を「ライフプラン表を使って人生の最後まで考えてみる」という視点は、大切ですね。 昨年(2022年)12月には、NISAの制度改正も発表になり、これから投資分野はますます熱くなりそう…。ひとりでお金のことを悩むのではなく、家族でお金の話を共有しつつ、具体的な行動ができると良いですね! ■今回、取材を受けてくださった横山光昭先生の書籍 90日で「貯める力」をつける本 (横山光昭著/ディスカヴァー・トゥエンティワン 1540円(税込)) 「赤字家計」「貯金ゼロ」「低収入」の家計を再生してきた伝説のメソッドが超リニューアル! なぜ、今、「貯める力」なのでしょうか? 1つ目は 「リスク対策」、2つ目は「お金を増やすため」。 「貯める力」は、一生お金に困らない“基本の力”となります。 横山 光昭(よこやま・みつあき)さん 家計再生コンサルタント、ファイナンシャルプランナー。株式会社マイエフピー代表取締役。お金の使い方を改善する独自の家計再生プログラムで、これまで24,000万件以上の家計相談を受けてきた。書籍・雑誌への執筆、講演も多数。 イラスト:ありま
2023年07月12日■前回までの話 家計のプロである横山光昭さんによると、「家計費でここはまだ削れる」というところが2つあるといいます。ひとつは携帯代金。もうひとつは保険。どこに、どうやって情報を取りに行けばいいかが、わからない…。そんな方はどうすればいいのでしょうか? >>1話目を見る 「これからどんどん教育費かかるよね…でも少しでもお金削りたいなんて親失格かな…」そんな風に悩むママが多くいると聞きます。 全然、親失格なんかじゃありません! かえって「どんなに家計が苦しくても、教育費だけは削らない」などと、ママがひとりで節約を抱え込んで頑張る時代は終わりました。 今後、教育費のことをどんなふうに考えていけばいいのか? 6人のお子さんがいる「お父さん」でもある家計再生コンサルタントの横山光昭さんにお話しを伺いました。 横山 光昭(よこやま・みつあき)さん 家計再生コンサルタント、ファイナンシャルプランナー。株式会社マイエフピー代表取締役。お金の使い方を改善する独自の家計再生プログラムで、これまで24,000万件以上の家計相談を受けてきた。書籍・雑誌への執筆、講演も多数。 ■習い事の辞め時シグナルを見逃さないためには 楢戸 :教育費について、横山さんはどんなお考えなんでしょうか? 横山 :わが家の指針として間違いなくやっていることは、教育費について子ども自身とよく話し合って、 子どもの意向を聴く ということです。 たとえば、大人もそうかもしれませんが、習い事は「やりたい!」と思った時点が、「やりたい気持ちがMAX」なんです。けれども半年くらい経ってみると、「思っていたほど、面白くないな」といったことってありませんか? 「習い事に、少し遅れて行く日がチラホラでてきた」…。そんなところに、 「習い事、辞め時のシグナル」 は出ています。子ども側としても、「あれだけ『やりたい!』と言った手前、すぐに辞めたいとは言い出せないな…」と、思っている可能性もあります。「習い事の辞め時シグナル」を見逃さないためにも、子どもの意向を聞くことは大切です。 ■習い事を始める前に親が覚悟すること 楢戸 :今の話のポイントとして「やりたい気持ちがマックスなら、やらせてみてもいい」というのは、ひとつ、ありますか? 横山 :ただ親の都合で「お金がないから、途中で辞めさせる」というのは違うと思います。習い事を始める時には、親は 「月謝を払い続けられるかどうか?」 をよく考えて、覚悟を持って通わせ始めないといけないと思います。 楢戸 :そういった「家計の舞台裏」を、実際に子どもに話してみるというのはどうですか? たとえば「うちの家計は、〇〇円です。あなたの習い事代は〇〇円、1ヶ月の食費の1/4と同じくらいの金額がかかっています。お母さんも節約を頑張って月謝を払っているので、あなたの気持ちが変わったら早めに言ってね」といった感じです。 横山 :いいですね! お金の話を家庭内でする習慣 があると、子どもの視点が違ってきますよ。たとえば、うちの中学生の子は、自分からこんな提案をしてきました。 「A塾は16,500円で、B塾だと19,000円くらいかかる。内容的にはB塾の方がいいので、少し高いけどお願いだから通わせて」と。本人が、塾の内容と金額の両方を見て、自分で選んでくれるのは助かります。 楢戸 :子どもが 「自分で考え、選択をする」 という場面は、尊重したいですね。そのためにも、「わが家のお金の話」を、幼い頃から子どもに話していく必要があると思います。 ■「うちはお金がない」と言っていいの? 横山 :子どもにお金の話をする時に注意して欲しいのは、 「ネガティブな言い方をしない」 ということです。「うちはお金がないから、〇〇できない」といった言い方だと、子どもは心配になってしまいます。 わが家でお金の話をする時には、「〇〇をするためにはどうしたらいいかなぁ? みんなで一緒に考えようぜ!」という“ノリ”で話をします。 楢戸 :なるほど。ネガティブなトーンではなく、 「これを達成するために、みんなでやろう!」 という明るいトーンで話をするのですね。「お金の話」をする時の大事なポイントです。 横山 :子どもたちに家計をオープンにした副産物として、「いくら言っても水をジャージャー使っていた子が、歯磨きをする時は蛇口を締めるようになる」みたいな循環が、わが家では生まれています。 ■子どもの前でお金の話をするのは悪いこと? 楢戸 :そうは言っても、家庭内で「お金の話」をすることに、抵抗がある人もいると思います。 横山 :たしかに少し前の日本では、「お金のことを話すことは、はしたないこと」といった価値観がありましたから…。でも、家庭内でお金の話を聞かずに育った大人は、今、困っていると思うのです。 楢戸 :この記事を読んでくださっているママは、もしかしたらひとりで「教育費を何とかしなきゃ!」と思っていらっしゃるかもしれません。 横山 :ひとりで抱え込むのは、よくないですね。 楢戸 :「子どもにお金の話をするのは、子どものためでもある」ということを、今日は知って欲しいと思います。横山さんに教えていただいた「お金の話の伝え方のポイント」に注意しながら、少しずつ、子どもに「わが家のお金の話」をしていけると良いですね。 【この記事のまとめ】 子どもは、大人が思っているよりずっと、 「自分の家のこと」に敏感 だと思います。家族の一員として、習い事代といった「自分に関係のある話」あたりから、少しずつ、「家のお金の話」に触れていく…。そうすると、子どもは、実感を持ってお金に慣れていけるのではないでしょうか? 次回は、「節約は得意だけれど、投資は怖い…」というママに向けた投資のお話。お金のプロであるFPの横山先生に直球で「投資ってするべきなんですか?」と聞いてみました。すると返ってきた答えは衝撃の一言でした。 ■今回、取材を受けてくださった横山光昭先生の書籍 90日で「貯める力」をつける本 (横山光昭著/ディスカヴァー・トゥエンティワン 1540円(税込)) 「赤字家計」「貯金ゼロ」「低収入」の家計を再生してきた伝説のメソッドが超リニューアル! なぜ、今、「貯める力」なのでしょうか? 1つ目は 「リスク対策」、2つ目は「お金を増やすため」。 「貯める力」は、一生お金に困らない“基本の力”となります。 横山 光昭(よこやま・みつあき)さん 家計再生コンサルタント、ファイナンシャルプランナー。株式会社マイエフピー代表取締役。お金の使い方を改善する独自の家計再生プログラムで、これまで24,000万件以上の家計相談を受けてきた。書籍・雑誌への執筆、講演も多数。 イラスト:ありま
2023年07月11日■前回までの話 マネーライターである楢戸さんは以前収入減に陥った過去が…。そんな家計のピンチに初めて家計管理と向き合うことに。そんなピンチがあったからこそ、自信につながったという。そんな楢戸さんが「子供が10歳になるまでに、一度、真剣に家計と向き合うことは、おすすめです!」と話す。 >>1話目を見る 節約の記事は、よく見かけます。試しに、今、「家計 節約」と検索してみたら、節約案の筆頭に「スマホを格安スマホに乗り換える」とありました。 でも、実際の多くの人は「知ってはいるけど、行動に移せない」という段階なのではないでしょうか? そこで、どうしたら実際の行動に移せるのか? を中心に、家計再生コンサルタントの横山光昭さんに、お話しを聞いてきました! 横山 光昭(よこやま・みつあき)さん 家計再生コンサルタント、ファイナンシャルプランナー。株式会社マイエフピー代表取締役。お金の使い方を改善する独自の家計再生プログラムで、これまで24,000万件以上の家計相談を受けてきた。書籍・雑誌への執筆、講演も多数。 ■携帯代金は半分の人が見直す余地がある!? 楢戸 :今、家計が不安な人は多いと思うんです。家計のプロから見て、「ここをチェックしてみて!」という部分は、どこでしょう? 横山 :筆頭は、 携帯代金 です。ここ2、3年で、携帯費用を抑えられている方も増えてはいますが、まだ半分くらいの方は見直す余地があると思います。 楢戸 :携帯代金は、どんなふうに見直せば良いのでしょう? 横山 :(自分が入っている)大手キャリアに「携帯代金の割安プラン」を相談に行っても、料金はそう大きくは変わりません。まずは、家電量販店の「格安携帯」というコーナーに行ってみて下さい。 楢戸 :家電量販店に行って、「格安携帯かどうか」というのは、わかるものですか? 横山 :最近は、コーナー自体が目立つようになっています。担当者の方が「格安」という法被を着ていたり、旗が立っていたりするんです。 ■携帯を変更する「心理的ハードル」が高い人は? 楢戸 :なるほど、そうなんですね…。削りどころを質問しておいてナンですが、やっぱり「携帯を変える」という心理的なハードルは、かなり高いような気もします…。 横山 :そんな方は、こんなふうに考えてください。 「家電量販店には、現状を相談に行く」 と、思ってみるんです。最初から「携帯を変えるぞ!」と思っていると、お店に行くこと自体が億劫になります。 たとえば、買い物に出たついでに、ふらっとお店に寄ってみる。そこで、「私は、こんなふうに携帯を使っているけれど、どんなプランがありますか?」と、話を切り出します。 ギガ数が多い方がいいのか、通話があった方がいいのか…。人によって携帯の使い方は違いますから、自分にとってベストな使い方と、それにかかる料金を聞いてみましょう。 楢戸 :「携帯を変える」ではなく、「まずは相談する」で、良いんですね。安心しました。 ■お得情報はアップデートしないともったいない! 横山 :最初の一歩は、「携帯料金が、安くなるんだ」ということを「知る」だけでも充分です。「料金が安くなる可能性がある」と 「知る」 だけで、気持ちや意識は変わってきますから、キャッチする情報も違ってくるんです。 相談に行った際には、 「デメリット」 も、一緒に聞いておきましょう。デメリットを聞いて、「相談はしたけれども、変更しない」という結論でも大丈夫です。 大切なのは、「格安携帯って、繋がらないんでしょ」などと、頭の中のイメージだけで判断をしないことです。実際に足を運び、具体的な料金を知り、メリットとデメリットを比較検討しながら、自分で考えてみるということが重要です。 楢戸 :お得情報はアップデートされているので、「知らない」のはもったいないですね。「情報をチェックに行く」、それくらいだと気が楽です。 横山 :わが家は今、携帯を7台使っていますが、7台で、月額料金は、8000円弱だったと思います。 楢戸 :7台で、8000円弱!? 横山 :ここが、 「工夫」 なんです。たとえば、家や会社にWi-Fiがあれば、ギガ数がかかるものは、そこで使うようにする。そうすると、「毎月、私は10ギガ使うかな?」という自分に対しての問いが生まれます。こんなふうに、節約は、情報力と自分なりの工夫で何とかなる部分もあることを知って欲しいですね。 ■1回頑張るだけで効果が持続する費目は? 楢戸 :携帯料金の次にチェックする費目はありますか? 横山 :次に検討して欲しいのは、 保険 です。保険は、「固定費」の代表格ですから。保険の見直しは労力かかりますが、 「1回だけ」頑張ればいい んです。 楢戸 :1回だけ!? 横山 :固定費の見直しは、1回見直しさえすれば、あとは気を抜いていても効果は持続します。そういう 「面倒だけれど、確実に効果がある」 という節約を、意外と皆さんやってないんです。 楢戸 :なるほど! では、「保険の見直し」は、どのようにすればいいのでしょう? 横山 :携帯の見直しと似ていますが、プロに聞くのが早くて楽です。信頼のおけるファイナンシャルプランナーに相談に行くのが近道だと思います。 楢戸 :皆さんのニーズとして、「自分が入るべき保険って、本当にこれでいいのかな?」というのはあると思うんです。けれども、どこに、どうやって情報を取りに行けばいいかが、わからない…。そんな「保険難民」の方、多いと思います。 横山 :うちは、「金融商品のセカンドオピニオン」サービスもしています。「提案されて保険に加入したものの、どうも腑に落ちない」といったモヤモヤを一人で抱えている方って、思っている以上に多いんです。 たとえば… 横山さんのところで、保険の見直しの相談は1回5,000円。死亡保障、医療保障の内容チェック、貯蓄性のある商品の整理整頓などをしてもらえます。 楢戸 :そういった方たちも、ある意味「保険難民」ですね。 横山 :少し暑苦しいのですが、私は、「そもそも、どこに保険をかけるべきなのか?」という「『保障を買う』という根本の考え方」をお伝えする資料も渡すようにしています。 「加入している保険の意図」と「自分の意図」が合っているかどうか? を、御自身で考えてみるために、最低限の基礎知識は必要だからです。 楢戸 :普通の人が、「保険証券を見て、保障(補償)内容を読み解き、自分に合っているか判断する」というのは、難易度が高すぎですね。 横山さんは、保険証券とその方との「通訳」をしてくださっているんですね。たしかに、保険の見直しは、プロ(通訳)なしだと厳しいのかもしれません。 【この記事のまとめ】 家計が不安だと、とっつきやすい節約として、やみくもに「買い物を控える」という選択をしがちです。けれども、それが守れなくて落ち込んでしまうことはありませんか? 今回、横山さんに教えていただいた節約のキーワードは、 「自分で考えてみる」 だと思います。もちろん、必要に応じて、プロの手を借りてOK! まずは、「家計について、ゆっくり考える時間を作ること」から始めようと思います。 次回は、教育費のお話。「教育費を削りたいなんて親失格かな…」そんな風に悩むママが多くいると聞きます。ひとりで節約に悩むママに向けて、家族で取り組む方法を教えてもらいます。 ■今回、取材を受けてくださった横山光昭先生の書籍 90日で「貯める力」をつける本 (横山光昭著/ディスカヴァー・トゥエンティワン 1540円(税込)) 「赤字家計」「貯金ゼロ」「低収入」の家計を再生してきた伝説のメソッドが超リニューアル! なぜ、今、「貯める力」なのでしょうか? 1つ目は 「リスク対策」、2つ目は「お金を増やすため」。 「貯める力」は、一生お金に困らない“基本の力”となります。 横山 光昭(よこやま・みつあき)さん 家計再生コンサルタント、ファイナンシャルプランナー。株式会社マイエフピー代表取締役。お金の使い方を改善する独自の家計再生プログラムで、これまで24,000万件以上の家計相談を受けてきた。書籍・雑誌への執筆、講演も多数。 イラスト:ありま
2023年07月10日物価は高くなるし、エネルギーも高騰。それなのに、お給料は全くあがる気配がない…。そんな閉塞感の中で、将来への不安を感じている人は、多いのではないでしょうか? でも、大丈夫! ピンチは、チャンスでもあるんです。これまで、「ちゃんとしなきゃ!」と思いながらも、何となく先送りにしていた「お金のこと」と、今、向き合ってみませんか マネーライターである私・楢戸ひかるがお金のプロである横山光昭先生に今のこの時代をどう乗り切っていけばいいのか、直球質問した対談をお送りしていきます。 ■マネーライターなのに家計がヤバい! まず最初に私自身のことを少しお話させてください。 じつは、私自身、30代の時に、 「毎年、世帯年収が減り続けた時期」 がありました。理由はふたつあって、夫の会社が、「3年間で社員の年収を5%引き下げる」と決めたこと。加えてフリーランスのライターだった私が、軸足を仕事から家庭に移したこと。 長男ひとりのときは共働きをしていましたが、夫の転勤先の北海道で双子を授かり、(ほぼ)専業主婦になりました。軸足を仕事から家庭に移したのだから、収入減は当たり前ですが、大きな打撃でした。 でも、今、考えると、家計がピンチになって、ようやく初めて家計管理と向き合えたんです。当時の私は、結婚しても、長男を産んでも、20代の浪費体質&どんぶり勘定を引きずったまま、30代後半を迎えていました。マネーライターなのに…です。あのとき、必要に迫られなかったら、今でも、放漫家計だったと思います。だから、「必要に迫られる」って、大切です。 ■収入源のピンチを乗り切った今思うこと な~んて、恰好いいことを言ってみましたが、収入激減は、すごく、すごく不安で、亀が手足を甲羅に引っ込めるような気持ちで、毎日を過ごしていました。 お金を使うこと自体に強い罪悪感があり、1000円のランチに行ったことを、「無駄遣いしちゃった」と、3日後悔するような日々。お風呂を沸かすのを節約するために、洗面所で息子の手足を洗ったこともありましたっけ…。 でも、家計が苦しい時期を何とか乗り切ったことは、その後の自信になりました。そして、思ったんです。 「あの時に、家計と真剣に向き合って良かった!」 と。 「お金を貯められるのは、子どもが10歳まで」 というフレーズ、聞いたことありませんか? 春からわが家は子どもたちが大学生2名と社会人になりましたが、「それって、本当だな~」と、つくづく思います。放漫家計のままだったら、教育費が山場の今、もっと苦しかったと思います。 そんな私だからこそ、「子どもが10歳になるまでに、一度、真剣に家計と向き合うことは、おすすめです!」と、言いたい。今、閉塞感を抱えてるママたちに、「ピンチはチャンス!」とエール送りたいです。 次回は、節約案の筆頭にある「スマホを格安スマホに乗り換える」。「知ってはいるけど、行動に移せない」という人のために お金のプロの横山光昭先生に対策をお聞きしました! ■今回、取材を受けてくださった横山光昭先生の書籍 90日で「貯める力」をつける本 (横山光昭著/ディスカヴァー・トゥエンティワン 1540円(税込)) 「赤字家計」「貯金ゼロ」「低収入」の家計を再生してきた伝説のメソッドが超リニューアル! なぜ、今、「貯める力」なのでしょうか? 1つ目は 「リスク対策」、2つ目は「お金を増やすため」。 「貯める力」は、一生お金に困らない“基本の力”となります。 横山 光昭(よこやま・みつあき)さん 家計再生コンサルタント、ファイナンシャルプランナー。株式会社マイエフピー代表取締役。お金の使い方を改善する独自の家計再生プログラムで、これまで24,000万件以上の家計相談を受けてきた。書籍・雑誌への執筆、講演も多数。 イラスト:ありま
