最後に乗った車の運転手の顔を思い出せますか?「ありがとう」を忘れた21世紀に若き起業家が伝えたいこと
「20代の僕たちは、数千万円もする高級車を所有することに、ちっとも憧れていない。もっと言えばオンボロの車で、気心の知れた友人とドライブしながら、二度とないこの一瞬を笑って過ごしたい。だってそっちの方が、豊かな人生だって思うから」現代において、知ることや所有することの価値は、相対的に低下している。24時間インターネットに接続され、生まれた頃から欲しいものがいくらでも手に入るからだ。大げさな話ではなく、私たちが暮らす社会はそんなものだろう。進化し続けるテクノロジーが、生産と消費を繰り返す経済成長のループに輪をかけた結果、埋まる隙間のない満たされた若者たちの価値観が変わりつつある。嵐のように過ぎ去る日々に置き去りにされてきた、小さな幸せを拾い集めることが、若者たちのトレンドになっているようだ。移りゆく価値観の変化を、モビリティを例に挙げて考えてみよう。
かつては高級車を所有することが若い世代の憧れを象徴していたが、そんな価値観はもう過去のもの。ライドシェアリングサービス「Uber」が世界を席巻し、モビリティをシェアする時代になった。そして今、新たに“乗車体験”をもシェアするサービスが注目を集めている。