#006 「ハラスメントはなぜ起こるの?」男の子でも女の子でも立場は関係なく、“誰でも加害者になる”可能性| “社会の普通”に馴染めない人のための『REINAの哲学の部屋』
もしかしたらわたしも、加害者になりうるかもしれない
でも正直、わたしはとても怖い。無意識のハラスメントが。誰をどこでどう傷つけているかわからないということが。共感を求めたはずの被害者意識が肥大し「わたしの方が大変だった」というマウンティングを繰り広げそうになることが。そして人間が、実は理性や想像力やコミュニケーションをうまく使いこなせないということが。たとえ「死ね」と直接言わなくても、ディナーにしつこく誘わなくても、お尻を触らなくても、すべての言葉や行為が、それが発せられた瞬間、毒矢になる可能性をもつ。街で聞く誰かの「幸せだな」という声が、大切な人を亡くしたばかりの人の背中を刺すかもしれない、世界はそんな不安定な場所なのです。だから、もしかしたらわたしも、加害者になりうるかもしれない。
なっているかもしれない。そう自覚し、隣りの人に想像力を持って接することができるかどうかで、世界は違って見えるのかもしれません。そして、誰かを傷つけていたと知ったときに、これまでの自分を捨て、変わる勇気を持てるかどうかが、このどうしようもないわたしたち人間を救う、唯一の道だと思います。みんなで血相を変えて絶対的な正しさや他者を攻撃する言葉を探すよりも、かっこいい理念やイデオロギーにしがみつくよりも、自分自身の弱さに気づき、人と人とのコミュニケーションのなかで、言葉を積み上げながら生きたいなと、わたしは思います。