2023年07月10日「家計をシンプルにする第1歩は、お金の流れをシンプルにすること」。そう言うのは、家計再生コンサルタントの横山光昭さんです。 でも、そもそも、家計の把握の方法がわからない場合は、何から始めたらいいですか? 引き続きお話しを伺います。 この記事は、 「『コロナで家計がヤバい!』やりがちな失敗パターンと今やるべきこと」 なぜかお金が貯まらない…じつはお得だと思っていたものが元凶!? の続きです。 ■夫婦で「家庭」という会社を共同経営する ――家計の「お金の流れ」、なかなか把握ができないんです 皆さん、そうですよ。ただ、とくに共働きのご家庭は、忙しいから、それぞれの収入にノータッチになりがちゆえに、複雑になってしまいがちだという印象があります。 夫婦それぞれの入出金が不透明だと、家計が悪化しやすい傾向 があります。 ――共働きなのに、お金が貯まらない‥‥。それって、よくあることなんですか? そうそう(笑)。正直なところ、それはよくあります。そういう方たちに対して、僕は、「どちらか一人が黒字会計にしようとがんばるよりも、 二人で力をあわせれば圧倒的に効果がでやすい んです」とお伝えしています。 できれば、夫婦で「家庭」という会社を共同経営しているという感覚が持てるようになると良いですね。夫婦(家族)の家計づくりは、次のような手順で進めます。 ●夫婦(家族)の家計づくりの手順 1)お互いの収入を把握する 2)夫婦共通の口座から支払う支出、おこづかいから支払う支出を決める 3)毎月の夫婦の目標貯蓄額を決める 4)それぞれのおこづかいの予算額を決める 5)毎月の振り返りを一緒に行い、必要があればルールを調整する 出典: 『横山先生ド素人の私に教えてください! これからの「お金」の貯め方&増やし方』 (出典:『横山先生ド素人の私にわかりやすく教えてください! これからの「お金」の貯め方&使い方) ■お金と上手につきあっていく、たった2つのポイント ――「夫とお金の話をする」というだけで、めちゃくちゃ、ハードルが高いです その気持ちも、よくわかります。でも、要は、次の2つができれば良いんです。この2つさえできていれば、お金を使いすぎて赤字会計に陥ることはありませんから。 1)今の状態を知る(現状把握) 2)収支のバランスを記録&チェック 「夫婦でお金の話し合いをするのは、ハードルが高い」と感じる人は、大切なことは先ほどの2つなんだという、ゴールのイメージを知ることから始めると良いかもしれませんね。 ●夫婦の家計づくり ■家計簿をつける上で、最も大切なこと ――そう言って頂けると、少し心が軽くなります… 家計簿も、難しく考えずに、「次の2つをするためのもの」と、ある意味、割り切ってみてはどうでしょう? 大切なことなので、何回も繰り繰り返しお伝えします。 1)今の状態を知る(現状把握) 2)収支のバランスを記録&チェック 家計簿の肝は、「ふりかえり」なんです。 家計簿が続かない理由として、「細かくつけようとして数字が合わない」とか「分類や記録の仕方がわからない」といった声をよく聞きます。 けれども、家計簿で大切なのは、「費目分けがきちんとしていること」でも「収支がきっちりとしていること」でもないんです。 家計簿は、自分のお金の現状を把握し、収支のバランスを記録&チェックするためのもの です。 ■「記録をつける」ということに労力を使わない工夫を! 僕が声を大にしてお伝えしたいのは、くれぐれも、家計簿の「記録をつける」ということに囚われない(労力を使わない)工夫をして欲しい! ということです。 そのためには、例えばスマホのアプリなどを活用するのも一つです。スマホには多くの家計簿アプリが存在します。そのなかには銀行口座やクレジットカードと連携することで、細かな記録をつけなくても自動管理してくれるものもあります。 家計簿の肝である「ふりかえり」に一番、労力が割けるように、「記録をつける」部分を楽にする方法を、自分なりに工夫をしてみる。その工夫をする試行錯誤にこそ、まずは労力を使って欲しいですね。 いかがでしたか? 筆者は、「このままでは、ヤバイ!」と思いつつ、なかなか着手できない3大項目のひとつが、「お金のこと」だと思っています(他の二つは、「ダイエット」と「お片付け」)。自分を上手にあやしながら、「お金のこと」と向き合うキッカケに本連載がなるとうれしいなと願っています。 最後に、横山さんから、皆さまにエールをいただきました! 「今回お伝えした事柄は、一見、地味に感じるかもしれません。でも、最初にお伝えしたとおり、普通の道を着実に歩いた方が、結局、挫折はしないから長続きするんです。 今、コロナ禍で不安に感じている人が多くいると思います。でもパパママ世代は、心配することはありません。今から、頑張れば大丈夫です! これらの方法を実践した人は、最初こそ『お金のことが苦手』だったかもしれませんが、いつしか『家計の達人』になりました。23,000万件以上の家計相談を受けてきた僕は、その事実を、皆さんに強くお伝えしたいのです」 ■「これからを生き抜くお金の貯め方」第3回まとめ 1)家計の再生は、夫婦二人で力をあわせれば圧倒的に効果がでやすい 2)家計簿の肝は、「ふりかえり」である 3)効果が出やすい見直し費目は、「携帯費」「交際費」「保険料」である ■今回、取材を受けてくださった横山光昭先生の書籍 『横山先生ド素人の私に教えてください! これからの「お金」の貯め方&増やし方』 (横山光昭 (著), マネーフォワード (著)/かんき出版 ¥1,540) マンガとイラストで、わかりやすくて面白い「お金」の本。書籍では、年金2000万円問題から電子マネーやスマホ決済まで、「お金」の今さら聞けないことや得することが、この本1冊でわかります。さらにスマホで行えるらくらく家計簿についても解説! 横山 光昭(よこやま・みつあき)さん 家計再生コンサルタント、ファイナンシャルプランナー。株式会社マイエフピー代表取締役。お金の使い方を改善する独自の家計再生プログラムで、これまで23,000万件以上の家計相談を受けてきた。書籍・雑誌への執筆、講演も多数。
2020年08月30日「貯まらない人の共通点は、『お金の流れ』がごちゃごちゃしていること。反対に言えば『家計の混乱』をうまくほどいて、シンプルにすることで、お金はきちんと貯められるようになるんです」と言うのは、家計再生コンサルタントの横山光昭さんです。 そこで、『家計の混乱』をうまくほどいて、シンプルにする具体的な方法を、伺ってきました! 「『コロナで家計がヤバい!』やりがちな失敗パターンと今やるべきこと」 の続きです。 ■『家計の混乱』ほどき方その1、銀行口座を書き出す まず、最初にやっていただきたいのが、銀行口座の確認です。 お給料の入ってくる口座、貯金をしている口座、教育資金を貯めている口座、生活費などを支払っている口座、生命保険や自動車保険の支払い口座、住宅ローンの支払い口座、クレジットカードの引き落とし口座などなど、とにかく全部書き出してみます。 ――うっ! それを、全部やるんですか? いきなり、気分が萎えてしまいます ここは、がんばりどころです。自分を励ましながら、書き出してみましょう。全部書き出したら、次は、これらの口座を絞り込んでいきます。大切なのは、 「使う口座」を一つに絞り込む ことです。 人によっては、光熱費はA銀行で引き落とし、食費はB銀行から引き出して使う、クレジットカードの引き落としはC銀行というふうにあちこちの口座からお金が引き落とされ、何にいくら使ったのかよくわからないという状況に陥っています。 ――銀行口座を絞り込む基準は、何かありますか? 絞り込む基準は、「自分にとって使い勝手が良い金融機関かどうか」です。たとえば、「家や会社から近い」、「ネットでの口座管理がしやすい」というように、あくまで自分にとって便利な口座を選んでください。 ――なるほど! 「ただ数を減らせばいいというわけでもないんですよ。3つの袋(口座)の考え方をお忘れなく! すると、銀行口座は、次のように絞り込まれると思います。 ※3つの袋(口座)とは 家計を①使う袋、②貯める袋、③増やす袋で考えます。ポイントは、できるだけ『使う袋』の口座に、出費や引き落としを集結することです。 ●銀行口座の絞り込み着地点 1)お給料振り込み口座(共働きなら2口座) 2)使う口座(生活費やローンの支払い) ⇒ 毎月一定額を補充する 3)貯める口座(貯金用) ⇒ 毎月一定額を貯める 4)増やす口座(資産運用・証券口座) ⇒ 毎月一定額を運用する 出典: 『横山先生ド素人の私に教えてください! これからの「お金」の貯め方&増やし方』 ■『家計の混乱』ほどき方その2、クレジットカードの絞り込み ――銀行口座の絞り込みが終わったらどうすればいいですか? 銀行口座の絞り込みが終わったら、クレジットカードも絞り込みます。クレジットカードの複数持ちも、ごちゃごちゃ家計の元凶です。 クレジットカードは店頭での決済タイミングと、引き落としタイミングが約1ヶ月ズレるため、いつ、何に、いくら、支払うかが、とにかくあいまいになりがちです。 だからこそ、枚数はできるだけ絞り込んでください。 「カードは一人1枚のみ!」 と声を大にしていいたいくらいです。それくらい、家計の混乱を招くものなのです。 ――クレジットカードや電子マネーの選び方を教えてください! 「自分の生活圏だったら、どれが使いやすいか?」で、考えてみると良いですね。 たとえば、自分がよく行くスーパーと相性の良いクレジットカードや電子マネーってあると思うんです。そうなると、おのずと選ぶべきものは、決まってきます。あとは、お得に翻弄されないということも大切です。 ――ドキっ! お得に翻弄されない…。耳が、とても痛いです クレジットカードや電子マネーは、ポイントに目がくらんで、使おうとしないということです。あくまで、ポイントは、お金を使うからつくものであるので、お得ではない…。それくらいのシビアな気持ちを持っておいて欲しいと思います。 ■『家計の混乱』ほどき方その3、お金の出口を厳選する ――ここまでできたら、結構すごいこどだと思います 仕上げは、お金の出口を一本化することです。まず、日頃、お金をどんなことに使っているか思い浮かべてください。 次のように、ざっと思いつくだけでもずいぶんあると思うんです。これらの支払い方法は、現金だったり、口座引き落としだったり、クレジットカード払いだったり、現金で支払っていたりと、普通、バラバラですよね? ●「日頃、お金をどんなことに使っているかの例 生活費(水道光熱費、日用品、食費、被服費)、医療費、通信費、住宅ローン、保険料、教育費(学校教育費や保育料)、レジャー費(交際費や旅行費)、習い事代 出典: 『横山先生ド素人の私に教えてください! これからの「お金」の貯め方&増やし方』 ――あらためて考えてみると、たしかに、いろいろな方法で支払っていますねぇ~ ここも、絞り込んでいきます。「口座引き落とし」「クレジットカード払い」「現金払い」を、なるべく1つの方法にまとめます。 たとえば、光熱費や通信費をカード払いにしているのなら、それを先ほど選んだ、1枚のクレジットカードから引き落とすようにするんです。当然、口座引き落としもクレジット払いも、元となる口座は、1本目で絞りこんだ『使う口座』にします。 ――はぁ(溜息) やっぱりお金のことって、面倒ですね… 最初だけです。たしかに、おっしゃるとおり、ここでお伝えしたことは、面倒なことかもしれません。でも、最初だけなんです。 一度だけ、覚悟を決めて銀行口座やクレジットカードを整理 してしまえば、後は、そのまま使えます。 それに、振り返りもしやすくなります。口座引き落としは、通帳。クレジットカード払いは、使用明細にお金を使った記録が残りますからね。ここは踏ん張りどころと思って、トライしてみて欲しいですね。 ■「これからを生き抜くお金の貯め方」第2回まとめ 1)銀行口座やクレジットカード、電子マネーは、「自分にとって使い勝手」で絞り込む 2)ポイントに目が眩まないようにする 3)お金の出口を一本化するのは大変だが、大変なのは最初だけ 次回は、誰もが気になる「家計簿」について、横山先生にレクチャーしていただきます。 !--[ARTICLE-E1596790262201]--> ■今回、取材を受けてくださった横山光昭先生の書籍 『横山先生ド素人の私に教えてください! これからの「お金」の貯め方&増やし方』 (横山光昭 (著), マネーフォワード (著)/かんき出版 ¥1,540) マンガとイラストで、わかりやすくて面白い「お金」の本。書籍では、年金2000万円問題から電子マネーやスマホ決済まで、「お金」の今さら聞けないことや得することが、この本1冊でわかります。さらにスマホで行えるらくらく家計簿についても解説! 横山 光昭(よこやま・みつあき)さん 家計再生コンサルタント、ファイナンシャルプランナー。株式会社マイエフピー代表取締役。お金の使い方を改善する独自の家計再生プログラムで、これまで23,000万件以上の家計相談を受けてきた。書籍・雑誌への執筆、講演も多数。
2020年08月29日withコロナの生活が「日常」になって、「家計が厳しい!」と感じている人は多いのではないでしょうか? 「残業代が減るなど、月額1~3万円収入減のご家庭は珍しくないんです。そうなると、『ギリギリ何とか回っていた』『少しは貯蓄ができていた』というご家庭でも、俄然、厳しいと感じるようになっています」とおっしゃるのは、家計再生コンサルタントの横山光昭さんです。 横山 光昭(よこやま・みつあき)さん 家計再生コンサルタント、ファイナンシャルプランナー。株式会社マイエフピー代表取締役。お金の使い方を改善する独自の家計再生プログラムで、これまで23,000万件以上の家計相談を受けてきた。書籍・雑誌への執筆、講演も多数。 ■コロナ禍にあって、家計が心配な方へ 横山光昭さんは、こんなふうに言います。「私は、長年、赤字家計の悩みを解決し、黒字にすることを仕事にしてきました。やり方さえ理解すれば、誰でも 『家計の達人』になれる んです」 ――ええ! 本当ですか? ぜひ、そのやり方を教えてください! 承知しました。最初にお伝えしたいことは、 「まずは、落ち着こう!」 ということです(笑)。 「家計を何とかしないと、本当にヤバイ!」というような勢いがある時って、気分的には修行系、茨の道をガシガシと行きたい気分なんだと思うんです。けれども、普通の道を着実に歩いた方が、結局、挫折をしないので長続きするんです。 ■自分が使っている金額は、世の中の平均的か? ――そう言われても、気持ちばかりが焦るんです そんな人は、家計の現状把握から始めましょう。「家計が黒字なのか? 赤字なのか?」。そこまでは、何となく把握している人が多いんです。 けれども、その先になると、じつは、「何にいくら使っているのか? さっぱりわかりません」という人は、多いものです。 ましてや、 自分が使っている金額が平均的なのか? そして、家計全体から見て、 その割合が適正なのか? といったことになると、ほとんどの人が把握していません。 ――え? そうなんですか? これは そういう方を否定している訳ではないんです。まずは、「多くの人が、家計の現状把握ができていない」という事実を、皆さんに知って欲しいなと思ってお伝えしています。 でも、それって、ある意味、当然のことだとも思うんです。お金のことって、とてもセンシティブです。たとえ夫婦間や気のおけない友人に対してでさえも、細かい内容まで踏み込んで話す機会がないことの方が普通です。 そうなると、「自分のお金の使い方を客観的に眺めてみる」という経験や発想がないことの方が、当たり前だと感じます。 でも、たくさんの家計をみてきた僕から言わせてもらうのであれば、「がんばっているのになぜかお金が貯まらない、毎月赤字になってしまう」という方々には、やっぱり共通点があるんです。 ■赤字の「元」を根本から断つために必要なこと ――共通点!? それは、 「お金の流れ」がごちゃごちゃしている ことなんです。 生活費や水道光熱費、教育費、住宅ローンなどの支払い用の銀行口座が複数あり、いつ、どこの銀行から何円の支払いがあるか、ほとんど把握できていないご家庭がとても多いのです。 ――「それって、自分だけじゃないんだ」と、逆に、少しほっとしました そうなんです! 繰り返すようですが、「多くの人が、家計の現状把握ができていない」という事実を知るだけでも、皆さん、安心されます。それが家計と向き合う第1歩なんです。 ちなみに、ごちゃごちゃしているのは、支払い用の銀行口座だけではありません。貯蓄用の口座や資産運用のための口座が複数あったり、クレジットカードや電子マネーも、ポイントを貯めるために複数持っている人が多いですね。 ――だんだん耳が痛くなってきました… ひとつ言えることは、お金の出口が分散しすぎると、全体像が見えづらくなるということです。そうなると、家計は必ずと言っていいほど、うまく回りません。 でも、反対に言えば、複雑に絡み合った「家計の混乱」をうまくほどいて、シンプルにするだけで、お金はきちんと貯められるようになるんです。 ■家計は、「3つの袋」で考える ――シンプルにする…。それって、どういうことですか? 最初に、目標とするイメージをお伝えしますね。 考え方としては、次の図のように、家計を、「3つの袋」で考えます。ポイントは、できるだけ『使う袋』の口座に、出費や引き落としを集結することです。 ●「3つの袋」 ――なるほど 「家計を何とかしないと!」という今の焦りや勢いを、銀行口座やクレジットカードを整理することにぶつけてみてはどうでしょう? 最初はちょっと面倒ですが、一度やってしまえばあとは手間がかからないから、おすすめです。 ■「これからを生き抜くお金の貯め方」第1回まとめ 1)自分のお金の使い方が適正かどうか把握している人は、実は少ない 2)『家計の混乱』をほどいて、シンプルにすることで、お金はきちんと貯められる 3)家計は、「3つの袋」で考える。 次回は、銀行口座の統合や、クレジットカードの整理の手順を具体的にお伝えします。 ■今回、取材を受けてくださった横山光昭先生の書籍 『横山先生ド素人の私に教えてください! これからの「お金」の貯め方&増やし方』 (横山光昭 (著), マネーフォワード (著)/かんき出版 ¥1,540) マンガとイラストで、わかりやすくて面白い「お金」の本。書籍では、年金2000万円問題から電子マネーやスマホ決済まで、「お金」の今さら聞けないことや得することが、この本1冊でわかります。さらにスマホで行えるらくらく家計簿についても解説!
