「近代化とは、親の世代とは違う夢を持つこと」。急速に近代化する”幸福の国ブータン”を生きる、ある家族の物語『ゲンボとタシの夢見るブータン』監督インタビュー
観客に考える余白をとっているような映画が好きなんです。事実、作中で描かれるのは激動の変化を遂げるブータンの情勢ではなく、近代化によって生じる家族の小さなすれ違いである。しかし淡々と映し出される登場人物の繊細な心の動きにこそ近代化がもたらす、人々の価値観の変容を強く感じさせられるだろう。
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近代化とは、親の世代とは違う夢を持つこと
近代化とは「若者が親の世代とはまったく違う夢や価値観を持っていること」だと話すのは、バッタライ氏。バッタライ:親の世代には“ニーズ”が多くありませんでした。“家庭”を超えて何かをすることが少なかったのです。農家として働くことに満足し、素朴な食事に、シンプルな服。それで幸せでした。
でも新しい世代は新しい夢を持っている。ブータンは近代化したといっても他国と比べれば産業も小さいし、都市の規模も小さいけれど、ブータンのなかでは人々の意識に変化が起こっていて、それは近代化の結果だと思います。
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近代化が人々にもたらすもの、家族の愛、ささやかな人間同士の衝突、将来への不安、ジェンダーをめぐる葛藤などが国や文化を超えて普遍的だということにこの映画を観るとすぐに気づかされる。