2020年08月28日2019年に話題となった公的年金の「2000万円足りない」問題。何となく気になっている人は、パパママ世代でも多いかもしれませんね。 お金の超プロフェッショナルである横山光昭さんは言います。「2000万円問題は、年金を自分事として考えるいいキッカケなんですよ」 この記事は、 第1回「『老後が不安』で終わらせていいの?」 第2回「じつは『老後に2000万円必要』とは報告されてなかった!?」 第3回「老後資金『2000万円以上必要な人』と『2000万円かからない人』 の続きです。 ■今、私たちがやるべきこと2つ 本連載の 第2回 では、横山さんに年金を自分事として考えるために、今、私たちがやるべきことを、ポイントを2つに絞って教えてもらいました。 ●今、私たちがやるべきこと2つ 1)自分自身の年金受取額の見込みを把握すること 2)今とこれからの社会状況を認識した上で、『将来の自分の場合はどうなのか』を知っておくこと 出典: 『横山先生! 老後までに2000万円ってほんとうに貯められますか? 人生100年時代でも豊かに暮らす、資産と年金への向き合い方』(横山光昭著/KADOKAWA刊)より抜粋) ■自分自身の年金受取額の見込み額を把握するには? 今回は、自分の年金受取額の見込み額を把握するための方法からお伝えしましょう。みなさん、お誕生日月に「ねんきん定期便」が送られてきますよね。現役世代では、基本的に次の4パターンで郵送されてきます。 ●「ねんきん定期便」の郵送パターン 1)50歳未満の人(35歳、45歳の人を除く):ハガキ 2)35歳・45歳の人:封書 3)50歳以上の人:ハガキ 4)59歳の人:封書 筆者作成 大まかに言えば、50歳未満と50歳以上で「ねんきん定期便」の形式が違います。ここで、ひとつ問題点があります。それは、50歳未満の人の場合は、「ねんきん定期便」だけでは、将来の自分の受給予定額がいくらなのかが、わからないんです。 ■ねんきんネットは、ご存知ですか? 「自分の年金額を早めに把握しておくと、現在の生活費と老後を比較したときに、どれだけ足りそうか、足りなさそうかが推測しやすくなります」(横山さん) 筆者も、「将来の自分の年金額は早めに知っておくに越したことはない」と思っています。50歳未満の人が、将来の自分の年金を知りたい場合は、「ねんきんネット」を使いましょう。 ただ、「ねんきんネット」を見るためには、毎年のねんきん定期便についていくる「お客様のアクセスキー」や基礎年金番号での利用登録が必要です。利用登録をしてユーザーIDを取得すると、自分の年金の試算などができる仕組みになっています。ちなみに、アクセスキーの有効期間は、ねんきん定期便到着後3ヶ月間です。「毎年、お誕生日月に将来の年金額を試算してみる」など、自分の「年中行事」のひとつに組み込んでも良いですね。 ■年金事務所はご存知ですか? それでも、やはりわからないことはあるはずです。「年金全般に関する不明点があれば、直接近くの年金事務所に足を運んでみたり、ねんきんダイヤルに電話をかけて聞いてみることです。いずれにしても、みずから動いて聞きに行くことが大事です」(横山さん) ●ねんきんネット: ●全国の相談・手続き窓口: ●ねんきんダイヤル:0570-05-1165 ■繰り下げると受給率が増える老齢年金 ここまで読んで、「年金、やっぱり、面倒くさい」と、ちょっと憂鬱になってしまいましたか?(笑)。 では最後に、とても大切なことをお伝えして、本連載を終わりましょう。 年金は繰り下げると、受給率が高くなる 年金を「繰り下げる」とは、年金の受給開始年齢を遅らせることをいいます。次の表のとおり、1ヶ月繰り下げるごとに受給額が0.7%増える計算で、今は、70歳が後ろ倒しにできる最高齢です。 ちなみに、70歳から受給を開始すれば、増額率は42%! つまり142%の年金がもらえるんです。なかなか、すごいスゴイ数字だと思いませんか? ●老齢年金の繰り下げ受給の増額率 ■65歳までに1560万円を! そうは言っても、現状、多くの人の定年は、65歳。年金の繰り下げの恩恵を最大限に利用できる70歳まで年金を受給しないとなると、65~70歳の生活費を確保しておく必要があります。 たとえば、第2回でご紹介した 「金融審議会」 のモデル家計を例にとって、65歳~70歳の生活費を試算してみましょう。モデル家計の毎月の生活費は、26万円でしたから、これの5年分。具体的には、1,560万円です。 生活費月26万円×12ヶ月×5年=1560万円 一言で、「65歳までに1560万円を貯める」といっても、30歳、35歳、40歳では、老後までの持ち時間が違います。そうなれば、毎月の貯蓄目標額も違ってきます。残りの月数から逆算した、毎月の貯蓄目標額を表にしてみました。 ●スタート年齢から逆算する老後資金貯蓄額(1,560万円の場合) ■年金を自分事として考え始めることが大切 いかがでしょう? 具体的なベネフィット(それをやることで得られる未来)を知れば、自分年金について少しはヤル気が出てきませんか? こんなふうに、少しずつでも、年金に対しての知識を増やしていくことが、今は大切な時期なのだと筆者は思います。 私はマネー記事の取材を通じて、日本の年金制度は、「最低限の生活保障」というカタチになっていくと予測しています。NISAのモデルとなったイギリス、iDeCoのモデルとなったアメリカ、両国ともに年金の自助努力を促すために税制優遇制度を作り、年金は「最低限の生活保障」という位置づけです。NISAやiDeCoが「輸入」されてきたのですから、日本の年金政策はイギリスやアメリカと同じ方向に舵を切っていると考えるのが自然でしょう。 老後までの時間が、まだある今だからこそ、「自分らしい老後」を送るために、年金に対して学び始めること。それは、ライフデザインも含めて、「未来の自分」について考えることでもあると思います。 ●「老後までに2000万円貯められる?」第4回のまとめ 1)「ねんきんネット」の利用登録をして将来の年金額を試算してみる 2)年金の「繰り下げ」を知る 3)まずは、65歳までに1,560万円を貯金しよう ※本連載で紹介する制度などに関する情報は、2020年2月26日時点のものです。 ■今回、取材を受けてくださった横山光昭先生の書籍 『横山先生! 老後までに2000万円ってほんとうに貯められますか? 人生100年時代でも豊かに暮らす、資産と年金への向き合い方』 (横山光昭/KADOKAWA ¥1,540円(税込み)) 横山 光昭(よこやま・みつあき)さん 家計再生コンサルタント、ファイナンシャルプランナー。株式会社マイエフピー代表取締役。お金の使い方を改善する独自の家計再生プログラムで、これまで23,000万人以上の家計を再生。書籍・雑誌への執筆、講演も多数。 >> 「老後までに2000万円貯められる?」連載 記事を見る 第1回「「老後が不安」で終わらせていいの?」 \おすすめ動画もぜひご覧ください!/ 母ちゃんTVはコチラ チャンネル登録お願いします♪
2020年03月18日「『老後2000万円問題』で不安や疑問を覚えた今こそ、年金について学び始めるチャンスです」と言うのは、ファイナンシャルプランナーの横山光昭さん。 学び始めると言われても、何をどうやって考え始めればいいの? 最初の1歩がわかりません!! そんな人のために、「2000万円より必要な人、少なくて済む人」の具体例を教えてもらいました。 この記事は、 第1回「『老後が不安』で終わらせていいの?」 第2回「じつは『老後に2000万円必要』とは報告されてなかった!?」 の続きです。 ■そもそも「2000万円が不足」って、何? 前回の記事で、 「2000万円問題は、ある一組の夫婦の資産の(例)にすぎない」 と、書きました。(例)となっている家計は、下記です。ポイントを3つあげておきましょう。 ●「2000万円問題」のモデルとなった家計のポイント3つ 1)夫が65歳以上で妻も60歳以上。二人とも無職 2)年金収入が約21万円なのに対し、支出は約26万円 3)月額5万円の赤字が出る 筆者作成 家計の内訳は、次のとおりです。ご自身の家計と比べてみて、いかがですか? たとえば、この家計の住居費は、月額13,656円です。この金額ですと「家賃」というよりは、「持ち家でローンは完済。固定資産税などを月額割にした数字」なのではないでしょうか? ■「どんな生活をしたいか?」で必要な金額は変わる こんなふうに、モデルとなった家計と、「わが家の家計」を照らし合わせてみる作業を、まず始めてみると良いと思います。その上で、「では、自分自身の老後をどんなふうにしたいか?」を、考え始めてみましょう。 「まずは自分の老後のビジョンを決めることから始めましょう。そうでないと老後の必要額はわかりません」(横山さん) そう言われても、多くの人は「心配のない老後にしたい」というくらいしか、イメージが沸かないかもしれませんね…。 そこで、23,000件以上の家計をみてきた、家計のプロ横山さんの出番です! 今回は、「2000万円」を基準にして、2000万円以上老後資金が必要な人、2000万円までなくても大丈夫な人の、「ありがちな収支パターン」を教えていただきました。 ●ありがちな収支パターン4例 1) Aさん:2000万円では全然たりない人 2) Bさん:2000万円までなくても足りる人 3) Cさん:年金のみでもいける人 4) Dさん:Aさんのバージョン違いの「2000万円ではたりない人」 ※Dさんは、わりとよくみられるパターンだそうです。 ここで、今回の「試算の条件」のポイント整理しておきましょう ●今回試算条件 1)「将来の収支予想の収入」は年金のみの収入で、年金のみで生活した場合 2)年金受給額は、今後の加入状況や収入の状況を予測した概算 3)予備費用は、リフォーム、介護、病気、旅行費用に充てるための金額 筆者作成 ▼パターン1)Aさん 2000万円では全然たりない人 【診断】 高支出メタボ家計 Aさんは、こんな人 → ちょっといいもの症候群 Aさんは、現役時代の年収が1100万円と非常に高いので、いわば「ちょっといいもの症候群」です。 消費では、「ちょっといいもの」を選びがちなので、生活コストがかかります。また、資産形成は、「賢くできるはず!」という気持ちで堅実路線とは言い難いチョイスをしていますが、思うような結果は得られていません。 ▼パターン2)Bさん 2000万円までなくても足りる人 【診断】 無駄のない節約家計 Bさんは、こんな人 → 堅実な生活者 Bさんの現役時代の年収は500万円で、「堅実な生活者」です。 そもそも、現役時代に使えるお金が特別高いわけではないので、消費は、「地に足がついた感じ」です。普通の収入なので、生活もごく質素です。もっとも「質素」と「貧乏くさい感じ」は、まったく違います。家計の収支について、きちんと考えています。 ▼パターン3)Cさん 年金のみでもいける人 【診断】 年金を貯蓄に回せる理想家計 Cさんは、こんな人 → 老後は実家の田舎で暮らす予定の人 Cさんの現役時代の年収は、600万円。老後は実家に戻って田舎暮らしを始める可能性があるそうです。住宅ローンは返済中ですが、これを完済して持ち家を売れば、1000万円くらいの資産になるかもしれません。 田舎に戻ったあとは、親と変わらない近所付き合いをし、食材はもらったり安く買えたりしそうなので、生活コストは低そうです。 ▼パターン4)Dさん 2000万円より多く必要な人人 【診断】 賃貸住宅が老後にも響く赤字家計 Dさんは、こんな人 → 「老後の家賃」が厳しいタイプ Dさんの現役時代の年収は、700万円。比較的慎重派で、何千万もの住宅ローンを組んで持ち家にすることは考えていません。家は必ず買わなくてはいけないというものではありませんが、老後の限られた収入の中でやりくりするときには、家賃は、かなり負担の大きな支出となります。 あなたの家計は、どのパターンが近かったですか? この記事をキッカケにして、老後というのは、「どこかの国の誰かの話」ではなく、「今日の私の地続きにある話」というイメージを持つことが、年金を自分事として考える第1歩なのだと筆者は考えます。 ■老後対策の柱は、3つ 「老後生活を送っている自分」のイメージが持てるようになると、ようやく自分年金づくりのスタートラインに立ったということなのだと思います。では、スタートラインに立ったら、何から始めれば良いのでしょうか? 横山さんは、言います。「老後対策は、総じていえば、次の3つのアプローチから手をつけていくと、良いでしょう」 ●老後対策の柱3つ 1)年金以外の収入の道を探る 2)支出は現役世代のうちからコントロールする習慣をつける 3)運用もできるだけ早いうちから始める 出典: 『横山先生! 老後までに2000万円ってほんとうに貯められますか? 人生100年時代でも豊かに暮らす、資産と年金への向き合い方』(横山光昭著/KADOKAWA刊)より抜粋) ●「老後までに2000万円貯められる?」第3回のまとめ 1)「2000万円問題」のモデルケースを知り、自分の家計と比べてみる 2)老後は、「今日の私の地続きにある話」である 3)「老後対策の柱3つ」を知っておく 次回は、いよいよ「自分年金の作り方」について、具体的に考えてみます。 ※本連載で紹介する制度などに関する情報は、2020年2月26日時点のものです。 ■今回、取材を受けてくださった横山光昭先生の書籍 『横山先生! 老後までに2000万円ってほんとうに貯められますか? 人生100年時代でも豊かに暮らす、資産と年金への向き合い方』 (横山光昭/KADOKAWA ¥1,540円(税込み)) 横山 光昭(よこやま・みつあき)さん 家計再生コンサルタント、ファイナンシャルプランナー。株式会社マイエフピー代表取締役。お金の使い方を改善する独自の家計再生プログラムで、これまで23,000万人以上の家計を再生。書籍・雑誌への執筆、講演も多数。 >> 「老後までに2000万円貯められる?」連載 記事を見る 第1回「「老後が不安」で終わらせていいの?」 \おすすめ動画もぜひご覧ください!/ 母ちゃんTVはコチラ チャンネル登録お願いします♪
2020年03月17日2019年は、公的年金だけでは 「2000万円足りない」 問題が注目されたことにより、「老後について、本気でどうにかしなきゃ!」と、危機感を感じた人も少なくなかったのかもしれません。 「老後に2000万円足りないって、本当?」お金の超プロフェッショナルである 横山光昭さん にお話しを伺ってきました! この記事は、 第1回「『老後が不安』で終わらせていいの?」 の続きです。 横山 光昭(よこやま・みつあき)さん 家計再生コンサルタント、ファイナンシャルプランナー。株式会社マイエフピー代表取締役。お金の使い方を改善する独自の家計再生プログラムで、これまで23,000万人以上の家計を再生。書籍・雑誌への執筆、講演も多数。 ■老後2000万円足りなくなるって、本当? 取材の冒頭、「老後資金が、2000万円足りないって、本当ですか?」という、素朴な疑問を横山さんにぶつけてみました。 横山さん曰く、「結論から言えば、ウーマンエキサイトのパパママ世代の方は今から、『自分の場合は?』と、 年金を自分事として考え始めれば大丈夫です 」とのこと。 ほッ! 良かった! では、年金を自分事と考え始めるためには、何が必要なのでしょうか? いわゆる 「老後2000万円問題」の整理 から始めましょう。 コトの発端は、6月上旬に公表された金融庁の金融審議会「市場ワーキング・グループ」の報告書です。全51ページの、たった一文(太線部分)だけが切り取られ、大騒ぎになりました。 ●金融審議会「市場ワーキング・グループ」報告書 年金だけが収入源となる無職のある高齢夫婦(夫65歳以上、妻60歳以上)。夫婦の 年金収入が約21万円 なのに対して、 支出は約26万円 かかっています。 その収入と支出の差となる 不足額が毎月5万円 。 これが20年間続くとすると、 30年間で約2000万円が必要になる という試算です。 参考文献: 金融審議会「市場ワーキング・グループ」報告書 (全51ページの21ページ目) ■「絶対に2000万円が必要だ」などとは書いていない 報告書は、ネット上で誰でも目をとおすことができます。「私も報告書が公表されてすぐに目をとおしましたが、あの報告書では、 『老後の生活に、絶対に2000万円が必要だ』 とは書かれていません。紹介されていたのは、ある平均的な夫婦の老後の資産(例)です」(横山さん) 「ある平均的な夫婦の老後の試算(例)」についての解説は次回行うとして、ここでは、この報告書のポイントを整理しておきます。とても大切な報告書なので。 ●ウーマンエキサイト世代のパパママが知っておくべき3つのポイント 1)長寿化はこれからどんどん進んでいく。 2)充実した人生を送るためには年金だけでは足りない。 3)自分事として準備しましょうと「自助努力」を促す。 筆者作成 ところで。皆さんは自分の年金について、 「いつから」「どのくらい」 もらえるのか知っていますか? 年金について、今、何か準備していることはあるのでしょうか? 「自分の年金について考えたことのなかった方、これまで誤った情報に惑わされていた方に、この連載を通じてメッセージをお伝えしたいと思っています」(横山さん) ■キーワードは、「人生100年時代」 年金の問題を考える時、キーワードは、 「人生100年時代」 です。今では当たり前のように使われている「人生100年時代」というフレーズですが、そのキッカケは、『LIFE SHIFT~100年時代の人生戦略』(リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット著/東洋経済新報社刊)という本がよく売れたことにあります。 この本の初版は、2016年10月なので、約3年前、にわかに「人生が100年になった」=「長寿化が現実味を帯びた」といったイメージでしょうか。 『LIFE SHIFT』の中では、「人生の組み立て方が、今までとは違ってくる」と提言されています。端的に言えば、「教育→仕事→引退」という三つのステージで人生を考えるのは、長寿社会では無理だということなんです。 100年という時間を、自分らしく生ききるためには、「学び直し」をしたり、「複数の仕事を同時に持つ」など、これまでの違う考え方で、人生を捉えていく必要があるとされています。 ■年金だけで暮らせる人は1割 私たちの親世代は、「教育→仕事→引退」というライフステージを送り、仕事を引退した後は年金だけで暮らしている人も多いでしょう。けれども、私たちが仕事を引退する頃は、高齢化が進んでいます…。 「端的に言っておきましょう。これからの日本では、 年金だけではほとんどの人は暮らしていけません 。ほとんどいうのは全体の8~9割くらいの人です」(横山さん) つまり、年金だけで暮らせる人は1割。「老後は年金があるから何とかなるだろう」という発想があるとしたら、それ自体、今の現役世代にとっては現実的ではないのです。「この記事をキッカケにして、ぜひ、その考え方から離れて欲しいと思います」(横山さん) ■老後に向けて、今、私たちがやるべきこと2つ では、どうしたら良いのでしょうか? 横山さんより、私たちがやるべきことをポイントを絞って2つ教えてもらいました。 ●今、私たちがやるべきこと2つ 1)自分自身の年金受取額の見込みを把握すること 2)今とこれからの社会状況を認識した上で、『将来の自分の場合はどうなのか』を知っておくこと 出典: 『横山先生! 老後までに2000万円ってほんとうに貯められますか? 人生100年時代でも豊かに暮らす、資産と年金への向き合い方』(横山光昭著/KADOKAWA刊)より抜粋) 1)の自分自身の年金受取額の見込みを把握する方法については、今後詳しく説明します。まずは、上記の2つをクリアした上で、「自分は将来どういったライフスタイルを目指すのか?」を考え、「そのためには、どうしていけばいいのか?」を、各人が探っていく必要がありそうです。 「人に勧められるままに内容を理解せず投資をしたり、極端な節約生活を続けていくのは老後の生活が危ういだけでなく、長続きしません」(横山さん) ●「老後までに2000万円貯められる?」第2回のまとめ 1)「老後資金2000万円問題」、年金を自分事として考えるキッカケにする 2)「人生100年時代」は、今までとは違った生き方をしていく必要がある 3)「今、私たちがやるべきこと2つ」を知っておく 次回は、年金を自分事として感じられるよう「2000万円より必要な人、少なくて済む人」について、具体的に考えてみます。 ※本特集で紹介する制度などに関する情報は、2020年2月26日時点のものです。 <参考サイト> 金融庁: 金融審議会「市場ワーキング・グループ」報告書 『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』 リンダ グラットン (著), アンドリュー スコット (著), 池村 千秋 (翻訳) ■今回、取材を受けてくださった横山光昭先生の書籍 『横山先生! 老後までに2000万円ってほんとうに貯められますか? 人生100年時代でも豊かに暮らす、資産と年金への向き合い方』 (横山光昭/KADOKAWA ¥1,540円(税込み)) >> 「老後までに2000万円貯められる?」連載 記事を見る 第1回「「老後が不安」で終わらせていいの?」 \おすすめ動画もぜひご覧ください!/ 母ちゃんTVはコチラ チャンネル登録お願いします♪
2020年03月16日■「老後2000万円問題」は老後が不安になっただけ? こんにちは! ライターの楢戸ひかるです。私は20年ほどマネー記事を書いていますが、昨年の 「老後2000万円問題」 は、マネー史に残る、インパクトのある「事件」だったと思っています。 ママの毎日は、忙しい! いっぱいいっぱいの毎日のなかで、とてもじゃないけれど、老後のことなんて考えられませんよね? それなのに、不安だけ、ポトリと滴のように落とされてしまった……。 私個人の感想としては、多くのママにとって、2000万円問題が、 「ただ、老後のことが不安になっただけ」 なことが、すごく残念です。 ■老後資金、「知らないから不安」を払拭するには まずは、 「知らないから不安」 にエネルギーを奪われないよう、必要な情報を知ることから始めてみませんか? 「知っておく」こと、老後に対してのひとつの有効な備えだと私は思っています。 「老後2000万円問題」については、 ァイナンシャルプランナーの横山光昭先生 に取材させていただき、詳しい解説をこの後の記事で行っていきます。 記事を読んでいただければわかりますが、2000万円問題は、いいキッカケだと思うのです。そういう意味で、一般の人が話題にするレベルまで反響があった、この「事件」を、無駄にしたくないと思いました。 ■老後資金貯める余裕がないのに、不安がない理由 私自身、今、老後資金を貯める余裕は、ほとんどありません。高校生2人、大学生1人の息子の教育費がピークだからです。けれども、「老後が不安だから、お金を貯めなきゃ!」といった感じの漠然とした不安は、それほどないです。 なぜ、漠然とした不安がないのか? それは、「知っている」からです。私が何を知っているのか、書き出してみますね。 ●「老後の漠然とした不安がない」 私が知っていること 1)1ヶ月いくらあれば、足りるのか? 具体的な毎月の生活コストを把握している 2)家電の買い替えやリフォームなど、大まかな生活サイクルと必要額を把握している 3)わが家が、いつから老後資金を貯められる家計なのか? ライフプランニング表を書いて、予測がついている 4)取材を通じて、「介護」や「老齢期の医療」のイメージを持てるようになりつつある 5)投資を経験したことがあり、自分なりの投資方針がある こんなところでしょうか? 情報は力です。 30代、40代は、住宅ローンや教育費負担が重い時期。「老後資金を余裕を持って貯めています」というご家庭の方が少ないのでは? と感じます。 「知らないから不安」ということ、結構あると思うのです。それだったら、漠然とした不安にシャドーボクシングをしているよりも、具体的に考えてみませんか? ■今回、取材を受けてくださった横山光昭先生の書籍 『横山先生! 老後までに2000万円ってほんとうに貯められますか? 人生100年時代でも豊かに暮らす、資産と年金への向き合い方』 (横山光昭/KADOKAWA ¥1,540円(税込み)) >> 「老後までに2000万円貯められる?」連載 記事を見る \おすすめ動画もぜひご覧ください!/ 母ちゃんTVはコチラ チャンネル登録お願いします♪
2020年03月15日本連載の最終回である今回は、 習い事 にかかるお金について考えてみます。子どもが小さいと、教育費にさほどお金がかからない分、習い事にお金をかけがち。 「僕はほとんどの家庭は、 習い事をさせすぎ だと感じています」と言うのは、家計再生コンサルタント、ファイナンシャルプランナーの横山光昭さん。習い事のお金をムダにしない秘訣を教えていただきました。 【手取り20万円 教育費どうやって貯める?】 Vol.1 わが家は、子どもを大学に通わせることができる? Vol.2 大学入学まで毎月の貯金額は「7500円」で大丈夫のワケ Vol.3 夫に万一のことがあったら? 子育て世代の保険選び基準はこの2つ ■ほとんどの家庭は習い事をさせすぎ 横山さんの「ほとんどの家庭は、習い事をさせすぎだと感じています」という見解について、もう少し突っ込んでお話しを聞いてみました。 「『子ども同士で遊ばせず、忙しい思いをさせるのが教育なのかな?』と、僕はつねづね思っているんですよね」(横山さん) 横山さんは、6児の父。とても説得力のあるお話だと思う一方で、やっぱり「周りが習い事をしていると、不安になってしまう」というのも親心なのではないでしょうか? そこで 習い事にかけるお金をムダにしない方法 を聞いてみました。 「ズバリ 『やめ時』を見逃さない ということです」(横山さん)。横山さんがいろいろな子育て世帯を見てきて思うことは、「子ども本人はたいして好きでもないし、やる気もないのに、惰性や親の願望だけで習い事をしているご家庭も多い」ということ。 ■「やめ時」を見逃さないために必要なこと 「習い事を惰性で続けるとストレスになるし、お金もムダになります」(横山さん)。 筆者自身、そんな状態に陥ったとき「少し我慢させて、続けさせるのも大事なのではないだろうか?」と、迷ってしまった経験があります。どう判断すれば良いのでしょうか? 「そこは、 子どもをよく観察 しましょう」(横山さん)。たとえば「やりたがらない」「休みたがる」、また通信教育系にありがちな「たまっていく」というのは、「やめ時」の大きな兆候だとか。 「わが家ではそういう兆候が見えたら、そのタイミングで話し合いをします。それ以外でも、3ヶ月に一度くらいのペースで話を聞いて、子どものやる気を確認するようにしています」(横山さん)。 ■本人のやる気を確認する時のコツ 横山さんの奥さまである関口さんは、本人のやる気を確認するときのコツをこんなふうに教えてくれました。 ▼本人のやる気を確認する時のコツ いかにもやる気がない時に、「そんなんだったら、やめちゃいなさい!」と頭ごなしに言うと、「怒られるから続けなきゃ!」と子供が委縮し、かえって習い事が惰性化してしまいます。わが家では、 「どうなの?」 と尋ねて、本人のやる気を確認するようにしています。 出典: 『手取り20万円 子育て家族の貯金の教科書』 (横山光昭・朝倉真弓/きこ書房) 「そんなんだったら、やめちゃいなさい!」。筆者はそのセリフ、何度も言ったことがあります(涙)。声のかけ方って、すごく大事なんですね。 ■子どもが「やりたい!」と言ったら? 子どものやる気がない場合、惰性で習い事を続けさせるのはムダだというのはわかりました。では子どもが「やりたい!」と言った場合はどうしたら良いのでしょうか? 「 子どもの『やりたい』は、たくさんあります 。とくに幼稚園や小学校くらいの年齢だと『お友だちがやっているのを真似したい』と、思うことも多いんです」(横山さん)。 でも全部やらせてあげることなんて、金銭的に無理。そんなとき、自分が悪い親のような気がしてしまいます。 「わが家では、 『どれが一番やりたいのか』 を子ども自身に考えさせることを大切にしています」(横山さん)。自分が本当にやりたいことであれば、たしかに長続きしそう。 「子どもが『やりたい』と本気で決めた習い事なのであれば、われわれ親も子供が続けられるように目を配り、声かけもします。要は、お金を出すだけじゃなく、子どもが どんな風に習い事に取り組んでいるのか を、親が見守ってあげるといった姿勢が大切なんですよね」(横山さん) 横山さんの子育て観が垣間見える発言は、いい意味で「お金の話」という枠を飛び超えていると感じます。そんな横山さんが、「最後にひとつだけ、申し上げておきたいことがあります」と、おっしゃいました。気を引き締めて伺いましょう。 ■教育資金と老後資金はシーソーの関係 「 教育費をかけてあげたい と考えるのは親心。この連載を読むような方は、家計のバランスをとりながら、教育費や子どもとの時間を最優先されている親御さんが多いのではないでしょうか?」 はい、たしかにそうですね…。筆者も同感です。 「でもね、お子さんにお金をかけすぎると、 老後が確実に圧迫 されます。これはもうシーソーの関係です。ぜひ、老後を置き去りにして 教育費を第一に考えすぎない ようにということをアドバイスしたいんです」(横山さん) 30代にとって、老後はまだまだ先の話。でも、横山さんはこんなふうにおっしゃいます。「老後の資金作りは40歳ぐらいから、20年ぐらいかけてやっていただきたいんです」 ■人生100年時代に、教育費で考えるべきは「かけてあげられる額」 仮に30歳で第1子が生まれたとして、親が40歳になったとき、子どもは10歳。教育費が本格的にかかる時期ではないけれど、その先にはもっとも教育費がかかる時期が控えています。そんな時期に「老後のことを考える」なんていう心境には、正直なところなれないのではないでしょうか? 「そのとおりです。けれども、これからは人生100年時代などと言われています。老後と呼ばれる期間が長くなればなるほど、 まとまったお金をキープ しておかないと困るということになるんです」(横山さん) 30代の頃から「40代になったら老後のお金も意識していく」ということを知っておき、頭の片隅に置いておく…。それが、大切なのかもしれませんね。 「そこで意識していただきたいのは、『自分たちが、子どもにかけてあげられる教育費の額』なんです。『教育費は一般的にいくら必要』という話ではなく、 『自分たちは、教育費をいくらかけられるのか?』 ということを考えましょう」(横山さん)。 「自分たちは、子どもに教育費をいくらかけられるのか?」という問い、とてもすてきですね。なぜならこの問いは「自分たちは、どんな子育てをしたいのか?」ということと向き合うキッカケになると感じたからです。 教育記事も書いている筆者は、親が主体的に自覚的に子育てをする時代が、これからやってくると考えています。この連載が一人でも多くの子育て世代が、「自分たちの子育て」を考えるキッカケになるとうれしいです。 ■今回のお話を伺った横山光昭さんのご著書 『手取り20万円 子育て家族の貯金の教科書』 (横山光昭・朝倉真弓/きこ書房 ¥1,100(税別)) 手取り月収20万円、ボーナスなし、昇給見込みなし…。子育てのお金にまつわる不安は、ちょっとしたコツさえ知っていれば、大学資金をしっかり貯めて、習い事もさせてあげられます。相談者・高梨(たかなし)が、横山先生に率直な質問をぶつけるストーリー形式で、いつのまにか教育費の考え方が変わっていきます! 手取り20万円を前提に書かれていますが、手取りが異なる家庭でも、教育資金の貯め方や保険の選び方など参考にしながらお金について考える機会となります。 横山光昭さん 家計再生コンサルタント、ファイナンシャルプランナー。株式会社マイエフピー代表取締役。お金の使い方を改善する独自の家計再生プログラムで、これまで15,000万人以上の家計を再生。書籍・雑誌への執筆、講演も多数。
2019年01月18日これまでの回で 「大学入学費用はまず300万円が目標」 ということを教えてもらい、貯蓄目標が定まりました。でも、貯蓄ができるのは夫婦ともに健康であってこそ! 夫に万一のことがあったら 、どうすればいい? 今回は、子育て世代のリスクヘッジについて家計再生コンサルタント、ファイナンシャルプランナーの 横山光昭さん に教えていだきます。 【手取り20万円 教育費どうやって貯める?】 Vol.1 わが家は、子どもを大学に通わせることができる? Vol.2 大学入学まで毎月の貯金額は「7500円」で大丈夫のワケ ■貯金と保険の関係性とは まず最初に覚えていただきたいのは、 貯金と保険の関係性 です。「貯金と保険の関係性を思い切り簡略化して説明すると、こんなグラフになります。題して 『貯金は三角、保険は四角』 のグラフです」(横山さん) 貯金は、時間軸が増えていくにしたがって積み重なっていき、額が増えていきます。一方の保険は、契約した直後から万が一の場合に大きな保障を得ることができる金融商品なのです。 ▼貯金と保険で備えられる金額 ■保険は「入る」のではなく「買う」もの 若い世代の場合、まだ十分な貯金がない場合が大半でしょう。そんなときこそ、保険で必要な保障をきちんと「買う」ことが必要です。 いままで保険というのは何となく「入る」というイメージ、ありませんでしたか? けれども横山さんは、こんなふうに言います。 「いまの時代に必要なのは、 『保険は、必要な保障の部分だけを、掛け捨てで買う』 という発想です。マイナス金利時代、保険に長く入って貯蓄もかねてという考えはあまり賢くありません。 だったらいつ引き出してもよりも、ペナルティのない状態(貯金)で置いておいた方がベター。必要な保障の部分だけを掛け捨てで買っておけば、 毎月の保険料を少なく して、 大きな保障 を取ることができます」 ■保険選びの「たった二つ」の基準 「保険とは、貯金が心もとない途中の時期をカバーするものであると考えてください」(横山さん)。とても大事なことなので何度もお伝えしますが、「貯金は三角、保険は四角」です。 貯金は2万円、3万円と少しずつ増えていくものなのに対し、保険は1万円の保険料を支払えば、いきなり何千万円という保障がビュンと立ちあがります。 では保険に入るべきかどうかの判断基準は、どんなことなのでしょうか? 横山さんは、「たった2つしか基準はありません」と言います。 ▼保険選びの「たった2つ」の基準 1、今日・明日に「それ」が起きる可能性がある場合 2、万が一、「それ」が起きた場合、今の貯金で対処できない場合 出典: 『手取り20万円 子育て家族の貯金の教科書』 (横山光昭・朝倉真弓/きこ書房) 「どちらの問いも『YES』ならば、絶対に保険を使った方がいいです」(横山さん)。 筆者も、横山さんの意見に賛成です。わが家を例にとって、考えてみましょう。筆者は、3人息子の子育て真っただ中! 夫に万一のことがあったら、あっという間に生活は立ち行きません。また考えたくはありませんが、今日・明日に夫に万一のことがある可能性はゼロではない。こう考えてみるとわが家の場合、「死亡保障に入るかどうか?」の2つの問いはどちらもYES。 だから筆者は、夫の死亡保障への保険料は「食費」「水光熱費」と同列の「必要経費」というイメージで、必要な保障分だけ掛け捨てで支払っています。 ■医療保険に入った方がいい人、入らなくていい人 死亡保障と並んで気になるのが、 医療保障 ではないでしょうか? 医療保険に関しては、 高額療養費制度 があります。高額療養費制度とは、医療機関や薬局の窓口で支払う1ヶ月の医療費が決められた上限額を超えた場合、その超えた額を支給する制度です。 一般的な収入であれば、どんなに医療費がかかったとしても、家計が負担する 1ヶ月の医療費は10万円以下 で済みます。 ですから「医療費は、高額療養費制度があるのだから保険は不要。貯金でカバーすればいい」という考え方のお金のプロもいます。横山さんは、どんな見解なのでしょうか? 「私としては、医療費として確保しておきたい目安は300万円です。これは『300万円の貯金がある』ではなく、 『300万円を医療費として別に置いておける』 というということです。それが厳しい場合、医療保険に入ることをおすすめしています」(横山さん) 【まとめ】手取り20万円 教育費の貯め方 1)貯金は三角、保険は四角 2)「いますぐ起こる可能性がある」、かつ「貯金で対処できない」危機に対しては保険を使う 3)貯金がない期間は医療保険は入っておいたほうがいい ■今回のお話を伺った横山光昭さんのご著書 『手取り20万円 子育て家族の貯金の教科書』 (横山光昭・朝倉真弓/きこ書房 ¥1,100(税別)) 手取り月収20万円、ボーナスなし、昇給見込みなし…。子育てのお金にまつわる不安は、ちょっとしたコツさえ知っていれば、大学資金をしっかり貯めて、習い事もさせてあげられます。相談者・高梨(たかなし)が、横山先生に率直な質問をぶつけるストーリー形式で、いつのまにか教育費の考え方が変わっていきます! 手取り20万円を前提に書かれていますが、手取りが異なる家庭でも、教育資金の貯め方や保険の選び方など参考にしながらお金について考える機会となります。 横山光昭さん 家計再生コンサルタント、ファイナンシャルプランナー。株式会社マイエフピー代表取締役。お金の使い方を改善する独自の家計再生プログラムで、これまで15,000万人以上の家計を再生。書籍・雑誌への執筆、講演も多数。
2019年01月17日前回「子どもに手がかかる乳幼児期と、出費が増える大学在学中以外は、お金を貯めるのに最適な時期です」と教えてくださったのは、家計再生コンサルタントで、ファイナンシャルプランナーの 横山光昭さん 。 今回は、実際にどのように貯めていけば良いのか? という具体的なノウハウに迫ります。 【手取り20万円 教育費どうやって貯める?】 Vol.1 わが家は、子どもを大学に通わせることができる? ■大学入学までにかかる初期費用は? 前回、「幼稚園と大学が私立で、あとは公立に通う」という一般的なコースのイニシャルコスト(入学などにかかる初期費用)を計算したところ、130万円でした。そして、ランニングコスト(毎月必要な費用)を表にしてみると、 教育費の最大の山場は大学の学費 ということがわかりました。 ゆえに、今回は「大学入学」という節目で区切って考えてみます。 ▼イニシャルコスト <「幼稚園と大学が私立で、小・中・高は公立に通う」コース> ■毎月7,500円貯めれば、大学入学はOK!? 横山さんは、「 大学入学 までに用意しておきたいお金は 300万円 」と言います。 ちなみにゼロ歳から、18歳までの 児童手当 をすべて貯金しておくと 約198万円 。ここから、大学入学までのイニシャルコストを引いた金額は、138万円。つまり、大学入学時までに用意しておきたい300万円のうち、138万円は児童手当をコツコツ貯めれば用意できます。 そうなると、残りの 162万円 (※)を大学入学までに自分たちで用意すればいいという計算になります。ゼロ歳からスタートすれば、子どもが大学に入学するまでの時間は18年間。 年間換算してみると、9万円、それをさらに月額割で計算をしてみると 1ヶ月におよそ7,500円 ずつ貯めていけばいい計算に! こんなふうに細分化して考えていくと、すごく気が楽になります。 ▼大学入学までの18年間に「毎月7,500円」貯めるとは… ※ <大学入学までに貯める金額の計算方法> 130万円(大学までのイニシャルコスト)− 70万円(私立文系の大学入学費用)=60万円 198万円(0歳からの児童手当総額)−60万円=138万円 300万円(大学入学までに必要な金額)−138万円=162万円 162万円÷18年間(大学入学する年)÷12ヶ月=7,500円 ※大学までのイニシャルコスト:私立幼稚園、公立小中学校、高校受験、公立高校、大学受験、私立文系大学入学のコースの場合 ■児童手当と「本当にお金がかかる時期」の問題点 けれども、ここでひとつ問題が。この計算は「児童手当を使わないこと」が大前提ですが、現実にはそれが意外と難しいそうです。 なぜなら、「児童手当が支給されるのは子どもが0歳から15歳までですが、教育費がもっとも大変なのは18歳になってから。この 『タイムラグ』 が問題です」(横山さん)。 筆者も、この「タイムラグ」説、強く同感です。筆者の子どもは、中高生。本格的に教育費がかかるようになっているいま、感じることは、「子どもたちが小さいときは、 『子どもが大きくなるとお金がかかる』 ということを上手にイメージできていなかったな」ということなんです。 「子どもに実際にお金がかかるのは大きくなってからですが、 油断していると大変 です」(横山さん) たしかに! 筆者は「子どもが小さい頃に油断していなければ、今頃は…」と思いますが、私の場合は過ぎた過去(涙)。皆さまが同じ轍を踏まないようにするためには、どうしたら良いのでしょうか? 「私がおススメしているのは、 子ども名義の通帳 を作り、児童手当と教育資金をそこにコツコツと積み立てていくこと。そのお金は、絶対にほかのことに使ってはいけません」(横山さん)。 ■教育資金作りに、投資をオススメしない理由とは? こうして現実の数字に直面すると、「投資などをして、お金を殖やしておいた方が良いのでは?」という気持ちにもなります。 けれども横山さんは、「僕は教育費に関しては、 貯金で賄っていくことが王道 だと考えています。もちろん、お金に余裕があるのなら投資に回すのもアリとは思うのですが、余裕もないのに不慣れな投資に教育資金をつぎ込むのは賛成できません」と言います。 横山さんにこう断言していただくと、何だかホッとします。なぜなら、何となく「お金を殖やさない私は、不勉強!?」という気持ちになりがちな世の中なので(笑)。 「繰り返しになりますが、 児童手当と毎月の貯金 で、大学入学までに必要な300万円を貯めることはできます。怖いのに、無理に投資に手を出す必要はありませんよ」(横山さん) ■毎月いくら教育費に回していいの? 次なる疑問は、「そもそも、いくらぐらいを貯金に回し、 いくらぐらいを教育費に回せばいいの でしょうか?」です。「私は、次で紹介する割合の目安を推奨しています」(横山さん) ▼教育費重視な支出割合(手取り30万円の場合) ■「専業主婦こそお小遣いが必要」のワケ なるほど! こんな感じで家計全体のバランスから、各費目の予算を決めていけば良いのですね。前の表で「小遣い」とありますが、これは家族全員のものなのでしょうか? 「そうです。家族全員のものです。つまり、夫と妻、子ども二人を合わせて 収入の10%がお小遣い ということになります」(横山さん)。 ここで横山さんは、 「専業主婦こそ、お小遣いが必要です」 と言います。なぜなら主婦が家計を握っていると、やろうと思えば何でも生活必需品に計上できてしまうから。「やろうと思えば、何でも生活必需品に計上」説、筆者もとても心当たりがあります(笑)。 「ここで大切なのは、お小遣いのルールを決めること。そしてパパ、ママともに、ある程度の お小遣いは死守すべき です。やっぱり自分の裁量で使える自由なお金が少ないと気持ちの余裕がなくなってしまいますからね」(横山さん) 「厳しいお金の現実」を知ると、ついつい「お小遣いを削減しなければ!」という気持ちになりがち。ですが「お小遣いは、死守すべき」という言葉に、希望が湧きますね。 【まとめ】手取り20万円 教育費の貯め方 1)大学入学費用は、まず300万円が目標 2)300万円は、児童手当と月々の貯蓄でOK。 3)家計の理想的な支出割合を知っておこう 4)お小遣いは死守すべき! ※「毎月いくら教育費に回していいの?」の「手取り30万円」の場合は、夫の手取り20万円+妻がパートで稼いだときを想定しています。 ■今回のお話を伺った横山光昭さんのご著書 『手取り20万円 子育て家族の貯金の教科書』 (横山光昭・朝倉真弓/きこ書房 ¥1,100(税別)) 手取り月収20万円、ボーナスなし、昇給見込みなし…。子育てのお金にまつわる不安は、ちょっとしたコツさえ知っていれば、大学資金をしっかり貯めて、習い事もさせてあげられます。相談者・高梨(たかなし)が、横山先生に率直な質問をぶつけるストーリー形式で、いつのまにか教育費の考え方が変わっていきます! 手取り20万円を前提に書かれていますが、手取りが異なる家庭でも、教育資金の貯め方や保険の選び方など参考にしながらお金について考える機会となります。 横山光昭さん 家計再生コンサルタント、ファイナンシャルプランナー。株式会社マイエフピー代表取締役。お金の使い方を改善する独自の家計再生プログラムで、これまで15,000万人以上の家計を再生。書籍・雑誌への執筆、講演も多数。
2019年01月16日「最近、経済的な理由で子育てを躊躇する人が少なくないんです」と言うのは、家計再生コンサルタント、ファイナンシャルプランナーの 横山光昭(よこやま みつあき)さん 。横山さんは、子どもを6人育てているお父さんでもあります。そう、何と! 6児のパパなんです。 教育費については、わからないことだらけです。そこで横山さんに、「 もし手取り20万円 の場合、子育てにまつわる不安を解消できるのか?」を伺ってきました。 横山光昭さん 家計再生コンサルタント、ファイナンシャルプランナー。株式会社マイエフピー代表取締役。お金の使い方を改善する独自の家計再生プログラムで、これまで15,000万人以上の家計を再生。書籍・雑誌への執筆、講演も多数。 ■横山家は、奥さまがスゴかった! 今回の取材は、横山さんの奥さまである関口博美さんも同席してくださいました。取材の冒頭で、「教育費、そんなに心配することはないですよ。大丈夫!」とおっしゃる関口さん。 6人を育てているママの言葉は、貫禄が違う! 筆者は思わず、「今日の取材、その言葉を聞くために来ました!」と言ってしまいました(笑)。かたわらで話を聞いていた横山さんもニコニコしながら、「うちは、奥さんに頭が上がりませんから」とのこと。 関口さんは言います。「教育費の心配をされている多くの方は、一気に情報をいれすぎてパニック状態になってしまっているのかもしれませんね」。今回の連載では、教育費についてどう考えていけば良いのか? 段階を追って説明します。 ■教育費1,000万円は、「リアルな数字」!? 横山さんから、最初にこんな質問を受けました「 『教育費は一人あたり1,000万円かかる』 と言われていますが、それは本当に 『リアルな数字』 だと思いますか?」 たとえば、幼稚園。公立の幼稚園は全国的にとても少ないため、幼稚園は私立に行くことを想定したほうが自然です。ある私立幼稚園は、入園金と制服代で13万円かかるとしましょう。「けれども、13万円の一部は返ってきます」(横山さん) 入園料は一度自分たちで立て替えて払う必要がありますが、申請すれば自治体が決めている上限までの実費分は返ってきます。 「ご自身がお住まいのエリア+幼稚園+補助金」 といったキーワードで、自治体の補助金額を調べてみてください。 「こんな感じで検証していくと、実際に家計から捻出する『リアルな出費』は、1000万円よりも少ないことがわかります」(横山さん) そう考えると、「1000万円!? そんな大金、絶対に貯められない!」とパニックになっていた気分が少し落ち着きます。 ■教育費は、「2つ」に分けて考えるのが正解 そうは言っても、 児童手当 をゼロ歳から15歳まで積み立ててみても、 総額で約198万円 。1,000万円には遠く及ばない気がします…。 「1,000万円という数字は、一気にかかるわけではないんです。まず、教育費は 『イニシャルコスト』 と 『ランニングコスト』 の2つに分けられる、と覚えてください」(横山さん) 幼稚園を例にとって、「イニシャルコスト」と「ランニングコスト」を分けて考えてみましょう。次のように、私立幼稚園のイニシャルコスト10万円という額は目をひきますが、その他の項目であれば、日々の家計から何とかなりそうな気もしてきます。 ▼幼稚園にかかるお金の目安 ◆イニシャルコスト :最初にまとめてかかるお金 公立幼稚園入園 4万円 私立幼稚園入園 10万円(自治体から補助が出る可能性も) ◆ランニングコスト :幼稚園在籍中に継続的にかかるお金 公立幼稚園 月額1万円強 私立幼稚園 月額2~3万円(自治体から補助が出る可能性も) 出典: 『手取り20万円 子育て家族の貯金の教科書』 (横山光昭・朝倉真弓/きこ書房) ■大学までの教育費の「イニシャルコスト」は? こんな感じで、「幼稚園と大学が私立で、小・中・高は公立に通う」という一般的なコースのイニシャルを計算してみると、総額で、およそ130万円でした。詳細については、次の表を参照ください! ▼イニシャルコスト <「幼稚園と大学が私立で、小・中・高は公立に通う」コース> ■大学までの教育費の「ランニングコスト」を知る 次に、「幼稚園と大学が私立で、あとは公立に通う」という一般的なコースのランニングコストを調べてみました。次の表を見ればわかるとおり、大学までのランニングコストは、生活費の範疇で何とかできそうな額です。 ▼ランニングコスト <「幼稚園と大学が私立で、小・中・高は公立に通う」コース> ■キツい大学のお金を貯めるのは、可能なのか? 表にしてみると、大学の授業料負担が目立ちます。「でも考えてみてください。子どもが0歳だとして、大学に入るのは 18年後 のこと。18年間コツコツと貯蓄していれば不可能ではない数字だと思いませんか?」(横山さん) …そう、ですかね? 「子どもが小学校にあがったら、妻もパートに出るなどして働くことができます。奥さんの稼ぎがパート収入の一般的な額である月8万円だとしたら、世帯収入は、 「20万円+8万円=28万円」 になります。 パート収入の一般的な額とは、所得税がかからず、かつ夫の配偶者控除の対象でいられる年収103万円以内で働くことを想定した額です(関口さん) 出典: 『手取り20万円 子育て家族の貯金の教科書』 (横山光昭・朝倉真弓/きこ書房) 「子どもに手がかかる乳幼児期と、出費が増える大学在学中以外は、お金を貯めるのに最適な時期です。その間に、お父さんとお母さんが力を合わせて貯金をしていれば、心配することはありません」(横山さん) 【まとめ】手取り20万円 教育費の貯め方 1)教育費1,000万円は、一気にかかるお金ではない 2)教育費は最初にかかるイニシャルコストと、定期的にかかるランニングコストに分けて考える。 3)児童手当を積み上げると、少なくとも総額198万円になる ■今回のお話を伺った横山光昭さんのご著書 『手取り20万円 子育て家族の貯金の教科書』 (横山光昭・朝倉真弓/きこ書房 ¥1,100(税別)) 手取り月収20万円、ボーナスなし、昇給見込みなし…。子育てのお金にまつわる不安は、ちょっとしたコツさえ知っていれば、大学資金をしっかり貯めて、習い事もさせてあげられます。相談者・高梨(たかなし)が、横山先生に率直な質問をぶつけるストーリー形式で、いつのまにか教育費の考え方が変わっていきます! 手取り20万円を前提に書かれていますが、手取りが異なる家庭でも、教育資金の貯め方や保険の選び方など参考にしながらお金について考える機会となります。
2019年01月15日前回、「『夫婦間の気持ちの隙間』が、家計に現れる」というお話を、家計再生コンサルタントの横山光昭さんにうかがいました。 横山さんは苦しい家計を再生させることを得意とするファイナンシャルプランナーで、これまで1万人以上の家計を「再生」させる中で、 「お金の不安を乗り越える」 という永遠のテーマについても考え続けてきたといいます。今回は、そんなお話を伺ってみましょう。 ■お金の不安はどこから来るの? 質問です。 ●「なぜ、お金が欲しいのでしょうか?」 ●「そして、欲しいと思っているお金の金額はいくらなのでしょうか?」 この質問に対して、すぐにハッキリとした 「お金が欲しい理由」 と 「具体的な金額」 を答えられる人は、意外と少ないかもしれません。「お金はあればあっただけ安心だから」。ただ、漠然と何となくそう思っている方が大半なのだと思います。 「 お金に安心 を求めては、ダメです。不安を無くすには、お金ではなく 自分を大切にすること です。 生き方や貯め方が定まればお金は何とかなるものです」と、横山さんはいいます。 横山さんは、こんな人をたくさん見てきたといいます。 不安だからお金を貯める ↓ 貯まったら、もっと不安にかられる ↓ さらに貯めなければと焦る そんな一方で、あまりお金がなくても楽しくやっている人がいることをよく知っているそうです。そして「お金に安心を求めることは意味がないと確信するにいたった」(横山さん)そうです。 ■その不安は、本当に「お金の不安」ですか? 横山さんは、こうも言います。「「『お金の不安だと思っているもの』は、本当はお金の問題ではなくて、お金に表れた、いまの生活における 心のゆがみ なのです」。 たとえば…。 食品の有機野菜や産地にこだわりお金をかける傾向のある人は、「保障」タイプの生命保険料にお金をかけている人と通じるところがあり、良いものを買っておけば安心と考えるタイプだと言います。ある意味、自分に 自信がない とも言えます。 携帯電話代が高い人は、周囲の人への 依存度が高い という傾向を感じるそうです。交際費や洋服代も膨らみやすく、断りきれないローンなどを抱えてしまうことも。 「漠然とした将来の不安」は、実は一緒に人生を歩む 家族への不安 であり、がんばっている自分を家族が認めてくれないことへの寂しさから来ているということもよくあるそうです 出典: 『NHK「あさイチ」お金が貯まる財布のひみつ:不安がなくなる貯金の極意』 「表面上は、お金の形を借りて現れたので、お金のことにとらわれてしまい、奥底にある 本質的な不安 は自覚しにくいものです」(横山さん) いま、みんなが焦っている、そんな風に感じたことがありませんか? 「私は収入が低いから。子どもがいるから。いや、いないから。退職金が出るかどうかわからないから。年金だって…と。そして、挽回したい、追いつきたいと必死になってしまっている人も多くいるようです」(横山さん)。 ■お金の不安をなくすための第1歩 焦っている渦中にいると、自分ではどうにもならない気持ちになってきます。では、そんな私たちはどうしたら良いのでしょうか? 「最初にとりかかるべきは、目に見えるところです」(横山さん) ●お金の不安をなくすための第1歩(例) 不用品を処分して、家をスッキリ片づける。 豪華でなくても栄養を考えてきちんと三食料理する。 なんとなく買い物をせずに、どんなに小さなものでも納得して手に入れ、使い尽くす。 愛する家族との関係 を大切に過ごしているか、自分に与えられた 目の前の仕事 がおろそかになっていないか、きちんと向き合う 出典: 『NHK「あさイチ」お金が貯まる財布のひみつ:不安がなくなる貯金の極意』 「 生活の足もと を固めるのです。毎日の暮らしを『自分はこれでいいんだ』と納得して生きていければ、その自信によって必要なお金はあとからついてきます。 そして自分の生活の一部として、自分なりのお金の『貯め方』が確立すれば、不安はよりつかなくなってくるでしょう。そのために「 消 (ショウ)」「 浪 (ロウ)」「 投 (トウ)」も強い味方となるはずです」(横山さん) ■横山さん式のお金との付き合い方 「消(ショウ)」「浪(ロウ)」「投(トウ)」 お金と正しくつきあうということは、「自分なりに」お金と付き合うことを始めること。そうすると、「お金がなければ幸せになれない」という焦りからも抜け出せるのかもしれませんね。 当初は、「お金が貯まる財布になれば良いなぁ・・」と書き始めた本連載。書き終わったときは、自分を見つめる長い長い旅行に行っていたかのような気分になりました。 ママの生活は、本当に忙しいですよね。けれども、たまには、ふっと肩の力を抜いて、「節約ではない日々のお金のこと」と向き合ってみるのも、悪くないのかもしれません。お金の話といえども(お金の話だからこそ!?)、自分の心の中の「深いところ」に潜ってみると、自分の人生と向き合うことになるかもしれません。 ■今回取材にご協力いただいた横山光昭さんの著書 『NHK「あさイチ」お金が貯まる財布のひみつ:不安がなくなる貯金の極意』 (横山 光昭(著), 伊豫部 紀子(著)/新潮社 ¥1,296(税込) 【お金の不安をなくす「貯まる財布」のつくり方 】 【貯金感覚で始める3000円投資生活】 【年収200万円からの貯金生活】
2017年10月02日「お金を貯めようと思っても、 夫があまり協力的でない 」。じつは多くのママが感じている不満ではないでしょうか? そんなママたちの共通の悩みについて、今回はお話を伺います。お話を伺ったのは、家計再生コンサルタントの横山光昭さん。これまで1万人以上の家計と向き合ってきました。 まずは、横山さんに 「協力的でない夫を変える技」 を2つ教えてもらいましょう。 ■その1:家計のミエミエ大作戦 「家計簿でも、手書きの予算表でもかまいません。家計の状況を夫の目のつくところにバシっ! と数字で貼りましょう」(横山さん) 気をつけて欲しいのは、けっして夫に「これを見て」と言わないこと。でも、必ず目に入るようにします。「え、それだけ?」と思うかもしれませんが、これは横山さんの隠し技リストの中でも、ずば抜けて 成功率が高い作戦 だそうです。 「 男には、『言われてやるのはイヤ』という傾向があります。 どんなにいいことだと頭ではわかっていても、命令されたらやる気をなくす。ましてや妻から感情的に恨み言を言われたりしたらなおさらです。面倒な生き物ですが、わかってやってください。そして利用してください」(横山さん) 嫌でも目に入る数字をみると、自分のおこづかいの高さや飲み会の多さ、趣味に使うお金の高さが理解できます。そうすると妻から言われてもできなかった節約に、自分から取り組む姿勢がみえるように。 ■その2:パパ頼りになる大作戦 次の技は、たとえば外食するとき、遊園地に行くときなど、家族で楽しむ費用を家計から出している、という場合に有効な作戦。 ●パパ頼りになる作戦♥やり方 今まで家計では月に1万5千円レジャー費を使っていて、ここから5千円節約して1万円の予算にしたいとします。その場合は、その1万円の予算を、全部夫の子遣いに上乗せしてあげるのです。 「この1万円はパパにあげる。そのかわり、これからは外食する時や遊園地に行く時は、パパが支払いお願いね、任せるから。もちろん余った分は好きに使っていいわ」ということで夫は小遣いが増えたと錯覚します。 出典: 『NHK「あさイチ」お金が貯まる財布のひみつ:不安がなくなる貯金の極意』 「ポイントは、 子どもたちの前で、お金を出してくれる夫を立てること です。子どもの前で夫が支払うことで、なんだか 父親の権威 が上がったような気がします。気を良くして、ムダなことには使わないよう画策してくれたりするようになります。もしくは、ちょっといい格好したくて、たとえ少し足が出ちゃったとしても、男気を出して自分の小遣いから補填してくれさえします」(横山さん) 「夫に協力的になってもらう技」には、「共通すること」があります。それは、 お金と感情の関係 。そこのところを、もう少し突っ込んでお話を伺います。 ■夫婦のスキマとお金の関係 「多くの家庭を見てきて感じるのは、お金が貯まらないと嘆く家庭に 『夫婦別家計』 が群を抜いて多いことです。」(横山さん) ●お金が貯まらない家計の典型例 住居費や水道光熱費、生命保険料は夫が払い、食費や通信費、日用品は妻が払う、といった費目ごとの支払いを決めているご家庭もあれば、基本別家計だけれども、二人の共通費目は折半にして出し合い、それ以外は個々で支払うことにしているというご家庭もあります。 このようなケースは、大概は、夫婦のどちらかが 浪費気味 になってしまっているそうです 出典: 『NHK「あさイチ」お金が貯まる財布のひみつ:不安がなくなる貯金の極意』 「 夫婦で力を合わせてお金を貯めるためには、まずは 家計を一つ にしたほうがいいと私は思います。そして、一番大事なのが、 夫婦の話し合い です。 お互いを信頼して、壁を作らず、お金のことを本音で話し合いましょう」(横山さん) 横山さんは、お金の相談を受けると、まずは相談者を観察して、夫婦間の気持ちの隙間がどこかにないか、探るようにしているそうです。たとえば、こんな例がありました。 夫に言われたことは絶対で、妻としてできる限り応えてあげるべきだと一心不乱にがんばる妻。グルメな夫のために毎日手の込んだ料理を出していたりして、一見 「いい奥さん」 です。 でもその家庭は、お金が貯まっていないことが多いのです。原因は、食費が高いというのは想定内で、往々にしてそれ以外にも変なところがあります。生命保険に入りすぎだとか、娯楽費が毎月高いとか、外食が多いとか。 この家の場合は、夫婦の気持ちが 対等ではなく 、妻が一心不乱にがんばることで、ぶつかるのをさけていました 出典: 『NHK「あさイチ」お金が貯まる財布のひみつ:不安がなくなる貯金の極意』 「こうした 『夫婦間の気持ちの隙間』 が、家計に現れたのです」(横山さん) ほかにも、「夫が妻に対して負い目がある」とか、「過去に何かあって妻が夫を信用していない」、「夫の求めるレベルが高すぎて妻が卑屈になっている」など、ありとあらゆるケースがあるのだそうです。 「 家計の問題というのは、じつは 金銭管理能力とは別 のところに家計の足を引っ張る『気持ちのすき間』が潜んでいて、本人たちが気づいていないことが多いのです。 お金を合わせることで、本当に合わせていきたいのは夫婦の考え方や価値観、二人の力なのです」(横山さん) 心理学の専門家によれば、「お金の話は、自己開示の最高レベル」だとか。 う~む、すごく深いですね。でも、言われてみれば、思い当たることがアリアリです。自分持ちを深くのぞきこみたくなるような、なりたくないような…。何だか、「心のツボ」を押されたような気持ちになりました。 次回は、「お金の不安」を本当になくすことはできるのか?」です。 ■今回取材にご協力いただいた横山光昭さんの著書 『NHK「あさイチ」お金が貯まる財布のひみつ:不安がなくなる貯金の極意』 (横山 光昭(著), 伊豫部 紀子(著)/新潮社 ¥1,296(税込)
2017年10月01日お金が貯まっている人って、どんな人!? じつは、すぐ近くのママ友がお金を着実に貯めていたとしても、そんな話は人には言わないもの。今回は、 「実際にお金が貯まっている人」 の人物像を探ってみます。興味ありませんか? 横山光昭さんは、NHK 『あさイチ』 という番組内の 「女のカネ」 シリーズで、お金の不安をなくすノウハウをたくさん公開してきました。その番組ディレクターであり、「スーパー主婦直伝」担当の 伊豫部紀子(いよべ のりこ)さん は、「お金の劣等生だった」と話します。 今回は、伊豫部紀子さんが出会ったスーパー主婦のお話をご紹介します。 伊豫部紀子さん フリーディレクター。NHK朝の生活情報番組『あさイチ』の人気シリーズ「スーパー主婦直伝」を手掛ける。 著書に『NHK「あさイチ」スーパー主婦の直伝スゴ技!』や、横山光昭さんとの共著である『お金が貯まる財布のひみつ』があり、主婦層に幅広く支持されている。 伊豫部紀子さんにインタビューは コチラ ■NHKディレクターがお金の達人から学んだこと 伊豫部紀子さんは、みずから「お恥ずかしいマネーライフを送っていて、 お金の不安、たっぷりあります 」とおっしゃいます。今回は、伊豫部さんが取材を通じて出会った 家計の達人 から学んだことをお伝えしましょう。 それは、 「3本立て予算」 。家計の達人たちが目指しているのは 「予算生活」 。何にどれぐらいお金を使うか決めて、それを守って暮らす。とってもあたり前に思えることなのですが、伊豫部さん自身も「予算を立てる」ことの力をあまり実感していなかったといいます。 しかし阪神大震災で家を全壊された主婦が、「何年かけてこう暮らす」という予算を立て、家を再建させたそう。「自分で決めたことなら、つらくない」と話すその主婦の言葉に、伊豫部さんは 「予算の力」 を理解しました。 ■リストラも怖くなくなる、お金の優先順位とは? この「3本立て予算」の良いところは、自分にとってのお金を使う優先順位を意識化できること。 ●3本立て予算とは 基礎費① 基本の生活に最低限必要な費用 例:家賃、基本の食費、水光熱費、肌着、家着、医療費、火災保険、整髪料金など 基礎費② 今、その家庭に必要な費用 例:幼稚園~高校までの教育費、携帯代、掛け捨て保険、家の修繕、クリーニング代、慶弔費、小遣い、給食代など ゆとり費 選択できる費用 例:旅行、お菓子・健康食品、家具・園芸・ペット 外出着、大学の教育費、交際の食事、趣味のお金など 出典: 『NHK「あさイチ」お金が貯まる財布のひみつ:不安がなくなる貯金の極意』 より一部抜粋 優先順位トップの基礎費① 「これだけあれば、最低限、生きていくことはできる」 という金額を「知っているか」「知らないか」はおおきいのではないでしょうか? たとえば減収やリストラなどのときに、基礎費①を把握していれば「いくらあれば毎月の生活はできて、あとどれくらい削れば良いか」がすぐにわかるからです。 ちなみに、家計の達人が多く属していることで知られる友の会(※)の中には、基礎費①を 20万円以内 に抑えるという予算を組んで生活することを目指す取り組みを行っているところもあります。目安があると、取り組みやすいですね。 ※全国友の会とは、食・住・家計を中心に、「健全な家庭をはぐくみ 地域に働きかけ よりよい社会を創りたい」と社会貢献をめざす団体。家事の中でも最重要テーマとして「家計」について取り組んでいます。NHK『あさイチ』で毎日の家事に役立つ技を教えてくれるスーパー主婦が多くいる集いとして話題に。 次回は、「家計に「協力しない夫」は改造できる? 夫婦のスキマに潜む問題点とは」です。 ■今回取材にご協力いただいた横山光昭さんの著書 『NHK「あさイチ」お金が貯まる財布のひみつ:不安がなくなる貯金の極意』 (横山 光昭(著), 伊豫部 紀子(著)/新潮社 ¥1,296(税込)
2017年09月29日「お金はいくら使ったかではなく、何に使ったかが大切」と語る、ファイナンシャルプランナーの横山光昭(よこやまみつあき)さん。これまで1万人以上の家計を「再生」してきた家計再生コンサルタントの達人です。 そんな家計の達人である 「横山家」の家計ワザ 、興味ありませんか? そこで今回は、横山家(いうまでもなく、貯まっている人です!)が実践している「ひと工夫」についてお話を伺います。 横山さんは、いいます。 「お金は裏切りません。きちんと取り組めば、 取り組んだ分だけ効果 が出て、不安とも一線を引けます」 。 ■ATMでおろす瞬間から貯める人のワザが始まる 横山家。じつはいまどき珍しい大家族なんです。横山さんと奥さま、そして 6人の子ども たち。そんな横山家では、食費と日用品あわせて 月10万円 までと決めています。それを5で割った2万円を、毎週月曜日に奥さまがおろしてくるそうです。 ●ポイント1 週イチで決まった金額をATMからおろす 「2万円で1週間の生活費をまかなう」 と決めると、たとえば水曜日くらいに財布をみると、「半分以上残っているから大丈夫」、もしくは「ペースが早いな」などがすぐにわかります。そうすると、細かい計算をしなくても自然に支出の調整ができるようになります。 「月単位だと感覚がつかみにくいし、月初めなどは気が大きくなって多めに使いがち。そうすると、月末にたりなくなって、我慢もできずに予算オーバーということを何度も経験してきました。そこで『 週イチ で決まった金額をATMからおろす』にたどりつきました」(横山さん) じつはこのときにもうひとつのポイントがあるんです。 ●ポイント2 月の予算を5で割った金額を1週間分とする 「1ヶ月は、30日間か31日なので、4週間と数日。5週目は、7日間ありません。だから月初めから、週2万円を意識して暮らしていけば、 月末の最終週は楽 になります」(横山さん) ■口座もひとつの「財布」と考えるワザ これまでは常に持ち歩く「財布」でのお金の貯まる方法をご紹介してきました。でも横山さんは、「口座もひとつの財布」といいます。 横山さんは、基本の口座を 「使う」「貯める」「増やす」 の3つに分けています。 ●「使う口座」 :日常で使う生活費を入れておく財布 ●「貯める口座」 :貯蓄の財布 ●「増やす口座」 :資産運用などを行う財布 ただ単に「口座を3つ作ればいい」というわけではありません。大事なのは、口座に お金をいれていく順番 。たとえば、「貯める口座」にまでたどりついていないのに、「増やす」口座に大金を投じてしまうというのは、厳禁です。 お金が貯まらない人というのは、この順番を間違えてしまうことが多いそうです 。 ●「使う口座 1カ月生活するための「消費」のお金。住宅ローンの支払いや保険・光熱費などの引き落としはこの口座からにします。この口座には、手取り収入の1.5カ月分をいれます ●貯める口座 「使う口座」から、少しずつこちらに移してお金を貯めるための口座。ここには手取り収入の6カ月分が貯まるまでをいれていきます ●増やす口座 「貯める」口座に6カ月分が貯まったら、それ以上はこちらに貯めます。この「増やす」口座は、証券会社の口座に開設するのがおすすめです 出典: 『NHK「あさイチ」お金が貯まる財布のひみつ:不安がなくなる貯金の極意』 ■急な支出にショックを受けないためには 「『使う』口座に、1.5ヶ月分いれておくのは、次の財布、 『貯める』口座から逆流 して引きだして欲しくないからです。そのために、わざと余裕を持たせています」(横山さん) 家計の支出は、「一年間をとおして一定」なんてことはなく、変動します。それが生活をしていくということ。たとえば年末年始の12月、1月は、出費がかさむのは普通ですし、突発的に歯科治療費がかかるなんていうこともあるでしょう。こうした変動を汲んでの 余裕資金 としての1.5ヶ月分なのです。 「思わぬ支出にショックを受ける人もいますが、そのことを毎月気にする必要はなく、 原因 がわかっているのなら、それでいいのです」(横山さん) ■「使う」「貯める」「増やす」口座の違いとは 「『使う』口座が『普通に出る支出・変動するものへの対応』に対して、『貯める』口座は、急に職を失ったとか、入院したとか、収入が途絶えたときへの 備え です」(横山さん) 横山さんは、「いざというとき、立て直すのに半年あればなんとかなる」と見込んでいます。でもこの金額は人によってさまざまで、「ちょっと心配だから、1年分をいれておきたい」など、あくまで目安としてとらえてください。 「増やす」口座については、お金の目減りを防ぐための資産運用の 投資口座 です。横山さんはいいます。 「これからの時代は、現金や預貯金で置いておくことで 価値が下がる危険性 もあることを覚えておいてください」 次回は、「NHK『あさイチ』で紹介された、リストラも怖くないお金の達人の知恵」です。 ■今回取材にご協力いただいた横山光昭さんの著書 『NHK「あさイチ」お金が貯まる財布のひみつ:不安がなくなる貯金の極意』 (横山 光昭(著), 伊豫部 紀子(著)/新潮社 ¥1,296(税込)
2017年09月28日前回は、家計再生コンサルタントの横山光昭(よこやまみつあき)さんに「貯まる財布の作り方」の極意を教えていただきました。 「お金を貯めるうえで大切なのは、あなたの価値観」と話す横山さんは、確実な家計再生をめざす庶民派のファイナンシャルプランナーです。 横山さんがこれまで家計を見てきた方のなかで、「貯め上手さん」には共通することがあったとか。貯め上手さんは 「貯め方が上手なのではなく、 お金の使い方 が上手だ」 ということ。 これまでお金を貯めるためには、「お金を使わない」ことを優先度第一位に考えてきませんでしたか? でも「我慢して節約→リバウンドでムダ使い」、これを繰り返して落ち込んだり。大切なことは「お金の使い方」にこそあったとのです。それでは詳しくお話を聞いてみましょう。 ■あなたはお金を“何に”使っていますか? 「お金は『いくら使った』ではなく 『何に使ったか』 が大事です」と、横山さんはいいます。 前回、財布には財布だけの働きをさせましょうということから、「レシートは、お財布から出した方が良い」と教えていただきました。 今回は、お財布をレシートから出したあと、「何に使ったか」を整理していく方法を教えていただきましょう。最初に、知っておいていただきたいのが、「お金の使い方の3つのタイプ」。まずは、この言葉を覚えてください。 「消(ショウ)」「浪(ロウ)」「投(トウ)」 ●お金の使い方の3つのタイプ 「消(ショウ)」 消費 生活するのに必要なものの購入や、使用料としての支払い全般。生産性はさほど伴わない 【例】食費や住居費、水道光熱費、教育費、被服費、交通費など 「浪(ロウ)」 浪費 生活に必要でないもの、今をひたすら楽しむためなどの、無意味な使い方のこと。いわゆる無駄づかいで、もちろん生産性もない使い方 【例】嗜好品(タバコやお酒、珈琲)、程度を超えた買い物など 「投(トウ)」 投資 将来の自分にとって有効なお金の使い方。資産運用のことだけを指すのではなく、何かを学ぶ、本を読むなどもこれに当たる 【例】習い事、本代など学ぶための費用、投資信託、貯蓄など 出典: 『年収200万円からの貯金生活宣言』 (横山光昭著/ディスカヴァー・トゥエンティワン刊)」より抜粋 ■同じ収入でカツカツの人、貯めている人の違い この「消(ショウ)」「浪(ロウ)」「投(トウ)」を参考にして レシートを仕分け してみましょう。なかには同じ項目内であっても、内容がわかれることもあるかもしれません。 たとえば、食費で考えてみましょう。 料理するのに必要な素材を買っている部分は 「消費」 。 質問:では、料理をするのが面倒くさいからとおそうざいを購入した場合は、何になるでしょうか? これは「浪費」になるかもしれませんね。でも料理する時間を勉強する時間にあてたり、子どもと遊ぶ時間に使ったりすると、「投資」かもしれません。 「この仕分けをしてみるだけで、お金が貯められるようになります」(横山さん) 本当ですか!? たとえば、同じくらいの収入であっても、堅実に貯めていく人と、いつもお金を使いきってしまい、カツカツな気分で暮らしている人がいます。その差は、どこにあるのでしょうか? 「その差は、自分の軸があるか、ないかなのです。お金を貯めるうえで、大切なのは、 あなた自身の価値観 です。そのためにお金の使い方の中身に意識を向ける必要があります」 (横山さん) ■「お金の使い方」の理想割合とは お金の使い方の中身に意識を向けるのに有効な「消(ショウ)」「浪(ロウ)」「投(トウ)」。この3つの項目の目指したい理想割合があります。まずは3つの項目の内訳が支出全体のなかで、どれだけの割合を占めているのかを計算してみましょう。計算方法は、次のとおりです。 各項目(消費、浪費、投資)の金額 ÷ 支出合計 横山さんが、「貯め上手さんだなぁ」と感じる人の数値をもとに割り出した「消(ショウ)」「浪(ロウ)」「投(トウ)」の割合の理想割合は、次のとおりです。 ●横山さんが考える消費・浪費・投資の理想の目安 消費 : 70% 浪費 : 5% 投資 : 25% 「3つの項目ごとの割合を知るという 新しいモノサシ を手に入れることで、人はいままでの自分の常識を疑い始めるでしょう。そして、 お金の使い方自体 に意識を向けられるようになるのです」(横山さん) そう考えると貯まるのか! と目からうろこの次回は、「同じ収入でも、貯められる人×貯められない人」です。 ■今回取材にご協力いただいた横山光昭さんの著書 『NHK「あさイチ」お金が貯まる財布のひみつ:不安がなくなる貯金の極意』 (横山 光昭(著), 伊豫部 紀子(著)/新潮社 ¥1,296(税込)
2017年09月27日「お金が貯まるのは長財布」 。そんな言葉を聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。本当に、「お金が貯まる財布」なんてあるのでしょうか? 今回お話を伺ったのは、家計再生コンサルタントの横山光昭(よこやまみつあき)さん。横山さんは苦しい家計を再生させることを得意とするファイナンシャルプランナーで、これまで1万人以上の家計を「再生」させてきました。横山さんが顧客と真摯(しんし)に向き合うなかで編み出した 「貯まる財布の極意」 について、お話を伺いましょう。 横山光昭 (よこやまみつあき)さん 苦しい家計を再生させることを得意とするファイナンシャルプランナーで、これまで1万人以上の家計を「再生」させてきました。 『年収200万円からの貯金生活宣言』 シリーズの書籍で一躍有名に。 ■パンパンに膨らんだ「ブタ財布」の中身はなんですか? 「貯まる財布とは、 お金を大事にしている財布 です」 と、横山さんはいいます。お金を大事にしている財布とは、「ブタ財布ではない財布」。「パンパンに膨らんだブタ財布では、お金はなかなか思うようには貯まらないものなのです」(横山さん) では、ブタ財布の中身には、何が入っているのでしょう。一度、自分の財布の中に、何が入っているか確かめてみませんか? たとえば、こんなものが入っている人が多いのではないでしょうか? ●お守り →お金が増えて欲しいという願いを込めて? ●レシート →家計簿につけそびれているから? ●割引券やポイントカード →少しでも得したい! ●子どもやペット写真 →いつでも一緒の気分? これらを持ち歩くことで、「安心したい、少しでも得したい」という気持ちはひとまず満足しますよね。でも横山さんは、それが問題だと話します。「そこで安心してしまうことで、実際には 本当に お金をかけてでもやりたいこと 、持つべきものが見えにくくなる ことも多いのです」(横山さん) 財布の中に何が入っているのか。ここに気がつくことが、「貯まる財布」への第1歩になります。 ■「お金が貯まる財布」3つのポイント お財布に入っていたものが、じつはお金ではなかった! ここに気がついたら、次に何をすれば良いのでしょうか? 横山さんは、「お金を貯めるためには、お財布には、 『財布の働き』 だけをさせましょう」と言います。つまり、「お財布の機能=お金そのものの出し入れ」、これだけに集約させるというのです。 お財布を機能的にするためのポイントを3つ教えていただきました。 ●お金が貯まる財布の3つのポイント 1)お金と関係のないものはいれない 2)レシートはためない 3)ポイントカードはよく使う最小限のものだけいれる 出典: 『NHK「あさイチ」お金が貯まる財布のひみつ:不安がなくなる貯金の極意』 より一部抜粋 ■自分の財布で検証したら、ある事実が判明した! お守りやペットの写真はともかくとして、 レシートやポイントカードは、一見、「お金と関係のあるもの」のような気が…。だからお財布から出してしまうことに抵抗があります。 でも本当にそうなのでしょうか? 筆者の財布の中身で、検証してみました。 【レシート】 お財布から出したら、すぐに家計簿をつけなければいけない気がして、ついついお財布に「入れっぱなし」にしていました。つまりは、「レシートをお財布から出す」=「お金を使ったという事実に向き合う」のがつらいんですね。 だったら、ステップを分ければいい。筆者は、家計簿をつける前に、まずはレシート置き場を用意することにしました。現在、写真のような状差しを使っています。これの何がいいって、これにプスプス刺していけば自動的にレシートが日付順になるという点です。 【ポイントカード】 筆者自身、ポイントカードは、お財布とは別のホルダーを持つほど好きでした。最近は、「このポイントカードを持つことで、年間いくらお得になっているのだろう?」ということを考えるよう心がけています。 なぜなら、ポイントカードの還元率自体を知らないのに、「ポイントが貯まること」がうれしくて、たくさんのポイントカードを持ち歩いていたからです。 「 得をすることにとらわれている と、自分の判断力や時間、体力という大事なコストを支払っていることに気がつかないのです」 (横山さん)。 たしかにポイントカードに対して、何となく「とらわれている」という気分になったことは、だれにでも一度くらいはあるのではないでしょうか? お財布を整理することで、自分の行動パターンや思考回路を見つめてみること。そして、自分にとって本当に必要なことに精神を集中させること。それが「貯まる財布の極意」の正体なのかもしれませんね。 次回は、「同じ収入でも、貯められる人×貯められない人」です。 ■今回取材にご協力いただいた横山光昭さんの著書 『NHK「あさイチ」お金が貯まる財布のひみつ:不安がなくなる貯金の極意』 (横山 光昭(著), 伊豫部 紀子(著)/新潮社 ¥1,296(税込)
2017年09月26日これまで「投資」をしてこなかった人たちでも、はじめたとたん、 「投資アンテナ」 が立つひともいるでしょう。これは勇気をもって投資の第一歩を踏み出したからこそのアンテナ。でも、たくさんの投資に関する情報の中から、取捨選択をどう行っていけばいいのでしょうか。 全6本に渡ってお送りした本連載も、いよいよ最終回。今回は、投資に対して、「アンテナを立ち始めたとき」に、入ってきがちな情報について、横山さんに検証していただきます。 ■金融機関の「おすすめ商品」は、本当にオトクなの!? 「投資を始めよう」と思い立ち、証券会社や銀行から投資に関する資料を取り寄せたり、証券口座を開いたりすると、必ず 「おすすめ商品」 が紹介されます。ネット証券会社が、サイトのトップページなどで大きく宣伝している商品も、ほとんどはその会社の「おすすめ」といえるでしょう。 おすすめ商品は、たいてい 高利回り をうたっており、もしかしたら、「バランス型の投資信託やインデックスファンドへの投資より、そちらの方がよいのではないか」と思ってしまう人がいるかもしれません。 「一見どれほどおトクに思えても、 金融機関のおすすめ商品には、『 手数料 が高い』『 リスク が高い』といった 問題が隠れている 可能性があります 。とくにはじめて投資をする方は、『おすすめ』という言葉や目立つ広告に惑わされないようにしましょう」(横山さん)。 ■個別株やFXで「勝てる」確立は低い 投資に慣れてくると、「別の金融商品も試してみたい」と考える人も出てくるでしょう。貯金や堅実な投資を続けながら、生活に必要なお金をしっかり確保し、きちんと研究したうえで行うなら、もちろんそれもありだと思います。 ただ、横山さん自身は、経験やさまざまな方から聞いたお話を考え合わせると、次のように考えているそうです。 「よほど投資に精通した人でない限り、個別株への投資で 成功する確率 は、それほど高くありません。とりわけ短期間で利益を出すのは難しいでしょう。 『9割が負けて1割が勝つ』 といわれる株式の世界で、プロの投資家たちと争い、利益を上げるのは、よほど勉強と経験を重ねなければ難しいのかもしれません」。(横山さん) 唯一、横山さんが個別株でおすすめしている買い方は、ある程度勉強したうえで、「好きな会社や応援したい会社の株を無理のない範囲で買うという方法。 「FX」 という言葉も、投資とセットと語られているような気がして、何となく気になるところです。FXとは、 外国為替証拠金取引 のこと。米ドルやユーロなど外国の通過の動きを予想して売買し、為替差益(かわせさえき)を得るというものです。 「 私はFXは、投資というより完全に ギャンブル だと思っています 」(横山さん) ギャンブルの多くがそうであるように、FXで勝てる人は、ほんの一握りだそう。途中まではどんなに順調に利益を得ていても一度の失敗ですべてを失ってしまう可能性もあります。「生半可な知識しか持たずに個別株やFX大金を投じるのは、絶対に避けましょう」(横山さん) ■外貨預金にも注意が必要 為替差益が出る可能性がある金融商品としては、FXのほかに 「外貨預金」 があります。外貨預金は、米ドルや豪ドル、ユーロなど、さまざまな国の通貨で預金をするというもので、銀行で扱っています。 「預金」という名前がついているだけに、安心感や親近感を持つ人もいるでしょう。けれども横山さんは、こう言います。 「 外貨預金 は円建て(普通の)預金よりも、はるかに リスクの高い金融商品 です」 外貨預金のデメリットは、大きくわけて二つあります。 ●外貨預金のデメリット ・為替差損が出る可能性がある 為替差益が出る可能性があるということは、為替差損が出る可能性があるということ。為替相場は、プロでも正確に読むことはできません ・手数料が高い 外貨預金では円を外貨に換えて預金し、満期になったら再び円に戻すのですが、いずれの作業にも、それぞれ為替手数料がかかります。たとえば米ドルで1万ドルを預けると、銀行窓口で1万円~2万円、ネットバンクでも2千円~5千円の為替手数料(※)がかかります。 ※銀行窓口0.5円~1円、ネットバンクで0.1~0.25%(金融機関によって異なる)で試算 出典: 「はじめての人のための 3000円投資生活」 (横山光昭著/アスコム刊)より抜粋 外貨預金を、為替相場によって「勝手に上下する預金である」という前提を理解しておく必要はあるでしょう。「くれぐれも、『預金』という言葉に惑わされないようにしましょう」(横山さん) これにて、はじめての人のための3000円投資生活連載も終わり。この記事を書いている私自身、数年前まで、「投資!? そんなの怖くて絶対にイヤ!」と思っていました。 けれども、取材を通じて、「公的年金は、老後の生活の基幹部分くらいしか出ない」と痛感し、「老後のお小遣い稼ぎ」のつもりで、投資を始めました。 マイナス金利の現在、銀行の金利はすずめの涙ですよね。漠然と「お金の不安」を抱えるよりも、まずは一歩を踏み出してみることも「アリ」かもしれませんよ。 ■今回取材にご協力いただいた横山光昭さんの著書 『はじめての人のための3000円投資生活』 (横山光昭著/アスコム刊 ¥1,100(税別)
2017年09月03日「貯金だけでは、お金の悩みが解決できない」というのは、ファイナンシャルプランナーの 横山光昭 (よこやまみつあき)さん。 苦しい家計を再生させることを得意とするファイナンシャルプランナーで、これまで1万人以上の家計を「再生」させる中で、「無理のない範囲で投資を学んで 貯蓄スピード を上げてきた人たち」をたくさん見てきました。 ■投資は「手間をかけない」方が成功する 横山さんはいいます。「プロの投資家でない限り、投資を成功させるうえで、『あまり 手間をかけすぎない 』ということは、とても重要だと思っています」 とくに3000円投資生活の場合は、 「バランス型の投資信託」 を選び、積立の設定をしたら、あとは基本的にほったらかしに。バランス型の投資信託は、プロのファンドマネージャーが、経済状況や社会の動きを見て運用してくれています。 気が向いたとき だけ、証券会社から定期的に送られてくる取引報告書に目を通せばOKです。 では、複数のインデックスファンドを購入した場合は、どうでしょうか? 投資の本やWEBサイトを見ると、よく「複数のインデックスファンドを買った場合は、 リバランスが必要 である」と書かれています。リバランスというのは、「資産全体のバランスの見直し」のことです。 「私はリバランスも、とくに必要ないのではないかと考えています」(横山さん) 毎月積み立てていく場合、価格が安いときも高いときも設定した金額の分だけ買っているため、いずれ バランスは平均化されて いきます。そのため、へたにいじらなくても、勝手にリバランスされていくというイメージです。横山さん自身、そのようにしていて、十分にバランスがとれているそうです。 ■横山さんが経験した「苦い経験」 そんな横山さんも、じつは過去にいろいろと苦い経験をしています。 かつて日本の個別株に投資したときのこと。株価は刻々とかわります。横山さんは、自分が買った株の値動きが気になって仕方なく、株式市場が開いている昼間、仕事の合間を見ては、株価の値動きをチェックするようになりました。 それはどんどんエスカレート。ついには株価チェックの合間に仕事をするようになってしまったそうです。まさに本末転倒。当然、仕事は手につきません。 ところが。 それだけ熱心に取り組んでいたのにもかかわらず、あるとき、横山さんが選んだ銘柄が、市場全体の下落に引きずられ、一気に値下がり。「あんなに時間と労力を割いたのに」「一生懸命分析し、市場がどうなろうとダメージを受けないよう、手を打っていたつもりなのに」と、大きなショックを受けたとか。 ■投資は時間をかけても100%うまくいくとは限らない 投資は、手間をかけたからといって、100%うまくいくとは限りません。ひんぱんに売買を繰り返せば、その分手数料もかかります。 「一時的な値上がりや値下がりに一喜一憂するのは、 時間とエネルギーのムダです 」(横山さん)。投資を経験したことがある人のなかには疲れ果て、投資に嫌気がさしてしまったことがあるかもしれませんね。 「 投資は本来、 長期的な視野 に立ち、 『お金に勝手に増えてもらう』 くらいの気持ちで取り組むべきもの だと、私は思います」(横山さん) 商品を購入し、「20年間は続ける」「50万円になるまでは続ける」など、おおまかな目標を立てたら、あとはほったらかしにしましょう。それくらいの方が、「ママとしての心の健康」には良さそうです。実際に、投資を始めて気持ちが揺れたときには、この記事のことを思い出して欲しいと思います。 この記事を書いている私自身、「投資をする中で、気持ちがとても揺れた」という体験をしたことがあります。 デビュー戦で買った投資信託の配当金の額は、同じ額を1年間ネット銀行に預けた時の利率の約3倍でした。そう気がついたあと、株式相場がガクンと落ちて「チャンスだ」と感じた自分自身に驚きました。 なぜなら投資は、それまで「私にとってはすごくがんらなければできないこと」という存在だったのに、欲がムクっと起きてがぜんヤル気になっていたから。そう「投資生活を始める」ということは、そんな、 「気持ちの揺れ」 を体験するということでもあります。 次回は、「投資に欲が出てきたら注意! それ本当に“お得”ですか?」です。 ■今回取材にご協力いただいた横山光昭さんの著書 『はじめての人のための3000円投資生活』 (横山光昭著/アスコム刊 ¥1,100(税別)
2017年09月01日日々の暮らしのなかで、「お金がなかなか貯まらない」と悩んでいる人は多いことでしょう。その場合には、投資よりもなによりも 家計を見直す ことが必要になってきます。 ファイナンシャルプランナーの 横山光昭 (よこやまみつあき)さんは、「本格的な投資を始めるのは、月収の7.5ヶ月分の貯金」ができてから」と話します。それではつねに「お金の不安」につきまとわれている方は、どうやってお金が貯まる強い家計を作ればいいのでしょうか。 ■貯まる! 強い家計を作る 前回の記事で「投資の欠点」を知ったところで、ここであらためて3000円投資生活の「基礎部分」である 「貯まる家計」 についてご紹介したいと思います。 人には、それぞれにあった次のような「お金のステージ」があります。 ●第1ステージ:お金を管理する 家計簿を使ってお金の流れを把握する、ムダな支出をおさえる、少しずつ貯金を始めるなど、実生活に関わるお金をマネジメントしていく段階。 ●第2ステージ:お金を学ぶ お金を今後どう活用するか基本的な知識を学ぶ段階。 ●第3ステージ:お金を活かす 投資を実践するのは、第3ステージです。 3000円投資生活を成功させるためにも、この段階をきちんとこなすことが大事です。とりわけ、第1ステージである「お金を管理する」をおろそかにしていては、けっしてうまくいきません。 「お金をきちんと管理し、ムダな支出をおさえ、 強い家計 を作ることができてはじめて、無理なく貯金と投資を行うことができるのです」 (横山さん) 同じくらいの収入であっても、堅実に貯めていく人と、いつもお金を使いきってしまい、カツカツな気分で暮らしている人がいるのはなぜなのだろうか? 自分の軸を作り上げるためにも、「お金の使い方を3つに分ける」ということをぜひとも知っておいて欲しいと思います。 ■お金の使い方の3分法 (1)消費 生活するのに必要なものの購入や、使用料としての支払い全般。生産性はさほど伴わない。 【例】食料や住居費、水道光熱費、教育費、被服費、交通費など (2)浪費 生活に必要でないもの、今をひたすら楽しむためなどの、無意味な使い方のこと。いわゆる無駄づかいで、もちろん生産性もない使い方。 【例】嗜好品(タバコやお酒、珈琲)、程度を超えた買い物など (3)投資 将来の自分にとって有効なお金の使い方。資産運用のことだけを指すのではなく、何かを学ぶ、本を読むなどもこれに当たる。 【例】習い事、本代など学ぶための費用、投資信託、貯蓄など 出典: 「年収200万円からの貯金生活宣言」 (横山光昭著/ディスカヴァー・トゥエンティワン)より抜粋 まずはこの表を参考にして、家計の支出をあなたなりに 「消費」「浪費」「投資」 に3つにわけてみましょう。これだけでも十分、お金が貯められる体質作りへとつながります。 ■月収の7.5ヶ月分は、まず「貯金」 今回の連載では、「月々3000円」という無理のない金額で、金融商品への投資をスタートすることをおすすめしていますが、本来は、支出を管理して、「強い家計」になってきたなと感じてから、「投資」を視野にいれます。 では、投資というのは、家計全体の中で、どれくらの割合、するものなのでしょうか? 「収入を100とした時、『貯金15%』、『金融商品への投資や自分や家族への 投資10% 』となるのが理想です」(横山さん) さらにつっこんで、「「貯金」と「投資」の線引きはどこにあるのでしょうか?」。ここで気になるのが、貯金の目標額です。いくらに設定したら良いのでしょうか? 横山さんはいいます。「 貯金は、『 目の前のピンチ を切り抜けるためのお金』です 。私はいつも家計相談に来られたみなさんに、『最低でも、使うための貯金(月収1.5ヶ月分)と、おろさない貯金(月収6ヶ月分)を持っていてください』」と、お伝えしています」。 <「使うための貯金」「おろさない貯金」> ●使うための貯金 生活費がたりなくなったときや、ちょっとした予定外の出費などに対応できるようにするためのお金 ●おろさない貯金 病気やケガ、突然の退職などにより万が一収入が途絶えても、当面生活できるようにするための「生活防衛資金」 出典: 『はじめての人のための3000円投資生活』 (横山光昭著/アスコム刊)より抜粋 「本当は、おろさない貯金は6ヶ月以上あるのが理想ですが、まずは月収7.5ヶ月分の貯金をつくって欲しい」とのことです。反対にいえば、「3000円投資生活」を始めるにおいて、 「投資」 を本格的に視野にいれるのは、 「月収の7.5ヶ月分の貯金」 ができてからということになります。 ■家族マネー会議のすすめ この記事を書いている私自身、投資を始めてみて思うのは、「キリがないな」ということ。ある意味、不労所得を得ることもあるので、投資スイッチが入ってしまうと、「もっと、もっと…」というような欲がわき起こってくるのです。 横山さんは言います。「 投資をする目的やゴール をはっきりさせておきましょう」。目的やゴールがはっきりしている方がモチベーションも上がるし、「今月は少し余裕があるから、無駄使いせずに貯金や投資にまわそう」といった気持ちにもなるため、成果に大きな違いが出ます。 もし、 「お金がないと不安」 といった漠然とした不安から貯金や投資を始めてしまうと、いくらお金が貯まり、お金が増えても、不安は拭いきれません。 そうなると、常にネガティブな気持ちでお金に向き合うことになり、貯金や投資が楽しく感じられなくなります。 そんな「事態」を避けるために、横山さんがおすすめしているのが、 「家族マネー会議」 。 子どもたちの要望をとりいれながら家族の価値観の共通化を図り、家族全員で楽しみながら、少しずつ節約を開始して、余ったお金を、貯金と投資に回していくのです。 この記事を書いている私自身、横山さんのご提案に従って「家族マネー会議」を開くことにしました。毎週日曜日、3人の息子たちは「今週の経費精算」をします。 経費として精算できるのは、「食費」「文房具」「書籍代」。経費の一覧表を家族みんなで見ながら、中学生の次男に「ジュースを毎日買っているけれど、これは経費では出せないね?」とか、高校生の長男に「おなかすく時期だから、この学食で買ったハッシュドポテトは経費で出すよ」などという会話をします。「家族マネー会議」を開くと、家族の価値観の共通化ができて楽しいです。 次回は、「ムダになる投資vs.成功する投資の違いは?」です。 ■今回取材にご協力いただいた横山光昭さんの著書 『はじめての人のための3000円投資生活』 (横山光昭著/アスコム刊 ¥1,100(税別)
2017年08月31日「将来が不安」「いつもお金の悩みがある」、誰でもが持っているお金の不安。だからこそ貯金に励み、節約の毎日をがんばって送っている人も多いことでしょう。 それでも「貯金だけでは、 お金の悩み が解決できない」というのは、ファイナンシャルプランナーの横山光昭(よこやまみつあき)さん。リバウンドの少ない家計再生の実現を得意とするファイナンシャルプランナーで、これまで1万人以上の家計を「再生」してきました。 そんな横山さんが「もうお金の不安はなくなります」と話すのは、毎月3000円からの 「貯金感覚」の投資法 です。 ■バランス型の投資信託の問題点とは 横山さんがおすすめするのは、「毎月3000円、 バランス型の投資信託 を積立から始める」という、シンプルで明快な投資方法。ただ、バランス型の投資信託には、次のような側面があるのも事実です。 ●(インデックスファンドと比べ)手数料がやや高い ●国内と外国、株式と債券などの資産バランスを自分で変えることができない もし、「手数料をできるだけ安く抑えたい」「バランス型の投資信託を買うだけではなく、もう1歩踏み込んだ投資をしたい」と考えているのであれば、横山さんは、こうおすすめしてくれました。「ぜひ、 インデックスファンド を買ってみてください」。 ※「バランス型の投資信託」とは、日本の株式や債券、外国(先進国から新興国まで)の株式や債券などが、その名のとおり、バランスよくパッケージされた商品。これを1つ買うだけで、複数の銘柄に投資したことになります。 ■インデックスファンドって、何ですか? インデックスファンドも、これまで紹介してきた「投資信託」の商品の中のひとつ。 インデックス (※)に連動するよう、投資先が機械的に決められるため、手間がかからない分、手数料が低めなのが特徴です。 「最強の投資家」といわれるウォーレン・バフェット氏などは、「『非常に 低コストなインデックスファンドに投資すれば、同時に投資を始めた90%の人よりも良い結果を得るだろう 』とまで言っています」(横山さん) ※インデックスとは、市場の動向を示す指標や指数のこと 横山さんがおすすめするインデックスファンドは、次の2本となります。 ●横山さんのおすすめのインデックスファンド 出典: 『はじめての人のための3000円投資生活』 (横山光昭著/アスコム刊)より抜粋 ■横山さんが「積立」投資をおすすめする理由 横山さんは、バランス型の投資信託やインデックスックスファンドをスポット(一括)ではなく、 「積立」 で買うようおすすめしています。 「『積立』のメリットは、なんといっても、少額から始められる点にあります」(横山さん)。バランス型の投資信託やインデックスファンドをスポットで買う場合、価格はたいてい1万円前後。ですが、一部の証券会社では、100円単位から買うことができます。 「積立は、一定額を毎月積立システムなので、 『自動的にコツコツ、タイミングを意識することなく購入することができる』 というメリットもあります」(横山さん) 投資信託の価格は日々変動するため、スポット(一括)で買う場合は、ある程度タイミングを見極める必要があります。「少しでも安く買いたい」と思うあまり、なかなか最初の一歩を踏み出せない人もいるでしょう。その点、積立なら、毎月決まった額で買える分だけを購入することになるため、値動きを気にせず、思い立ったときに投資を始められるのです。 ■投資の「欠点」を知っておこう さて。ここまで「バランス型の投資信託」と「インデックスファンド」をおすすめしてきましたが、これらに盲点はないのでしょうか? 「インデックスファンドは、市場と同じような動きをすることを目指して設定してあるので、良くも悪くも価格は 市場の影響 を確実に受けます」(横山さん) リーマンショック、最近では、中国ショックといった言葉を耳にしたことがあるでしょう。市場は不規則に暴落します。ですから、暴落が起これば、インデックスファンドは大きく値下がりします。債券が含まれるバランス型の投資信託であっても、基本的には同じです。 もし、「そろそろ定年だから、運用資産を現金化しよう」と思う前後に暴落が起こったら…? もちろん、資産は大幅に目減りしてしまうことでしょう。その点が、インデックスファンドの 最大のリスク です。 ただし、過去の市場の動きを見てみると、たとえ暴落しても、やがて市場は回復し、暴落時の影響を吸収したうえで、右肩上がりの成長をしていることもわかります。 「ざっくりとではありますが、暴落後、回復してくるまでの期間は、短くて3年、長くて10年ほど見ておく必要があります」(横山さん) 逆に言えば、「運用するお金」というのは、「市場が回復するまで、手をつけずにおいておくことができるお金(いわば余裕資金)」であって、生活費やなけなしのお金で投資をしてはいけないということなのです。 次回は、投資するお金は、こう用意する! この記事を書いている私自身、はじめて投資は、「インデックスファンド」でした。「実際に銘柄を購入してみる」とか「値動きを体感する」…。こればかりは、「習うより、慣れろ」だと実感しています。 インデックスファンドは、洋服で例えるならば、「紺のカーディガン」。「無難だから、ひとつくらいもっておいても良い」というアイテムです。 私の投資デビュー戦。じつは、なにも買えずに終えてしまったのです。理由は、パスワードエラーというなんとも情けない話。さらに株価をチェックしだしてしまうと、なかなか動くことができないでいました。しかしある日、気持ちが切り替わりました。「もういいじゃん。損とか得とか、いま、チマチマ考えていたって、意味ないよ。とにかく今日は買うぞ!」と。 「投資をする」は、気持ち的ハードルが高いかもしれません。でも「怖くはありませんよ」と私からも付け加えさせていただきます。 ■今回取材にご協力いただいた横山光昭さんの著書 『はじめての人のための3000円投資生活』 (横山光昭著/アスコム刊 ¥1,100(税別)
2017年08月30日「貯金だけでは、お金の悩みが解決できない」と語る、ファイナンシャルプランナーの 横山光昭 (よこやまみつあき)さん。借金のある家庭、ローンで苦しんでいる家計を抜本的に解決し、再生させることを得意とするファイナンシャルプランナーです。 「なんとかお金を貯めたい!」と考える人たちの家計を「再生」させる中で、「無理のない範囲で投資を学び、貯蓄スピードを上げてきた人たち」をたくさん見てきました。 ■はじめての投資はシンプルに 横山さんの投資法は、とてもシンプル。それでも、投資が「はじめての人」にとっては、わからないことだらけ。言葉ひとつとっても聞きなれない、耳慣れない言葉に、つい挫折しそうになります。そんな「読者のみなさんが必ず迷うであろう部分」を、具体的に教えてもらいましょう。 ●横山さんのおすすめ投資方法 1)証券口座を開く 2)月々3000円でスタートする 3)バランス型の投資信託を買う 出典: 『はじめての人のための3000円投資生活』 (横山光昭著/アスコム刊)より抜粋 ■ポイント1 証券会社はネット証券がおすすめ この記事を書いている私自身、投資を始めるにあたり、「ネット証券」を検索してみて、たくさんの証券会社がヒットしたことに、まず驚きました。さらに街中には、いわゆる「一般的な証券会社」もあります。「どこに証券口座を開けばいいのか?」、そんなあたり前の疑問が、投資の第一歩を踏み出そうとすると、必ず立ちはだかるのです。 「証券口座を開設するなら、 ネット証券 がおすすめです」 (横山さん) どうしてネット証券がおすすめなのでしょうか。それは、ネット証券であれば、自宅で手軽に 口座開設の申し込み ができるから。さらに、 手数料が安く 、 商品が豊富 なのも魅力。一部の証券会社では100円から買え、少ない元手で投資を始めることができます。 まさに3000円投資生活向きなのです。横山さんにとくにおすすめするのは、次の4社。「この4社であれば、どこで口座を開いてもかまいません。いずれも信頼度が高く、安心です」(横山さん) ●横山さんおすすめの証券会社 ●SBI証券 商品数が豊富。売買手数料が全体的に安く、ネット証券の中では口座数が最も多い。 ●楽天証券 楽天銀行の口座と連携させれば、さまざまなメリットがあり、楽天市場などで使えるポイントももらえる ●マネックス証券 30万円以下の取引なら、SBI証券や楽天証券よりも売買手数料が安いが、30万円を超えると高くなる ●カブドットコム証券 一般口座であれば、即日口座開設が可能。経営母体が三菱UFJファイナンシャルグループなので、安心感がある 出典: 『はじめての人のための3000円投資生活』 (横山光昭著/アスコム刊)より抜粋 ■ポイント2 利益が出ない最初に選ぶ口座はコレ! 実際にネット証券で口座開設の画面を進めていくと、次なる「関門」は、こちら。 ●特定口座にするか、一般口座にするか ●特定口座を開設する場合、源泉徴収をありにするか、なしにするか 聞きなれない言葉が並び、「難しそう」と、心がなえてしまう人もいるかもしれません。これに対しての横山さんの答えもじつに明快です。 「基本的には、源泉徴収なしの特定口座を選んでいただければ良いと私は思います」(横山さん) 少し補足説明をしてもらいましょう。 【特定口座・一般口座】 投資によって年間20万円を超える利益を出すと、確定申告をし、税金を納めることになります。その際、年間の売買の履歴や損益を計算し、まとめた「年間取引報告書」という書類が必要です。 証券会社がその書類を作成してくれるシステムがあるのが「特定口座」、書類を作成してくれないのが「一般口座」です。 【源泉徴収あり・源泉徴収なし】 源泉徴収あり:必要な手続きを証券会社が代行してくれるので、確定申告の必要なし 源泉徴収なし:必要な手続き(確定申告)を自分で行う 証券会社が確定申告をしてくれるのだから、「源泉徴収あり」の方がおトクな感じがします。しかし、こちらを選ぶと、利益が20万円以下で確定申告が必要ない場合でも、利益が発生した時点で、約20%の税金が自動的に徴収されてしまいます。 3000円投資の場合、最初のうちの利益は微々たるもので、とても20万円に達しないでしょう。ですから、 「源泉徴収なし、特定口座」 スタートで大丈夫なのです。 ただし、次の方は「源泉徴収ありの特定口座」を考えても良いでしょう。 ●20万円以上の利益を想定している方で、確定申告をするのが面倒な方 ●「配偶者控除」や「扶養控除」の適用を受けている主婦や学生で、その年の投資による利益が38万円を超えそうな方 ■ポイント3 3000円投資で選ぶべき投資商品はコレ! 証券口座の設定が終わったら、いよいよ「投資」です。ここで多くの人は、「何を買ったらいいかわからない」という疑問を持つことでしょう。 投資信託だけで6000本あると言われているいま、おびただしい数の銘柄を見て、めまいすら感じるはずです。この関門で「やっぱり、面倒くさいからやめよう」と思ってしまう人も、じつは多いのです。 「3000円投資生活なら、まず、選ぶべきものは決まっています。それは、ズバリ 『バランス型の投資信託』 です」 (横山さん) 「バランス型の投資信託」とは、日本の株式や債券、外国(先進国から新興国まで)の株式や債券などが、その名のとおり、バランスよくパッケージされた商品。これを1つ買うだけで、複数の銘柄に投資したことになります。そのなかでも、横山さんがおすすめしているのは、次の2本の投資信託です。 ●横山さんのおすすめの投資信託 出典: 『はじめての人のための3000円投資生活』 (横山光昭著/アスコム刊)より抜粋 ■ポイント4 3000円投資生活のスタート 実際に商品を購入する際には、次のように入力していきます。 1、「積立」で買うことを選択 2、「目論見書」(もくろみしょ)(※)を閲覧 3、「積立金額」「決済方法」「分配金コース」などを設定する画面で、次のように入力します。 ●積立金額 : 3,000円/月 ●決済方法 :月々の購入金額の引落日(何日でも大丈夫) ●分配金コース : 再投資型 これで「月々3000円ずつ積み立て、バランス型の投資信託を買う」という仕組みができあがりました。つまりは、3000円投資生活がスタートした訳です。 ※目論見書とは、その商品の特色やリスク、運用実績、手数料などが説明されている書類のこと 「あとは基本的に、 ほったらかし ておいて大丈夫です」 (横山さん) 次回は、「「欠点」を知らないから怖くなる! 投資のリスクは回避できる」です。 ■今回取材にご協力いただいた横山光昭さんの著書 『はじめての人のための3000円投資生活』 (横山光昭著/アスコム刊 ¥1,100(税別)
2017年08月29日「私自身、これほど結果が出るとは思っていませんでした」と語るのは、ファイナンシャルプランナーの 横山光昭 (よこやまみつあき)さん。今回は、 「横山式投資術」 について、貯蓄と一緒に投資を始める方法を横山さんにうかがいます。 横山光昭 (よこやまみつあき)さん 苦しい家計を再生させることを得意とするファイナンシャルプランナーで、これまで1万人以上の家計を「再生」させてきました。 『年収200万円からの貯金生活宣言』 シリーズの書籍で一躍有名に。 ■投資を始めるのは「強い家計」になってから どんなに充分な収入があっても、月末になるとお金がない人や貯金ができない人は、まずは家計自体を見直す必要があるでしょう。横山さんは、「家計自体を見直すためには、自分の 「お金のステージ」 を知ることが必要」と話します。 <お金のステージとは> 第1ステージ お金を管理する 第2ステージ お金を学ぶ 第3ステージ お金を活かす 横山さんは、「お金をきちんと管理し、ムダな支出をおさえ、 強い家計 を作ることができてはじめて、無理なく貯金と投資を行うことができるのです」と話します。強い家計の作り方、お金のステージについては、今後の連載の中で詳しくお話させていただきます。 家計での支出を管理して、まずは貯金をします。貯金によって「強い家計」になってきたなと感じてたら、貯金をしながら「投資」を視野にいれていくというのが、正しい順番です。 連載1回目の今回は、「ムリのない範囲で投資を学ぶこと」。投資と聞くと、難しそうで、何となく損をしてしまうようなイメージもあります。本当に大丈夫なのでしょうか? ■貯金だけでは、お金の悩みが解決できない 「夫婦でしっかり節約しているのに、貯蓄が増えない」「収入は安定しているのに、お金が残らない」…。 多かれ少なかれ、お金の悩みはだれにでもあるものです。でも、急に収入が増えることはないし、いつも「節約しなきゃ!」と思いながら生活するのも、しんどいですよね。 横山さんが目指すのは、 「お金とうまくつきあい、 自分をコントロール できるようになってもらう」 こと。じつは、横山さん自身、過去に借金に苦しんだことがあるそうです。それをきっかけに、ヨコヤマ式90日貯金プログラムを編み出しました。 しかし貯金ができるようになったからといって、「お金に関する悩み」や「将来に対する不安」が完全に消えたとはいえないようなのです。 「お金は順調に貯まっているけれど勤務先の業績が悪く、収入が減っている」 「貯金だけで、豊かな老後を送ることができるだろうか」 そんな声を聞くことも多く、「こうした悩みや不安は、貯金だけではなかなか解消できないのです」と、横山さんは言います。では、どうしたらいいのでしょうか? その答えとなるのが 「3000円投資生活」 なのです。 ■3000円投資は怖くない ところで、みなさんは、「投資」という言葉を聞いたとき、どのようなことを連想しますか? 「もうかるのは、ごく一部の人だけで、ほとんどの人は損をする」 「しょっちゅう株価をチェックしたり、売買したり、いろいろと手間がかかる」 おそらくこんなネガティブなイメージを持っている人も多いのではないでしょうか? もしかすると、みなさんが「投資」と聞いてイメージするものは、「投機」に近いのかもしれません。「『投資』というのは本来、もっと 気長に取り組む べきものであり、気軽にできるものなのです」と、横山さん。そんな横山さんがおすすめする投資方法は、きわめてシンプルで、次の3つをするだけです。 ●横山さんのおすすめ投資方法 1)証券口座を開く 2)月々3000円でスタートする 3)バランス型の投資信託を買う 出典: 「はじめての人のための 3000円投資生活」 (横山光昭著/アスコム刊)より抜粋 横山さんのおすすめ投資信託商品については、次回ご紹介します! ■「月々3000円だけではお金が増えない」は大きな間違い ここまで読んでも、おそらく「月々3000円の投資だけでは、たいしてお金は増えないのではないか」と思っている方も多いのではないでしょうか? 横山さんのところに実際に相談にいらっしゃったA子さんの例を見てみましょう。A子さんが買ったのは、「バランス型の投資信託」。それを毎月、積立で購入していきます。 次の表で注目すべきは、投資の 「運用益」 と、貯金の 「利息」 の違いです。貯金の「利息」が毎月1万円貯めていっても10年後に60円にしかならないのに対して、3000円を投資し続けた「運用益」は 5万9224円 になりました。 A子さんの例を見ると、 「投資をすることで、 貯蓄スピード があがる可能性がある」 とも言えるのではないでしょうか。 ●月々1万円の貯金と3000円の投資を続けた場合 貯金の金利は0.001%、投資の利回りは3%、1年複利・税引き前 出典: 「はじめての人のための 3000円投資生活」 (横山光昭著/アスコム刊)より抜粋 次回は、「貯蓄スピードをアップする! 挫折しない3つのポイント」です。 ■今回取材にご協力いただいた横山光昭さんの著書 『はじめての人のための3000円投資生活』 (横山光昭著/アスコム刊 ¥1,100(税別)
2017年08月28日真面目で頑張り屋の人ほど、お金が貯まらない 節約よりも確実にお金が貯まる方法 貯蓄を始める前に知っておきたい、お金の使い方の3つのタイプ 90日プログラムで貯金力を10倍アップ【準備編】 90日プログラムで貯金力を10倍アップ【実践編】 の続きです。 家計再生コンサルタントの横山光昭さんは、苦しい家計を再生させていくことを得意とするファイナンシャルプランナーで、これまで約9,000人の家計を「再生」させてきた。そんな横山さんのメソッドを紹介した「年収200万円からの貯金生活宣言」も今回が最終回。これまでを振り返りながら、真の貯蓄力をつけるためのポイントを教えてもらった。 ■習慣化させるためにプログラムを繰り返す 仮に今、90日プログラムの第1回目が終わったとしよう。もしかしたら第1回目ではたいした成果が得られなかったかもしれない。でも、それでも問題ないと安心してほしい。 「貯金ができるようになる成功パターンは、 90日貯金プログラムの1回目ではなく、2回目、3回目の挑戦で大きく表れ始めることが多いのです 」 なぜなら、お金についての知識や考え方といった基盤を、90日間だけでなくもっと時間をかけて習得させたほうが強い土台となり、本当の貯金力に繋がるからだ。 ■「意思が弱いからこそ」仕組みづくりが大切 このプログラムだけでなく、勉強であっても筋トレでもダイエットでも、実は一番難しいのは「続けること」。続けられる人というのは、どんな人なのだろうか? 「『お金が貯められる人は、私とは違って、きっと意思が強いのだろう』と嘆く人がいますが、実はプログラムの成果をうまく得られている人は『自分の意思だけでは限界がある』ということを理解して、 『意思が弱いからこそ仕組みづくりが大切だ』という自覚からスタートできる人 なんです」 ●途中でギブアップしないための仕組みづくり例 ご褒美型の人は「貯めたお金でこれを買おう」と頑張ってみる 自己満足むっつり(!?)型の人は口座にお金が貯まっていくのを見て幸せを感じてみよう ムチ型の人は第3者に監視されることで、モチベーションを維持しよう (出典:「年収200万円からの貯金生活宣言」より抜粋) ■数字で自分をコントロールする 「何回も90日貯金プログラムをこなしている人は、 『数字で自分を把握する』から、『数字で自分をコントロールする』 に変化していきます」(横山さん) 『数字で自分を把握する』と『数字で自分をコントロールする』とは、どう違うのだろう? たとえば、「今月は食費の消費ペースがより早い」という感想。これは、大ざっぱであっても数字をコントロールしていなければ、出てこない感想だ。「だから食費を節制しよう」と行動する、これが数字で自分をコントロールすることの始まりだ。 「 自分の消費の数字を素直に受け入れ、ストレスもなく行動に反映させられるようになれば、しめたものです 」(横山さん) ■お金を貯めるには気持ちが大切 貯蓄プログラムの最後の到達点は、「家計簿やお金のことをあまり気にしていなくても、自然と必要なお金を捻出できるようになること」だと横山さんは言う。 たとえば別に所得がぐんと高い訳でもないのに、趣味である旅行費用を自然と捻出できる人がいたとしよう。 「そのような人は、バランスをとるのが上手なんです。大好きな旅行が優先順位のトップにあるので、ほかの支出を抑えることが自然にできる。 自分軸がしっかり形成されていて、そこに価値観がある 。だからこそ、無理なく自然にお金のコントロールをすることができるのです。この例からもわかるように、 お金を貯めるには何より自分の気持ちが大切なんですよ 」(横山さん) お金を貯めるためには、自分を知ることがスタートでありゴールでもある。今回の特集を通じて、横山さんにそう教えてもらったような気がした。 ■今回取材にご協力いただいた横山さんの著書 年収200万円からの貯金生活宣言 (横山光昭著/ディスカヴァー・トゥエンティワン刊)
2016年04月19日真面目で頑張り屋の人ほど、お金が貯まらない 節約よりも確実にお金が貯まる方法 貯蓄を始める前に知っておきたい、お金の使い方の3つのタイプ 90日プログラムで貯金力を10倍アップ【準備編】 の続きです。 「強い貯蓄力をつけるには、まず『実行』です」と言うのは、家計再生コンサルタントの横山光昭さん。苦しい家計を再生させていくことを得意とするファイナンシャルプランナーで、これまで約9,000人の家計を「再生」させてきた。そんな横山さんに、いよいよ貯金力を10倍アップする90日プログラムの内容を教えてもらおう。 ■プログラム実行中にする7つのこと 気持ちと道具の準備が整ったら、いよいよプログラムのスタートだ。90日間でやるのは、次の7つの項目。 ●プログラム実行中にする7つのこと 本を読む 家計簿をつける 新しいモノサシ で使い道を把握する 夢のノートに3行日記をつける クレジットカードは使わない キャッシングがあれば、それを洗い出す 自分との小さな約束をする (出典:「年収200万円からの貯金生活宣言」より抜粋) 今回の記事では、上記の7つの中から、代表的なもの3つについて、横山さんに説明してもらおう。 ■家計簿をつける 「 家計簿の目的は、自分のお金の全体像とその流れを把握することです 。すべてきっちり管理し、不明なお金を出さないようにするためではないのですよ(横山さん)」 始めた月は、「家計簿=お金のメモ」程度にとらえるだけでOK。自分がイメージしていた数字と現実の数字との差に、愕然とすることがあるかもしれない。でも、その思いをベースに新しい目標を立てればいいだけの話だ。 つまり、 家計簿をつけるということは現実を知ること 。「これくらいだろうか」とか「きっとできるだろう」といった精神論から脱却することで、これまでいかに希望的観測でお金を使っていたかを気付くことになる。 ■新しいモノサシで使い道を把握する 家計簿をつけられるようになったら、次は「新しいモノサシ(消費・浪費・投資)」で自分のお金の中身を計ってみよう。横山さんのおすすめは、蛍光マーカーペンを使って、色分けをすること。モノサシを色分けしておくと、パッと見て一目で分かる。「マズい! 今月は赤が多い!」などと、一瞬で判断できるのだ。 「 家計簿をつけるメリットは、『消費』『浪費』『投資』のバランスを、自分の目で理解すること と言っても過言ではありません」(横山さん) ●蛍光マーカーペンを使っての色分け 消費:黄 浪費:赤 投資:青 (出典:「年収200万円からの貯金生活宣言」より抜粋) ■夢ノートに3行日記をつける その日感じたことを思うまま、飾らずに自分の言葉で書く、いわゆる「日記」をつけてみよう。夢ノートに2~3行書くだけでOK。「コンビニで買い物しなくなった。そうしたら、やせられた!」「仕事に目標が持てないのがイヤだ」「不安ばかりが目につく」など思うままに。 弱音も含め、思いをこのノートに吐き出してみよう 。 数日間書き続けることで、自分の気持ちの動きが見えてくるほか、思いを吐き出すことで気持ちのリセットにもつながる。3行日記で気持ちをリセットすることによって、また頑張ろうという原動力にもできるのだ。 次回は、いよいよ最終回。これまでの連載を振り返ってみよう。 ■今回取材にご協力いただいた横山さんの著書 年収200万円からの貯金生活宣言 (横山光昭著/ディスカヴァー・トゥエンティワン刊)
2016年04月18日真面目で頑張り屋の人ほど、お金が貯まらない 節約よりも確実にお金が貯まる方法 貯蓄を始める前に知っておきたい、お金の使い方の3つのタイプ の続きです。 「強い貯蓄力をつけるには、まず『実行』です」と言うのは、家計再生コンサルタントの横山光昭さん。苦しい家計を再生させていくことを得意とするファイナンシャルプランナーで、これまで約9,000人の家計を「再生」させてきた。 ■目的をハッキリ意識し、実行する期間を決める 横山さんが提案するやり方や考え方を頭で理解するだけでは、「貯める」力には繋がらない。これまでのことをベースにして、「実行」をしてこそ貯蓄力がつくのだ。 そのための最初のポイントは、次の2点となる。 実行する期間を定める(理想は90日) 目標や願望、やりたいことをハッキリ意識する 「90日=3ヶ月」と期間を決めているのは、変化を実感しやすいのと、貯められなかったころの自分との比較がしやすいから。もちろん、90日を過ぎても、さらに続けていってOK。90日がひと区切りというだけで、繰り返すことで効果は上がっていく。 そして目標や願望は、とにかくハッキリ意識することが大切。「貯金できるようになる人はみな、目標の描き方が現実的なのです」(横山さん) ■スタート日とゴール日を設定 上記が決まったら、次にスタート日とゴール日の具体的な日付を決める。 スタート日=収入が入る日、つまりお給料日 ゴール日=3ヶ月後の給料日の「前日」 共働きで給料日が違う場合は、家計のメインの収入となるほうに合わせる。ゴールも給料日の「前日」なので、キッチリ90日間である必要はない。 ■プログラムに取り組む前にする4つのこと この記事を読んで、「よし、早速やってみよう!」と思ったとしても、すぐに始めるのではなく、数日待って必ず給料日からスタートさせるのがよい。その間、「プログラムに実際に取り組む前にすること」があるので、ご紹介しよう。 ●プログラムに取り組む前にする4つのこと (1)目標、願望をハッキリと具体化させる 目標として設定しておきたい項目は次のとおり 貯めたい金額 使い方の内容の割合をどう変化させるか(消費、浪費、投資) 生活上、改善したいこと 挑戦したいこと (2)夢ノートと家計簿を用意する 家計簿はできるだけシンプルなもの を。「お金の流れをメモしておくためのもの」程度のゆるいとらえ方で。横山さん監修の家計簿もある。 目標や願望を自由に書くことができる「夢ノート」は、特に決まりはないが、B5サイズの大学ノートを使っている人が多いそう。 (3)貯金箱と貯金用口座を用意する 貯金箱はインスタントコーヒーの空きびんなど、中身が見えてわかりやすいものがおすすめ。わざわざ買う必要はなく、手元にあるもので用意してみよう。 貯金用口座は新しく開設して、 90日貯金プログラムで貯めた分だけ をそこに入れよう。 (4)気がかりなことを書き出す たとえば、「何だか最近、楽しくないし、やる気も沸かない。しっかり休んでみよう」「会社のデスク周りがぐちゃぐちゃ。使いやすいように片付けよう」など、何でもいい。とにかく心に思い浮かんだ気がかりなことを書き出してみよう。 (出典:「年収200万円からの貯金生活宣言」より抜粋) 準備ができたら、いよいよ次回は横山メソッドの真髄「90日貯金プログラム」【実践編】です。 ■今回取材にご協力いただいた横山さんの著書 年収200万円からの貯金生活宣言 (横山光昭著/ディスカヴァー・トゥエンティワン刊)
2016年04月17日